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 「治安」に関する安倍政権の実績評価 / 評価の視点

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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

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評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア)留置場・刑務所など収容インフラのネックが提起する課題

イ)社会システムとしての刑事司法システムの効率化

ウ)治安を切り口にした地域コミュニティーの再構築

(ア) 留置場・刑務所など収容インフラのネックが提起する課題
 治安の危機的な状況が改善する中で、新しく留置場など収容インフラの問題が浮上し、犯罪摘発が増えている現状では、これがさらなる治安改善のボトルネックになる可能性があります。
既に留置場は満杯であり、留置場の空き状況が捜査の進捗を左右する(留置場が空くまで捜査はストップする)という事態も発生しています。

 また近年では、住所不定の外国人被疑者の急増が、一人が留置場に滞在する延べ日数を長期化させてきました。こうしたより長期に犯罪者を収容しなければならない刑務所の過剰収容問題が、留置場の過剰収容に加えて今後さらに深刻化すると思われます。
これは第一に、刑務所の一人当たりコストが大変高く、収容者が増加する中で、コストを税負担でどこまで賄うのかという国民経済的な問題です。第二に、過剰収容の中で刑務所内での矯正処遇が行き届かず、死刑以外はいずれ出所している現状の中で、矯正が十分にできない人物の社会復帰が増えれば、犯罪の再生産が起こり得るという問題です。

これまでは警察、検察、裁判所、矯正、出所後は保護司と、各々の縦割りシステムの中で努力が積み重ねられてきました。しかしこれからは、横串を通す横断的なシステム再設計を行い、ある人物を1本つながった形でどう処遇し、社会は将来どのように対処するか、という問いに答えられる刑事司法のあり方に転換していくことが、時代の要請でしょう。

(イ) 社会システムとしての刑事司法システムの効率化
より幅広い視点でこうしたシステムの問題を考えれば、刑事司法システム全体について、効率性の問題が課題として残っています。
治安の危機的状況の克服に向け、どれだけの対策が謳われても、システム全体に生じているこうしたネックの解消がなければ、根源的な対策にはなりません。

 現在、日本では犯罪者の人権保護の視点から「精密司法」と言われる状況があります。しかし刑事司法システムを構成する実体法、手続法を、将来の社会における安全の確保という目的に資する体系になっているのか、という視点から再設計することが必要です。

加えて、現在、国民に開かれた使い勝手のよい司法制度への改革が進められていますが、それによって警察や検察に膨大な事務が上乗せされることになるとすれば、ここにもソーシャルコストの視点は欠かせません。

もちろん人権の重要性は、近代民主主義国家として否定すべきでありません。しかし、今日の日本を取り巻く内外の情勢を踏まえれば、戦前のトラウマから自由になり、市民社会の安定を、効率的かつ効果的に組み立てるべきです。そのため治安対策でも、刑事司法を一つの社会システムとして捉え、持続可能なシステムへ効率化することが求められます。

(ウ)治安を切り口にした地域コミュニティーの再構築

 他方、治安対策には、単に刑事司法システムの効率性の視点だけでなく、より根源的には犯罪発生そのものを抑止することが重要であり、同時に、それを通じて刑事司法システム自体への負荷を極小化していく視点が必要です。そのためには、効率性という基準以外の視点が必要となります。

例えば、警察というものは幅広く国民にできるだけ近いところに存在することが望ましい側面があり、安易に交番や駐在を廃止せず、警察官の増員を図り、将来的にはその網の目を構築するのが望ましい姿でしょう。しかし、人的リソースの投入増には限界があるとすれば、治安対策の解はむしろ地域コミュニティーそのものの復活に求めざるを得ません。

すなわち、戦後、地域コミュニティーが崩壊し、治安は専ら警察が受け持ち、地域の人々は無関心となる傾向が続いていたのが、近年の治安悪化で、自治体の地域行政の責任としてそれを考える動きが出始めています。しかも、犯罪を減らすだけでなく、治安の根本的な改善には、やはり地域コミュニティーが必要という発想まで踏み込んできているのです。

この動きにより、かつてほど濃密ではなくても、現代型の絆で結ばれたコミュニティーが、地域に取り戻される可能性が展望されます。そのため、治安対策の視点を刑事司法の全体システム、さらには、その外側の地域コミュニティーにまで広げ、トータルな日本の社会システム再設計の問題として考えていくことが、安倍政権に残された課題といえます。

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2007年06月25日 15:07

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