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【朝日新聞】 言論NPO始動 ネット上で本格論争

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2001/10/9 朝日新聞
政策への建設的提言目指す 知識人ら集まり
p011009_asahi.jpg同時テロ事件への対応や深刻な経済危機などで、日本が転換期を迎える中、質の高い議論をかわす場をつくる「言論NPO」という運動が始まっている。非営利法人が、インターネット上での本格的な論争などの言論活動を仕掛けていくものだ。10日に記者会見して、正式にスタートする。同日の集まりには、小泉首相や竹中平蔵・経済財政担当相らも出席する予定で、「政策への建設的な提言」をめざす方針に注目している。(中島鉄郎) 「言論NPO」の代表は、今年5月号で休刊になった「論争 東洋経済」の工藤泰志・元編集長。工藤氏は休刊号の特集を「言論不況」と名づけた。「現在の日本がこれほど政治経済的に危機にあるのは、活発な議論を提供できない言論側にも責任がある」との思いからだ。自由で質の高い議論を続けるための運動として、会費や寄付で運営するNPO(非営利法人)の形を考えた。

運営実務を担う官僚、学者、コンサルタントなどはボランティア。「大企業の社長が封筒張りをしてくれている」(工藤氏)。運動の顔となる「アドバイザリーボード」代表に山崎正和氏(評論家)、小林陽太郎氏(富士ゼロックス会長)、宮内義彦氏(オリックス会長)、佐々木毅氏(東大学長)、北川正恭氏(三重県知事)が就任した。  山崎氏は「イデオロギーの時代が終えんし、本来自由な論争が活発になるはずなのに、言論が枯渇し、人々は株価や天気予報のような断片的情報のはんらんにつき合わされている。言論をよみがえらせる運動として賛同している」と話す。

活動の舞台はホームページだ。すでに7月から「ウェブ論壇」を開始。9月号では「小泉内閣は経済不況を乗り越えられるか」をテーマに、竹中担当相、塩崎恭久代議士、メリルリンチ証券チーフエコノミストのイェスパー・コール氏などが登場している。ネットの特性を生かして、会員ならだれでも論文を書いたり、議論に参加したりできる。

フォーラムやシンポジウムなども開くため、運営費に年間1億円近くかかる。趣旨に賛同する「基幹会員」(年一口10万円、現在150人程度)、11月に有料化するウェブを閲覧できる「一般会員」(同2万円)などの会費(寄付)で、できるだけまかないたいとしている。「フォーリン・アフェアーズ」のような高級論評誌の創刊もめざしている。ネットでの言論空間の可能性について、月刊誌「世界」の岡本厚編集長は「今回のテロ事件でも意見表明や議論はネットのほうが活発だ。だからそこには言論空間を作りたいという趣旨は、よく理解できる。しかし、ネットであれ、新聞・雑誌であれ言論の核は、問題点を的確にえぐりだす編集の機能にある。ネットに幻想を抱かないほうがいい」と話す。

9月号に登場する竹中担当相は、工藤氏の「論争 東洋経済」時代の常連筆者の一人。言論NPOは「中立性だけを求め、自らの立場を明らかにしない議論」を批判し、具体的な政策提言に重きをおくだけに、現政権との距離をどう考えるかも問題になる。工藤氏は「小泉政権を応援しているわけではない。ただ、改革を人任せにはしない。向かい合って議論をぶつけたいということだ」と説明している。

「言論NPO」のアドレスはhttp://www.genron-npo.net
 

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