21世紀臨調主催「政権公約検証大会」 報告 ― 言論NPOは何を主張したのか

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7月1日、21世紀臨調主催の「第3回・政権公約検証大会」が、赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で開催されました。大会は2部構成で、第1部では各参加団体が安倍内閣の政権実績に関する中間報告・および各党の参議院選挙公約の評価発表を行いました。つづく第2部では、民間主催としては初の試みとなる、安倍首相と民主党小沢代表による対決型の公開討論が行われました。
第1部に参加したのは、シンクタンク5団体と、各界の4諸団体の計9団体でした。各団体の発表時間は15分と厳格に定められ、司会の曽根泰教主査(慶應義塾大学教授)のもとで進められました。壇上には、言論NPO、PHP総研、日本総研、構想日本、チーム・ポリシーウォッチの順番に、各団体の発表者が登壇しました。
こんなマニフェストを受け入れていいのか
最初に登壇した言論NPO代表の工藤は、まず「有権者のカウンターバランスが働いてこそ、民主主義の発展につながる」、それにも関らず「マニフェストが有権者との約束になっていない」ということに危機感を表明し、こうした状況に対しては政党を批判するよりも、むしろ有権者がそれを受け入れていいのか、という強い問いかけを会場で行いました。
こうした問題提起を行ったのは、参議院選での各党の公約が従来型の課題羅列型でウイッシュリストとなってしまい、マニフェスト政治の形骸化が見え始めたからです。
言論NPOの評価はかなり厳しいものとなりました。他団体とは異なり、言論NPOが評価が対象としたのは安倍政権の実績評価では20分野、マニフェスト評価は18分野に及び、その総合点は各分野合計の平均点で算出しています。その結果、実績は40点(100点満点)、各党マニフェスト評価は、自民党26.55点、公明党19.50点、民主党27.70点(ともに100点満点)となったのです。
自民党マニフェストの評価については、年金、医療などの社会保障、教育、地球温暖化対策などで大規模な財源が必要となる可能性があるにも関わらず、こうした財源が公約には明示されず、また秋には税制問題の議論が始まるが、公約ではこの点を選択肢として国民に提示していない点で問題があるなどと、指摘しました。
次に、安倍政権の実績評価について説明しました。まず、安倍政権には制約条件がある点を指摘しました。前政権、すなわち小泉政権は、郵政民政化を政権公約に掲げて大勝しましたが、これが前政権と国民との合意の基盤となっています。したがって、安倍政権がこの合意事項と異なる政策を打ち出した場合には説明義務が問われるわけです。国民への明確な説明や合意形成を経ずして行われた郵政造反組11人の復党は大きな問題であると指摘しました。
安倍氏は小泉改革とは別の世界を目指しているのではないか
安倍氏は、自身の公約として「美しい国」を掲げ、政権構想と所信表明などで具体化しています。しかし、その後の施策の展開をみると、当初掲げられた政権構想や所信表明で示された理念や目的と必ずしも一致せず、乖離し始めているのが見てとれます。
その背景には、「美しい国」の実現を具体化するための政策体系が、前政権の「簡素で効率的な政府」すなわち「小さな政府」政策体系との間で整合性が取れなくなってきている点が挙げられます。
例えば、政権構想の最優先公約として掲げた「官民パートナーシップの確立、NPOなどのバックアップ」は、小さな政府を補完するものとして、新たな公共の担い手を育成し、官民共働の促進を目的としたものです。しかし、1月の「進路と戦略」以降、NPO支援は地域コミュニティ再生の一アクターとして位置づけられており、明らかに政策の転換をみてとれます。小さな政府政策における、官民パートナーシップは英国サッチャー政権の新自由主義にもとづく社会設計のひとつです。安倍政権が政権構想で出した「官民パートナーシップ」も新自由主義にもとづく政策だったはずですが、その理念は具体化できず、1月以降、伝統的な地域コミュニティ再生という目的下に置かれてしまいました。
また、改革を加速して新たな成長の舞台に経済を引き上げることを目的に、イノベーション力に焦点を当て、課題設定したことは妥当だと考えますが、本来政府が取り組むべき成長基盤の構築では労働市場改革などがいずれも骨太の方針では骨抜きになるなど改革を加速する点で問題があります。さらに経済財政諮問会議の司令塔としての機能の形骸化で、安倍政権は十分に指導力を発揮できていないのではないかと、指摘しました。
工藤は、安倍政権の実績評価を通して、安倍政権と小泉政権はある意味で本質的に違う社会を目指しているか、あるいは安倍政権は小泉改革後のビジョンをまとめきれていない、と総括しました。
安倍首相には二つの制約があり、自らの公約の履行と総選挙で国民と合意を形成した前政権の公約の縛りがあります。
自らの総裁選時の政権構想と前政権が総裁選挙で掲げ合意した構想と、現行の政策体系の間に乖離が出てきたとすれば、その違いを説明しない限り、マニフェスト・サイクルが断絶し始めたと捉えることができます。
今回の参議院選挙は政権選択選挙ではありませんが、安倍氏が国民に始めて信を問うことになる選挙です。その選挙が国民との約束の履行を担保するためのマニフェスト・サイクルに基づかないのであれば、これほど問題の多い選挙はないと思うと、工藤は述べました。最後に工藤代表は、「参議院選挙までに、マニフェストをつくりかえてほしい。そうでなければ、安倍首相の目指す社会に国民の合意を目指すためできるだけ早く総選挙絵を行うべき」と締めくくりました。
2007年07月03日 17:15
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