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2007年03月30日

日本NPO学会で激論!/第3話:「マイナーチェンジは既定路線なのか」

山内直人(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
profile
1955年愛媛県松山市生まれ。1978年大阪大学経済学部卒、M. Sc.(英London School of Economics)。博士(大阪大学)。経済企画庁エコノミストとして経済白書の執筆 など日本経済の実証分析に従事した後、1992年に阪大へ。経済学部助教授を経て、大 学院国際公共政策研究科教授。この間、米イェール大学客員フェローなどを歴任。専 門分野は公共経済学。特に、税制、医療・福祉、環境、社会資本、NPO・NGO、 ボランティア、国際開発援助などの実証研究を手がける。

田中弥生(独立行政法人 大学評価・学位授与機構 助教授)
profile
国際公共政策博士(大阪大学)。東京大学工学系研究科助教授、国際銀行を経て現職。財務省 財政審委員、外務省ODA評価有識者委員。日本NPO学会副会長。言論NPO言論監事。専門は非営利組織論と評価論。米国でピーター・F・ドラッカー氏に指示。主な著書に「NPOが自立する日 ~行政の下請け化に未来はない~」(日本評論社206年)『NPOと社会をつなぐ ~NPOを変える評価とインターメディアリ~』(東京大学出版会 2005年)、訳書にドラッカー・スターン著『非営利組織の成果重視マネジメント ~NPO、公益法人、自治体の自己評価手法~』(ダイヤモンド社、2000年)ほか。

堀田繁(内閣府大臣官房審議官)
profile
大阪大学経済学部卒。経済企画庁入庁。


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井上優(宮崎県NPO活動支援センター所長、特定非営利活動法人宮崎文化本舗理事)
profile
昭和1957年生まれ、宮崎市在住。1982年3月、東海大学文学部史学科卒業。会社員を経て、宮崎地域文化実践委員会、宮崎アート&ミュージック協会など設立。平成14年から(特)宮崎文化本舗理事就任、平成17年度から副代表理事、また宮崎アート&ミュージック協会会長、宮崎県NPO活動支援センター、センター長を兼ねる。


工藤泰志(言論NPO代表)


マイナーチェンジは既定路線なのか

工藤  今までの話を聞いて非常に難しいなというか、複雑な気持ちになったのですが、審議会の議論を見ていますと、例えば資金調達面の検討に関しては中長期的な検討課題とし、NPO法の基本的な課題に関しては論点を整理するだけ、あとは休眠NPOや違法行為などのいろんな問題に関してはしっかり対応しましょうということだけが言われている。となると、つまり今審議会で行われている議論はまさに今のNPOの課題に対して本当に答えを出そうと考えているのかという問題があります。そうではなくて微修正なり、現状維持で済ましたいという認識なら、審議会がパブリックコメントを出す際にはそれを説明すべきではないでしょうか。それとも今の課題に向かい合う、そのための議論を私たちに求めているのでしょうか。

堀田  この審議会ではさまざまな委員の方にご出席いただいて、まさにどういう課題があるのかも含めていろんな意見を出してもらって審議しているわけです。もちろん皆さんの目から見て欠けている点も当然あるかもしれませんが、今の審議会の議論の方向は、皆さんからごらんになって、ベクトルの方向が違うのではないかということであれば、もう既にパブリックコメントは1度やりましたが、ご意見として寄せられているということを期待してやっているわけで、政府として少なくとも強引に何か一定の方向をまとめようということで決定しているわけではなくて、あくまでも開かれた議論の場で、今後、NPOというのはどういった方向が望ましいのか、ベクトルの方向も含めて一定の方向を示させていただければというふうに思っているわけで、繰り返しですけれども、コンセンサスがあるようなところについては、できるだけ方向性を示したい。

ただ、やっぱりそもそもコンセンサスがないと、多様な意見があり得るわけですから、そこでコンセンサスがないといったものにまで審議会としてどこまで調整すべきなのか、そういったところはまだまだこれから最終報告に向けて、委員の皆さんに議論していただきたいというふうに思っております。

工藤  それでは会場から意見をいただきたいと思います。

会場  明治学院大学の雨宮です。今度のNPO法人制度検討会の委員長をしております。かなりいろいろな批判があるのを伺っておりまして、幾つか私の方からも批判させていただきます。

ガバナンスが必要なのは確かですが、形が整えばすべて結果がいいか。これは会社法を何回変えてもいろんな不祥事が起こったというのもありますね。もう1つはNPO法に関して言えば、どこかが監督するというのではなく、市民が参画し、市民の監視のもとでよりいい活動をしていくというのがこの法、つまり特定非営利活動促進法の特徴です。そういう意味からすれば、規制をするということは重要な点ではありますが、私的自治の原則に合致させるほうがもっと重要です。ガバナンスが悪いのは、それぞれの団体の責任です。法律で規制をしてやるものではない。しかも、それは大規模のもの、小規模なものによって程度も違うわけです。それについてはアメリカのNPO法人についても、不祥事がでてきました。寄附金の使い道でも不正なことに使われてしまったり、かなり信頼を損なってきたというので、各州で、例えばカリフォルニア州などは、200万ドル以上の収入がある大規模法人を対象とするカリフォルニアNPO誠実法(California Nonprofit Integrity Act 2004)ができ、監査委員会を作らせるなどの規制をしています。叉ニューヨーク州では、営利法人に適用されるサーベンスオックスレー法の一部をNPOにも適用させる動きがあります。

わが国のNPO法も例えば会社法のようにすべきだという主張は、確かかもしれません。皆さん、一般社団法人法というのをお読みになったらわかりますが、もうはしの上げ下げ細かい規定をおいています。規則も出ましたが、ほとんど会社法と一緒ですね。特にガバナンスに関しては会社法と一緒で、これをやったら非常にやりにくい。全部それに従ってやらなくてはならないということは、実際、法人を運営することが目的なのか、事業をやることが目的なのかということが逆転する可能性もあります。それから、資金を調達するために信頼のおけるような活動実績をあげるのは当然のことでありまして、それをガバナンスだけでやるものではありません。


とにかくNPO法は存続させて活動を促進させたい

会場(雨宮)  それから、今度の改正に関しては、確かに目的が明確でないところもあって、最初にお話が出たマイナーチェンジということで私は理解をしております。私が委員長をお引き受けするときに、せっかくNPO法が存置されたのですから、このNPO法をより特徴のあるものとして存続させていきたい。一般社団法人法にのみ込まれてはいけない。という気持ちでした。市民参加のもとで議員立法で制定された特徴あるNPO法です。もし閣法で、一般社団法人法と同じにするなら問題です。認定NPO法人の規定をよくごらんになってください。あれは議員立法ではなくて、財務省の閣法です。考え方は非常によかったのですが、閣法で細かな規定が入ったために、非常に使い勝手が悪くなったと思います。あれの二の舞を踏みたくありません。

そういう意味で、NPO法人制度検討委員会では民間公益活動がよりやりやすくするための改正だということを常に念頭に置いています。幾つかの問題点がいろいろと議論されていますが、論点だけの取り出しに終わってしまい、なかなかまとまらないので、かなり事務局は困っているのではないかと思います。ただ、その思いは、とにかくNPO法を存続させて、より活動を促進させるということにあります。本日のご発表でいくつか悪い例を挙げられましたが、それはNPO法人側の問題で、法律の規定が悪いからではありません。これまで、法律で何か規制をする形で活動が促進した例はありません。以上です。

会場  NPO会計税務専門家ネットワークの赤塚です。我々はご存じの方は多いと思いますけれども、設立以来ずっとNPO法人のガバナンス、アカウンタビリティーの向上というのを最大のミッションとして活動しています。具体的には中間支援組織自体、そういう専門知識がないところが多いのでそのサポートだとか、それからいろんなガバナンス、あるいはアカウンタビリティーのツールの開発とかを行って、今、すべて無料で提供しているというような活動をしている立場からすると、きょうの話は自分が責められているような気がして、まだまだ力が足りないなという反省でもあるんですが。

ただ、言いたいことは、基本的には雨宮先生がおっしゃったのは私も全く賛成なんです。不思議なのは、委員長がそう言っているのに、どうして委員会の議論がそっちの方に行かないのかということです。


経営基盤の問題は法律で解決する問題ではない

会場(赤塚)  それと、言いたかったことは、きょうはNPO法人の今の課題ということで、違法行為を行う法人というのは問題外なんですが、それ以外に経営基盤が弱い。基盤をどう評価するかとか、信頼性をどう担保するかという話が出ましたけれども、私はそれを法律でやるような問題ではないと思うんです。それは法制度の問題じゃないです。それで私の力が足りないという言い方をしているんですが。

私は、違法行為を行う法人については個別法でやるべきであって、個別法に違反したときに認証取り消しができるようにするぐらいのことはやってもいいと思うんですね。あと、今でも、3年間報告しないところは認証の取り消しができるわけですから、聴聞なんてやらなくても、ばっさり切ればいいんですよ。そういう法人がNPO法人を名乗っていることが迷惑でしようがないんです。

それから、1つわからなかったのは、山内先生の正味財産の不一致のところが37%ある。私の実感では、それはそこまではないだろう。つまり、多分それは正味財産増減の部をつけてないんですよ。だから、収支計算書で正味財産が見えてないだけかと思うんですよね。間違った計算書を出しているわけではないと思うんです、そこまでひどくはないと思います。それは馬場さんに聞けばわかると思うんですが。

それで、もう1つするとしたら、さっき言った3年間提出しないところは問答無用で切ってもいいよというのと、あと、認証されたのに登記しないところなんかは、そんなものを取り消せよというのと、そんなことをやればいいんじゃないのかなという気がしています。
 
会場  岐阜県の方のNPOセンターの係の者ですが、先ほどの37%という数字の話ですが、結局、県へ出す書類の書式を見ますと、岐阜県の場合なんかは、収支計算書が非常に中途半端なところで終わっていて、最後の正味財産のところが、繰越収支差額が根拠がない数字になっていたんです。その辺が全国的な統一ができないのかどうかということをちょっとお尋ねしたいです。私も内閣府の出した書式に出ているんですけれども、収支計算書の解説つきのものを見たことがあって、それに基づいて書いたら、出し直しをしろと県が言ってきたんです。それはちょっとおかしいのではないかと思うんですけれども、その辺の統一を図ったらと思ったということがございます。

山内  数字の話は後でチェックしますけれども、いろんなタイプのミスがあって、そういうのを足すと、実はもっと多いんですね。正味財産のフローとストックが合わないというところだけで37%ということなので。それからもう1つは、今のご質問にも関連するけれども、総務側とユーザーフレンドリーになってないので、恐らく単純ミスをしたときにエラーが出るような、ごくごく簡単な表を配布していただければ、それだけでもミスは大幅に減ると思うんです。例えばインターネットで通信販売なんかで買うときに、郵便番号を半角で入れなければいけないところを全角で入れたりするとエラーになって、送信ボタンを押せないですよね。そういうごくごく簡単なことが大事なんじゃないかと。ですから、雨宮先生が言われたように、別に規制をする必要は今のところないと思うんですけれども、悪意のない人が間違わないようなシステムというのはやっぱり必要なのではないかというふうに。

田中  幾つか雨宮先生からもご指摘をいただいたんですが、ミスのところは修正したいと思います。

それから、先生がおっしゃっている意図、つまり一般社団法人からの分離独立ということについては、その意見には全く賛成なんですが、分離独立の先に、NPO法人としての特徴とおっしゃったんですけれども、どういうものを目指したいのか。特に使いやすいとおっしゃっていたんですが、私は井上さんと工藤さんにお伺いしたいんですけれども、経営でかなり苦しんでいらっしゃる状況を見ていると、この法律、法人はつくりやすいけれども、経営はしにくいのではないかというふうに見ていまして、そこの問題について、すべて法律で規定することはできないでしょうが、でも、今の法律の見直しの議論をする際に方向性を示すことはできるのではないかと思うんですね。その点については実践者のお2人にも意見をお伺いしたいと思います。


信頼性の向上でガバナンスの強化は不可欠

工藤  私は今日は司会なので、言わなくていいと思ったのですが、では簡単に。言論NPOは、認定NPO法人ですけれども、認定NPO法人制度が大変だと思ったことは1回もありません。さらにガバナンスとアカンタビリティでは強化しています。私たちはアドボカシー型NPOですから、自分たちの活動内容が特定の政治や特定の宗教団体に直接的にも間接的にも偏ったり依存したりしていないことを自ら証明するため、アメリカのIRS基準で自己評価の方法を開発しまして、その結果を、第三者の意見もあわせてすべて公開しています。つまり、寄附を市場から集めるということは、それぐらい努力して初めて集まるもので、そのために私たちが苦しむのはいいと思っています。

要するに、市民社会に開かれて、しかも支えられるという、そういうふうなNPOがこれから日本に出てこなければいけないと思っているわけです。そのためにガバナンスが強くなるのは大賛成で、どんどん強めてほしいと思っています。私たちは社員総会が年1回あります。その中で理事や理事長や監事も全部選任されます。それだけではなくて、1カ月間、理事会を全部やって、内容の議事録も公開します。そこまでオープンにしてやっているわけですね。しかし、経営という点ではほとんどのNPOの経営が不安定化しており、経営の持続性や拡大という点では今の制度が使いにくいという点があるわけです。

こうした悩みは日本のNPOが遅れているからではなく、アメリカなどのNPOでも私たちが悩んでいることの同じ悩みがあることがわかって最近、ほっとしました。つまり、毎年、寄附を集めても3月末でお金がなくなってしまう。では、来年4月からはどうするんだと思っても、毎年事業は動いていって、ミッションに基づいていろんな活動の範囲が広がったときに、それを支えるような資金基盤がないとまた一から金を集めなければいけない。そのうちにボランティアの人たちが風邪を引いて倒れたりしたら、もう全然動けなくなってしまうという、問題があるわけです。あくまでも私たちは自分たちの責任でやっているわけですから、泣き言は言わないけれども、しかし、そこの中である意味で財産というもの、つまり経営を持続するためのストックが想定されていないということがひとつの制約になっているように思います。

審議会の議論はパブリックコメントが出始めてからかなり議論が実態に合い始めたし、議論が動き始めてきたと思っています。そこには課題があるからです。私たちは政府に甘えようなんて思っているんじゃなくて、非営利であろうが営利であろうが経営する点では同じなわけで、そういうことが問われているときに、今のNPO法が非常に使い難いという状況で悩んでいるわけです。だから、そういう課題が多分パブリックコメントに出てきているのだと思います。

私はNPOが、パブリックを担いながら経営もできる、そういう循環をつくらないとならないと思っています。昔、マッキンゼーがエクセレントカンパニーという本をつくって、それがベストセラーになりましたが、そういうNPOをつくってみたいし、そのために努力したい。そういう循環が次々に動いていって、多分その中でいろんなNPOの活動のすそ野が広がるというか、民がパブリックを本当に担い、その役割をNPOが果たすように発展していくような段階だと思うわけです。だから、NPOの制度をただ守ろうとしたり、悪いNPOを退出させたりするというだけではなく、NPOを発展させ新しいモデルを作っていく。それぐらいの大きなドラスチックな形の議論をNPO法の見直しに関してやってもらいたいというのが私の気持ちです。

井上  先ほどの話でNPO側の責任、法制で考えるのではなくて、NPOの責任だとおっしゃった、まさしくそのとおりだと私自身も思っています。今、NPO側が確かにいろんな部分で責任、ある意味意図的とまでは言わないわけですが、放棄している部分というのは非常にあるのかなと思っています。それは説明責任から何からですね。先ほど、経理をつける必要があるんですかと言いましたけれども、そっちに目が行ってないんですよね。自分らのサービスをするという1つの活動、そこを見てもらえばそれでいいんじゃないかという、ある意味安易な点というのはNPO側にも非常にあると思います。まさしくそこの部分の責任というのはNPO側だろうと思っております。

ただ、今、工藤さんがおっしゃった、例えばもっとどんどん厳しくしても当たり前だよとおっしゃいましたが、もしそれを個々のNPO団体の方にそうやって言うと、「うーん、どうだろうな、出来ないな、そんなことを言うなよ」という答えになるだろうなと多分思います。

実際、今、500万以上の事業規模のNPOが60%ぐらいを占めるわけですが、そのような規模の団体が先ほどおっしゃったような話にはなかなかいかないだろう。ただ、そうはいっても、議論をそこまで考えられなくても、お金は必要だということで今NPOの模索が続いているだというふうに僕は思っています。ある意味、宮崎文化本舗なんかは結構それに近いかなと思うんですけれども、今までにあった補助事業とか委託事業、これだって消えてしまうんですね。それは結局、3月まである人員を配置していて、その人の首を切るのか、切らないのかとなってきたときに、首を切るわけにいかないし、多分5月ぐらいから新しい事業がまた入ってくるだろう。そのときにまた雇用をするわけにいかんからみたいな話で、ぽっと飛びついてしまう。それがある意味、行政からの非常に安い下請ということをつくっていく1つの象徴だろうというふうに思っております。

活動の展開の中で確かに要はお金、資本の蓄積が必要です。余剰金はありますけれども、資本という考え方がNPOの概念の中に入っていったときに、ある意味、経営としては非常にやりやすくなってくるのかなというふうには思います。やっぱり実際理論、理屈ではなくて、そういうのを肌で感じているよというのが非常に多いだろうというふうに思っています。
 
工藤  私の発言は挑戦的な問題提起というふうに理解していただければと思います。

田中  山岡さんが手を上げられています。山岡さんも審議会の委員なので。

工藤  ではどうぞ。


法人制度だけで解決するのは無理

会場  日本NPOセンター副代表の山岡です。先ほど雨宮委員長からもご発言がありましたが、問題解決を法人制度だけで解決するというのは無理なんですね。私は法人制度で解決するとぐちゃぐちゃになってしまうので、法人制度は幅広く自由な可能性があったらいいと思うんです。基金は持っていけないと法律に書いてないんです。今、センターでも集めているんですが、集まらないんです。力量のあるところは基金を持ったらいいんです。だから、基金を持たないといけないという制度をつくったら、持ってないところは法人化できないですよね。しかし、持っても持たなくてもいいというと、持たないところもできるし、持ちたいところは持てるんです。ですから、経営能力の弱さを法人制度で余り説明してもらいたくない。

それから、審議会の議論は、最初は、せっかく新しい一般法人制度ができたので、NPO法人もそれぐらいのガバナンスにするかというようなところから始まって、それだけはよそうよとなったわけです。ガバナンスを強めることによって経営を強めるというような、それはやめたいねというのがかなりの委員が了解した基本原則です。これは今回のかなり強いコンセプトだと思います。放っておけば、審議会できちんと議論しなかったら、新しい一般法人や公益法人と同じようなガバナンスをNPO法人もやりましょう。そうすると、信頼が上がるかね、そんな話からスタートしたんですね。しかしそれだけはよそうとなった。このことだけは、私はこの審議会は最後まで頑張ってほしいところだなと思っております。

それから、赤塚さんがおっしゃったように、今、マイナーなところで、使ってみたら不便なところがあって、これは議員立法だろうと何だろうときちっとこうしろと、登記しないところはちゃんと認証取り消しができるようにしようとか。これは本来、閣法だったらきちんとやっているようなところがきちんとやってなかったために、いろんな手続ミスというか、それが明らかになっている。それから電磁情報による情報開示ですよね。閲覧はできるけれども、コピーできると書いてないから、コピーできないとなっているけれども、電磁情報を開示してコピーできるようにしましょうと書いてあれば、きちんと堂々とできる。そういうことはきちんとやりましょう。けれども、特定非営利活動促進法を市民活動促進法に戻しましょうとか、じゃ、10人の会員要件を会員3人でもいいようにしようとか、あるいは認証主義を準則主義にしようなんていうのを、僕はこの審議会でやるべきではない。そしたらどうなるかというシミュレーションはやった方がいいんですが、それはやっぱり議員立法の趣旨からいって、そこまで踏み込むべきではないと私は思っています。特に議員立法にずっとかかわった経過からいうとですね。

ですから、今のやり方から言うと、マイナーだけど本当に実質上不備なものについては、きちんと時代の動きに応じて改正をやりたい。しかし、新しい一般法人制度のようなガバナンスでガチガチにすることはやめたい。それから、基本的なこの法人の性格については、やっぱり議会の場できちんと議論してやってほしいというのが私の意見です。

日本NPOセンターは経営が苦しいです。物すごく苦しいのですが、法人制度がゆえに苦しいと思ったことは一度もないです。法人制度の運用については、所轄庁ごとに随分厳しい、法律に書いてないようなことを厳しく言っているので、それについては文句はたくさんありますが、法の規定によって経営上苦しいということはない。税制上のことは問題あるかもしれませんが。基金は、今、センターの10周年記念で募集しているのですが、集まらないだけです。集め方が下手だからかもしれない。それは法律のせいじゃないんです。

だから、経営のまずさというのを法人制度のせいにしないでください。例えば指定管理者制度が悪いのは、NPO法が悪いからじゃないんです。あれはあれで、指定管理者制度はあれでいいのかというのをきちんと議論しないといけない。NPO法人制度が悪いから指定管理者制度でおかしくなっているのではないんです。そういうことをきちんとしないと。法人制度ですべて解決するというやり方で一番いいのは、主務官庁による許可監督制ということになりますよ。もうそうなったら、法人制度で何かをすると思うので、法人制度でNPOを強くしようというよりも、法人制度はより広い可能性をたくさん残した方がいいと思っています。個人的な意見ですが。

投稿者 gnpo : 19:59 | コメント (0)

2007年03月29日

日本NPO学会で激論!/第2話:「NPOの課題にどう答えを出そうとしているのか」

山内直人(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
profile
1955年愛媛県松山市生まれ。1978年大阪大学経済学部卒、M. Sc.(英London School of Economics)。博士(大阪大学)。経済企画庁エコノミストとして経済白書の執筆 など日本経済の実証分析に従事した後、1992年に阪大へ。経済学部助教授を経て、大 学院国際公共政策研究科教授。この間、米イェール大学客員フェローなどを歴任。専 門分野は公共経済学。特に、税制、医療・福祉、環境、社会資本、NPO・NGO、 ボランティア、国際開発援助などの実証研究を手がける。

田中弥生(独立行政法人 大学評価・学位授与機構 助教授)
profile
国際公共政策博士(大阪大学)。東京大学工学系研究科助教授、国際銀行を経て現職。財務省 財政審委員、外務省ODA評価有識者委員。日本NPO学会副会長。言論NPO言論監事。専門は非営利組織論と評価論。米国でピーター・F・ドラッカー氏に指示。主な著書に「NPOが自立する日 ~行政の下請け化に未来はない~」(日本評論社206年)『NPOと社会をつなぐ ~NPOを変える評価とインターメディアリ~』(東京大学出版会 2005年)、訳書にドラッカー・スターン著『非営利組織の成果重視マネジメント ~NPO、公益法人、自治体の自己評価手法~』(ダイヤモンド社、2000年)ほか。

堀田繁(内閣府大臣官房審議官)
profile
大阪大学経済学部卒。経済企画庁入庁。


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井上優(宮崎県NPO活動支援センター所長、特定非営利活動法人宮崎文化本舗理事)
profile
昭和1957年生まれ、宮崎市在住。1982年3月、東海大学文学部史学科卒業。会社員を経て、宮崎地域文化実践委員会、宮崎アート&ミュージック協会など設立。平成14年から(特)宮崎文化本舗理事就任、平成17年度から副代表理事、また宮崎アート&ミュージック協会会長、宮崎県NPO活動支援センター、センター長を兼ねる。


工藤泰志(言論NPO代表)


NPOの課題にどう答えを出そうとしているのか

工藤 今、皆さんのお話を伺って、第2のテーマにもう近づいてきているので、私の方から皆さんの発言の趣旨も踏まえまして、現在のNPO法改正の論点について審議官に伺いたいと思います。わたしもNPO法見直しの議事録を全て見てみました。審議会の議論も途中からは今のNPOが抱える課題に対してわたしたち実践者として日ごろ感じている実感と近くなっていますが、それでも気になるのは量を拡大していくようなことにこだわっているように見えることです。すでにNPO団体も3万団体を超えましたが、数を追うことが目標になっているのかということを知りたいわけです。

今、パネラーの皆さんがおっしゃっている話というのは量から質の段階に入っていまして、その質の段階では、NPO自身のガバナンスの問題や経営力の問題、それからまさに自立できない、持続性がないという経営環境の問題が、今ここまで出てきています。ところが、審議会の議論を見ていますと、初めからマイナーチェンジであるとか、租税の話は議論してはいけないとか、要するに初めの議論が生み出すはずのソリューションのスペースを狭めてしまっている感じがすごくします。
NPOが、直面している課題の設定をしっかり抽出して、それに対して答えを出すという循環が始まっているかというと、少なくとも審議会の議論からはそれが見えない。そのあたりをどう思っているかということを聞いて、次のステージに議論を進めたいと思います。


堀田  事務局のやり方がまずいのかどうかはわかりませんが、あくまでもこれは審議会ですので、委員の皆さんからの意見を踏まえながら議論の整理をやっているわけです。私も役人ですから、別の審議会では、多少誘導的なことをやらないこともないわけではないのですが、今の審議会自身は、あくまでも委員の皆さんのご意見を聞きながら、あるいはパブリックコメントも集めながら、そうした意見をどう酌み取っていくかという形で、事務局としてはやっているつもりです。

量か質かということですが。このNPO制度の歴史はまだそれほどないのではないかと私は思っております。10年ぐらいだと思いますが、その中で、量はもう必要ないという議論は決してないんだと思います。あえて量を求めているわけでは決してなくて、法人格をできるだけ容易に取れるようにということも、当然できるだけ誰でも入れるような入り口で、かつ、体質の方でうまくいかないNPO法人がやめていく、消えていくというのもいいのではないかということです。我々は別に、量あるいは質という基準で考えているわけではないのではないかと思います。

他方、質という面では、基盤をしっかりと強化していくことは、もちろん非常に重要なことだと思います。そういう意味で収入をできるだけ多様化していく、単なる行政の下請ではなくて、市民から広く支えられるようなNPOの基盤をどうつくっていくのかといったことがまさに現在の審議会でも議論されていると思いますし、大事なポイントだと思います。税制も当然大事な議論の中には入ってくるわけですけれども、税制自体は別の審議会である税調という場もありまして、NPOだけ取り出してなかなか議論しにくいといったこともあり、余り明示的に議論されているわけではありません。しかし、今後恐らく与党、あるいは議員連盟の中で議論されていくときには、税も踏まえた議論がされていくのではないかと思います。


制度設計の方向が間違っているのでは

工藤  では、議論を次のステージに移します。NPO法は震災以降の市民層のかなり大きなボランティアのエネルギーを法的適格としてしっかり位置づけた大きな役割がありました。それが今もう1つ大きな役割が出てきているわけです。井上さんも指摘していましたが、パブリックゾーンの担い手として、あるいは雇用の受け皿としてNPOが期待され、実態的にNPOとの協働が始まっている。しかし、経営的に自立ができない状況の中で協働といっても、それは官側のゾーンの中に下請けとして依存していく現象がでている。結局、自立できない不安定性の中でそれを担わなければいけないという状況があるわけです。経営の問題はあくまでもNPO自身の問題ではありますが、その制度や環境の設計の問題があるのではないか。私も個人的に言えば年度末になると、来年はどうするのかと胃が痛くなるような思いをしながらNPOをやっています。こういう精神マインドをほとんどのNPOが持っている。多分10年ぐらいこのままやっていたら白髪だらけになっちゃうような感じがするわけですね(笑)。NPOに対する役割が大きくなればなるほどこうした状況とのギャップが課題設定になるのではないのか、もしそれが課題ならばそれをどう解決するのか、それが問われているように思います。こういう状況を踏まえて、田中さん、問題提起をしていただけますか。

田中  また法人との比較をさせていただきたいのですが、非常に雑駁な説明をさせていただければ、今度は会社法という法律に変わり、俗称から今度は正式名称になったわけですが、その内容を見ていますと、資金調達の面では緩和をする。その一方で資金調達をするのであるからと、多分私は対の関係だと思いますが、ガバナンスのところがより透明度が上がり、厳しくなっています。そこにはやっぱり資金調達をするために、信頼性を法律の中でも書き込んで、担保をするという明確な論理が私は見られると思います。

でも、NPOの制度環境を作るにあたり、質なのか、量なのかというところで審議官はちょっと困っていらっしゃったようにも見受けられますが、今までの状況を見ますと、できるだけ法人格を付与しやすい、取りやすいように緩和をするという形になっていました。資金調達をしたいけれども、ファンドレージングをする相手に対するアカウンタビリティーの担保が非常にしにくい中でもっと緩和をしていくと、一体どこで信頼性を担保するのでしょうか。ある意味、会社法とは逆の方向ですよね。市場からの資金調達を確保するために信頼性を高めるというのが会社法であるとすれば、信頼性、資金調達をするために高めたいし、寄附の文化もつくりたいけれども、でも設立要件を緩和をするというのでは、国民はなかなか納得しないのではないかと私は思います。

工藤  山内先生はいかがですか。

山内  そうすると、結局、税の話に行ってしまうのですよね。審議官は別の審議会がありますという言い方をされましたが、私は、縦割りからの呪縛から逃れられていない感じがどうしてもしています。法人制度は法人制度、NPO法人制度はNPO法人制度でやります、税は別のところでやりますというと、結局、ファンドレージングをサポートするための仕組みを考えるときの一番重要なところが結局議論できないままになってしまう。そういう切り離し、ディカップリングというのが本当に成り立つのかということがやはり疑問になっています。そのあたりを後でコメントをいただければと思います。

工藤  では、井上さんも一言で短く。


全体設計に遠慮せず取り組むべき

井上 おっしゃるとおりだと思います。相談の中で、「NPO法人は経理をちゃんとつけないといけないですか?」という素朴な質問が来るケースがあります。これは別に特殊な話ではなくて、これに近い質問というのはごまんと入ってくるのです。「いや、それはお小遣い帳でも結構ですから、ちゃんとつけないとだめですよ」というお答えを僕の方はしております。

確かにいろんな形の中で資金調達というのは非常に大きな問題で、私どもは最初から事業を自分たちで回すことをベースにしていましたけれども、そうではない活動をされた方、例えば隣に困っていらっしゃる人たちがたくさんいて、その人たちをどうにかしないといけないという思いでNPO活動をされた方というのは、非常にたくさんいらっしゃいます。しかし、そういう人たちが資金調達の意識を持っているかというと、ほとんどがそこまで持っていない。例えば自立支援法もですが、結局、今回、法人格を持たなければ、補助その他が切り捨てられるということで、実際、駆け込みでほとんどNPO法人化しているわけですよね。

その人たちの経営状況、社会的な状況その他は全然変わっておりません。今後、逆に補助金その他は減っていく傾向にあると思います。その中で、そのような法人が本当に3年後、5年後にちゃんと運営できているかというビジョンを持ってNPO法人化したと、今、現状で多分思えない状況だろうと思います。ただ、そうはいっても、サービスの主体としてのNPOは非常に頑張っている部分もたくさんあるのではないかと思っております。NPOが担っている社会変革機能、先ほどの説明責任なども全部含めてなんですけれども、そのような部分は弱いのかなというのが今の僕の思いです。
 
山内 もう1点だけ言わせていただきますが、NPO法は議員立法でできているということで、できたときには各会派の全会一致で、議会制民主主義の上からいうと理想的な形でできています。しかし、今度改正するとき審議会で、議員立法だからと、はれものにさわるような扱いになってしまうのは、何となく私はしっくりきません。確かに議員立法でできた法律を骨抜きにするような別の法律をつくるとか、あるいは法律改正をするとかを内閣側でやると、それは非常に問題になると思いますが、今回の改正というのは、NPO法の運用を踏まえて実態に合わせる、あるいはより中身を充実させるような改正をしようとされているのだったら、そんなに遠慮されることはないという気がするんですが。

工藤 それでは審議官にまとめてお願いします。

堀田 議員立法でできた法律を内閣提出法案でつくり変えるというのは、全然例がないとは多分思わないですけれども、通常は議員立法でできたものは、議員提案という形で再び改正されるというケースが多かったと思います。それで、仮に内閣提出法案というような形で改正するとしたら、内閣法制局などの審査を経るわけですけれども、恐らく通常の法制局審査の場合は、ゼロから見直さないといけないということになってきます。例えば言葉遣いの問題から全体的な見直しを必要とするのではないかという気がしていますけれども、そこまでやる必要が本当にあるのか。せっかく議員提案という形で、全会一致で成立している基本的な法律は、やはり国会という場で見直されるべきではないかと。我々国民生活審議会で議論しているのは、あくまでもそういった場で議論の参考にしていただくための1つの論点の整理をやっています。コンセンサスが得られるようなものであれば、そういったものをむしろ積極的に提案していきたいというふうに考えております。

投稿者 gnpo : 19:43 | コメント (0)

2007年03月28日

NPOは自立した経営主体として発展できるのか -NPO法人制度見直しで激論-

NPOは自立した経営主体として発展できるのか -NPO法人制度見直しで激論-

2007年3月18日、言論NPO代表工藤が、日本NPO学会(第9回年次大会)の「自立に向けたNPO法制度の見直し」を検討する分科会において司会を務めました。

本大会は、3月17日と18日の2日間、大阪商業大学(大阪府東大阪市)にて行われ、
本パネル討論は日本NPO学会と言論NPO、宮崎文化本舗の協同企画で行なわれました。

現在、国民生活審議会を舞台に、NPO法見直しに向けての議論が行われていますが、今回代表工藤が参加した分科会(18日午前10:45-12:15開催)もそこに焦点を絞ったものです。本セッションでは、NPO学会と、NPO関係者、そしてNPO学識者を交えて、今後NPOを自立したパブリックセクターの担い手として発展させるという立場から、NPO法見直し問題の議論を行いました。
セッションに参加したのは、司会の工藤のほか、堀田繁氏(内閣府大臣官房審議官)、山内直人氏(NPO学会会長)、田中弥生氏(NPO副学会長)、井上優氏(宮崎文化本舗 副代表理事) でした。

本パネルでは、「自立に向けたNPO法制度の見直し」をテーマとし、我が国のNPOセクターの現状と課題、その解決の方向性を議論した上で、次の二点を争点とした二部構成にて、議論が展開されました。

(1) 現行NPO法制度の見直しを前提とした課題の抽出
(2) 現在求められている法制度見直しの方向性について解答を出す

その中で、NPOは現在、量的には3万団体を超し、拡大しつつも、質の面では様々な問題が存在すること、それがNPOの信頼を失わせかねない事態を招いていることなどが問題提起されました。

また、NPOが市民社会に開かれ、まさに自立した持続可能な形態としての制度設計や、市民寄付市場に開かれたガバナンスのあり方に向けて、かなり厳しい議論が行われました。

代表工藤は、こうしたNPO法見直しに向けた審議会の議論の状況を、「NPOの現状の課題の抽出やその環境整備に対し真正面から向かい合い解答を出すような状況になっていない。はじめからマイナーチェンジが決まっており、NPOを支えるための様々な制度設計に問題がありながらも、現状維持することが優先され、課題解決が先送りにされている」と指摘し、本格的な議論が必要であると主張しました。

  議事録を公開します

◆ 第1話:3/28(水) 「審議会の議論はNPOが直面する課題を抽出できているのか」
◆ 第2話:3/29(木) 「NPOの課題にどう答えを出そうとしているのか」
◆ 第3話:3/30(金) 「マイナーチェンジは既定路線なのか」
◆ 第4話:4/2(月) 「自立経営できるNPOの進化をどう進めるのか」

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日本NPO学会で激論!/第1話:「審議会の議論はNPOが直面する課題を抽出できているのか」

山内直人(大阪大学大学院国際公共政策研究科教授)
profile
1955年愛媛県松山市生まれ。1978年大阪大学経済学部卒、M. Sc.(英London School of Economics)。博士(大阪大学)。経済企画庁エコノミストとして経済白書の執筆 など日本経済の実証分析に従事した後、1992年に阪大へ。経済学部助教授を経て、大 学院国際公共政策研究科教授。この間、米イェール大学客員フェローなどを歴任。専 門分野は公共経済学。特に、税制、医療・福祉、環境、社会資本、NPO・NGO、 ボランティア、国際開発援助などの実証研究を手がける。

田中弥生(独立行政法人 大学評価・学位授与機構 助教授)
profile
国際公共政策博士(大阪大学)。東京大学工学系研究科助教授、国際銀行を経て現職。財務省 財政審委員、外務省ODA評価有識者委員。日本NPO学会副会長。言論NPO言論監事。専門は非営利組織論と評価論。米国でピーター・F・ドラッカー氏に指示。主な著書に「NPOが自立する日 ~行政の下請け化に未来はない~」(日本評論社206年)『NPOと社会をつなぐ ~NPOを変える評価とインターメディアリ~』(東京大学出版会 2005年)、訳書にドラッカー・スターン著『非営利組織の成果重視マネジメント ~NPO、公益法人、自治体の自己評価手法~』(ダイヤモンド社、2000年)ほか。

堀田繁(内閣府大臣官房審議官)
profile
大阪大学経済学部卒。経済企画庁入庁。


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井上優(宮崎県NPO活動支援センター所長、特定非営利活動法人宮崎文化本舗理事)
profile
昭和1957年生まれ、宮崎市在住。1982年3月、東海大学文学部史学科卒業。会社員を経て、宮崎地域文化実践委員会、宮崎アート&ミュージック協会など設立。平成14年から(特)宮崎文化本舗理事就任、平成17年度から副代表理事、また宮崎アート&ミュージック協会会長、宮崎県NPO活動支援センター、センター長を兼ねる。


工藤泰志(言論NPO代表)


審議会の議論はNPOが直面する課題を抽出できているのか

田中  当初のご案内では私がモデレーターということですけれども、イントロダクションをさせていただいた後は、司会のマイクを参加者の工藤さんにお渡ししたいと思っています。今日は、現在内閣府の国民生活局の審議会を中心に行われているNPO法見直しの議論に私たちが何を貢献できるのかということを考えてみたいと思います。この議論はNPO学会と共同企画という形で、宮崎から宮崎文化本舗の井上優さん、そして東京から認定NPO法人言論NPOの工藤泰志さんにご参加いただきます。NPO学会からは山内直人会長、そして国民生活局のNPO法のご担当をされていらっしゃいます堀田繁審議官にお越しいただきました。私はモデレーターとして登録させていただきました、副会長の田中弥生と申します。では、工藤さん、よろしくお願いします。

工藤  言論NPOの工藤といいます。急遽私が司会になったのは、多分話し出すとうるさいから司会で、静かにしていろということだと思いますが、余りうるさくならないように、しかし、議論をきちっと誘導したいと思っています。

私のNPOというのはまさに議論づくりを中心としたNPOで、認定NPO法人です。社員数は200人になります。年間の資金はほとんど寄附で集めています。私たちは、議論形成をベースにした、ガバナンスをとても重視したNPOです。その内容については後ほど発言させていただきたいと思います。

今日の議論は2つあります。1つは、NPO法の改正をする前提となる、NPOの現状に対する課題の認識についてです。おそらくこの認識について、議論をしている人の間で大きなずれがあるのではないかと私は思っています。もうひとつは、この課題の認識と言う点である程度定まったら、それに対して答えをどうやって出すのかという段階に議論を進めます。現在、政府の審議会が答えを出す方向で議論を進めているのかは疑問に思える点もありますが、私たちは少なくとも答えを出す方向で議論を目指したい。試行錯誤は当然あっても、ベクトルが違うと答えは違う状況になるわけですから、それについて第2部でやりたいと思います。

ところで、言論NPOというのは、マニフェストや政府政策の評価をやっている団体です。今日の議論は、私たち言論NPOにとっては、マニフェストの評価会議として位置づけておりますので、議論の内容はすべて言論NPOのインターネットなどで公開する予定になっております。ということで、今日は1時間半、真剣な議論をしたいと思います。

では最初に、堀田審議官の方から、今、NPO法の見直しをなぜするのかということを中心にお話していただきたいと思います。

堀田  おはようございます。ご紹介いただきました、内閣府の大臣官房審議官をしております堀田と申します。

NPO担当ということでご紹介されたのですけれども、いろんな仕事を実はやっていまして、この1月から審議官の役割分担の変更がありましてNPOを担当することになりました。NPO制度については非常に歴史もある制度ですけれども、詳しい内容について必ずしも十分承知していない点があるかもしれませんが、今ご紹介がありました国民生活審議会で法制度の改正に向けた議論をしておりますので、そこのところを15分程度でご説明させていただければと思います。

今日はお手元に、横長の資料を配付させていただいているかと思いますが、それをお出しいただきたいと思います。1ページめくっていただきまして、これはもう皆さん周知の事実だと思いますが、NPO法人の推移を示した絵を示させていただいております。NPO増加のテンポをグラフで見ていただきますと、以前はこのペースで、そのうち横ばいになっていくのかなと思ったのですが、依然増加のテンポは余り落ちてはおりません。今年の1月には3万件に達し、いわゆる財団法人と社団法人を足した数よりも多くなってきているという状況にございます。

このようにNPOの数が増えている理由にはいろいろあるかと思いますけれども、政府のいろんな文章を見ましても、最近、NPOに対する期待が非常に高まっているということでございます。「骨太の2006」という中でもNPOの重要性が指摘されておりますし、安倍総理の演説においてもNPOに関して言及される場が最近特に増えてきていると思います。

なぜこんなにNPOに対する期待が強いかということにつきまして、私なりに整理しますと、4つぐらい理由があるかと思っております。1つは、ニーズが非常に多様化する中で、政府の画一的なサービスではなくて、きめ細かなサービスを提供する担い手としてのNPOが非常に注目されていることがあります。また、最近ちょっと景気はよくなってきましたけれども、一時、NPOの雇用の受け皿としての役割を注目される方も多かったのではないかと思います。

さらに3つめですが、小さな政府という議論が小泉内閣の頃から出ており、小さな政府がいいかどうかは別として、政府の役割の一部を民間へということが言われてきました。民間といってもいろんな主体がありますが、NPOも、政府がこれまでやっていたサービスの一部を担っていただくといったことに対する期待もあるのではないかと思います。

それから4つめとしまして、私が属しております国民生活局の中でも非常に多い議論ですけれども、やはり人と人とのつながりですね。新しいコミュニティーの中心的な役割を果たすものとしてのNPOへの関心があります。この4つ目の点は個人的にも一番重要かなと思います。NPOに対する期待は、こうしたいろいろ背景があって数がふえてきているのではないかと思っております。

1ページめくっていただきまして、活動分野別の構成比率が載っております。一番多いのが保健、医療、福祉といった分野、それから社会教育、まちづくりといった活動分野がNPOの果たす役割として非常に大きな分野になっておりますが、それ以外でもさまざまな分野で活動が広がってきています。政府として特定の分野に何か期待をしているということはもちろんありませんので、公益的な活動、さまざまな分野で多様化する中で活動していただくのがいいのではないかと考えております。


NPO法人制度をなぜ見直さないとならないのか

もう1ページめくっていただきますと、ここからNPO法人制度の見直しの経緯が書いてございます。ご案内のように平成10年12月にNPO法が施行され、15年5月にも一部の改正が行われ、現在その数は3万を超え、多様化する社会のニーズの課題にきめ細かく対応しているという点で、評価できるのではないかと思っております。ただ、一方でこれまでの法施行上の課題といたしまして、もう少しNPO法人の自立的な組織管理が必要ではないか、基盤をさらに強化していく必要があるのではないかといったことがございます。

それから、情報公開の面でも、積極的な活動をさらに展開していただく必要があるのではないかという課題がございます。

次に、やや所轄庁の立場になるかもしれませんが、いいNPOはもちろんたくさんございますが、我々が認証していますと、どうしてもこれはという団体も出てきて、一部に違法行為を行う事例と書いてあります。全体の中でそれほどの数ではもちろんないとは思いますが、問題になるNPOが出てきますと、やはりNPO全体の信頼性を損なうといったこともございます。そうした中で、今後、監督する立場にある所轄庁としてどうしていったらいいかということは、日ごろから悩んでいるところでもございます。

今回、見直しの背景としてもう1つありますのが、新しい公益法人制度が成立いたしまして、今後、施行されていくことになります。新しい公益法人制度では、簡易に法人格を取得できるといった制度になっていくわけですが、NPO法人との関係が問題になるかと思います。新しい公益法人制度ができたとしても、NPO法人制度は引き続き存置するという方向性がかたまっております。公益法人との関係でNPO法人制度のあり方も考えていく必要があるのではないかといったこと、こういう2つの背景をもとに、現在、制度の見直しに当たっているところでございます。

国民生活審議会の総合企画部会のもとに「NPO法人制度検討委員会」というものを設置しております。おととし(平成17年)の11月以降、おおむね月一回ぐらいのペースでやっておりますが、去年の9月に中間報告を取りまとめたところでございます。現在は中間報告の後、パブリックコメントという形で皆さんに意見募集をさせていただきまして、多数のコメントが寄せられたところでございます。パブリックコメントも踏まえながら、現在、最終報告に向けた議論をしているといった状況でございまして、今年の夏ぐらいまでには報告書をまとめていきたいと考えています。

NPO法自体は議員立法として成立した法律でございまして、通常の内閣提出法案と性格がかなり違っている点にちょっとご留意をいただきたいと思います。私も内閣提出法案を幾つかやってきましたけれども、通常の内閣提出法案の場合は、国民生活審議会や審議会のもとでかなり詰めまして、それに基づいて政府提出の法案を出していくことになります。しかし、議員立法の場合ですと、基本的には国会の方での議論が中心になっていくということで、与党の中でも当然議論が行われますし、超党派の議員連盟での議論も非常に大きなポイントになってくるかと思います。

現在、国生審で議論しておりますが、仮に最終報告という形でまとまれば、そういった報告を与党あるいは議員連盟にご報告して、議論の参考にしていただく必要があるのではないかと考えております。いつ頃国生審の報告に基づいた議論が行われるかという点についても、内閣提出の法案ですと、ある程度主導的に動けるのですが、やはり国会の状況次第といった面もございます。これから我々内閣としては、国会での議論に向けた議論の促進に努めていきたいと考えているところでございます。

個別の見直しの中身につきまして、説明は後ほど必要に応じてやってほしいということでございましたので、とりあえず一旦、私の説明は切らせていただきたいと思います。

工藤  どうもありがとうございました。

今、堀田審議官からNPO法改正見直しの背景、理由に関してはきちっと説明していただきました。これに対して今度は皆さんのご意見をいただきたいとい思います。


行政の下請化と自立のための制度設計

田中  私は、議事概要、資料、それから細かい議事録も拝見させていただきましたが、ちょっと異なる意見を持っておりまして、もっと違う方向で改正が行われるべきではないかと考えております。改正の背景になります今、私がNPOセクターにどういう課題を見出しているかということについて説明をさせていただきたいと思います。

実は昨年6月のNPO学会、そして昨日も、NPOがある意味で行政の下請化の傾向が強くなっているのではないかという問題提起を続けてさせていただいています。その原因をいろいろ考えますと、どうしてこんなに経営がしにくいのだろうかという問題に突き当たりました。昨日も説明をしたのですが、留保金、こういう言い方はよくないかもしれませんが、ある種のバッファーのようなものを持っていないと次の年の計画が立たないですし、新たな事業のニーズを発見して開発をしていくところになかなかエネルギーを注げないという問題があります。寄附や会費による資金調達が難しくなる中で、行政の委託金が一番手ごろだということで、そこに着手をしがちだということであります。私は、委託やパートナーなど、それ自体はいいのですけれども、それにのみ込まれてしまうような現象は回避すべきだと思っています。

次に、皆さんのお手元の資料をごらんいただきたいのですけれども、これは行革事務局からいただいた素案の中にあった各法人制度の比較表であります。新公益法人、それから現公益法人、NPO法人、認定NPO法人、それから社会福祉法人、学校法人、宗教法人、更生保護法人、そして医療法人、今度の会社法を横並びにして見ているものです。これは横軸が法人の種類であるとすると、縦軸が情報開示、財政にかかわる規律、税制、事業にかかわる規律、そして統治にかかわる規律、そして監督、財務財産の帰属先、このカテゴリーに分けて、それぞれの法人格を規定している法律がどのようなレギュレーションを持っているのかを、一覧にしてみたものです。私が一番関心を持ったのは、いわゆる経営と統治の部分であります。こうやって見ますと、実はNPO法に関しては、例えば財務にかかわるところの規律が特になしであり、あと一番気になったのは、統治にかかわる規律を私がレビューしたところ、宗教法人に次いで比較的緩やかだというのがおわかりになると思います。

当初の法律の目的を考えれば、広く、多くの市民活動に法人格を付与する、ある種経営主体としての資格を付与するということで、私はこの目的を十分に果たした法律だと思いますが、でも、私が行ったアンケートによると先ほど申し上げたようなNPOが自立するよりもむしろ行政の下請化の問題が明らかになっています。私が調査の対象としたのは、事業規模が500万以上のところですが、アンケートの回答を見ていますと、最高で24億円のところがありました。同時に、500万以下のNPO法人もNPOセクタ−の5割以上存在しており、非常に小規模な活動をしているところがある。量的にも規模的にも多様化している中で、一体どこに照準を合わせて法律を見直したらいいのかということ考えました。

私自身が特に関心を持っているのは、規模が500万円以上の中でも、きちんとこれから質の高い公共サービスを継続的に提供していくための経営マインドを持っているNPOの人たちに対し、経営環境を整えるためにどういう制度設計をしていったらいいのかというところです。ここに重きを置くことでNPOセクターの発展があるのではないかと考えています。しかし、先ほど堀田審議官からご説明があった制度の内容、見直しの内容においては、どこに照準を置かれているのか、そして何を課題としているのかということについては、公開された資料からでは、いまひとつ理解していないところがありますし、少なくとも、私が今、提案させていただいたこととギャップがあるのではないかと感じております。以上です。

工藤  僕なりに少し補足しますと、堀田審議官は今のNPO法改正の前提、背景についていろいろ説明していただきました。そのときに官と民との役割、コミュニティーの復活、それから雇用の受け皿の問題を言っていますけれども、もう1つは基盤の充実ということです。田中さんはそれに対して、NPOはなかなか自立できていない、いつの間にか行政の下請になっていっているのではないかと言っているわけです。その際におそらく田中さんが指摘していることの意味は、パブリックゾーンをNPOが担うにしても、官のゾーンの中で担うのか、それとも民として担うのか。民として担うのであれば、市場なり、市民社会やそちらに開かれた形での制度設計が必要になってくるだろうということです。ですから、NPO法の見直しがどちらの方向を向いていますかということもあわせて、堀田審議官にお聞きしたいと思います。

堀田  非常に難しい質問で、十分なお答えができるかどうか自信がないのですが、議員立法として成立したNPO法は大体50条ぐらいの法律で、その他新しくできている法律も含めて非常に詳細な規定が置かれています。ある意味でガバナンスの点では非常に厳格な側面を持っているのではないかと私は個人的な印象として持っています。どちらかというと、NPO法はまさに市民の中から生まれてきたものですから、余り詳細に法律の中でさまざまな細かな規定を置くのはふさわしくないのではないかと、NPO審議会の方でも、法律をつくった当初の考え方に立ってやっていく前提で、現在の審議が進められているのではないかと思います。今度、新しい公益法人ができてきたときに、今のNPO法人との比較といったことも非常に重要なポイントだと思いますので、この国民生活審議会の議論は、新しい公益法人も踏まえて、NPO法人はどうあったらいいのかをまさに議論していただいているということだと思います。

それで、政府とNPOとの距離感についても議論があったかと思うのですけれども、これも政府としてどうあるべきだということはなかなか言えないところがございます。本来、市民活動として生まれてきたわけですから、余り政府がいろんなことに口を出していくというのはふさわしくないものだと思っております。片やNPOに対するニーズというのは、今、公と民の役割分担がさまざまに変わっていく局面にあるわけですから、ある程度政府あるいは地方自治体がやっているさまざまな業務にNPOが関与していくことについて、特に問題とすべきかどうか。ここはもう少し様子を見ていく必要があるのではないかというふうに思っております。

工藤 では、山内先生、よろしいでしょうか。


NPOに対する国民の信頼はクリティカルな局面

山内  山内です。私の方からは、NPO法人の信頼性の問題、それから情報開示の問題について短くコメントをしたいと思います。

平成18年9月のNPO法人制度検討委員会の中間報告の中に、NPOに対する世論調査の結果が紹介されていまして、NPO法人に対する国民の信頼というのがどうなっているか。信頼できるとはっきり言っている人が6.5%しかいないわけです。おおむね信頼できるというのが24%あって、これを含めても3割です。余り信頼できないというのが11%、信頼できないというのが4.7%。もっと興味深いのは、どちらとも言えないというのが40%もいることですね。ですから、この40%の人たちが、これからNPOを信頼する側に回るのか、信頼しない側に回るのかによって、NPOに対する信頼性が大きく変わってくるという意味で、非常にクリティカルなところにいるのではないかと考えています。

一方、同じ世論調査で、情報開示が不十分であると考えている人が60%、十分であると答えている人は9%弱しかいない。ですから、非常に情報が不足していて、それによって信頼できないと考えている人も結構いますし、どちらとも言えないと答えている人もかなりの数に上るという現状があります。数の面では、8年で3万団体というのは非常に急速な数の伸びであると思うのですが、これから信頼性の面からの真価が問われているということだと思います。

我々がNPO法人の各所轄庁、都道府県に提出されている財務諸表、事業報告書を取り寄せてデータベースに入力する作業を一昨年・去年と続けてきまして、それを最近、ネットで公開し、2003年度の事業年度で1万4000弱のNPO法人についてデータを入力しました。わかったことは、未提出の団体が1200弱あります。ということは、大体8%前後のNPO法人が、法律上義務づけられている報告書を提出していないのです。これは各所轄庁が何回か督促した後の話です。ですから、督促を受ける前の段階だともっとはるかに多いと思います。

それから、もう1つ数字をご紹介したいと思います。貸借対照表の正味財産と収支計算書、前年末の正味財産と、それから当期の正味財産の増減を足したものが定期的に合わなければいけないわけですけれども、そこが合っていない団体が37%もあるのです。ということは、普通だったら、物すごく単純なエクセル表に入れて、最初から合うようにエクセル表のシートを設定しておけば、そんなことはあり得ないはずなのに、おそらく私の想像では、ほとんどの団体は手書きではなく、みんなワープロで打っているんですね。プリントアウトして出しているのですが、恐らくパソコン上で入力して、パソコンの画面を見ながら電卓をたたいているNPOが結構いるのではないかという気がするのです。そうであると、単純なところが合わない団体が非常に多くなる。

ですから、一方では継続的にすごくいい活動をしている、あるいは活動を拡大しているような団体もたくさんありますが、一方では非常にプリミティブなミスを犯している団体がある。そこで、信頼性を考えたときに、一般の人から見た信頼性に影響するのは、そういうプリミティブな誤りを犯しているような団体がどのぐらいの割合でいるかという点です。ですから、新聞に出てくるような、明らかに法令違反をしているような団体というのはもってのほかですが、こういう財務、ブックキーピングの力のない団体をどういうふうにサポートして、国民の信頼性を裏切らないようにしていくかというのが結構大事なのではないかと思いました。

もう一言だけ言いますと、内閣府が認定したNPO法人のデータをPDF化して公開するようになっていますが、プリントアウトすることができないのです。NPO法では閲覧させるという言葉を使ってあり、コピーとかは書いていない。おそらくプリントアウト制限をつけていると思いますが、何もそこまでしなくてもいいのではないかと感じたので、せっかく内閣府の審議官がおいでになっているので、一言言わせていただければと思いました。よろしく御願いします。

工藤  今日は審議官が一番人気ですから(笑)、逐一お伺いしたいと思います。いかがですか。

堀田  最後の点は事実関係を確認して、後ほど答えられれば答えます。今、山内さんが指摘されたように、NPOの信頼を高めていくための情報公開というのは、一番キーとなる政策だというふうに思っております。内閣府の方でもいろんな情報をホームページ上に載せたりしていますが、まだまだ所轄庁によってはそういった対応が十分にとられていないところもありますので、これだけネットが進んでいる社会ですので、普通の人はやっぱり自分が関与したいNPOがどこにどういうものがあるのかといったものに非常に関心を持っているかと思います。情報公開を通じて市民、国民一般に知ってもらうことで、この制度がうまく進むようになっていけば、一番望ましいと思います。

井上  おはようございます。宮崎文化本舗の井上と申します。何かと昨年末から宮崎、宮崎といろんなところで名前が出ておりますけれども、「宮崎をどげんかせんといかん」。これは宮崎弁ではなく、鹿児島の近くの都城の言葉なのですが、どげんかせんといかんという知事自体が何をしているのかよくわからないところであります。(笑)

さて、一昨年から宮崎の方は、私ども宮崎文化本舗というNPOが県の中間支援機能を担っております。もともと私どもは、映画館をつくりました。活動していくためには、お金がなかったら継続的な活動ができないと私どもは考えていまして、事業系NPOとして活動をしておりました。それと一緒にいろんな形でのNPOのお手伝いという、いろんな市民活動をやっていらっしゃる方たちのお手伝い、特にイベント系のお手伝いをやっておりまして、それが結果として、「綾の森を世界遺産にする会」のように14万の署名を集めたりする活動になってきております。

その流れの中で映画を1つベースにしたまちづくり、文化活動が1つの柱、そして、先ほど言いましたような中間支援の機能が1つ、それと環境といった活動をしております。来年度からは指定管理者で温泉をやってくれないかということになりまして、温泉をやるようになっております。この話を田中さんに言ったときに、なぜNPOが温泉をやらなければならないのか、NPOで何ができる?みたいな話になったのですが、実はこの温泉は市がやっている温泉で、地元高齢者のたまり場だけになっているものですから、町おこしの一環としていろんな形を兼ねて、ソフトをいろいろ展開していこうということで活動を展開する予定にしております。

中間支援の方のことで申し上げますと、昨年度で自立支援法絡みの相談が宮崎県の場合は大体30%ぐらい来ております。そして、一般の相談が大体30%ぐらい、マネジメント相談というのが30%ぐらい、そんな感じの比率かなと。昨年のNPO支援センターとしての動きはそのようになっております。


行政との協働とは経費削減の受け皿なのか

その中で、マネジメントという部分なのですが、昨年9月ぐらいから、特に行政からのNPO担当、または協働担当の方からの電話、相談等が多くなりました。合併後の総合計画策定の中に、NPOとの協働という言葉を入れてないところはおそらくほとんどないだろうと思います。いろんなところで位置づけをしていますが、そういうアドバルーンを上げたのはいいけれど、では実際どうやってやるかという話になってきたときに、これは宮崎県の場合ですが、2つの市が慌てて、何もわからないけれども、協働推進課をつくっているのです。それで、おまえたち、協働推進の推進計画をつくれという話になって、担当者の方が僕の方に相談に来られるみたいなことが結構多くなっています。

諸々の計画策定との兼ね合いだと思いますが、実際、市の職員、県の職員に私は話を聞きました。おたくの事業の中で何%ぐらい協働事業としてやられているか、何人かの方に聞くと、一番少ない市町村で30%は協働でやっていますという答えが返ってきます。一番多いところは大体50%は超えているのではないかという答えが来ました。

しかし、協働はどういうことを言うんですか、またはそれはどういう相手を想定しておっしゃっているんですかと聞くと、ほとんど答えが返ってこないという状況があります。これはあくまで宮崎県下の例です。そこでいろんな話をしていきますと、結果的には、経費削減効果の受け皿としての認識しか、行政の職員は持っていないのではないかというのが、正直な私の印象です。昨日のパネルディスカッションで山岡先生がおっしゃっていましたが、地方に行けば行くほど公的なお金の比重が高くなって、ある意味、行政の下請化が見られるという状況になっています。

その前からの指定管理者制度ということから見ても、ほかの県の中間支援の人たちと話し合う機会がありますが、その中で、指定管理者を受けたのはいいけれども、逆に経営が厳しくなった、または仕事が非常にやりづらくなってきたという話はどこに行っても聞く話です。なぜそうなっているかというと、結局、先ほどの行政の下請化、またはハンドリングを全部握られているような状況が顕著だからだと思います。その中で、NPOはどうやっていくのかをきちっともう1回考えないといけません。例えば2年後、3年後の指定管理者の見直しのときに、僕は例えば指定管理者としても、民側、NPO側というのは結構負け続きだったと総括するのかなと思っています。次の改正その他のときに、ある程度こちら側、民側が攻撃の形をしていかないと、本当にNPOは独自性などがなくなってしまうのではないかなというふうに感じております。

以上です。

投稿者 gnpo : 14:54 | コメント (0)