「経済」に関する安倍政権の実績評価 点数の根拠 / 政策課題の妥当性
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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。
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政策課題の妥当性 11点/30点中
成長政策に重点、財政・金融課題は手薄に
形式評価 9点/20点中
安倍政権が当初に示した前述の課題設定の体系は、日本経済を新たな成長の舞台へと引き上げていくことを「美しい国」の一つの内容として位置付け、その下に、財政再建や格差是正にも気を配りながら、「イノベーションとオープン」を成長戦略の柱と位置付けた上で、それぞれの政策の方向性を記述し、一部に具体的な成果の目標設定を入れ込んだ構成となっています。その点では、マニフェストとしての体系性は一応備えています。
しかし、「○○構想を策定・推進する」といった内容が大半を占め、具体的にどのような施策をどう講じようとしているのかが見えない部分が多いのです。その結果、小泉政権の「改革なくして成長なし」のような強力なメッセージが伝わってきません。「成長なくして未来なし」はほとんどトートロジーですが、安倍マニフェストはこれに近いのです。
実質評価 2点/10点中
【マクロ経済運営とミクロ政策の関係】
成長戦略とは、労働や資本などが円滑に回るようそれらの市場を適切に機能させ、その上でイノベーションができるような投資機会が発掘されていくメカニズムにより、成長基盤を構築することです。経済成長そのものに政策軸を置いてそこにマクロ経済運営上のミッションを託すことになれば、その中でとられる資源配分のあり方は、日本経済の長期的スパンから見て場合によっては望ましくないものになる可能性があります。少なくともそれは、経済成長率とは切り離して議論すべき性格のものでしょう。
【成長路線一辺倒の問題】
今の日本の経済政策で残った問題は、いかに財政再建の道筋を付けるかではないでしょうか。景気の回復基調が続く現局面にあって、小泉政権のような切羽詰まった状況には置かれていない安倍政権は、小泉政権時には取り組めなかった本格的な課題に取り組めるはずです。
また格差の問題は、経済成長の中で解決されるわけではなく、少なくとも一時的には格差が拡大することを覚悟しない限り、高い成長は実現できません。それらを両立させるためには、新たな需要の循環や再分配の仕組みを構築して経済を浮揚させるという困難な手続きに取り組まねばならないのです。
【金融への課題設定の薄さ】
小泉政権下で不良債権処理が一段落しているためか、金融部門に対する課題設定が薄いです。今、日本の金融は国際マーケットの中で存在感を喪失し、孤立化が進んでいます。その危機感は担当大臣や金融庁などは持っていても、官邸レベルでの問題意識は見えてきません。
バブル期にはニューヨークやロンドンと並ぶ世界の三大市場の一つに数えられていた東京の金融市場は、今や時価総額でニューヨークの三分の一に低下、アジアナンバーワン市場の地位も危うくなっています。これだけの重要な問題に対し、安倍マニフェストでは政権構想で一言触れただけです。「責任ある企業経営とガバナンス強化」もまた、政権構想では示されましたが、課題設定として充分なフォローアップがされていません。
金融機関の経営問題も、小泉政権下で不良債権比率の低下目標は達成したものの、地方金融機関の経営や財務が充分に立ち直ったわけではありません。大手金融機関にしても、不良債権処理を済ませ、二〇〇七年に公的資金を全額返済した後の次の大きな課題に取り組めていません。それは、欧米金融機関と伍していけるだけの競争力強化に向けた経営戦略の構築、例えばプロジェクトファイナンス(ノンリコースローン)のスキルアップと、その証券化のための資本市場の充実により、間接金融と直接金融を有機的に結び付け、銀行の資本市場へのリスク移転機能を強化することなどが挙げられるでしょう。
今の金融行政は、消費者や預金者、投資家の立場に立った公正の確保の観点からの処分行政に偏っている嫌いがありますが、経済活性化の視点から金融の将来ビジョンを描くことも重要な課題です。
2007年06月25日 15:07
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