安倍政権実績評価 個別項目の評価結果 【政治・行政改革】

2013年6月26日

安倍政権実績評価 個別項目の評価結果 【政治・行政改革】

評価項目 評価 評価理由
衆議院議員定数の削減は次期通常国会終了までに結論を得た上で必要な法改正を行う
2 法改正によりまず衆議院議員の定数は480人から475人へ減る。しかし、「0増5減」は、あくまでも一票の格差是正のための現時点で必要な最低限の措置である。それとは別に、消費増税など国民負担の増大に際し、国会議員自身も「身を切る改革」を断行する必要があるし、自民党もJ-ファイルで「定数削減など国民の求める政治改革に前向きに取り組みます」と述べていた。しかし、今国会では断念。今国会終了までに定数削減について結論を得るとした、昨年11月の自民、公明、民主3党の合意はほごになった。また、自民党は、今後も各党間で引き続き協議することなどを盛り込んだ確認文書案を提示したが、結論を出す時期を明示しない内容にするなど改革に消極的な姿勢が見えるし、国民に対して断念の明確な説明もしていない。与野党の協議はしているので、着手はしているといえるが、現行の小選挙区比例代表並立制の維持から完全比例代表制の導入まで各党の意見は分かれ、今後の道筋は見えない。
行政機能や政策効果を向上させる本来の意味の行政改革を実行する
4 行政事業レビューの実施方法は、民主党政権時代の論理性の曖昧さ(判断基準が一貫していない、恣意的な判断があるなど)を払拭すべく見直しがなされた。ただし、政策評価との重複や役割分担については曖昧さを残しているため、今後の検討課題となる。
「行政改革推進会議」を内閣府に設置し、業務の見直しの徹底と同時に中央省庁改革を政治主導で実行。改革計画は会議発足から1年以内に立案し、3年以内に立法措置
2 ・行政改革推進会議は予定通り発足させた。しかし、省庁再々編など中央省庁改革についての特段の進捗はない。また、自民党の行政改革推進本部における議論でもまず民主党政権下における改革案の見直しに関する議論が優先されている。
・独立行政法人制度については、麻生政権時代に統合案が出されたが、政権交代によって凍結され、民主党政権下で出された再編案もやはり政権交代によって凍結されている。そこで、安倍政権は独法改革の集大成とし称して取り組みを始めたものの小規模な内部統制の改革案に留まり、個別法人の検討は秋以降になった。したがって、実質的な進捗があったとは言い難い。
「公務員制度改革基本法」を踏まえ改革を断行する
3 稲田公務員改革相は、国家公務員制度改革において、麻生内閣が2009年に国会に提出して廃案になった関連法案を精査し、出し直す考えを明らかにした。しかし、自民党の公務員制度改革原案では、制度設計が具体化されていない点も多い。人事評価制度では、09年の法案では降格を可能にする規定が入ったことに対し、各省庁からは批判が相次いだ。この点について今回はどう応えるのか、その道筋を示していない。同じく09年の法案では人事院の主要機能を内閣人事局に移す構想に政府・与党内から批判が噴出したが、今回の提言では内閣人事局の具体的な内容に言及しなかったため、制度設計が見えない。また、そもそも何のために公務員改革をしようとしているのか、その目的についての説明も十分ではない。今後、内閣人事局の具体策づくりは難航する可能性がある。
天下りの根絶と国家公務員の年齢構成の是正を進める。
3 ・定義に関わらず天下りを一切させないのであれば、多くの公務員が省内に何らかの身分・役職で残ることになるため、それに応じた公務員人事制度を構築する必要がある。そのため、J-ファイルでは「天下りを排するためには、そもそも天下りが必要ない公務員制度を構築」する必要があるとしている点は妥当性がある。しかし、そのために役職定年制の導入、専門スタッフ職の拡充、再任用の原則化を掲げているものの、その改革は進んでいない。
・国家公務員の年齢構成の是正について、新規採用は抑制しないものの、定員が厳しく管理された上で、再任用された職員とのバランスを取る必要があるため、年齢構成が大幅に改善されるかどうかは現時点では判断できない。
インターネット等を利用した選挙運動を解禁する
5 この解禁によって、ネットに親しむ若い世代が政治への関心を高める効果が期待される。これまで選挙運動は街頭演説など昼間中心だったが、ネット情報は夜間も更新が可能であるので、働く世代が選挙運動にふれやすくなる。一方、候補者本人への「なりすまし」や中傷への懸念もある。氏名の虚偽表示には罰則が科され、名誉を侵す情報はすみやかに削除できる措置も盛り込まれたが規制には限界があり、「良識頼み」の面は否定できない。このように制度の運用面については実際に選挙が始まってみないと判断できない部分もあるが、法律自体は成立し、実現の方向には向かっているとはいえる。
政党基本法を制定する
1 動きがない以上、最低評価にせざるを得ない。

判断基準

1点:未着手、または断念
2点:着手したが、実現の展望がなかったり、既に修正が行われているにもかかわらず、
   そのことが国民に説明されていない
3点:着手し、予定通り進んでいないが、一定の成果を上げている
4点:着手し、予定通り進んでいるが、目標を達成できるかは現時点では判断できない
5点:着手し、予定通り進んでおり、実現の方向に向かっている

各分野の点数一覧

安倍政権通信簿は2.8点(5点満点)
復興
経済再生
財政
教育
外交
社会保障
3.2
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3.7
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2.5
財政分野の評価詳細をみる
3.3
教育分野の評価詳細をみる
3.1
外交分野の評価詳細をみる
2.3
社会保障分野の評価詳細をみる
原発・エネルギー
地方再生
農業
政治・行政改革
憲法
3
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2.6
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2
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2.9
政治・行政改革分野の評価詳細をみる
2
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