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2006年02月28日

第3話:「無為な時間は巨大なコストである」

深川由起子(東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授)
ふかがわ・ゆきこ

早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。日本貿易振興会海外調査部、(株)長銀総合研究所主任研究員等を経て、98年より現職。2000年に経済産業研究所ファカルティ・フェローを兼任。米国コロンビア大学日本経済研究センター客員研究員等を務める。主な著書に『韓国のしくみ』(中経出版)、『韓国・先進国経済論』(日本経済新聞社)、などがある。


「無為な時間は巨大なコストである」

 思考停止と突然の行動によって一貫性欠落が許容されてしまう背景には、「それでも何とかなるし、何とかなってきたではないか」という茫漠とした、しかし実は根強い日本的思い込みが指摘できると思います。そしてこの思い込みは景気回復によってさらに強まった感じがします。小泉政権は「失われた10年」間の閉塞状態を打破するために既存秩序の破壊を続け、民間はこの間、市場に追われて努力を続けてきました。

 “小泉劇場“が繰り出す驚きは次第にこれまでとは「違うやり方で進むのではないか」という市場の期待や圧力を強め、小出しの政策で市場を幻滅し続けた過去とは異なるダイナミズムを生んできたことは否めないと思います。

 新興経済とは異なって市場の調整機能が高ければ、また逆にそれだけ成熟化が進んでいれば、計算し尽くさない破壊が何らかの突破口になる可能性は存在するかもしれません。日本の場合、深刻だが経済危機は緩慢に進行したので、低温火傷の傷口が大きく広がったような状態になっており、何らかの危機意識を取り戻す意味でショックが必要とされていたともいえるでしょう。

 破壊と持続する改革とは別物であり、確かに行きすぎた成果主義、短期思考主義はライブドア事件などの副作用を伴うこととなりました。しかし、破壊によって「既存のやり方ではもうダメだ」ということについてはかなりコンセンサスができ、破壊前に戻ることは非現実的です。日本的プラグマティズムの強さのひとつは「そういうことになったのだ」というコンセンサスが広がると、「それではもう四の五の言うのではなく、このやり方をみんなで盛り立てて成功させようではないか」という方向に働き、高い転換能力が発揮されることです。

 いったん決まれば営々として努力するソフトウェアまではまだ壊れていないでしょう。郵政民営化といっても金融部門があるので、製造業的な勤勉、営々さが下から支えるのでは限界があり、より戦略的な展開を考えるトップダウンが必要です。しかし「そういうことになったのだ」という割り切りがあれば、しがらみに囚われず、資質の高い人を登用してやってゆくことにやがて、それほどの抵抗はなくなると思います。

 しかしながら、市場が存在する経済と、相手のある外交はやはり違います。とりわけ80年代の日米関係などとは異なり、相手が先進国でも、体制を共有する国でもなく、戦争や植民地支配、という歴史の負の遺産を背負っているのであれば、破壊後に自動的に修復バネが働くなどということを期待してはなりません。破壊は単なる破壊に過ぎず、バイの破壊がマルチの外交制約になって自らの首を絞めるようになってはどうしようもないのです。

 小泉首相は長期的には、中国も韓国もアジアも我々を理解するはず、と繰り返して来ましたが、果たして何を根拠にそう言うのか、論理的に国民に説明したことは皆無です。分かってくれるはずだとか、分かって欲しいと相手に要求するのであれば、少なくとも自分も何故、相手があそこまでの反応を見せるのか深く理解した上で、そう行動するべきです。それさえもない、理解不能な頑なさは、ついに頼みの米国までを不安にさせることになりました。不幸なことに日本が強硬な姿勢の間、相手にはそれなりに「このままではまずい」という危機意識を持ち、いろいろな外交的働きかけをした、という記憶だけを持っています。このため、それだけ努力したのに、ことごとく無視された、という感情論がしこりとなって膨れ上がる一方でただ時間だけが過ぎて来ました。しかも時間が過ぎていくことがプラスであるという、明確な戦略があるならまだしも、それもさえもなかったわけで、無為の時間はバイの破壊をマルチに拡大させることになりました。


※第4話は3/2(木)に掲載します。

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2006年02月26日

第2話:「必要なのはカウンターバランスの強化」

深川由起子(東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授)
ふかがわ・ゆきこ

早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。日本貿易振興会海外調査部、(株)長銀総合研究所主任研究員等を経て、98年より現職。2000年に経済産業研究所ファカルティ・フェローを兼任。米国コロンビア大学日本経済研究センター客員研究員等を務める。主な著書に『韓国のしくみ』(中経出版)、『韓国・先進国経済論』(日本経済新聞社)、などがある。


「必要なのはカウンターバランスの強化」

 日本人の多くは自分たちは控えめすぎ、協調的で人の言うことをよく聞くと勝手に思い込んでいます。自己主張が足りないいのではないか、という被害妄想さえあるかもしれません。しかし、思考停止の間は実際には人の言うことは聞いていないのだし、自分でも考えていないわけですから、その上で突然、強引に行動する日本は非常に傲慢で、はなはだ迷惑、よくて愚かにしか見えないと思います。

 思い込み・思いつき行動で国際社会にストレスをもたらしているにもかかわらず、それを「ブレない」「毅然とした」「土下座外交をしない」といったように勘違いしたり、或いは感情論で美化するのはさらに危険だと思います。
 
 民主国家である以上、思考停止ポピュリズムを食い止めるのは冷静・良質・論理的な言論と、これを汲んだ野党の幅広い批判、代案の提示のはずです。しかし、残念ながらこの構造という点では日本の現状はかなり心もとないと思います。

 昨年の中国の反日暴動は、国連の常任理事国入り失敗を遥かに上回る衝撃を与えました。戦後の日本に対する一般中国人の知識の欠落、これを作ってきた歴史教育、多様な意見の存在が許されない体制の違いなどが実感される一方、日本人的なプラグマティズムもあって、現在のように多くの日本企業が進出し、学生が学んでいる近隣国との摩擦が続くことへの懸念は一気に強まったと思います。しかしながら選挙では民主党がこうした政策的なところで高く、深く戦おうとしているのかは国民には伝わりませんでした。

 むしろ逆にワンフレーズ・ポリティックスに負けたのだから、自分たちも選挙戦術を強化しなきゃいけないというように中途半端に動き、選挙に負け、その後もまだ勝算ある攻勢への転機を掴みきれていない状態が続いています。
 
 経済政策の場合、所得格差の拡大など市場主義への批判はありますが、社会主義を選択しない限り、もともと選択肢がそれほどなく、野党にとっては代案を出しても丸呑みされる危険性があります。どれが優先順位かを決める作業は政治の本質としても、現在の財政状態ではもはや大盤振る舞いができない、ということは動かしようがなく、枠組みが決まっているからです。

 しかし、外交の場合、もっと価値観の入り込む余地が大きく、それだけに民主党が本当に外交で戦うつもりなのであれば、丸呑みされる余地のない、大きな軸を提示して民意に訴えることができたはずでした。東アジア外交の問題のみならず、日米同盟強化の下にどんどん戦争を厭わない米国の世界戦略に巻き込まれてゆくことへの懸念を持っている国民は決して少なくないと思います。

 米国と運命を共にするということは日本国内の米軍基地がテロに会ったり、その周辺を攻撃されたり、日本人が今後ともイラクのようなところで死ぬ可能性を意味するのです。幸いにしてこれまではこれを実感する機会はなく過ぎましたが、この方向を選択し続けることには果たして郵政ほどの熱狂的支持があるとは思えません。あったとしても実感するようなことになれば世論がブレない保証はないでしょう。

 従って、そこから始めれば、反撃の余地はあったと思うのですが、結局、ズルズルとした状態が続き、国民にもストレスが溜まっていると思います。反撃する時は力を溜めて反撃すべきで、小出しに反撃して戦力を消耗するのは愚かです。

 自民党があれだけ選挙に勝って肥大した以上、当面の戦術はゲリラ戦や奇襲戦になるかもしれません。しかし、これらで一番大事なのは、準備された周到な計画で相手の弱いところを集中的に狙うことであり、ダラダラと批判を続けていてもダメなのです。さらに追い詰められた時に開き直って強くなれない政治家はなかなか国民には信頼されないところがあります。政治家は官僚や学者、評論家とは異なり、理詰めではなく、人を惹き付ける能力を欠かせません。十分に準備された高い質の政策は重要ですが、シンクタンクなど外部資源に支えてもらうこともできます。しかし政治家にとってより重要なことはその政策で国民を説得し、彼らに感動を持ってそれを受け入れさせる能力です。「殺されてもいい!」と居直る姿勢、自分たちの主張を通すためには、身内を切り捨てるほどの非常さを演出することが効果的な場合があるのです。外交は殆どの場合、国内問題ほど感情に訴え易いテーマとはなりませんが、時には拉致家族問題のように、非常に大きな問題となることがあります。日本も今やグローバル社会を生きているのであり、身近な問題に置き換えてでも、十分に説得的な議論を外交で提示することが困難とは思えません。思考停止ポピュリズムを抑止するためには、メディアの質の高さ、世論形成のプラットフォームの健全さの他に、野党によるカウンター・バランスの強化が欠かせないと思います。そしてそういうカウンター・バランスのある政治こそ、アジアの中に台頭する日本右傾化論を自ら牽制し、結局は自民党を含めて日本全体にとって有利に働くものではないかと思えます。


※第3話は2/28(火)に掲載します。

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2006年02月24日

第1話:「思考停止のポピュリズム構造は排除すべき」

深川由起子(東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授)
ふかがわ・ゆきこ

早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。日本貿易振興会海外調査部、(株)長銀総合研究所主任研究員等を経て、98年より現職。2000年に経済産業研究所ファカルティ・フェローを兼任。米国コロンビア大学日本経済研究センター客員研究員等を務める。主な著書に『韓国のしくみ』(中経出版)、『韓国・先進国経済論』(日本経済新聞社)、などがある。


「思考停止のポピュリズム構造は排除すべき」

 経済的に国民のストレスが限界に達して登場してきた小泉政権は、深い分析とか積み上げとかがそれほどないまま、思考停止の後に突然行動する、という手法が多かったように思います。分析や積み上げの機会を与えると、官僚その他の「抵抗勢力」が入り込む可能性があるから、世論を一気に動員し、迅速に行動する、という手法となったのでしょう。

 まあ、経済政策では実際、「失われた10年」の間もそれなりの議論はあったわけですし、恐ろしく高いコストを払ってコンセンサス形成に時間がかけられたので、思考停止の挙句、突然、というほどではなかったのかもしれません。

 しかし、この様式は相手のある外交には通じないと思います。思考停止では相手の主張を聞く姿勢が生まれようがないし、さらに自分が停止している間に相手や、第三国を含めた情勢が大きく変わってしまうこともあるからです。自分だけが「ブレていない」と主張するのは勝手な天動説に過ぎないでしょう。

 典型的には前回の選挙がそうでした。選挙で問われたのはひたすら郵政民営化の話だけであって、その他の問題は殆ど真剣に問われていません。郵政民営化の国民投票ではなく、国政選挙だったにもかかわらず、外交問題は棚上げされてしまいました。しかも国民のうちのどれだけの人が郵政民営化法案を理解しているかも怪しいでしょう。郵政民営化に賛成したことでその後は、あたかも小泉政権の外交全般あるいは憲法改正問題にまでも「もう勝負がついのだ」という「雰囲気」が支配してしまったのは典型的なポピュリズムで、思考停止の欺瞞だと思います。

 思考停止をそのまま引きずるのは強い政権には出来るかもしれないし、そうしようしているのかもしれません。思考停止は国民にも楽な選択肢です。さらに一部の軽薄なメディアも面白おかしいだけの情報を氾濫させ、思考停止のお先棒を担ぐ傾向さえあります。しかし実際には思考停止は非常に危険です。
郵政後には憲法改正問題もありますが、これは日本の戦後のアイデンティティーを問う根本的な問題であり、もっと徹底的に、深く議論し、コンセンサスを固めることが必要でしょう。これまでのように思考停止、そして突然の結論ありき行動、というのではアジアのみならず、国際社会全体からの尊敬は到底、得られないと思います。郵政民営化は日本にとっては大きな問題ですが、あくまでも日本の国内経済問題で、他国への影響もすぐにはないでしょう。しかし憲法改正とか、安全保障の問題は外交に直に影響してきます。周辺国はこれには極めて敏感に反応するし、プレゼンスの大きな国だけに、突然の行動は日本人が考える以上に周辺国にストレスを与えるのです。

 この行動様式をそのまま持ち込んでも通用しないことは国連の理事国入り惨敗でも実証されたと思います。小泉政権は当初はこれには殆ど関心がなく、むしろ消極的とさえ見られていました。それから最近になって一転、積極推進となったわけですが、この間、中国のヒステリーをどんどんエスカレートさせ、さらに周辺国全体にこれが広がる外交を敢えてとりつつ、それでも突然の行動がうまく行くほど国際社会は甘くはなかったのです。

 国際社会でのプレゼンスはワンフレーズで獲得できるようなものではなく、多くの場合、単独ゲームでもなく、連続性のある交渉ゲームの積み重ねです。交渉ゲームを有利に進めるには国際機関の高いポジションに有能な人材を絶え間なく派遣し、情報収集を図る地道な積み重ねと、国民の総意を外交に反映させるセンスある政治家を擁することが必要でしょう。憲法改正や安保体制をめぐっての総意が固まったともいえないまま、中国も反対はしないだろう、などと自分に都合のよい情報だけを勝手に信じ、唐突に行動しても通用しないのは自明でした。

 政府開発援助(ODA)をばら撒いてきたつもりでも、アジアの側からすれば金持ちによる施しは当たり前であり、所詮は言葉は悪いですが、歴史的対話なき援助は“援助交際”だったのです。


※第2話は2/26(日)に掲載します。

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2006年02月22日

「日本の外交 どこがおかしいのか」 / 発言者: 加藤紘一

加藤紘一

加藤紘一(衆議院議員)
かとう・こういち
profile
1939年生まれ。64年東京大学法学部卒、同年外務省入省。ハーバード大学修士課程修了。72年衆議院議員初当選。78年内閣官房副長官(大平内閣)、91年内閣官房長官(宮沢内閣)、95年自民党幹事長。著書に『いま政治は何をすべきか―新世紀日本の設計図』。

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第5話:「ナショナリズム」

加藤紘一

加藤紘一(衆議院議員)
かとう・こういち
profile
1939年生まれ。64年東京大学法学部卒、同年外務省入省。ハーバード大学修士課程修了。72年衆議院議員初当選。78年内閣官房副長官(大平内閣)、91年内閣官房長官(宮沢内閣)、95年自民党幹事長。著書に『いま政治は何をすべきか―新世紀日本の設計図』。


 「ナショナリズム」

 私はナショナリズムをあおるのは絶対にいけないと思います。まさに日本のこれからを考えると、歴史に学ぶことは多いと思います。かっての日露戦争が終わった後の日本の対処で、結局、その後の戦争、満州事変まで行ったと私は思います。

 日露戦争の講和を巡ってマスコミや政治もナショナリズムを煽ってしまい、それが次の大きな戦争に向かってしまう。

 日露戦争が終わった後、明治44年、1911年に夏目漱石が「三四郎」を朝日に連載し、その冒頭のくだりにこういうのがあるのをご記憶かと思います。熊本の中学を出た三四郎が東京の学校に合格してとことこと東海道線に乗って2泊3日ぐらいやってくるんですよね。静岡の伊豆辺りで中年の親父が乗ってくるんですよね。お前、熊本から来たのかと。そうですと。東京は熊本より広いぞ、その東京よりも日本はもっと広い、その日本より人間の頭の中はもっと広いぞ、みたいなわけの分かんないことを言う。で、この国は欧米に自慢できるものはない、日本人の鼻は欧米人に比べると平べったいと。あえて自慢できるものといえば、今に見えてくる富士山だ、しかし、この富士山とて、てめえで作ったもんじゃねぇから自慢も出来んしなと。みんな他の国のになっちゃって、日本には何もなくなってきたと。でも、三四郎は、日露戦争にも勝ったしこの国は発展するでしょうという。するとそのおっさんは、この国は潰れるね、とのたまわる。後になってみると、このおっさんが東大の先生だったということになるんですけども。

 夏目漱石が、明治維新の時に日本はグローバリゼーションを導入した、そして全部西欧の真似をした、で、何も特徴がなくなっちゃったと。おまけに鼻は低い、この国はどうなったんだ、どこを自慢するんだということを、日露戦争で勝った後にじっくり言うわけですよね。でも、日本は朝鮮半島と満州に、西欧と同じようなことをやったんだと僕は思いますよ。

 靖国神社参拝は、心の問題ではみんな同じなんですよ。おそらく中国の指導者が(特攻隊の基地となった鹿児島県の)知覧に来たら、一緒になって涙流すと思いますよ。でも、政治家とか外交官は、なぜ若い兵士が飛び立たなきゃならかったのか、誰が命令したのか、その時の指導部は、国は、歴史は、ということを考えるのが任務だと思います。それを考えずに「心の問題」だというのは間違えてます。だったら政治家にならないほうがいいんです。

 それは国際的には常識的な話なんですね。戦いで犠牲者を考える時、トップリーダーたちは、なぜこんなことになったのかを考えるんです。だから、心の問題だと言った瞬間に、アメリカや中国や韓国の指導者たちは、「それはちょっと違うんじゃないですか」と思ってるはずですよ。

 その時に考えなきゃならないのは、明治維新のこともありますが、特に日露戦争後のことだと思います。それを考えずしてナショナリズムをあおったら大きな間違いで、ブーメランは必ずその指導者の元に戻ってきます。そして、眉間を直撃するんじゃないかと思います。絶対にあおっちゃいけません。


※本テーマにおける加藤紘一さんの発言は以上です。
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※次回2/24(金)の発言者は深川由起子氏です。引きつづきご期待ください。

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2006年02月20日

第4話:「関心事の一極集中」

加藤紘一

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加藤紘一(衆議院議員) かとう・こういち profile 1939年生まれ。64年東京大学法学部卒、同年外務省入省。ハーバード大学修士課程修了。72年衆議院議員初当選。78年内閣官房副長官(大平内閣)、91年内閣官房長官(宮沢内閣)、95年自民党幹事長。著書に『いま政治は何をすべきか―新世紀日本の設計図』。


 「関心事の一極集中」

 先の選挙は小泉さんの勝利であり刺客劇の勝利であるということを申しましたが、具体的に言いますと、関心事の一極集中みたいな現象がこの社会のどこかで起きていると思います。

 この間の選挙で自民党は東北では伸びてません。北海道はマイナスです。伸びたのは東京、大阪、名古屋、神奈川、千葉、埼玉だけです。で、それは一挙に20代30代の人が大きく動いたからです。私の経験からお話をしますと、私の感じでは、「あぁ、あの人たちがまた動いたな」という感じがしました。5年ぐらい前に加藤の乱というのがあり、信頼を裏切ったりいろいろと私も苦しい思いをしたりしましたが、あの時、期待みたいなものがものすごく私に集まり、どこへ行っても、私を見つめるように期待する強烈な目があったんですね。

 それから半年ほど過ぎて、また私はそれを目撃しました。小泉さんの総裁選挙の初日に我々YKKと田中真紀子さんとで渋谷のハチ公前で宣伝カーに立ちました。はじめは300人程の人だったんですが、渋谷のセンター街から出てきた若者を中心にみるみる人が滞り、約2万人になったと思います。あの一角から人が道路にあふれ出て、メッカに訪れたイスラム教徒が圧死事件を起こすような感じにまでなりました。そのとき向けられた目が、半年前、私に向けられた目と同じだなと思いました。

 そして、その視線がまた、今度の小泉選挙の最終日2~3日の千葉の駅と東京のターミナル駅等に集まった人たちの表情にありました。「あ、また集まった」と思いました。それは、私の独断で申しますと、すべてから自由になったけれども、判断基準を待たない群集の不安定な目なんです。

 昔はリビングにテレビ一台で、「チャンネル権争い」という言葉もあって、親と息子が殺し合いなんていう事件も年に一本ぐらいありましたが、チャンネル権争いという言葉はもう死語になりました。それぞれの部屋に一台テレビがありますから。昔は父親がチャンネル権をとって北島三郎の演歌やなんかを見てると、高校生の娘が、「お父さんやめて、そういうのを聞いてるとむしずが走る、とにかく嫌なんです、お父さん」と。お父さんは、「そういうもんかね」と。娘の聴いてる音楽はアップビートで、これまたお父さんに分かるわけがない、そこで価値観のぶつかり合いがあったんだけれども、今はそれがない。

 会社に行きますと、上司との関係も、仕事以外のところ、プライベートなところではほとんどかみ合わないようになっている。これでいいのかなと。つまり、企業におけるヒューマニゼーションも仕事以外はないという中で、自由になってみたものの、コミュニティからも自由にはなってみたものの、判断基準はネットかテレビになる、読む本は極めて少ない、売れてる本も非常に新書判で字数が少なく1時間で読めるような本になってしまった、。

 「竿竹屋はなぜ潰れないか」って本をベラベラと見てみましたが、非常に読みやすいけれども、連結決算の話を、みんなで習ったからってどうなるの?みたいな話でした。

 やはりネットが大きいと思いますね。ネットと政治社会という意味で、私も加藤政局の時には最も激しい経験をしました。ネットの書き込みにいろいろ付き合ってみたのですが、匿名での人間の付き合い、オンラインでの付き合いっていうのは不健全だと思いましたね。それから、「テレビ教」という状況、宗教に近い、テレビ宗教になっている、従って、一斉に動いていく。「毎分」ということがテレビ会社の人たちのキーワードになっていて、「毎分視聴率というやつで動かざるを得ないんだよね」と言ってました。ワイドショーなんかは、ミキサー室でいろんな映像を、ビデオのものもあればスタジオのものもあって、7つか8つある映像をミキシングしてるわけですが、毎分視聴率が手元にボンボンきて、小泉さんと刺客の絵を出すと瞬間ボンと上がって、亀井静香さんを出すとグンと下がる、すると当然、上がるほうを狙うと、これがテレビの実態ですね。。

 大都市圏近辺の600所帯にセッティングされたビデオリサーチのデータで全部判断して番組が作られて、それが私の故郷の山形にもネットされるわけですから、日本社会が全部ひとつの価値基準でぐんぐん定まっていく、そういう社会のなかで、北朝鮮の親方の悪口を言うとみんな楽しいと思い、中国はけしからんよねというとみんなそうなっていく、堀江モンってのは面白いよねっていうと堀江モンのことを読む。つまり、関心ごとと判断の一極集中で、複眼視的で強靭な知性を持たない今のような社会において、今後、中国というどデカい国とちゃんと渡りあっていけるのかなと。それが今年、私が心配していることなのです。


※第5話は2/22(水)に掲載します。

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2006年02月18日

第3話:「危ないのは日本の社会の崩れ」

加藤紘一

加藤紘一(衆議院議員)
かとう・こういち
profile
1939年生まれ。64年東京大学法学部卒、同年外務省入省。ハーバード大学修士課程修了。72年衆議院議員初当選。78年内閣官房副長官(大平内閣)、91年内閣官房長官(宮沢内閣)、95年自民党幹事長。著書に『いま政治は何をすべきか―新世紀日本の設計図』。


 「危ないのは日本の社会の崩れ」

 昨年、我々自民党は衆議院で大勝しましたが、その前までは、「自民党は小泉さんで終わり、賞味期限が切れるんじゃないか」という議論をしていました。ところが、あの選挙で勝ったことによって、11月に立党50周年記念大会をやったときには、大会運営のセッティングや照明、会場設営等が非常に見事だったこともあり、また、83人の小泉チルドレンが壇上にボンと上がって杉村大蔵君が宣言をしたということもあって、なんだか自民党はあと50年続くような雰囲気になっていますが、あれは自民党の勝利ではなく小泉さんの勝利であって、郵政の勝利ではなく刺客劇の勝利であるとみたほうがいいだろうと思っています。

 これは2番目に申し上げることに繋がるんですが、今の社会はどうもちょっと危ない状態にきていると思います。今日はライブドアの捜査が行われ、逮捕にまでなりましたが、私は、来るべきものが来たというふうに思っています。六本木ヒルズでいろんな人がいつも集まって話し合いをしながら、あの一連の人たちがエイエイやってたようですが、どう考えたってインサイダーとかああいう類いの話が疑われるのは当然のことであって、私は、必ず何か事故が起きるだろうと思っていました。世間の人もおそらく、来るべきものが来たなというふうに思ってるんだろうと思います。

 どこか日本の社会がが崩れていて、それを議論したり批判する、そうした政治の中における勢力もメディアも弱くなった日本というのが、今一番の大きなテーマだろうと私は思います。

 それは、国民が如実に感じています。選挙区に行っても、いろんなところで講演を頼まれてお話しても、道路公団問題や郵政、三位一体、年金といったテーマよりも、社会の崩れみたいなテーマのほうが、みんなの関心を非常に引きます。

 姉歯の事件は国民の間でかなり深刻な心配事になっており、「儲けのためにとはいえ、命にかかわることには手を抜いちゃダメなんだよね、なのにそれをやる人たちが現れた、いくらマーケットメカニズムとはいえ、それでいいんだろうか」という思いが、みんな強くなってると思います。

 今年の正月にある新聞の一面のコラムに出ていたのですが、古代イランにあったバビロン時代のハンムラビ王朝の王様が出された282条にわたるハンムラビ法典、それは世界で最も古い成文法だそうですが、その中に、「家を作りし大工が、作った家の崩壊によってその住民を死に至らしめたときには、その大工も死刑」と書いてあるんだそうです。分かりやすい法律だなと非常に感銘を受けました。そんなことを、法典には書かないとしても、日本の社会にもあったんだねという部分が崩れているんです。

 京都の学習塾で同志社大学3年生の23歳ぐらいの青年が小学校6年生の女子を殺傷した事件は、おそらく一方通行の片思いの擬似恋愛の結果だろうと、私もうちの後援会の女性たちも直感的に思いました。そういう話はよくあり得ることで、そうでなければ、あんな残忍な殺し方はしません。色恋沙汰があって初めてあれぐらいの残忍な事件になるんだろうと思うのですが、問題は、23歳の男の子が、どうして同世代の女性とか18、17の女子高生とかに愛のアタックができずに小学生に向かっていくのか、そういう歪みをもたらしているのかということだと思います。非常に強い教育ママのもとでしっかり勉強させられて同志社大学には行ったけれども、どうして歪んでしまったのかと。これは家庭内の問題ではありますが、しかし、家庭に教育力がなくなってる、学校の先生に「がんばれ」と言っても学校の先生の教育力もなくなってる、これをどうすればいいのかと。

 私は、これは、地域社会のなかで人間が触れ合うということがなければ解決ができなくなってるのではないかと思っています。
触れ合うことによる教育の場というのが、どうしようもないぐらい無くなっているわけです。もう一度、地域社会を強くしていくしかないんだろうなと思っていますが、しかし、その地域社会自体も自信を失っているわけです。


※第4話は2/20(月)に掲載します。

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2006年02月16日

第2話:「靖国問題」

加藤紘一

加藤紘一(衆議院議員)
かとう・こういち
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1939年生まれ。64年東京大学法学部卒、同年外務省入省。ハーバード大学修士課程修了。72年衆議院議員初当選。78年内閣官房副長官(大平内閣)、91年内閣官房長官(宮沢内閣)、95年自民党幹事長。著書に『いま政治は何をすべきか―新世紀日本の設計図』。


 「靖国問題」

 私は、ご承知のように、小泉さんには、靖国神社参拝は辞めたほうが良いですよと、総裁選挙で約束したんだし1回目だけはしょうがないかなと、第1年目に総裁に呼ばれて意見を求められたのでそう申し上げて、8月15日は外してせめて13日にしたほうがいいんじゃないかと言いました。当時、武大偉がまだ在東京の大使でして、私は彼とも連絡を取ってぎりぎりの時に、彼は中国に戻って、党幹部がみんなリゾートに行ってる中、武大偉は飛んで行って、そこで幹部なんかと話して、大体8月13日は大丈夫ということを、僕と武大偉で携帯電話で話しながら小泉さんにアドバイスしたんです。それで、1回目はたいして大きな問題にはならなかったのです。

 中国側にしても、はじめは、1回は中曽根さんだって参拝したし、そのうち分かってくれるという多分甘い見方でいて、小泉さんが2年3年4年と続くというふうには思ってなかったのですが、ところがだんだん小泉氏のほうが頑張っちゃったもんだから大事件になってきてるのだと思います。
外交問題は今はこのことだけにしたいのですが、靖国問題はかなりシリアスな日米問題に転化してきたと私は思っています。

 2年ほど前に靖国の理念と沿革を描いた遊就舘陳列所ができ、800円の入館料で入ればかなり勉強にもなる展示がずっと続いています。近代日本の歴史を、靖国神社の解釈できれいに統一的にまとめられ、写真もあり、遺品もあり、あれほど近代の歴史を勉強できるところは無いと思います。私は去年6回、合計8時間ぐらい丹念に見てきたんですが、まだまだ読み足りない、見たりないというぐらいのすごいものでした。あれは、多くの歴史学者、文学者、考古学者の人たちも入って徹底的に検討し書き出したものだというので生半可なものではありません。

 近代の日本の歴史は、明治維新で作った日本の自存自衛を考え、なおかつ中国や朝鮮半島を含むアジアを欧米植民地主義から解放するための正しい戦いであったと。太平洋戦争は、アメリカから戦わざるを得ないようにされて戦ったものであり、パールハーバーは奇襲ではなかったんだと。で、その1カ月前にホワイトハウスは全部わかっていたが、先に先制攻撃させたほうがアメリカとしては対応しやすいということで、まずさせろということになって、日本はそれを知らずに突っ込んでいったのですと。そして、2本ほど映画を上演する場所があって、そこでは、「アジアの極東の小国日本がなぜ戦わざるを得なくなったか、そのことを我々は忘れない」と、最後に非常に甲高い女性の声であじるわけですよ。シーファー在東京アメリカ大使はそれを見に行ったか話を聞いたかしたそうですが、不愉快であると言っているそうです。

 外務省の実質的な広報誌に「外交フォーラム」という雑誌がありますが、最近、その中に栗山元駐米大使が論文を書いてます。栗山さんといえばご承知のように外務事務次官およびワシントン駐在大使もやった方で、ここ20年ぐらいの中では最も権威のある親米派ですが、栗山さんが先月中旬、「靖国の遊就舘は大きな問題になる」と、意を決して書き、警告を発しています。

 アメリカの対日政策は、東海岸にいる20人ぐらいの人が、時には大学に、時にはシンクタンクに、時には政府に、時にはメディアにいて、グルグル回りながらその人たちが論調を決めているんだと思いますが、その中のドンは、ご承知のようにジョセフ・ナイですが、彼が2カ月ほど前に日本の靖国問題が対アジア外交にもたらす影響について、東京新聞にかなり率直に、「日本は孤立するよ」と言っております。1月4日の毎日新聞によれば、ホワイトハウスのナショナル・セキュリティー・カウンシル、NSCのアジア部長をやっていたマイケル・グリーンが、辞めるにあたってインタビューをして、「靖国神社参拝をやめるというのも一つでありましょうが、それは日本が決めることです」というところまで言い、さらに、「日中の関係が悪くなってアジアの中で孤立する日本は、言うなればアメリカの外交パートナーとして力弱い存在になっていくのが心配である」というところまで言われている。にも関わらず、靖国問題をアジアの問題として捉え、日中問題として捉えている。日本外交の戦略性がないのではないかなと思います。

 一言で言えば、第一次世界大戦と第二世界大戦の間のドイツみたいな誤りをしてはいけない。サンフランシスコ体制をちゃんと守るかどうかという大問題であり、この体制が良いかどうか、ヤルタ会談についての歴史的な議論を、民間でするのならばいいけれども、政府を代表とする総理や官房長官などが、靖国史観に基づいたところに参拝に行っては、かなり後々まで事がこじれていく問題だと思います。

※第3話は2/18(土)に掲載します。

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2006年02月14日

第1話:「日中の環境」

加藤紘一

加藤紘一(衆議院議員)
かとう・こういち
profile
1939年生まれ。64年東京大学法学部卒、同年外務省入省。ハーバード大学修士課程修了。72年衆議院議員初当選。78年内閣官房副長官(大平内閣)、91年内閣官房長官(宮沢内閣)、95年自民党幹事長。著書に『いま政治は何をすべきか―新世紀日本の設計図』。


 「日中の環境」

 今年の政治の世界はまぎれもなくポスト小泉の総裁選挙なんですが、私は、「誰がなるか」というふうに具体的な人名を入れた話は、本来は6月か7月ぐらいからスタートで十分だろうと思っています。なのに、マスコミの政治部は去年から、「4人のうちの誰か」みたいな話をやっています。この4人の中でどうのこうのとか、それ以外の人も含めてですが、もう名前の話をやってたら9カ月持たないだろうと思いますね。出がらしのスープみたいな話になって、いかに若くて新鮮な能力のある人が予想されたとしても、それはもう面白くなくなって手垢のついたものになるし、また、例えば安倍晋三さんというふうに決まると、今度は「それはどうかな、悪い」みたいな話をやるわけですから、これでは切りがない話になってしまいます。

 だから、私が今回提起したい論点は、そうした人の名前の話ではなく、「今の日本の政治社会は何を考えるべきなのか」ということです。

 それは二つあると思います。

 第一はやはりアジア外交で、それは極めて壊れてます。そうは言っても、経済関係は非常にスムーズではないかという議論があると思いますし、確かに鉄鋼は売れてるし自動車もいい状況で展開しています。一方、中国のほうも、日本との経済関係は非常に良いものにしなければいけないという要請が国内情勢からもありますので、経済のほうから日中関係の断絶を画策してくるとかということは無いと思います。やはり、政治の問題を私たちは考えなくてはならない。

 私は昨年の6月に中国へ行って日頃付き合いのある人たちと会ってきましたが、日中のギャップに驚きました。私は、「4月にデモがあって、二週目あたりに党の中央と国務院外交部やなんかは、人民大会堂に3000人の政府党幹部を集めて、“やはりデモは規制していかなければいけない”ということを決めたそうだね」ということを武大偉第一外務次官やなんかに話したんですね。彼はご承知のように駐日大使から第一外務次官になったわけですが。そこには多くの外務省の職員とか党の対外連絡部、「中連」っていう対外中央連絡部の幹部なんかもいたんですが、朝ご飯の丸テーブルでみんながワっと顔を見合わせて、「加藤さんは分かってないね」というような顔をするから、「何なんだ?」と聞いたら、「3000人じゃなくて6000人です、党幹部を集めたんじゃありません、学生運動のリーダーとかデモをやりそうな労働者グループの長とかその有力メンバーとか、ありとあらゆるデモをやりそうな人間を全部集めて説得したんです。で、日中関係は良好でなければいけない、それは経済のことを考えればすぐ分かるでしょう?それに、学生の皆さん、あんたたちの雇用問題にも日中関係っていうのは重要なんです、と説得したんです」と。もしこれが失敗すれば、そのデモが今度は国内要因にもとづく不満分子と結びついて収拾がつかなくなるということを考えたら足がすくんだそうです。李肇星外務大臣はじめ歴代の駐日大使が一人ひとり壇上に上がって発言をし、そこはうまくいきましたと。で、各省でそれをやるように全国に散ったと、こう言うんです。

 そこで、在北京の日本人の記者団に言ったんです。「そんなことがあるということを、あんたら知ってるんなら日本で報道すればいいじゃないか」と。「日本では、デモを中国政府がわざと起こしてそれを利用して対日外交カードに使ってるっていう論調がいっぱいあるんだから、そこは事実と違うということを本国に打電すればいいじゃないか」。そう言ったら、「1、2回はやったんだけれども、採用されない、記事にならない、東京のデスクの書こうとしてる論調に合わせた記事を送らないと成績にならないんです」ということで、どこも書いてない。これは外務省、在北京大使館の幹部の情報でも同じですが、記者団もまた同じようなことを言っていました。

 今の日本の外交とメディアを見ると、どうもストーリーができちゃってて、それに合わせて記事ができていくという状況なのではないかと思います。


※第2話は2/16(木)に掲載します。

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2006年02月12日

「日本の外交 どこがおかしいのか」 / 発言者: 白石隆

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白石隆(政策研究大学院大学副学長・教授)
しらいし・たかし

1972年東京大学卒業、86年コーネル大学よりPh.D.を取得。79年東京大学教養学部助教授、87年コーネル大学助教授、96年より同大学教授。98年より京都大学東南アジア研究センター教授。経済産業研究所ファカルティフェローを兼務。主著に『海の帝国、アジアをどう考えるか』『インドネシア国家と政治』等。

投稿者 gnpo : 09:08

第3話:「政治の指導者はナショナリズムに流されたり、阿るようなことはすべきでない」

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白石隆(政策研究大学院大学副学長・教授)
しらいし・たかし

1972年東京大学卒業、74年同大学より修士号を取得。79年東京大学教養学部助教授、87年コーネル大学助教授、96年より同大学教授。98年より京都大学東南アジア研究センター教授。経済産業研究所ファカルティフェローを兼務。主著に『海の帝国、アジアをどう考えるか』『インドネシア国家と政治』等。


 「政治の指導者はナショナリズムに流されたり、阿るようなことはすべきでない」

 アジアの中で、われわれが取り組まなければならない課題はすいぶんありますが、現在、日本は中国と政治的にかなりまずい状況に陥っている。これを放置することは決して望ましくないと思います。

 そこでまず申し上げたいことは、政治の指導者はナショナリズムに流されてはだめだ、ましてナショナリズムにおもねるようなことはしてはならないということです。ナショナリズムを抑える、そしてクールに、長期の国益の観点から外交を進めていく、またそのように国民を指導する、これが政治的リーダーシップに期待されることです。もちろんそのために具体的になにをするかというのは難しい問題ですが、靖国のような非常にわかりやすいシンボリックな問題を政治の争点にするというのは賢明でない。日本はこれについてはスネに傷のある身ですから、愚策と思います。

 靖国参拝の問題が小泉さんにとってどれほどご本人の信念によるものかどうか、僕にはもちろん分かりません。しかし、この問題はこれまでのいきさつで小泉さんにとっては交渉できない問題になってしまった。だから小泉さんは心の問題だと言ってるんだと思います。しかし、次の総理かと目されている人たちには、これは議論できる問題である、肝心なことはお互い、ナショナリズムに流されないことである、と早く言ってほしい。外交には常に相手がおります。議論できるということになれば、相手も態度を変えてくる。そこではじめて次に向けての動きが始まる。そういう意味での柔軟性、これがいま必要とされています。

 巨視的に見れば、この問題が最終的にどこに落ち着くか、もう見えてると思います。国民世論としてはその準備はもうできている。ただいつ落ち着くのか、今年、来年か、5年後か、それは分かりません。そして重要なのはそのタイミングです。

 こうした事態を招いた責任の一端はもちろん小泉さんにありますが、かれだけの責任ではない。僕としては、小泉さんと並んで、江沢民前主席にも同じくらい責任があると思います。江沢民さんは二つの大きな間違いをした。ひとつは1997年から98年の経済危機の時にクリントンが日本パッシングをやった。中国はそれを歓迎し、日本は重要でないという態度をとった。これは日本人をずいぶん傷つけた。あのとき「江沢民という人はそういう人だ」ということになった、

 もうひとつ、江沢民さんは小泉さんと最初に会ったときに、これだけ話のできる日本の首相はこの人がはじめてだ、といって大喜びした。ところがその後、小泉さんが靖国に2回行くと、会わなくなった。つまり、かれは靖国の問題と首脳会談をリンクさせたわけです。しかし、別にリンクさせる必要はなかった。靖国参拝は断固反対だ、だけど、会って、「反対だ、反対だ、反対だ」と言っても良かった。それをせずに、靖国と首脳会談をリンクさせ、それを胡錦濤に申し送って、胡錦濤としてはこれが踏み絵になってしまった。外交として非常に拙劣だと思います。

 そういう意味で、中国の非常に硬直的な対日外交の責任者は江沢民のだと思います。しかし、そうはいっても、だから小泉さんに責任がないということではない。小泉さん自身、この問題について、長期の戦略的な観点から、官房長官と議論し、日本外交の一環としてこの問題を考えるべきだった。それをせず、外交の問題と切り離して靖国に行ったところに大きな問題がある。総理はこういうかたちでこの問題を「心の問題」、議論できない問題にしてしまった。

 通常、政治家は「心の問題」というかたちで開き直るといったことはできるだけ避けようとするものです。そういう状況にならないようにするというのが政治家の基本であって、やはり総理は普通の政治家ではないということでしょう。中国は靖国の問題では譲りません。総理が靖国に行く限り、ポスト小泉においても首脳会談はやらなくていい、という態度をはっきりさせています。その意味で、最終的に靖国問題をどう処理するかは別として、これが「心の問題」ではなく、日中で議論できる問題だというシグナルを送ることがまず必要なことだと思います。

 またついでに申しあげておきますと、靖国の問題はいずれは日米関係にもさわりがあるかもしれない。アメリカにとっても、総理が靖国に行くということは事実上、ポツダム宣言受諾という日本の終戦における行為そのものを否定する意味合いを持っています。したがって、総理の靖国参拝が望ましいとは決して思っていないし、先代のブッシュ大統領のように第二次大戦で実際に日本と戦った経験のある人、あるいはユダヤ人ロビーなどにとっては、日本はこの問題で戦後秩序の基礎について疑問を呈するのかという思いもあると思います。日本はポツダム宣言を受諾してサンフランシスコ条約に調印しこれを批准してその上に現在の日本がある。その意味で日本政府がこれに異議を呈するようなことは避けるべきだと思います。また戦争の過去とどう向き合うかというもっと広い問題については、現在、読売新聞の渡邊さんが提案しているような国民的な見直しが正論だと思います。

 それから、最後に考えなくてはならないことは、総理において公人と私人という区別が成り立つかどうかという問題です。例えば外務省の局長が月刊誌か何かに論文を書くとします、その時に、「私は私人で、これは私人として書いてる」といって閣議決定と違うことを主張したら、多分、解任されると思います。小泉さんが今やっていることはそういうことです。日本の戦争の過去について日本国民と日本政府は悔悟の念をもって謝りますというのは閣議決定です。政府はそういう決定を村山内閣の時と去年と2回やっております。靖国に行くということは、本人がそれにどういう思い入れをしていようと、行為としては、これに疑義を呈するものとなっている。そういうことを総理はやるべきではないと思います。


※本テーマにおける白石隆さんの発言は以上です。
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※次回2/14(火)の発言者は加藤紘一氏です。引きつづきご期待ください。

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2006年02月10日

第2話:「日本はリージョナル・パワーをいかに活用すべきか」

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白石隆(政策研究大学院大学副学長・教授)
しらいし・たかし

1972年東京大学卒業、74年同大学より修士号を取得。79年東京大学教養学部助教授、87年コーネル大学助教授、96年より同大学教授。98年より京都大学東南アジア研究センター教授。経済産業研究所ファカルティフェローを兼務。主著に『海の帝国、アジアをどう考えるか』『インドネシア国家と政治』等。


 日本はリージョナル・パワーをいかに活用すべきか

 では、日本の外交をどう考えるか。日本がグローバル・パワーでないとは言いません、しかし、日本がグローバルな役割を果たすことができるのは、あくまでアメリカの同盟国としてであって、日本が独自に、グローバルな舞台で、アメリカ、EU、あるいは長期的には中国に対抗してやっていく、そういう力は日本にはないと思っています。しかし、日本は東アジアの地域では大きな力をもっている。いかなる国も日本を無視することはできない。したがって、日本としては地域的になにをなすべきかをまずしっかり考えるべきと思います。

 別に卑下して言っているのではありません。日本はアジアでこの地域の秩序をかなり自分たちが望ましいと思う方向につくっていく力を持っている。だからその力をうまく使って、日本にとっても、この地域のほかの国々にとっても利益になるようにするにはどうすればよいか、そう考えることは非常に重要であるし、それが日本の責任でもあると思います。

 東アジアでは、戦後もう60年以上にわたって、日本にとってはある意味、非常に居心地の良い秩序というのができています。安全保障についてはアメリカ中心のシステムがあり、少し露悪的な言い方をすればここには「アメリカの平和」がある。その中で、日本の企業、特に競争力のある製造業がアジア各地に進出して、利益を上げ、それがひいては日本人の生活水準を上げてきた。またこういう中で、日本は経済協力ということで他の国々の経済発展にも大いに貢献し、それが日本にとっても利益になった。こういう非常に都合の良い秩序がこの地域にはできている。

 東アジアというとよくその範囲はどこかと言う人がいる。韓国、中国から、ASEANの地域は入り、インドは入らない、といった類の議論です。しかし、僕の見るところ、それはあまりに地域を境界で定義しようということにとらわれた見方です。実のところ、そんなのはどうでも良くて、東アジアとは地域的な経済発展によって事実上の経済統合の進展したところです。かりに地域的な発展がこれから先、どんどん広がれば、これに越したことはない。いまアジアで進展している地域形成はあくまで経済のロジックに従うのであって、政治的に政府が決めることではない。そういうことがわれわれの住むこの地域の秩序の基本にある。それをどう維持していくのか、地域的な経済のダイナミズムをどう維持し、そこからどういう恩恵を受けるか、それが日本の外交に問われていると思います。

 そのためには、少なくとも3つのことは考えておかなければいけない。

 1つは日米同盟の堅持です。アーマコスト前大使がかつて面白いことを言っておりました。同盟関係を維持するというのは庭作りみたいなもんだ。つまり毎日手入れしないと、雑草は出てくるし虫もつく。安心してはだめだ、いつも気をつけていなければならない。これはひじょうに大事なことだと思います。小泉さんは日米同盟についてはよくやっていると思います。ただ、僕の見るところ、国内的にもっと合意があった方がよいと思うのは、日米グローバルパートナーシップということで、東アジアの地域の外、例えば中東、さらには将来的にはアフリカなどで、特にテロとの関係で、アメリカの方からますます期待されるようななったらどうするか、日米グローバルパートナーシップということで、本当にグローバルな問題についてなにをどういう方針でやるのか、これについて国内的合意、さらには日米の合意はあったほうが良いと思います。

 それからもう1つは中国です。ここで重要なことは、日本と中国、それからこの地域の他の国々、さらにはアメリカなどがみんな一緒にルールをつくって、それをみんなで守るということです。つまり、別の言い方をすると、中国が力をつけるにしたがって、ますます一方的な行動をとるようななるのでは困るのであって、いろいろな分野についてルールを一緒につくり、これを中国にも守ってもらって、中国がまさに秩序維持に大国として責任をもってもらうようにする、それが基本と思います。

 それぞれの国がそれぞれの国の国益を追求をやるというのは当たり前のことで、例えば中国が将来のエネルギー資源の不足を見越していま世界中でエネルギー資源を買いあさっていますが、これだってルール通りにしている限りは別に文句言うことは何もない。こちらも競争すればいいだけの話です。しかし、ルール違反をされると困るので、公正な競争の場、互いにフェアに競争できる場を一緒に作っていく、それを中国もふくめ、マルチでやっていくというのがカギだと思います。

 ルールがない、あるいはルールに欠陥があると、そこのところをうまく使ってライブドアのやったようなことがおこる。そしてできることならば、日本として得手の分野では、日本のルールを地域的にも広げていく。そういう粘り強い活動というのはまさに外交官の仕事であって、外務省はそういうところで官民協力のハブとなってその力を発揮してほしいと思います。

 それから3つ目に、今は靖国の問題もあって日中の首脳会談が頓挫してますから、アジア外交というとどうしても日中関係に目が向きがちですが、アジアは中国以外にもたくさん国がありますし、その中には日本の事実上の同盟国として戦後一緒になって秩序を作ってきた国もあります。それは韓国であり台湾でありタイでありインドネシア、マレーシア、フィリピンであり、シンガポールです。こういう国は非常に大事なわけです。

 ではこういうところではどういう問題が起こってるか。韓国、台湾は経済的には非常にうまくやっておりますが、東南アジアの国では経済危機以降、毎年労働市場に入ってくる労働者に見合うだけの雇用がつくれていません。それは中国もそうですが、例えばインドネシアの場合、2億1000万の人口で毎年250万人が労働市場に入ってくる、その人たちに十分な雇用をつくるには少なくとも7%の経済成長が要るのですが、今5.5%ぐらいです。ということは、毎年失業者、潜在失業者が蓄積していくわけです、これは長期的には非常に危険です。それが東南アジアの中長期的な不安あるいは国作りの最大の問題になっている。

 ですから、これをどうするのかということについても日本は考えておくべきです。日本はすでに少子高齢化社会になり、人口が減っているのですから、優秀な人、手に職のある人にはどんどん来てもらえばよい。つまり日本の労働市場、例えば介護士などの市場をもっと開けばいいと思います。

 つまり、アジアのルール作りにできるだけ大きな役割を果たす、それに加えて、経済協力、日本の民間企業の経済活動によって東南アジア、中国の経済発展に貢献する、そして、日本としてもそこから恩典を受ける、また日本の労働市場を開いていく、そういうシステムを作っていくべきだと思います。

 ということになると、基本は日米同盟の堅持、これをいかにグローバルパートナーシップに伸ばしていくかということ、それから僕は「東アジア共同体」という言葉が現に今この地域で行われている地域協力の制度づくりを捉える最善の言葉とは思いませんが、現にそういう言葉が人口に膾炙していますのでその言葉を使いますと、そういうものによって共通のルールを作り、みんなが利益を共有するような地域的な経済発展をこれからもやっていく、この2つが日本にとっていちばん重要な戦略的な外交問題だと思っています。


※第3話は2/12(日)に掲載します。

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2006年02月08日

第1話:「日本は外交戦略のインフラをどう整備するべきか」

shiraishi_t040316.jpg

白石隆(政策研究大学院大学副学長・教授)
しらいし・たかし

1972年東京大学卒業、74年同大学より修士号を取得。79年東京大学教養学部助教授、87年コーネル大学助教授、96年より同大学教授。98年より京都大学東南アジア研究センター教授。経済産業研究所ファカルティフェローを兼務。主著に『海の帝国、アジアをどう考えるか』『インドネシア国家と政治』等。


 日本は外交戦略のインフラをどう整備するべきか

 僕は、小泉さんという人はそれほど外交の人だとは思っておりません。基本的には、国の改革に政治的なエネルギーのほとんど注ぎ込んだ人で、国内の改革は非常に進んだけれどもに、外交は止まってしまった。では、外交はどうしてこういう状況になったのか。

 私は靖国参拝の問題を除けば、福田官房長官時代は良かったと思っています。靖国の問題が福田長官時代にこじれたのは、小泉さんが福田さんに相談しなかったからです。

 福田長官時代には、いろんな重要な外交案件はすべて福田官房長官のところで官房として見ており、いわば大統領制型の内閣として外交を指揮する体制が、福田さんという個人の資質によって担われていました。

 細田さんは外交が分からないというわけではありません。小泉さんとの関係において福田さんほどの力はないし、僕が見るところ、細田さんという人は戦略的にものを考える人というより、実務的にその時々の懸案をどう処理していくかということに非常に注意を注ぐ人だったように思います。その結果、気がついてみると、多くの問題について障りが出てしまった。これが基本的な評価だと思います。

 内閣改造が2003年7月に行われた時、山崎拓さんと川口元外務大臣が首相補佐官に任命され、町村さんが外務大臣なりました。あれを見たとき僕はこう考えたました。当時、日本政府には6つの大きな外交案件があった。1つは国連改革、それから日本の安保理常任理事国化、2つ目は日米同盟の維持、特にアメリカの軍事的な再編に対する日本の対応、3番目に日中関係、4番目が北朝鮮、拉致問題。5番目に北方領土、ロシア問題、6番目に東アジア経済連携ないし共同体、この6つの課題の中で小泉さんが本当にやりたかったのはおそらく日米関係と国連改革である、と。だから、国連問題については川口さんを補佐官にし、日米については山崎さんを補佐官にした。あとは関心がないか、出来ないと踏んで、町村さんに投げた。こう僕は読みました。その読みはそれほどはずれてなかったと思っています。

 ではその結果、何が起こったか。町村さんは、日中はできない、北朝鮮もできない、ロシアもできないということで、国連改革を自分の課題にした。しかし、国連改革も結局、うまく行かなかった。日米関係はとりあえずのところはうまくいってるけれども果たして米軍基地の移転問題で地方自治体の説得ができるかどうか、額賀長官は本当にたいへんだとおもいますが、いま非常に際どいところに来ている。東アジア共同体は日中、日韓関係に足をとられて結局意図したようには進んでない。こういうことで、外交はほとんど八方塞りに近い状態となっている。

 日本外交を考えるとき、なにがタクティカルな問題でなにがストラテジックな問題であるかを考えなければならない。大事なことはもちろんストラテジックな問題、戦略的な問題です。総理は分刻みのスケジュールで動く非常に忙しい人ですから、外交について本人が常々考える、ました調整するといったことはできないと思います。それをするのは官房長官だと思いますが、その下にきちんとしたスタッフ機能がないときには、福田さんのような能力のある人は別として、官房長官としてもやはりタクティカルな問題の処理に忙殺されてストラテジックな問題をきちんと考えるということはなかなかできないと思います。

 現在の問題は、誰が総理、官房長官になるかで、かなりの程度、外交の戦略性が決まってしまうシステムだということです。そこが財政・経済問題とは違うところで、こちらでは財政経済諮問会議が戦略的な政策決定の中心となってしまった。これは小泉さんの功績です。そういうものが外交ではない。
そういうものを外交でも作り、そこで骨太の外交の方針を作る、そういうシステムの編成がいまの大きな課題と思います。

 だから、僕は、内閣機能の強化ということで官房長官を補佐するようなチームを作り、官邸外交のシステムを整備するのがよいと思います。その上で、何は官邸がやり、何は外務省がやるか、そういう役割分担を考えることが重要になると思います。


※第2話は2/10(金)に掲載します。

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2006年02月06日

「日本の外交 どこがおかしいのか」 / 発言者: グレン・S・フクシマ

グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
profile
1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、1990年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。

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第4話:「日本の外交は戦略的とは言えず、孤立を深めているようで懸念している」 / 発言者: グレン・S・フクシマ

グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
profile
1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、1990年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。


 日本の外交は戦略的とは言えず、孤立を深めているようで懸念している。

 日本はもちろん、アメリカからみると世界第二の経済大国だし、お金もある。飛行機もたくさん使います。そういう意味では、アメリカからみれば、市場として重要だということはよく分かるんですが、日本がなぜこれだけ片寄ってアメリカ一辺倒でなくてはならないのか、不思議に思うわけです。

 話を中国の問題に戻しますと、多くの人は中国は2008年のオリンピックまでは経済は成長するだろうし政治的にも安定しているだろうと見ています。それ以降はどうなるかというのは誰もまだはっきり分からないと思いますが、ただ、全体の傾向から言うと、経済面でも政治面でも、中国の存在感や影響力はこれからも向上することは間違いないと考えています。だからこそ日本は中国との関係を考える場合、もう少し戦略的に動く必要があると思います。

 中国の戦略というのは、できるだけいろいろなところで味方を作ろうとしていると思いますね。アジアでもそうですが、世界中で中国の味方を作ろうとしている、しかし、日本の場合は、そうした戦略がはっきり見えません。

 要するに、日本は世界第二の経済大国で、OECDに入ったのも1964年と早く、先進工業国だからみんな日本のことは認めてくれる、だから、日本はそんなに努力しなくても当然世界が尊敬するし、世界が支援してくれる、ひょとしたらまだ日本はそんな風に安心し過ぎているのではないかと心配になります。

 これはもう7~8年ぐらい前に出た本で、私が日本で講演する時によく引用した本があります。ノース・ウェスタン大学のビジネススクールで教えているフィップ・コトウーというマーケティングの権威で、おそらく世界中で一番使われているマーケティングの教科書を書いた教授なのですが、彼が書いた本に「ザ・マーケティング・オブ・ネイションズ」というのがあって、それは、国をどうマーケティングするのかという問題を扱った本です。

 要するに、彼の主張は「これからの世の中では、自分の国がどれだけ魅力的かということを他の国に売り込むことによって国は反映する」と。特に彼は発展途上国のことを中心に考えていて、投資や貿易面や観光など、いろんな面で国がいかに魅力的でいかに尊敬に値いするか、発信して、他の国を説得し、それによって人も、技術も、投資も来るようにしなければならない。つまり魅力的だということをアピールしマーケティングしなければならない。製品・商品を売るのと同じように、国も売り込まなければならないというのが主張なんですね。

 海外からの直接投資や観光客がなぜこれだけ少ないのかという議論が10年ぐらい前からありますが、それに対して私は、コトウーが言っているように、存在感を発信しなければ反映しにくいということを繰り返し言って来ました。

 一方これに対して、中国は自分がいかに魅力的な素晴らしい国で、他の国からの投資も貿易も勉強も、大歓迎と言って世界中に売り込んでます。

 日本はその辺に関してはよく言えば、謙虚だということだと思いますが、むしろ孤立を深めているようにも見えます。もっと日本も戦略的に上手に動くべきだと思うのですが、日本は極端に振れすぎる傾向があって、アメリカに対しても極端に反米的か親米的かで、その中間がないような気がします。

 また中国などを中心にアジアの動きが活発化しているのに、中国と対立を深めているのは心配です。バランスよくヨーロッパともアジアともアメリカとも関係を良くすることが日本の繁栄になると思うんですが、ヨーロッパとかアジアを無視してアメリカばかりと親密にするというのは、アメリカ人である私の目から見ても、日本の国益にとって良いのかと不安になります。


※本テーマにおけるグレン・S・フクシマさんの発言は以上です。
以下にコメント投稿欄がございます。皆さんのご意見をお待ちしております。
(尚、戴いたコメントは担当者が選択し ”このテーマ「日本の外交 どこがおかしいのか」にコメントする・見る” ページに代理投稿させていただきます。どうぞご了承ください。)

※次回2/8(水)の発言者は白石隆氏です。引きつづきご期待ください。

投稿者 gnpo : 08:42 | コメント (1)

2006年02月05日

第3話:「日米関係はこれからも重要だが、バランスを取ることも大切」 / 発言者: グレン・S・フクシマ

グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
profile
1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、1990年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。


 「日米関係はこれからも重要だが、バランスを取ることも大切」

 私は、2005年の2月まではアメリカの政府の仕事やアメリカの会社で働いていましたので、日米関係をアメリカ側から見てきましたが、その後、ヨーロッパの会社に入ってヨーロッパから日米関係を見るようになると、想像していた以上に日米関係というのは特殊な関係だと思うようになりました。

 私は、アメリカ人としては、日米関係が良好な状況が続くことを期待していますし、そうした関係がお互いに健全な利益をもたらすとは思いますが、適正な競争がないことは基本的によくないことだと思います。

 航空業界に入ってたまたま気がついたのですが、いろいろな面で、現在の日米関係はかなり片寄っていて、日本があまりにもアメリカに依存し過ぎていると思います。これはひとつの例なんですが、非常に象徴的ですので、少し説明をさせていただくと、世界では100席以上の民間旅客機を作っている会社はアメリカのボーイングとヨーロッパのエアバスの2社しかないのですが、日本ではボーイングが96%独占しているということは、価格面でもリスク管理の面でも決して健全ではないと思います。

 これは、日米関係がどれだけ安全保障上や政治上において密接かというひとつの表れだと思いますが、こうした独占関係が正しいかは別です。

 例えば中国と日本の場合を比較してみると、対照的なことは、中国は皮肉なことには、社会主義的な制度のはずなのに意図的にエアバスとボーイングから飛行機を買ってお互いに競争させて安い値段でいいものを買う。あるいは共同生産、共同開発に関しても、中国は積極的にボーイングともエアバスとも飛行機を作るという、非常に中国のほうが戦略的に意図的に競争を導入しています。

 日本の場合は、資本主義の国なんですが、結果的には独占になっています。だから、これは、航空会社にとってみても飛行機を利用する乗客のことを考えても、競争がないということは高いものを買わされることになりますし、リスクが分散できず決して良いことではないと思います。

 例えば共同生産、共同開発することを考えても、エアバスの場合は、ボーイングにはない技術とか、ヨーロッパで開発された先端技術がありますから、一社を締め出すことでその技術が導入できなくなってしまいます。むしろ2社と付き合って、日本にとって良いものを両方から導入するというのが普通の姿だと思います。

 日本が特殊なのは他の国と比較すればよくわかります。例えばボーイングの本拠地である北米市場では、エアバスのシェアは50%以上なんですよね。また過去4年間の実績をみると、北米と南米両方あわせますと49%がエアバスなんですね。ですからまぁだいたい半分ぐらいで分け合っています。またアジアでも、日本以外では55%ですが、日本ではたったの4%です。

 私が日本のメーカーに対して、「もう少し両方の会社と付き合ったほうがあなたの会社あるいは日本の産業にとってもいいんじゃないですか」といっても、「いや、しかし、日本の美徳は一社と長期的な関係を結び信頼関係を構築すること。一社以上と付き合うのは浮気であって節操がない」という返事です。確かに長期的な信頼関係は大切ですが、バランスをとることも大切だと思います。


※第4話は2/6(月)に掲載します。

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投稿者 gnpo : 07:28 | コメント (0)

2006年02月03日

第2話:「小泉首相に代表される日本側の考え方を外国人はなぜ支持できないのか」 / 発言者: グレン・S・フクシマ

グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
profile
1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、1990年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。


 「小泉首相に代表される日本側の考え方を外国人はなぜ支持できないのか」

 靖国問題に関しては、小泉首相が言うように、「戦死した人に敬意をはらうために靖国を参拝するということは個人の自由であるし、他の国が批判するという理由から参拝しない」というのは正しいとは思いません。

 ただ、それを小泉さんが個人としてやるのであればいいのですが、総理大臣として靖国に行くというのはやはり日本政府あるいは日本の国民を代表していると外からみられても当然だと思います。

 私も以前、靖国神社に行ったことがあるのですが、そこで感じたことは、日本は明らかに一方的に自分達が被害者だという立場しか見せていないということです。しかし、外国人から見ると日本は戦争の加害者ですから、日本が今のように被害者だとの立場からのみ靖国問題を取り上げることは決して賢明ではないと思います。もちろん、日本の国のために戦死した人を尊敬するということは当然のことですが、正式な公式参拝の形で総理大臣が行くということは、やはり外国からみると、理解し難い。中国も韓国もお互いに日本が加害者で自分達は被害者だと考えているし、第三国であるアメリカとかヨーロッパからみても、30年代40年代に日本がこうした国に対してしたことはやはり加害者だ見てる人がほとんどです。

 アメリカでは、おそらく日米関係に携わっている人たちしか靖国問題について真剣に考えたことはないと思います。一般のアメリカ人はそれほど靖国のことも知らないし、行ったこともない。ただ、私が知ってる日本研究家の9割ぐらいは総理大臣の靖国公式参拝は間違っていると考えているようです。

 こうした人々は、日本のことを心配しているのです。要するに、日本の利益のことを考えたら、中曽根元総理も言うように日本の国益に反すると考えてる人がアメリカにも多いと思いますね。そういう意味では、いわゆる小泉首相に代表される日本側の立場を支持する外国人というのは、少数派です。


※第3話は2/5(日)に掲載します。

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投稿者 gnpo : 08:07 | コメント (0)

2006年02月01日

第1話:「なぜ、日本では近隣国との問題を乗り越えるための議論が少ないのか」 / 発言者: グレン・S・フクシマ

グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
profile
1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、1990年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。


 「なぜ、日本では近隣国との問題を乗り越えるための議論が少ないのか」

 日本を外国人の目から見ると、日本人は外交問題をもう少し真剣に議論する必要があると思います。
現在の状況を見ると、日本は、韓国、北朝鮮、中国関係、ロシアといった国々との関係を見てもあまり良いとは言えません。今後、日本が、経済面でも政治面でも本当の意味でリーダーシップを発揮するためには、やはり近隣諸国との関係を改善しなければ、いつまでたっても本当の意味での日本の良さは発揮できないと思います。そういう意味では、もう少し真剣に、特に中国、韓国との関係を、どうすれば正常化出来るかということを議論したほうが良いと思います。

 今の日米関係は、指導者レベルでは良好な関係のようですが、国民レベルでは必ずしもそうとは言えません。たまたま大統領と総理大臣の気が合うということだけではなく、もう少し国民のレベルでもお互いに良好な関係だと認識できるような日米関係をこれから構築していかなければならないと思います。
国内において外交問題の議論が、最近あんまり行なわれていないようですが、基本的には、周りの国との関係が良くないのは普通ではないと思います。中国とここ5年から10年の間に経済面でこれだけ密接な関係になり投資も貿易もかなり拡大してる中で、政治面における緊張感が高まっています。また、韓国との関係でも、一方では冬ソナとか、国民レベルでは交流が進んでいて、良い方向に行ってるとかいいながら、やはり靖国問題とか教科書問題で日韓の関係も危ないのでは、正常な関係とはいえません。この問題はこのままで放置しておいても解決しないものなので、日本は自らそれを解決しなくてはならないと思います。

 戦後の問題を巡っては、ドイツと日本の比較がいろいろとなされます。私も2005年の2月からはヨーロッパの会社に入ったので、ドイツやフランスの人と毎日のように一緒に仕事していますが、彼らと日中関係や日韓国関係の話をすると、ドイツが戦後いかに努力をして政策的・意図的に他の国との関係を改善しようとしてきたか、そして、その60年来の努力の結果でドイツはヨーロッパの中で信頼される国になったということを何度も聞かされます。
しかしながら、日本はそういう努力がなく、今回の靖国参拝問題でも「なぜ相手がそんなに気にするのか」という感じで、首相も国会で答弁をしています。これは外国人という第三者から見ると不思議に見えます。

 日本は経済面や政治面や文化面でこれからも世界で主導的な役割を果たす余地はおおいにあると思いますが、30年代40年代の問題を真剣に解決しようという姿勢がなければ、日本は孤立し、また不利な立場に立たされてしまう危険性があると思います。
近隣国との間に問題がおきているのに、それを真面目に「問題がある」ということを認識して、それをどう乗り越えるかという国民的な議論がないというのは不思議です。


※第2話は2/3(金)に掲載します。

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投稿者 gnpo : 10:14 | コメント (2)

「日本の外交 どこがおかしいのか」

言論ブログでは、本物の議論の提案をしていきます。
2月・3月は「日本の外交 どこがおかしいのか」をテーマに以下の4氏に語っていただきました。
▼このテーマ「日本の外交 どこがおかしいのか」にコメントする・見る

【お知らせ】 この発言内容が小冊子になりました。

 2月・3月の発言者

栗山尚一氏

栗山尚一(元駐米大使)
くりやま・たかかず
profile
1931年東京都出身。東京大学法学部中退。54年外務省入省、85年駐マレーシア大使、89年外務省事務次官を経て、92年から95年まで駐米大使。帰国後2003年まで早稲田大学、国際基督教大学客員教授として活躍し、現在に至る。著書に「日米同盟 漂流からの脱却」、論文に「和解-日本外交の課題」など。

 ◆第1話:3/8(水) 「日本は過去の歴史に向かい合うべき」
 ◆第2話:3/10(金) 「靖国問題をどう考えるか」
 ◆第3話:3/12(日) 「中国にどう向かい合うのか」
 ◆第4話:3/14(火) 「日本はどのようなアジアを目指していくべきなのか」


グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
profile
1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、1990年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。

 ◆第1話:2/1(水) 「なぜ、日本では近隣国との問題を乗り越えるための議論が少ないのか」
 ◆第2話:2/3(金) 「小泉首相に代表される日本側の考え方を外国人はなぜ支持できないのか」
 ◆第3話:2/5(日) 「日米関係はこれからも重要だが、バランスを取ることも大切」
 ◆第4話:2/6(月) 「日本の外交は戦略的とは言えず、孤立を深めているようで懸念している」 


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白石隆(政策研究大学院大学副学長・教授)
しらいし・たかし

1972年東京大学卒業、86年コーネル大学よりPh.D.を取得。79年東京大学教養学部助教授、87年コーネル大学助教授、96年より同大学教授。98年より京都大学東南アジア研究センター教授。経済産業研究所ファカルティフェローを兼務。主著に『海の帝国、アジアをどう考えるか』『インドネシア国家と政治』等。

 ◆第1話:2/8(水) 「日本は外交戦略のインフラをどう整備するべきか」
 ◆第2話:2/10(金) 「日本はリージョナル・パワーをいかに活用すべきか」
 ◆第3話:2/12(日) 「政治の指導者はナショナリズムに流されたり、阿るようなことはすべきでない」


加藤紘一

加藤紘一(衆議院議員)
かとう・こういち
profile
1939年生まれ。64年東京大学法学部卒、同年外務省入省。ハーバード大学修士課程修了。72年衆議院議員初当選。78年内閣官房副長官(大平内閣)、91年内閣官房長官(宮沢内閣)、95年自民党幹事長。著書に『いま政治は何をすべきか―新世紀日本の設計図』。

 ◆第1話:2/14(火) 「日中の環境」
 ◆第2話:2/16(木) 「靖国問題」
 ◆第3話:2/18(土) 「危ないのは日本の社会の崩れ」
 ◆第4話:2/20(月) 「関心事の一極集中」
 ◆第5話:2/22(水) 「ナショナリズム」


深川由起子(東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授)
ふかがわ・ゆきこ

早稲田大学大学院商学研究科博士課程修了。日本貿易振興会海外調査部、(株)長銀総合研究所主任研究員等を経て、98年より現職。2000年に経済産業研究所ファカルティ・フェローを兼任。米国コロンビア大学日本経済研究センター客員研究員等を務める。主な著書に『韓国のしくみ』(中経出版)、『韓国・先進国経済論』(日本経済新聞社)、などがある。

 ◆第1話:2/24(金) 「思考停止のポピュリズム構造は排除すべき」
 ◆第2話:2/26(日) 「必要なのはカウンターバランスの強化」
 ◆第3話: