「日本の改革は終わったのか」座談会 報告
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出席者
齊藤誠氏(一橋大学大学院経済学研究科教授)
高橋進氏(株式会社日本総合研究所副理事長,前内閣府総括審議官)
櫨浩一氏(株式会社ニッセイ基礎研究所経済調査部部長)
水野和夫氏(三菱証券株式会社リサーチ本部チーフエコノミスト)
言論NPOでは、福田政権や日本の政治に問われる課題についての一連の議論形成を進めていますが、これをマニフェスト評価の視点からも取り上げ、今後、各政策分野ごとに、それぞれの分野の各界の有識者や当事者の方々に「評価会議」を行っていただき、順次発信して行きながら、私たちの評価にも反映していくこととしています。その皮切りとして、第一回目の評価会議が経済政策をテーマに、工藤代表の司会で、11月2日に開催されました。
まず、福田政権で経済政策にはどのような変化があり、政権に問われている本質的な課題は何かという論点から議論が始まりました。これについて、高橋氏は、福田政権では前政権時の骨太2007に示された改革路線の継続に加えて、「弱者への配慮」が前面に出てきたものの、その両立は困難であり、自民、民主両党ともそれぞれの内部に異なる路線を抱えたままでは、政策は前に進みにくいことを指摘しました。水野氏は、これまではそもそも「改革」の中身がはっきりしていなかったのであり、財政構造改革こそが最大の改革だとしました。
また、齊藤氏は、「構造改革」というものがどこまで日本経済の中身を改革しようとするものだったのか、メニューは出したが、果たして成果はあったのか、言葉のレトリックで期待値を高めるのではなく、そろそろ地に足を着けた中身の議論に移るべきだとしました。他方、櫨氏は、福田政権で政策路線に変化が生じたというよりも、改革への期待と現実との間にギャップが生じ、これを埋めることを迫られている中で、いったんは「一歩後退、二歩前進」をせざるを得ない局面にあると指摘しました。
その後、経済政策をめぐって活発な議論が展開されましたが、そこでは、地方の衰退や格差などの困難がもたらされた背景には先進国共通のメカニズムによる部分があり、それを改革による部分と冷静に切り分けて議論しなければ改革が後退する懸念があること、現局面は従来型の政策では対応できない困難な局面にあり、そうした実態をそろそろ国民に正直に言うべき段階にあること、どこまでを自立に求め、どの部分は政府が対応するかといった点を含め、様々なものを根本的に見直して国民に選択を問うべき段階にあること、これまで日本は他の先進国に比べてもカネの投下に見合う豊かさを実現しておらず、キーワードはフローからストックに転換すべきことなど、様々な論点がぶつけられました。
その上で、①財政と経済成長、②社会保障の財源、③地方の再生の3つの個別の論点へと議論が進められました。①については、名目成長率に依存した財政再建の発想への疑問が大勢を占めました。②については、将来の社会保障財源を消費税の大幅上昇の形で示すやり方よりも、税体系の問題、徴税の仕組み、税の捕捉のあり方などをきちんと議論すべきであること、最低限のセーフティーネットをどこに置くべきかをしっかりと定め、その上で税と保険料を一体で議論するという手順の必要性などが指摘されました。また、③については、地方での公の担い手の育成や、地方に資金の流れを起こしていくこと、地方にヒトや資源が市場メカニズムを通じて出ていく仕組みの構築の重要性などが論点として出されました。
最後に、政治が選挙で国民に問うべき選択肢は何かについて活発な議論が交わされました。基本的に、政党間で違いの出ない具体的な政策メニューのレベルではなく、理念やプリンシプルの違いこそを明確化すべきであるとの議論が大勢でした。ただ、衆参のねじれ現象もあり、そうした政権選択のしかたが困難であるとすれば、次善の策として民間側から社会保障や地域活性化といった形でのイシューの明確化を求め、それについての政策の提示を迫る方法が望ましいとの点で、概ね意見の一致がみられました。
格差問題についても、「格差」ということの本質は何かについて活発な議論が行われました。そのなかで齊藤氏からは、市場を信頼してその結果を受け入れられる人々と受け入れられない人々という対立軸のコンセプトが提示されました。
その他、今回の議論は多岐にわたりましたが、今後、言論NPOでは、各分野ごとにこうした評価会議を行い、日本に問われる課題や国民に問うべき争点や選択肢などについて、議論形成を進めてまいります。
この日の会議の内容は近日中に公開します
2007年11月02日 19:41
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