日本の将来を提言する

選挙は「国民との約束の場」であり、 日本の民主主義を機能させるため「有権者の覚悟と参加」が不可欠 -言論NPO有識者アンケート結果公表-

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 言論NPOは2000人の有識者を対象に、次の選挙で何が問われているのか、についてのアンケートを行いました。回答者は413人で、17日にその集計結果がまとまりました。
 このアンケート結果は、いま日本の民主主義に問われている課題を見事に明らかにしています。まず、約7割が、日本の民主主義が機能しておらず、有権者の覚悟や参加が民主主義を立て直すために不可欠と考えていること、2つ目は、約6割は選挙とは国民と政治家の「約束の場」だと認識しており、7割近い人が「マニフェストを軸とした政治が必要」と考えていること、そして最後に、投票の際には政党だけでなく、政治家個人の資質や考え方を参考にして投票する、という声も目立っていることです。
 なお、今回の選挙で注目される橋下大阪市長率いる「日本維新の会」に「期待する」は3割程度で、6割もの人が「期待できない」、「むしろ危険な動き」と答えています。
 413人の有識者は、これまで言論NPOの活動にご協力をいただいた識者で構成されており、年齢は40代から60代に7割が集中しており、企業役員や幹部、メディア関係者、学者、NPO団体関係者などが全体の6割あまりを占めています。
 これらの回答と発言は言論NPOのウェブサイトで公開しています。


次の選挙に期待しているか -見方は拮抗

 今回の調査は、選挙の意味や争点、日本の民主主義の現状などについて10の質問で構成されています。以下、順を追って結果を見てみます。

 まず、「次の選挙が、日本の新しい変化のきっかけになると期待しているのか」という質問です。この質問に対する答えは2つに分かれています。「期待している」という人は、「強く期待している」(15.8%)と、「やや期待している」(32.6%)を合わせて48.4%、逆に「期待していない」は、「全く期待しない」(15.1%)と、「あまり期待していない」(32.1%)を合わせて47.2%と拮抗しています。
 この設問には判断理由も自由記述で書いていただいており、その全てを公開しています。今の政治状況を考えると選挙で日本の変化を期待せざるを得ない、との立場が多くの人に共有されている一方、逆に今の政治の動きは「人気取りの政策論争」等に過ぎず、新しい変化を感じない、との理由も多く見られます。
 本当は選挙で日本の変化を期待したいが、期待はできないという認識の温度差が、この設問での意見を2つにわけていることが分かります。


次の選挙が、日本の新しい変化のきっかけになると、期待していますか。【単数回答】
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SQ その理由をお聞かせください。   ⇒回答ページへ


次の選挙で投票先は決まっているか -約3割が投票先に悩む

 次に、次の選挙でどこに投票するのか、選ぶことに確信があるのか尋ねたところ、「今は決めていないが投票日までは決める」が41.5%と最も多い回答でした。「すでに投票する政党や個人を固めている」は23.3%です。
 ただ、「今回は投票する政党や個人に確信を持てない」と回答した人が17.2%。さらに、「選ぶ自信はないが、棄権はしない」と回答した人も14.6%おり、この2つを合わせると、日本の有識者の3割以上が、今回の選挙での投票に悩んでいることも浮き彫りになっています。
 「今回は投票する政党や個人に確信を持てない」、「選ぶ自信はないが、棄権はしない」と回答した人にその理由を尋ねたところ、その中で半数の人が選ぶ理由が3つありました。
 まず、「全ての政党が、日本が直面する課題に対して答えを提起できていないから」が58.0%、次に「全ての政党の動きが、大衆迎合的で今後の政治の展望が見えないから」が57.2%、「政治の中の離散集合の動きも、選挙目当ての政治家の都合に過ぎないから」が55.8%と続きます。
 日本の政治の混迷が、政党や政治家を選ぶ確信を持てない、という形で選挙に影響をし始めていることがわかります。


現在、政党の党首選や、新党結党の動きなどが始まっています。こうした動きを見て、あなたは次の選挙でどの政党を選ぶか、確信をお持ちですか。
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「今回は投票する政党や個人に確信を持てない」、「選ぶ自信がないが、棄権はしない」と回答した方、その理由は何ですか。


「選挙」自体に対する認識 -選挙は「国民との約束の場」

 次に、私たち有権者にとっての選挙の持つ意味について尋ねました。ここでは、「国民との約束の場」、「白紙委任できる政治家を選ぶ場」のどちらの考え方に近いかを尋ねました。
 「国民との約束の場」と回答した人が58.8%と6割近くにもなり、「白紙委任できる政治家を選ぶ場」と回答する人は、わずか15.1%でした。また、選挙の持つ意味はこの2つの考えの中間になる、と答えた人も20.7%いました。


「選挙」について、あなたの考えは下記のAとBのどちらの考え方に近いですか。
A.国民との約束の場 B.白紙委任できる政治家を選ぶ場

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マニフェストを軸とした政治は必要か -必要が約7割

 さらに、選挙では政権公約(マニフェスト)に関して、その内容自体が不十分、国民への説明が十分になされず、大幅に修正されるなど、マニフェストをつくること自体に懐疑的な見解も出始めています。
 そこで、「マニフェストを軸とした政治は必要か」を改めて聞いてみました。結果、「必要」と回答した人は67.6%と、7割近くに上り、有識者の大部分は、マニフェスト政治の実現を求めています。
 また、「選挙では何を参考にして投票するか」という設問でも、政党のマニフェストが57.6%と半数を超えており、政党のマニフェストの必要性は根強いものとなっています。
 しかし、これまでと少し異なる新しい傾向も出ています。それは政党よりも政治家の姿勢や政策に関する考え方、さらに政党に所属する政治家の顔ぶれを、選挙の際に考慮するというもので、そのいずれもがそれぞれ30%の回答を集めていたことです。
 マニフェストは必要だが、それを曖昧にし続けてきた政党に対する不信も根深く、政党よりも政治家個人の資質や考え方を判断して投票するという動きです。政党政治の混乱は本質的には収まっていないのです。


マニフェストを軸とした政治は必要だと思いますか。
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SQ その理由をお聞かせください。 ⇒回答を見る


次の選挙で、あなたは何を参考に投票する予定ですか
 -政党マニフェストは約6割だが、政治家個人の考えや発言にも注目


次の総選挙で政党や政治家が判断を明らかにしなければならない政策課題
  -原発、社会保障、経済の成長戦略が半数を超える

 「次の選挙で各政党や立候補する政治家が、有権者に対して必ず明らかにしなければならない政策課題」は何かと尋ねたところ、3つの政策に半数を超える人の回答が集まりました。最も多くの人が回答したのは「原発の是非も含めたエネルギー政策」で73.1%です。さらに、「社会保障制度(年金、医療、介護など)の抜本的な見直し」が67.2%、「経済の成長戦略」が53.4%で続きます。半数を超えなかったものの、相対的に多かった政策は、外交安全保障と財政再建、国会改革でした。私たちは、これらの6つの政策を今回の選挙の争点と考えています。
 この6つの争点で、政党や政治家がどのような見解を持っているのか、それを明らかにして有権者に伝えることが、私たち、言論NPOの仕事になるでしょう。


次の選挙で各政党や立候補する政治家が、有権者に対して必ず明らかにしなければならない政策課題、あなたが投票をするときに最重要視する政策は何ですか。


日本の民主主義は機能しているか-機能していないが約7割

 今回の調査で、日本の民主主義が現在機能しているか、との設問を加え尋ねました。
「どちらかといえば機能していない」(36.4%)、「機能していない」(33.5%)との回答を合わせると69.9%、つまり約7割近い人が、日本では民主主義は機能していないと考えています。


「国民が代表を選び、その国民の代表が日本の課題に関する仕事を行う」という民主主義が、この国で機能していると思いますか。
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日本の民主主義を機能させるため必要なもの-有権者の自覚が約半数

 さらに、「日本の民主主義を機能させるために、どんなアイデアを持っていますか」との質問には、「有権者、市民の当事者としての自覚」との回答が43.9%と最も多くなっています。また、「マニフェストを軸とした政治サイクルの確立」(22.1%)、「有権者と政治とのより緊張感のある関係」(19.5%)など有権者と政治の関係を考え直す声が大きくなっているほか、「首相公選制」の導入(22.1%)、「直接民主的な要素の導入」(19.0%)など、より直接的な政治参加を求める声も目立ち、有権者の覚悟や政治参加が、民主主義を機能させる大きな課題として注目されています。
 その他には、「参議院の廃止」(30.8%)などの制度改革や、「政治家の定数削減」(21.8%)あるいは「政治家の外部評価の公表」(17.8%)という政治家に対する改革、「一票の格差の是正」(18.5%)などの選挙制度改革を求める声も少なくありません。


日本の民主主義を機能させるために、どんなアイデアを持っていますか。


政治に変化をもたらす主体として誰に期待するか-若い政治家と有権者、NPOなど

 「日本の政治に変革をもたらす主体として、誰に期待するか」との問いには、「若い政治家」(31.9%)と回答した人が最も多くなりました。ただ、「有権者」(25.0%)、NPO・NGO(15.8%)で続き、有権者や市民側に期待する見方は合わせると4割を超えています。多くの有識者が、日本の本当の変化のために、有権者や市民社会、そして若い政治家の存在に期待していることがわかります。
 一方で、「既存のメディア」や「学者」、「経営者」に期待する人はそれぞれ3%にも満たない結果でした。


今の日本の政治に変化をもたらす主体として、誰に期待しますか。


「日本維新の会」に期待するか-否定的な見方が約6割

 最後に、橋下徹大阪市長が率いる「『日本維新の会』の動きを期待していますか」と尋ねたところ、「期待している」は「強く期待している」(7.8%)、「やや期待している」(23.4%)を合わせても31.2%でした。
 これに対して、「あまり期待していない」(25.1%)、「全く期待していない」(12.7%)との回答が37.8%となり、「むしろ危険な動きである」の22.1%を加えると、否定的な見解は約6割になりました。


「日本維新の会」の動きに期待していますか。
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SQ その理由をお聞かせください。   ⇒ 回答を見る

Q 今回の選挙で、言論NPOに問われていることは何だと思いますか。   ⇒ 回答を見る


pdf.gif「次の選挙で何が問われているのか」 ―有識者アンケート結果

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財政破綻の回避や急速な少子高齢化への対応といった日本が直面する課題に対して、今の政治は本質的な解決策から逃げている状況です。言論NPOは、政治家を選ぶ有権者の側が、この国の未来に対する当事者意識を備えなければいけないという考えのもと、政権や政党の政策が課題に向かい合うものになっているかどうかを定期的に評価し、有権者に判断材料を提供しています。

また、日本の将来像を見据えた政策を有権者の立場に立って議論し、政治に提案する取り組みの実現を目指しています。

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