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 「憲法改正・国民投票法」に関する安倍政権の実績評価 点数の根拠 / 実績

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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

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 中曽根元総理は、国民投票法の成立には、憲法が初めて国民のものになるという重大な意味があるとしています。
 
 しかし、国民投票法案の可決に当たっては、最低投票率制度の意義・是非について検討することを含む18項目にも及ぶ付帯決議がなされており、このままでは憲法改正が実施できる状況とはいえません。この法案が議員立法であるにも関わらず、ここまで付帯決議が多いということは、コンセンサスが十分形成されないままに、法案の成立だけが急がれたことを端的に示しています。

 他方、この法律については各弁護士会など法律の専門家から多数の批判が寄せられています。例えば、(1)国会が憲法改正を発議した日から起算して60日以後180日以内に国民投票が行われてしまうのでは、国民が十分な議論を行うにはあまりに短期間であり、国民の意思が十分反映されないおそれがある,(2)憲法改正案の発議に当たっては内容において関連する事項ごとに区分して行うものとされているが,この区分が恣意的に行われた場合には、憲法改正の論点ごとへの国民の意思が正確に反映されないおそれがある、(3)最低投票率の定めがないことは、極端に少数の国民の意思により憲法改正承認がなされるおそれがある、(4)公務員及び教育者の地位利用による国民投票運動禁止の要件がきわめて不明確である、といった問題が指摘されています。

 また、日本弁護士連合会は、2005年に既に、「投票率が一定割合に達しない場合には、憲法改正を承認するかどうかについての国民の意思を十分に、かつ正確に反映するものとはいえない」として投票率に関する規定を設けるべきとの意見を発表していましたが、最低投票率に関しては、設定の是非も含めて継続審議とされました。
 
 以上、法案は成立しても、制度としての整備とそのコンセンサスはまだ不十分な状況といえます。


 実質評価(アウトカムを評価) 0点/10点中

 改憲は考えてもいいが、安倍総理にはやってほしくない、という状況は、どういう衝動でこれだけ急ぐのかという違和感の反映だと思われます。

 確かに、 集団的自衛権、中国に対する自己主張、主張する外交の展開、教育再生などは安倍総理が考えるアジェンダでしょう。問題は、それらのアジェンダをつなぐ体系がどこにあるのかが見えないことです。それが戦後の日本に対する一種のトラウマであり、それがすべてをつないでいるとすれば、現実の世界ではそれは動きません。そこにはシステム全体の改革が必要となるはずです。
 
 「戦後」に問題があるから変えようという訴えかけをしている限りにおいて、多くの国民はそのとおりだと思っていると考えられますが、実際にはそれをどう変えて、それが変わった結果日本がどうなるのかという現実が見えてきたときに、様々な考慮すべき要素が現れてくることになります。そこを議論しないままに改憲だけが実現すれば、その時点で大きな混乱が起こるでしょう。

 集団的自衛権も、それを行使できないのはおかしいという現実論は確かに正論としてあります。しかし、 現在、北朝鮮有事を中心に行われている個別的ケースの議論はともかく、今回の有識者懇談会のアジェンダとは別に考えてみた場合、集団的自衛権の行使を認めたいという衝動で動いた先に出てくるのは、アメリカが戦争をする場合に、同盟関係があるから日本も参戦をという要請がまず来るということです。 そこで日本がいかなるケースでイエスと言い、どのような場合にノーと言うのかという、まさに幅広い戦略論や国際情勢論を主体的に展開しながらこの議論をしなければ本質論にはなりません。

 憲法の改正と戦後レジームからの脱却という2つが結びつくと、論理的には、改憲した後の日本は戦後の日本ではないということになります。それは、韓国や中国の 日本への猜疑心を高めることになります。それは安倍総理の意図ではないでしょうし、韓国や中国のそのような対日理解は完全に誤りですが、結果として、日本と国際社会あるいはアジアとのギャップを大きくするような結果をもたらしていることは、客観分析として間違いありません。それが、衝動に動かされた議論が帰結するところです。

 そこに、今の議論が一種の「踏み絵」的な構造をもたらしている一つの原因があります。今の政権が主導する改憲に賛成か反対かと問われれば、心の中では改憲論者であっても、そういう議論には乗れないということになりますが、それは必ずしも「護憲」ではないものの、今の改憲論者からすれば、「護憲論者」と同じになってしまうという図式が少しずつ出てきてしまっています。現在のような提示の仕方であっては、国民が実際に投票に行く場合に、憲法問題で投票するという人はほとんどいなくなるでしょう。それでは国民は判断のしようがないからです。
 
 次に、これまでの流れの延長に実際に改憲が描かれるかどうかという現実論に立って考えてみれば、与党における改憲の実際の動きが、本気で改憲を目指したものであるかは疑わしいものです。 安倍総理自身は性急な動きを示していますが、こうした状況に対する理解不足か、強硬な発言で自らの政治的立場を強めようとの動機が、そこにないとはいえないでしょう。自民党の結党そのものが保守合同で改憲に必要な3分の2以上の議席を取ることを目指したものであり、自主憲法の制定は同党のアイデンティティーでもあることから、この問題が解決すればそれが失われるという面もあります。 安倍総理としては、他に争点化するものが見つからない手詰まり状態の中で、あるいは、年金問題などの争点化を回避する意味でも、こうした日本の大きな問題を争点として強調しているきらいがあります。従って、これまでの動きが改憲を実際にスケジュール化させるに至るかどうかは疑わしい面があります。


2006年12月04日 21:00

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