by Google 運営者 お問い合わせ

 「農業・食料政策」に関する安倍政権の実績評価 点数の根拠 / アカウンタビリティー

「言論NPOの評価基準」をみる

言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

詳細をよむ
詳細をよむ
形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
11/20
4/10
9/10
5/10
7/10
4/10
15/30
14/20
11/20
15/30


アカウンタビリティー 15点/30点中

 安倍マニフェストでの「農林水産業を戦略産業化する」とのメッセージは、「攻めの農政」とともに力強く分かりやすいもので、日本の農政の一つの方向を的確に伝える訴求力を有するものとして評価できます。また、農水省予算のマニフェスト化や、「新農政2007」による課題の明示、「美しい森林(もり)づくり推進国民運動」や「木づかい運動」といったキャンペーンの実施なども、政策のアカウンタビリティーを高めています。

 本評価では、基本的にこうした安倍農政の改革路線を積極的に評価する立場をとってきました。それは、今の日本が置かれている状況の下では、WTOドーハラウンドやFTA、EPAでの自由化のスピードと平仄が取れるよう、国内農業の生産性向上をスピードアップしなければならないからです。

 しかし、それは日本の農業が最低限クリアーしなければならない当面の課題という、問題の一面を捉えたものに過ぎず、より長期を展望すれば、日本の農業の別の面にも目を向けてアカウンタビリティーを問うべき問題があると考えられます。

 すなわち、「攻め」や「戦略産業」として安倍政権が発信しているメッセージは、日本の農業の全体の中でみれば、日本の強さが活かせる一部の分野に偏ったメッセージであり、それだけであっては、むしろ、日本農業のより本質的な側面について国民に伝えるべき内容を曖昧にしてしまうでしょう。

 すなわち、日本の農業の課題はグローバル化の中で生産性を高めることにより、自由化と食料の安定供給の両立を目指すことにあり、様々な規制改革や構造改革で日本の農業が強くなることは事実です。しかし、日本農業で「攻め」が可能な分野が存在する一方で、アメリカや豪州などと土地の賦存状況が異なる日本において、農業生産の大半を占める土地型農業が最終的にこれらと比肩する競争力を得るに至るわけではなく、そのような実態は情報として十分に伝えられていません。改革が行くところまで行ったところでは、いかなる選択肢になるかというところまで現状では考え抜かれていません。改革措置を通じてベストを尽くしたところでどうしても残るコスト格差について、そうであれば日本は豪州などからの輸入に頼るのか、その格差の部分は所得保障によって国産を維持するのか、そのいずれに最終的な解を求めるかについて、国民に選択肢を提示しなければならないはずです。

 もう一つの問題として指摘されるのが、改革路線それ自体についても、アカウンタビリティー不足が認められることです。すなわち、安倍政権の「新農政2007」は、評価の視点で述べた(ア)~(オ)の課題に関しては、不十分な答しか描かれていません。「アカウンタビリティー」とは単なる説明責任だけを意味するものではなく、設定した課題の出口を責任を持って描くということも含めて捉えられるべきです。

 加えて、日本の農山漁村がいかなる姿で存立していくのかを、そのエコノミクスを含めて描くことは「美しい国」の不可欠な構成要素のはずです。日本の国土の3分の2を占める森林については「美しい森林づくり」で一つの説明は行いましたが、地域や郷土の価値観を重視するのであれば、食料の輸出や「攻め」、「戦略産業化」などの論理だけであっては、農村や農業を「美しい国」の中に位置づける言葉としてあまりに不足しているといえます。様々な改革の先にある日本の農業や農村コミュニティー再生の絵すらも描けていない「美しい国」とは一体何なのかが問われています。



2007年06月25日 15:07

前の記事:2007年参議院選挙 「政治とカネ」に関する各党の「マニフェスト評価」
次の記事:「公務員制度改革」に関する安倍政権の実績評価 点数の根拠 / アカウンタビリティー