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 「農業・食料政策」に関する安倍政権の実績評価 / 評価の視点

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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

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評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア) 新しいプロの担い手を確保・育成するための適切な政策が打ち出されているか。

イ) 食料自給力を確保していくための戦略(農地制度の改革も含む)を描けているか。

ウ)荒廃が進む農村のあり方についてのビジョンが描けているか。

エ) 国際戦略も含めた総合的な食糧安全保障戦略が打ち出されているか。

オ) 地球環境問題への対応としての実効的な森林対策が描けているか。


 以下、それぞれについて詳細を具体的に説明します。

ア)新しいプロの担い手を確保・育成するための適切な政策が打ち出されているか。

 今後の農家への支援策は4haあるいは10ha(北海道)のプロ農家に対する支援へと集中されることになり、

①従来は品目ごとになされていた補助金が面積単位で支払われる、
②安価な輸入農産物の国内価格との差額を品目ごとに埋める価格差補給金は、所得保障の形へと転換される(品目別価格差補給金それ自体がWTO違反になりかねない)、
③農産品の価格変動をならす基金は生産者が1/4を、政府が3/4を負担する

こととなりました。

しかし、現在、日本の農業は昭和一桁生まれの世代で担われており、こうした農家への支援策が4haあるいは10ha(北海道)以上に集中されても、そこに、若く継続的に営農に取り組む意欲のある世代が入ってこなければ意味がありません。

若い人が農業をやってみたいと思うサイズの経営をいかに作り出すかがより重要であり、現在は中途半端な規模でも、それを大規模営農へと拡充して取り組みたい(今は3haであっても、それを4ha以上にしたい)とするインセンティブこそが求められます。それは今後3~4年が勝負であり、「担い手の卵」を見出すための対応策の構築が急務です


イ)食料自給力を確保していくための戦略(農地制度の改革も含む)を描けているか。

 国内供給の面から食料安全保障を確保していく上で必要なのは、農業経営に厚みを増すことです。「攻めの農政」の下に日本の農産品の輸出を促進することも重要ですが、これが可能なのは、例えば農産物を丁寧に育成して付加価値を取るといった日本の強みが活かせる品目に限られており、米国や豪州とは農地の賦存状況に圧倒的な差がある中で、多くの農産品が輸入自由化でそれらの国々の産品と対等に競争できるわけではありません。

農業供給力は、そのための資源、すなわち、人、農地、水がどこまで維持されるかにかかっています。特に、人は、安定供給のポテンシャルになるものであり、日本はこの「人」の面で危機的状況にあります。

 その意味で、上記(イ)の対策が極めて重要ですが、もう一つの「農地」についても、その集積が欠かせません。「人」、すなわち「担い手の卵」を確保し、経営に厚みをもたせるためには、そのためのインセンティブの構築とともに、農地制度の改革が欠かせません。

単に土地が流れるだけではなく、面的に集積することが必要なのです。農地の所有権は認めながらも、それを公的機関に一旦移し、使用者に再配分するような仕組みも検討課題でしょう。いずれにしても、利用権を所有権から切り離しやすくするための農地法の改正は急務です。


ウ)荒廃が進む農村のあり方についてのビジョンが描けているか。

 農業の担い手が高齢化し、農村から人が流出して荒廃が進んでいます。「都市と農村との対流」は政府・与党が掲げ続けてきたアジェンダであり、安倍政権も「人生二毛作」として、農村との二箇所居住やリタイア世代の就農を促進する措置を打ち出していますが、例えば20~30年後の農村をどう描くのかについてのトータルなビジョンは提示されていません。

地方を支える産業はやはり農業であることも踏まえつつ、地方の活性化、地域再生の中で農村の再生を体系的に設計することが課題です。


エ)国際戦略も含めた総合的な食糧安全保障戦略が打ち出されているか。

 安倍政権は、国際的な食料事情の変化に対応した食料戦略の確立という課題は設定したものの、それは「多角的分析と認識の共有」にとどまっており、食料戦略のための具体的な政策は今後の課題となっています。

輸入に頼っている日本の食生活を考えれば、国内農業さえよくなればいいということでは済まされず、国際戦略、輸入の多角化、海外で農地を持つという今までにない発想、農地を持った国との安定的な外交はどうあるべきかといった点を総合的に戦略化していかなければなりません。

そこには、例えば、低コストの東アジア地域を高度な農業技術を持つ日本の農業生産そのもののプラットフォームにしていくといった、一定のパラダイム転換も必要でしょう。ここまで踏み込んだ総合的な食料安全保障戦略が問われているのです。


オ)地球環境問題への対応としての実効的な森林対策が描けているか。

 安倍政権が「美しい森林づくり」で森林整備にこれだけの対策を講じるとしても、問題は、その財源保障が十分ではないことです。厳しい予算枠の中で今後も毎年度、同様の予算措置を講じ得るかという問題に加え、県の裏負担の問題があります。

 そうであるがゆえに、国民運動としてやる気をいかに喚起するかが課題です。

 3代かかる山づくりにおいて、ちょうど第3世代へと良い山を残していくべき歴史的な事業であることも踏まえて、政権として森林対策で「美しい国づくり」を進めていくというメッセージをより強力に発することが安倍政権には求められます。


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2007年06月25日 15:07

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