震災後の政府・政治の対応と復興に向けた今後のビジョン

2011年7月29日

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 7月28日、都内ホテルにて、言論NPOの第25回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、内閣官房副長官の福山哲郎氏をゲストスピーカーとしてお招きし、「震災後の政府・政治の対応と復興に向けた今後のビジョン」と題して、議論が行われました。

 まず、代表工藤は、「震災後、官邸の統治機能が問われているが、官邸は課題に対してどう向かい合い、実際にどう動いたのか。復旧・復興に向けて重要な役割を果たしておられる福山先生にお話を伺いたい」と今回の趣旨を説明しました。

 福山氏はまず、発災直後の政府の動きについて、「状況が全くわからない中で、瞬間瞬間の情報から全体を見なければならない時間が続いた」と述べ、危機管理参集チームの緊迫した様子を説明するとともに、政府対応に対するメディア報道の一部の誤解があるとして当日のオペレーションを克明に語りました。また、震災によって発生した災害廃棄物の状況や福島第一原発事故を受けて設けられた避難区域と避難状況の現状について説明し、被災地の復旧、そして原発事故の収束や再発防止に向けて今後政府が取り組まなければならない課題について整理して報告しました。

 また、原子力発電を含めた今後のエネルギー政策について、「いままでのように「反原発」「原発推進」二項対立の議論をしている場合ではない。現実的に原発の依存度を下げざるを得なくなる状況の中で、不足分をどう埋めるのかという議論をしなければならない」と指摘。具体的には「需要サイドでの徹底したエネルギー利用効率の向上」「化石燃料の利用効率の徹底的な向上」「再生可能エネルギーの大幅な導入」などの方策について詳細に語りました。

 さらに、復興構想会議が6月に公表した「復興への提言」の内容や今後の補正予算編成、復興関連法の策定作業についても触れ、今後のまちづくりや農林水産業、地域の経済活動の再生など、復興に向けて政府の動きが大きく始まろうとしていることを説明すると同時に、「震災を契機に多くのパラダイムが変わってきた。被災者へのケアは自分の政治ライフの中で切っても切れないものだ。どの立場においても、できる限りのことを対応していきたい」と述べました。

 その後の出席者間の議論では、「住民の命がどれほど救われたかというアウトカムが評価基準と考えれば、住民サイドに立った情報提供は適切だったのか」「原発の安全性を政府としてどう判断しているのか。それとストレステストは理論的にどう結びついているのか」といった質問のほか、「海外に対する発信が不十分だとの意見について、政権ではどのように考えているのか」と世界に対する情報発信についての質問などがなされ、非常に活発な意見交換が行われました。

 次回のメンバーフォーラムは、9月に開催される予定です。

 7月28日、都内ホテルにて、言論NPOの第25回メンバーフォーラムが開催されました。今回は、内閣官房副長官の福山哲郎氏をゲストスピーカーとしてお招きし、「震災後の政府・政治の対応と復興に向けた今後のビジョン」と題して、議論が行われました。