第1話:「なぜ、日本では近隣国との問題を乗り越えるための議論が少ないのか」 / 発言者: グレン・S・フクシマ

グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱代表取締役社長)
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1949年米国カリフォルニア州生まれ。72年にスタンフォード大学より経済学学士を取得後、ハーバード・ビジネス・スクールおよびハーバード・ロー・スクールを卒業。82年から大手法律事務所で弁護士として活動し、85年に米国通商代表部に入省、1990年にかけて対日・対中通商政策の立案、調整、実施を行った。90年以降、民間企業に奉職し、要職を歴任。米国外交評議会委員など多数の委員も務める。
「なぜ、日本では近隣国との問題を乗り越えるための議論が少ないのか」
日本を外国人の目から見ると、日本人は外交問題をもう少し真剣に議論する必要があると思います。
現在の状況を見ると、日本は、韓国、北朝鮮、中国関係、ロシアといった国々との関係を見てもあまり良いとは言えません。今後、日本が、経済面でも政治面でも本当の意味でリーダーシップを発揮するためには、やはり近隣諸国との関係を改善しなければ、いつまでたっても本当の意味での日本の良さは発揮できないと思います。そういう意味では、もう少し真剣に、特に中国、韓国との関係を、どうすれば正常化出来るかということを議論したほうが良いと思います。
今の日米関係は、指導者レベルでは良好な関係のようですが、国民レベルでは必ずしもそうとは言えません。たまたま大統領と総理大臣の気が合うということだけではなく、もう少し国民のレベルでもお互いに良好な関係だと認識できるような日米関係をこれから構築していかなければならないと思います。
国内において外交問題の議論が、最近あんまり行なわれていないようですが、基本的には、周りの国との関係が良くないのは普通ではないと思います。中国とここ5年から10年の間に経済面でこれだけ密接な関係になり投資も貿易もかなり拡大してる中で、政治面における緊張感が高まっています。また、韓国との関係でも、一方では冬ソナとか、国民レベルでは交流が進んでいて、良い方向に行ってるとかいいながら、やはり靖国問題とか教科書問題で日韓の関係も危ないのでは、正常な関係とはいえません。この問題はこのままで放置しておいても解決しないものなので、日本は自らそれを解決しなくてはならないと思います。
戦後の問題を巡っては、ドイツと日本の比較がいろいろとなされます。私も2005年の2月からはヨーロッパの会社に入ったので、ドイツやフランスの人と毎日のように一緒に仕事していますが、彼らと日中関係や日韓国関係の話をすると、ドイツが戦後いかに努力をして政策的・意図的に他の国との関係を改善しようとしてきたか、そして、その60年来の努力の結果でドイツはヨーロッパの中で信頼される国になったということを何度も聞かされます。
しかしながら、日本はそういう努力がなく、今回の靖国参拝問題でも「なぜ相手がそんなに気にするのか」という感じで、首相も国会で答弁をしています。これは外国人という第三者から見ると不思議に見えます。
日本は経済面や政治面や文化面でこれからも世界で主導的な役割を果たす余地はおおいにあると思いますが、30年代40年代の問題を真剣に解決しようという姿勢がなければ、日本は孤立し、また不利な立場に立たされてしまう危険性があると思います。
近隣国との間に問題がおきているのに、それを真面目に「問題がある」ということを認識して、それをどう乗り越えるかという国民的な議論がないというのは不思議です。
※第2話は2/3(金)に掲載します。
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2006年02月01日 10:14
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コメント
フクシマ氏の仰る通りだと思います。
私なりに原因を追究すると、やはりどうしても日本人の精神性や文化という問題に突き当たらざるを得ない。
日本の知的文化、社会文化という深いレベルに根本的問題があり、その土壌を本気で改良しなければ本質的解決は難しい。
島国的・農耕民的な内輪の閉鎖的ロジックから完全に自立できていない為、真理や事実といった知的価値、道徳的高潔といった倫理的価値が未だに犠牲にされがちであると言わざるを得ない。
このような社会文化的環境では、議論は不毛であり感情的にならざるを得ない。
結果的に事実や問題を直視しない、意見しない、議論を避ける、思考停止という日本人の欠点が招かれる。
そして、最も安直な選択であるご都合主義的なナショナリズムがお祭りの神輿のように担がれる。
政治的ミスリーディングが始まり、過ちは破綻するまで誰も止められなくなる。
もちろん、言論NPOはこうした事態を避ける為にあるのでしょう。
投稿者 山田 : 2007年01月02日 02:47
シンガポールからコメントします。グレンの意見はとても正論で中国、韓国だけでなく、シンガポールのような東南アジアでも日本政府のアジア蔑視外交に強い不信感を抱いています。本来なら日本がリーダーシップをとってもいいのですが、日本は少なくともアジアの孤児です。私もアメリカとヨーロッパの大学に長期留学していて、ドイツ人の友人と歴史のことを議論する。友人がいうには歴史とはもうヒトラーとドイツ人がなぜ誤ったほうにいってしまったのかということが中心。実際、ドイツのTV見ていて、歴史の番組が多かった。戦後、ドイツが、フランス、イスラエル、アメリカとどれだけ信頼関係構築に力を入れ、比較的信頼されるまでになったね。でも私の友人見ていて、過度なまでの歴史教育にちょっと不思議な部分もありましたが・・。日本は韓国、中国、東南アジアと信頼関係を築くという努力まったくしませんでした。一般国民をアジア人をかなり見下した言動を取ること多いです。政府にも責任ありますが、そんな政府をだまって放置している日本人にも重大な責任があります。以上。
投稿者 ロナルド ミウラ : 2008年05月22日 00:50
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