私たちはなぜ、日本の民主主義の改革に挑むのか

2019年10月08日

 言論NPOは創立以来、「市民が強くならなければ民主主義は機能しない」という問題意識から、マニフェスト評価や政権実績評価など様々な活動を行ってきました。

 しかし、言論NPOが2012年から、外交問題評議会が立ち上げた世界20カ国のシンクタンク会議に参加し、世界の様々な課題に向き合ったときに、この民主主義というものが世界で大きく壊れ始めているということに直面しました。それから7年間、私たちは民主主義を巡って様々な取り組みを行ってきましたが、ようやく、この問題を本格的に議論し、最終的には日本の民主主義の修復やバージョンアップにつなげていかなければいけない局面だということを、確信するに至っています。

 私たちは、ヨーロッパやアメリカ、アジアの、世界を代表する多くのシンクタンクと連携して、世論調査を行っています。そこで明らかになったことは、民主主義を取り巻く環境に様々な問題があるということです。例えばグローバリゼーションと国内の様々な政策の矛盾や、デジタルテクノロジーと発展と個人情報の問題があります。

 その中で、私たちが取り組むべき最も大きな問題、問題の急所がどこにあるのか、そのための調査や議論を世界の専門家を交えて行った結果、一つの方向性を定めることができました。それは、代表制民主主義というものが市民の信頼を失い始めたということです。

 日本の政治は非常に安定しているために、ポピュリズムを含め、様々な問題がまだそこまで顕在化していないと思われてきました。しかし、先の参議院選挙における新しい政党の活発な動き、そして、選挙を前に私たちが行った世論調査の結果を見ても、この日本でも世界と同じ現象が起こっていることが、はっきりわかりました。それは、日本の市民、特に若い世代で、政治に対する不信が構造化してきたということです。

 そこで、私たちは、これから、日本の民主主義の様々なシステムを診断し、そして、それをどう立て直せばいいのか、改革案を提示するための作業を開始することにしました。

 今回の議論が、そのスタートになります。

⇒ 日本でも「代表制民主主義を機能させる改革」 に取り組む必要性で一致