日本の将来を提言する

参院選を、日本の将来と民主主義を真剣に考える舞台に ~自民、民進、公明、共産の主要4党は日本の課題にどう向かい合っているのか~

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 言論NPOが6月に公表した有識者アンケートでは、日本の将来について約6割が「悲観的」に見ていると回答するなど、多くの人が将来に対して不安を抱いています。こうした日本の将来に向けた課題に政党は答えを出せるのか。
 そうした問題意識のもと、言論NPOは7月10日投開票の参議院選挙に向けて、主要4政党の政策責任者に対して、「経済」、「財政と社会保障」、「外交・安全保障」、「少子高齢化と人口減少」、「地方再生」など、日本の将来課題への取り組みについて、言論NPOの政策評価委員にも加わってもらい議論を行いました。
 ご参加いただいたのは下記の4氏の方々で、言論NPO代表の工藤泰志と政策評価委員が質問を行いました。各氏の発言は動画とテキストでご覧いただけます。




経済―アベノミクスの現状をどう評価するか、経済をどう立て直すか

新藤氏 「これはできるかどうかではなく、成し遂げなくてはならない」

 自由民主党の新藤義孝・政務調査会長代理は、今回の選挙の争点はアベノミクスの是非、消費税税率の引き上げ延期への判断、そして、安倍政権自体の評価という3点を挙げました。

160621_shindo.jpg アベノミミクスの評価について、新藤氏は、国民総所得(GNI)が36兆円増加したことや、就業者数の増加、有効求人倍率が24年ぶりの高水準になるなど雇用の改善が進んでいること、さらには企業収益の改善など様々な指標に言及しながら、その成果を強調しました。

 その一方で、「まだ完全な持続可能で、自立したものになっていない」と課題も認め、経済を着実に持続可能にしていくためには、経済成長により経済のパイを拡大し、その果実を分配していくという「経済成長と分配の好循環」が重要だとの認識を示しました。

 そうした成長を実現し、経済のパイを拡大していくための政策メニューとして、ゼロ金利を活用した「超低金利活用型財政投融資」を具体化し、リニア中央新幹線の大阪開業の前倒し、整備新幹線の建設促進で、全国を一つの経済圏に統合するほか、奨学金制度の拡充、保育所や介護施設の整備促進など、今後5年で官民合わせて30兆円の経済規模の事業を具体化すること、また、AI、ナノテクノロジーの研究開発などの「第4次産業革命」、潜在的な成長分野としての観光戦略、農業の成長産業化、エネルギー戦略など、様々なメニューを例示しました。

 そして、「新しい経済の仕組みを作り、働く人が少なくなっても、高齢者が増えても、成長し、自律していくようなこの国の経済を作り、デフレ脱却を実現させていく」と述べ、今回の参院選ではアベノミクスの信が問われると語りました。

160621_kudo.jpg これに対して、司会を務めた言論NPO代表の工藤泰志から、自民党は今回の公約において、これまで公約で掲げてきた「実質2%・名目3%」という成長率の目標は書かれていないことや、「GDP600兆円」もいつまでに達成するのか分からないなど目標が曖昧になっていることを指摘されると、新藤氏は、政府が今年6月に出した「骨太の方針」で既に明記されており、「あえて参院選の公約に書き込む必要はない、ここは(党として)何の変更もない」と語りました。

 さらに工藤は、「超低金利活用型財政投融資」の活用について、日銀が行っている異次元の金融緩和を活用するという発想はわかるが、出口を意識した上での行動なのか、と資したところ、新藤氏は出口戦略について我々がコメントすることではない、と断った上で、「出口戦略を考えながら」新たな需要を発生させるために、既存の政策も転換しながら、いろいろな政策を打っていくことが必要だと語りました。

160621_yumoto.jpg また、言論NPOの政策評価委員の湯元健治氏(日本総研副理事長)は、「アベノミクスの実績では良い経済指標もあるが、肝心のマクロ経済の成長率や物価上昇率は目標に届いていない」とした上で、「金融もマイナス金利まで来て、財政もこの3年で23兆円もつぎ込んでいる。カンフル剤を打ち続けても達せない目標をどう実現するのか」と問いました。

 新藤氏は、金融、財政のカンフル剤に偏重していることは認めながら、「そうでもしない限り持ち上がらないほど、前民主党政権の経済は苦しかった。私たちは経済を成長させ、自律経済に持っておくための挑戦をしている、これはできるかではなく、成し遂げなくてはならない」と語りました。

上田氏 「基本方向は間違っておらず、足らざる部分は補い、修正すべきは修正して前に進めることの方が大事」

160623_ueda2.jpg これに対して、自民党と連立を組む公明党の上田勇・政務調査会長代理は、アベノミクスの現状について新藤氏と同様、方向の正しさは強調しましたが、実績に関しては、政権発足してからの3年半で「本来はもっとうまく行くはずだったが、期待通りに進んでいない部分があるということも事実」と、順調に動いていないことを認めました。その要因として、民間のデフレマインドの払拭が想像以上に困難だったことや、中国をはじめとする新興国経済の減速などの海外要因、そして、人口減少、少子高齢化という構造的な問題への対応が不十分だったこと、の3点を挙げました。

 ただ、上田氏は、前の民主党政権時もそうだが、政策はぶれることこそが最悪で「基本的な方向は間違っておらず、足らざる部分は補い、修正すべきは修正して前に進めることの方が大事」だと語りました。その上で公明党が取り組む経済政策として、中小企業対策や同一労働同一賃金をはじめとする労働市場改革を挙げました。

 また上田氏は、同党が3000名の地方議員を擁し、しかも国会議員と地方議員の間の意思疎通や連携も比較的スムーズにできているという「ネットワーク政党」としての強みを生かし、地域の中の小さな声や現場の声を国あるいは地方の政治に反映させながら、「国民誰もが希望を実感できる、希望がゆきわたる社会を目指していきたい」と抱負を述べました。

160623_kudo2.jpg これに対して、工藤からこれまで公明党の公約で掲げてこなかった「実質2%・名目3%」という成長率の目標を今回の公約に記載したことの理由を問われた上田氏は、「自民党、公明党、政府を含めた共通の最優先の課題であるという位置付けをするために明記した」と回答しました。さらにこの目標の実現の見通しとして、足元の情勢と消費税率引き上げの再延期が不確定の要素としてあり年度を特定することは難しいと断りながらも、「少なくとも物価目標についてはこれから2カ年の間に達成可能だと思うし、成長率も5年以内に達成可能だ」と語りました。

 また、公明党の公約は全てが、「目指します」となっており、努力だけを国民に説明し、明確な約束がない、ことなどにも質問がありましたが、それに対する上田氏からの回答はありませんでした。

長妻氏 「経済成長の目標や政策の財源を公約で明らかにしないのは、09年のマニフェストの反省から」

160620_nagatsuma.jpg 民進党の長妻昭・代表代行は、個人消費が2年連続でマイナスになったことや実質賃金も5年連続でマイナスになっていることなどに言及した上で、経済成長ができていない要因として、特に「格差の拡大」を指摘しました。

 長妻氏は、「分配なくして成長なし」という考え方が、世界の共通認識になりつつあるとした上で、「格差が拡大して富とチャンスが偏り、人々の能力の発揮や個人消費が阻まれている。今こそ3年半にわたるこれまでの経済政策を変えるときだ。「分配と成長の両立、人への投資、働き方革命、成長戦略」という民進党の公約の表現を引用しつつ、アベノミクスを改め、人への投資を拡大すべきと主張しました。

160620_yumoto.jpg しかし、会場からは「民進党の公約はこうした政策の姿勢は分かりやすいものの、目指すべき経済成長や様々な施策の財源は説明されておらず、公約としての妥当性が問われる」との意見が相次ぎました。工藤の他に、評価委員の湯元氏も、「財源がない公約はそれが実現できるか、信頼を得ることは難しい。『2020年にプライマリー黒字を実現する』と書いても、公約には目指す経済成長も書かれていないために、税収がどう見込めるのかも分からない。こうした公約のあり方をどう考えているのか」と、厳しく指摘しました。

 長妻氏は、手元には財源も含めた支出と収入の表がある、と断った上で、「公約についての増収と支出は分析しているが、経済成長の数値を出すことがいいことなのか、疑問がある。2009年のマニフェストの際は財源や支出もそれを全て公約に載せたが、実行ができなかったものや、正確に予測できないものもあり、結果的に国民の皆さんに誤解を招いた。そうした過去の反省もある」と答えました。

小池氏 「そもそも方向が間違っていると言わざるを得ない」

160616_koike.jpg 日本共産党の小池晃・書記局長も、消費の伸び悩みを指摘し、「『アベノミクスは道半ば』と安倍首相は言うが、1年経っても2年経っても3年経ってもずっと『道半ば』なわけで、そもそも方向が間違っているのだろうと言わざるを得ない」と断じました。そして、共産党が考える経済成長のシナリオとして「最低賃金の引き上げ」を重視すると語り、「最低賃金の引き上げは確実に、購買力の向上、消費に結びつく。それが日本経済を活性化し、中小企業の経営も改善していく。真の『経済の好循環』はここにあるのではないか」と、従来からの発想を転換すべきと主張しました。

160616_yumoto.jpg これに対して、湯元氏が、日本の経済成長や企業の稼ぐ力をどのような政策で高めていこうとしているのか、と質問を投げかけました。小池氏は、「分配のためには原資が必要だ」ということには同意した上で、外需を否定するわけではないが、「国内需要をもっと活性化することに力を注ぎ、そのために働き方のチェンジを行い、個人の購買力を高めていく。さらに、社会保障制度の拡充で将来不安を取り除くということがセットで必要ではないか」と語りました。

財政再建と社会保障
―消費税増税の再延期の中で社会保障の財源や財政再建をどう確保するのか

新藤氏 「仮にうやむやにすることがあれば、私個人として政党の中でそれを許容しない」

160621_shindo.jpg 新藤氏はまず、「消費税10%への引き上げを2019年10月まで再延期することの是非も、参院選で信が問われることになる」とした上で、消費税を延期した理由として、消費の伸び悩みに対して可処分所得を増加させている途中であり、国民が税負担に耐えうるための猶予が必要であること、次に、世界経済が通常の景気循環と違う動きを見せていて、不穏な要素があること、最後に、日本が世界経済のけん引役となるために消費の停滞を招かないようにすること、の3点を挙げました。

 そして、消費税の引き上げを見送ったことで、「社会保障の充実をどうするのかということが大きな議論になる」と語りました。具体的には、政策に優先順位を付けていく必要があるとし、「保育の受け皿の50万人確保、介護離職ゼロに向けた介護の受け皿50万人分の整備はスケジュール通りやる。保育士や介護職員等の処遇改善、その他の一億総活躍関係の政策も実行する」と説明しました。また、次の消費税の増税の延期に伴う財源に関しては、「赤字国債は発行しない」と断言した上で、アベノミクスの成果によって、2009年度から14年度までで失業給付が0.8兆円減少し、雇用世保険の積立が6兆円積み上がっていること、生活保護も減少していることなどを紹介し、「様々な努力、政策の効果をミックスさせながら税率を引き上げるまでの社会保障充実は最大限努力していく」と語ったものの、公約に掲げた安定財源確保に関しては、曖昧な表現にとどまりました。

 これに対して工藤はまず、財政再建について、公約で2020年度のプライマリーバランス黒字化目標を堅持していることを指摘し、「政府の試算では、仮に消費税を予定通り引き上げ、日本経済が実質2%、名目3%と高めで成長してもこの目標には6兆円足りないということが出ている。消費税引き上げを延期してもこの目標を実現できる根拠を示すべきだ」と迫りました。新藤氏は、2020年のプライマリーバランス黒字化目標の達成は現状では厳しい、との見通しを示しつつも、「私たちの挑戦」として、「経済成長に伴う税収増に伸び代があることや歳出削減にも大きな余地があることから、不可能ではない」として目標を堅持する方針を示しました。しかし、その明確な根拠は示しませんでした。

 さらに、工藤は、政府で閣議決定した骨太の方針で掲げた「2018年度にプライマリー赤字をGDP比で1%にする」という中間目標は達成可能か、と問いましたが、これに対しては「そこは税率が上がらないので難しいと思う」と認めました。
また、言論NPOの政策評価委員でもある河合正弘氏(東京大学公共政策大学院特任教授)が、「2014年12月の引き上げ延期の際も、17年には必ず増税すると約束していた。それにも関わらず、『新しい判断だ』といって今回の延期も実行されたことで、『次は必ず引き上げる』と言っても誰も信用しないのではないか」との危惧を示すと、新藤氏は、「うやむやにすることは絶対にない」と断言しつつ、「仮にうやむやにすることがあれば私個人として、政党の中でそれを許容しない」と語りました。

上田氏 「無責任と言われるかもしれないが、現時点で回答するのは非常に困難」

160623_ueda2.jpg 公明党の上田氏は、「経済に良い流れが来ている中、これを逆戻りさせてはならない。財政健全化のためにも経済成長を安定した速度に乗せることが最優先だ」と語り、増税再延期はやむを得ないとの見方を示しました。

 財政再建については、「いずれ臨界点が近付いていると感じている」と語る一方で、「現状は持続可能な範囲である」と楽観的な見通しを示し、財政健全化の道筋について「(2019年10月までの)2年半の間にはきちんとした責任を持った内容を示さなければならない」としました。

 これに対して工藤が、公約に掲げられた「財政健全化目標を堅持する」の達成根拠を尋ねると、「無責任と言われるかもしれないが、現時点で回答するのは非常に困難であり、これから一つひとつ洗い直しながら歳出の削減に努めていく」とし、具体的な方法については言及を避けました。

 工藤はさらに、消費税引き上げ延期が、公明党が熱心な社会保障に大きな影響を与え巣以上、政権選択ではない参議院選挙だとしても、延期を踏まえ、財源を含めた取り組みに関して政権合意を結び直すのが筋ではないか、と問いかけました。

 これに関して上田氏は、「非常に本質的な話であり、再延期を選択した時には、ご指摘の点が最大の課題だと思った」と認めた上で、「消費税の延期に対する財源面の課題は二つある。第一は、社会保障に必要な資金は毎年増えており、2年半後に10%に引き上げても対応ができなくなってしまうこと、第二に、この2年半の財源をどう確保するのかということだ」とし、「支障が出ることは避けられない」と語りました。

 その上で、行う政策を絞り込んでいくことの必要性を指摘し、その中で優先的に取り組む課題としては「低年金者対策」と「子育て支援、保育所と放課後児童クラブの問題」を挙げました。前者については、低所得の高齢世帯にきちんと手当をすることによって消費全体を喚起するとし、また、後者については、女性がもっとフルタイムで仕事ができる環境を整え、労働人口を確保するものだと語り、「どちらも経済社会に対するインパクトが大きい課題だ」と説明しました。

長妻氏 「20年のプライマリー目標堅持について、責任ある財源数値を野党が出すのは難しい」

160620_nagatsuma.jpg 民進党の長妻氏は、安倍首相が「消費税の先送りは争点だ」と指摘していることについて、消費税引き上げの先送りに関して国民の中でも賛成が多いこと、全ての野党が今の経済状況で増税することに反対していること、引き上げと同時に導入される軽減税率に反対であり、給付付き税額控除を導入したいと考えていることなどを挙げ、再延期を支持しつつ、「野党も国民の大半も再延期を支持している以上、これは選挙での争点にはならない」と述べました。

 社会保障政策については、増税を前提としたものでも約束通り実施すると明言。そして、2年限定の財源として、「行政改革実行法」と「財政責任健全化推進法」により徹底的に無駄を省いて財源を捻出すると述べると同時に、金融所得課税を今の20%から5%上げて25%にし、この増収分を充てると説明しました。
もっとも、長妻氏は「これですべて賄えるとは断言できない」とし、不足する分については「2年限定で国債を発行していく」と説明しました。

 消費税の増税の2年先送りにもかかわらず、民進党も2020年のプライマリーバランス黒字化目標を掲げていることについて長妻氏は、「2020年度の黒字化は国際公約でもあり、できる限り実現していく」と目標を堅持するとし、自民党とは異なり、「前年度分の消費増収がフルに入ってくるタイミングである2019年4月に、消費税を10%に引き上げる」ことを主張しました。

160620_kudo.jpg これに対して工藤が、「財源も示せないのに、プライマリー黒字が実現できると評価することはできない。数字的な根拠を選挙期間中に公表することはあり得るのか」と質したところ、長妻氏は、民進党が今、政権に入っていないことを理由に、「行革でいくら捻出し、歳出カットでいくらできるか」といった具体的な金額、責任ある数字は出せない、と語りました。そして長妻氏は、「まず、安倍政権が、どのような道筋で黒字化できるのかという数字を政府試算で出した上で、我々も含めて議論に参加していくことが望ましい」と見解を述べました。

小池氏 「少子化は避けられない以上、政治としては将来に希望の持てるプランを示して、好循環を図っていく道しかない」

160616_koike.jpg 共産党の小池氏は、増税再延期を当然としつつも、他党とは異なる問題意識として、「そもそも消費税に頼るやり方には絶対に将来はない」と断じ、「別の道」を提起しました。

 共産党の財源確保についての考え方として、まず、大企業に対しては法人税率の引き下げを中止し、安倍政権以前の水準に戻すなどして応分の負担を求めること、富裕層に対しても課税を強化すること、所得税や相続税の最高税率を戻すことや、高額な株取引や富裕税での財源確保、社会保険料の上限の引き上げ、さらには軍事費、大型開発予算、原発関連、政党助成金なども見直していくことで合計約22兆円を確保していく、と説明しました。一方で、社会保障充実のためには大企業や富裕層の負担だけでは財源を捻出できないとした上で、その不足する分については「消費税ではなく、所得税で賄う」と述べ、その代わり、最低保障年金の創設や医療の窓口負担の軽減などを実現する、としました。

 そして、社会保障を削減せずに、人々の生活に安心感をもたらすことによって、「自然増収を図り、名目2%程度の成長が実現できれば、10年後には20兆円くらいの自然増収になるだろうということで、2030年頃にはプライマリーバランスを黒字化する」との見通しを示しました。

160616_kudo.jpg これに対して工藤は、共産党が公約で数値目標と財源を掲げたのは初めてであり、公約の妥当性がかなり向上し、国民にも分かりやすくなった、ことは評価しつつも、2030年は人口減少や高齢化がかなり進んでおり、その段階で目標の成長を提示することは手遅れにならないかと、質問しました。

 小池氏は、「今のように消費税頼みでの社会保障削減では、少子化を加速させ将来不安を煽るだけ。少子化は避けられない以上、政治としては将来に希望の持てるプランを示して、好循環を図っていく道しかない」と語りました。

少子高齢化と人口減少―安心できる社会の実現に向けてどう取り組むか

新藤氏 「自律経済が回れば財源的にも新しいステージができる」

 工藤は、言論NPOが行った有識者アンケートで6割が日本の将来を悲観的とみており、さらにその理由として6割の有識者が「日本の将来課題に、政治から提案が出されていない」と回答していることに言及し、「自民党は、急速に進む高齢化や人口減少にどう取り組むのか、その説明が公約では弱いのではないか」と問いました。

160621_shindo.jpg 新藤氏は、人口減少問題を「国家的課題」とし、「仮に今、人口置換水準の出生率2.07を達成しても実際にこの国の人口減少が止まるのは80年後で、今すぐに取り掛からなければならない。それができないと国の経済や国民生活、我々の子々孫々に重大な影響を及ぼす」と強い危機感を表明すると同時に、「解決の道筋を決めるのは、今生きている人たちの責任だということを国民全体が知るべきだ」と語りました。

 また、人口減少に取り組むために「『子どもを産んでください』ではなく、産んで育てられる社会をつくることが重要だ」と語り、少子化対策や福祉政策を日本の経済成長戦略の中に組み込んで「新・三本の矢」として打ち出したことの意義を強調し、具体的な政策としては、前述の保育の受け皿の50万人確保や、保育士の処遇改善などを挙げました。

 さらに、新藤氏は人口減少問題に関連して、「地方から大都市への人口流出が止まらない。マクロ経済がいくら大きくなっても、自分たちが住んでいる地域でその恩恵を感じられなければ、人はみな経済の活性化している大都市に移っていってしまう」と問題提起しました。

 そして、同党が取り組む「地方創生」によって、「地域の自立・活性化、新しい産業の樹立、地域における教育や医療、福祉の提供、さらには防災対策。それらをすべて加味した中で、それぞれの街に住み、生活していける地域経済をつくらなければならない」と主張し、そのように「あらゆる政策の受け皿になっていくもの」である地方創生を今後も徹底して追求していく決意を表明するとともに、その際、特にICTによるイノベーションを重視していくと述べました。

 これに対しては、政策評価委員の湯元氏は、こうした少子高齢化や人口減少に対する政策で目指す政府の一億総活躍社会について、「問題の本丸に切り込もうとしているのは分かるが、示された政策もそう簡単に達成できる目標ではない。そうした社会を実現するために必要なトータルで投入すべき予算や財源をどう考えているのか」と問いました。

 新藤氏は、「経済が成長すれば税収も増え、政府の予算で対応もできる。また、膨らんだ企業の内部留保を投資や賃金に回すために、我々が政府として徹底して後押しをしなくてはならない。自律経済が回れば様々な副次効果もあり、財源的にも新しいステージができると思う」と語り、予算の総額や財源の全体像は明らかにしませんでした。

上田氏 「将来の社会保障財源にはさらなる消費税の議論も避けられない」

160623_ueda2.jpg 上田氏は、人口減少や少子高齢化で、同党がこれまで子育て支援や少子化対策に国政レベルでも地方レベルでも力を入れてきたという経緯を紹介し、「これらが一億総活躍プランの柱であり、公明党がその成功に責任を負っていることの自覚を持たなければならない」と強い意気込みを口にしました。

 そして、具体的な政策手段としては、保育所待機児童解消のための小規模保育や事業所内保育などの多様な保育を含めた受け皿の拡大、保育人材の確保、さらには給付型奨学金の創設などを挙げました。
これに対して工藤は、「公明党の公約では確かに政策は列挙されているが、人口減少が迫る日本の将来に対してどう対応するのか、全体像が見えない。財源も不足も確実視されるなかで、安心できる社会をどう設計するのか」と、問いました。

 上田氏は、「人口減少や少子高齢化が進む中で一番重要なのは社会保障の持続性だ」とした上で、「年金は改革の結果ある程度の持続性は保たれており、足りないのは低年金と無年金の手当である。またもう一つの大きな課題は介護だ」とし、ここでは「いわゆる、自助、共助、公助を組み合わせ、介護の問題に取り組まなければならない」と説明しました。
上田氏はさらに、「これらは最終的に消費税を財源に充てることになるが、現状では正直に言って予算は足りないと思っている」と付け加えました。

 これに対して工藤は、「日本の将来を見通した場合、消費税10%でも足りないということか」とたたみかけると、上田氏は「GDP3%の成長が実現し、社会保障財源の効率化を図っても10%ではかつかつではないか、と思っている。やはり財源の確保はもう一度議論しなくてはならないし、選挙期間中は言いにくい話だが、私は将来の財源にさらなる消費税は避けられず、税制改革も必要だと考えている。だからこそ軽減税率を提案させていただい」と話しました。

長妻氏 「負担をお願いしても選挙で負けない勢力が実現しないと、日本の将来は相当危ない」

160620_nagatsuma.jpg 長妻氏は、人口減少の原因について、結婚している世帯の子ども数が2人弱というデータを紹介した上で、「結婚しない方が圧倒的に増えたということが少子化の最大の原因の一つだ」と分析しました。そして、非正規社員と正社員では結婚率に約2倍の差があることから、「希望すれば正社員になって結婚できる社会をつくっていくことが大事になる。すなわち、ここでも『格差是正』こそが重要な課題になる」と述べ、そのための政策として同一労働同一賃金の導入などを訴えました。

 これに対して工藤は、公約では貧困や格差に取り組んでいくことは読み取れるが、将来の人口や高齢化について取り組むべき課題に関して、どのようなスタンスを持っているのか、疑問を投げかけました。

 高齢化対応について長妻氏は、まず、現役世代が高齢者(65歳以上)を支える構造になっている社会保障制度に対して、「65歳以上は本当に支えられる側なのか」と問題提起。その上で、そのような決めつけではなく、「民進党は『支え合う力を育む共生社会』を目指す」と主張しました。その具体的なイメージとしては、「地域の小学校区、中学校区単位で、上からの押し付けでなく新しい地縁をつくっていく。介護を担う地域包括ケアセンターを、介護のみならず、地域の新しい地縁、見守りのネットワークの拠点として使っていくような社会像を考えている」と語り、「誰も置き去りにしない社会」というキャッチフレーズを打ち出しました。

 また、長妻氏は移民の受け入れについても、「将来的には国民的議論をする必要が出てくる時期が来るのではないか」と指摘しました。

160620_yumoto.jpg 評価委員の湯元氏は、「人口減少や高齢化での行政を考えると財源捻出が難しくなってくる。10%後の将来の消費税をどう考えているのか」と問いかけましたが、長妻氏は、「中長期では国民的な議論の結果、ある程度の負担は必要になってくると思う」とし、その際には「負担を国民にお願いしても選挙では負けない勢力が実現できないと、日本の将来は相当危ない」と語りました。

小池氏「まさに今がこれ以上の少子化を食い止められるか否かの分かれ目である」

160616_koike.jpg 共産党の小池氏は、少子化については、まず、「長時間労働の是正などの働き方の改革がどうしても必要だ」と語りました。小池氏は今、子育てが非常に困難になっている最大の理由を、仕事と子育ての両立ができなくなっていることだと分析。そのため、「残業時間の上限規制を、労働基準法できちんとやっていくべきだ」と指摘しました。また、「同一労働同一賃金」を実現し、格差を是正するためにも「労働者派遣法改正は元に戻してもらうことがどうしても必要ではないか」と述べました。

 小池氏は次に、認可保育所を増やすことの必要性に言及し、「30万人分、3000カ所の認可保育所」をつくるために、「国有地、公有地、無償提供なども含め、緊急課題としてやっていく」と述べました。

 小池氏は他にも、子育ての経済的負担の軽減に関して、「子どもの医療費の無料化や保育料の軽減」も課題として挙げ、最後に「これらの政策に本腰を入れて取り組んでも、少子化のスピードを少し遅らせることができるかどうか」と述べ、「今のように長時間労働を進め、非正規雇用を広げる形では少子化は加速するだけであり、まさに今がこれ以上の少子化を食い止められるか否かの分かれ目になってくる」との認識を示しました。

外交・安全保障―日本の平和をどう守っていくのか

 安全保障や外交に関して、自民党との討議ではアベノミクスや消費税引き上げの延期問題に議論が集中したため、説明を求めることができませんでした。

上田氏 「中国の海洋進出に対しては、今回の公約で、国際法に則った対応、を盛り込んだ」

160623_ueda2.jpg 上田氏は、公明党の公約についてまず、「日米同盟の強化が日本外交の基軸であるということを今回、明確に位置付けた」と説明。その上で日中関係、日韓関係、東南アジア外交などについても、議会の交流等様々なレベルの交流を盛んにすることで進めていく方針を示しました。特に日中関係については、尖閣周辺で再び緊張が非常に高まっている中では、「いま、一番懸念されていることは、突発的な衝突だ」との認識を示した上で、「海上連絡メカニズム」の早期運用開始を重要課題として取り組む意向を示しました。

 これに対して工藤が、海上連絡メカニズムは合意されているにもかかわらず、政府間で実現できていない現状、さらに南沙問題を含めて中国の様々な行動について公明党がどういう認識をもっているのか、北東アジアの平和に対する公明党の役割について問いかけました。

 上田氏は、「外交において、政党は一定の役割を果たすことができるものの、最終的に外交交渉ができるのは政府だ」とした上で、中国との関係においては、政党として中国共産党と長い交流の歴史があり、山口那津男代表も国家主席就任前の習近平氏と会談し、総理の親書を渡すなど独自に政府をサポートする動きはしてきた、と振り返り、「そういったことは、政党の役割として果たしていきたい」と語りました。一方、日中関係については「これまで『友好』しか言っていなかったが、中国による海洋進出に対しては、今回の公約に『国際法に則った対応を求めていく』ことを盛り込んでいる」と強調し、「国全体で政府も与党も協力して取り組むべき課題である」との認識を示しました。

長妻氏 「トランプ大統領の場合、日本も戦略を大幅に変更する必要が出てくる可能性はゼロではない」

160620_nagatsuma.jpg 長妻氏は、アメリカの力の相対的な低下や中国の台頭など世界のパワーバランスの変化を踏まえながら、安全保障、外交について、「日本は事前に予防する力をもっと身に付ける必要があるのではないか、という大きな問題意識がある」と語りました。ただ、「だからといって、我が国の国柄を変えるような集団的自衛権、特に自民党の憲法草案にあるような、9条を変えて、制約がないかたちで海外での武力行使が可能になるような方法ではなく、あくまで憲法の範囲内で各種の法律を変えて守りを万全にする」と述べました。

 長妻氏は、昨年9月成立の平和安全保障法制について、民進党は「廃止すべきだという立場だが、だからといって、現行の自衛隊法等で日本の国の守りが万全だとも思っていない」とし、「あくまで憲法の範囲内で各種法律を改正する必要がある。一つは、いわゆるグレーゾーン事態というもので、武装漁民、工作員等々の上陸に備えて、警察・海保、いわゆる警察権と自衛隊とが密に連携して迅速に対応できるようにする。具体的には領域警備法をつくる。そしてもう一つ、周辺事態法も不備があるので、この周辺事態法を改正する。さらに、PKO法についても改正し、憲法の範囲内で日本の安全を守り、世界の平和に貢献していく」と同党の方針を解説しました。

 長妻氏は最後に補足として、上記のような方針は、日米安全保障条約とアメリカとの協調があるという前提であり、「仮にトランプ大統領が誕生して大きく変更がある場合には、日本も安全保障について大幅に戦略を変更する必要が出てくる可能性はゼロではない」と付け加えました。

小池氏 「アジアの将来的な平和は、特定の国との軍事同盟ではなく、アジア全体を見据えるような集団的な安全保障体制を作っていくことが、基本的な考え」

160616_koike.jpg 小池氏は、共産党の安全保障政策の最優先事項として、安保法制の廃止を挙げ、その理由として当面の脅威と考えられる中国に対しては個別的自衛権で対応可能なこと、安保法制の施行後初となる南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)には大きな危険が伴うことなどを挙げました。

 さらに、近隣諸国との外交については、過去の歴史の総括が大前提とした上で、対話による紛争解決を軸とする、周辺国と米露が参加した「北東アジア平和協力構想」を提示し、これを「安保法制に対する対案だ」と述べました。

 また、工藤から「アメリカが世界への関与から徐々に撤退する中、中国の台頭を中心とする日本周辺の安全保障環境の変化に対して、安保法制抜きでどのように対応していくのか」と質問されると、小池氏はまず、自衛隊は、特に軍備を増強しない現状のままでも世界でも有数の「戦力」であるとして、専守防衛に徹するのであれば十分な戦力であると主張。また、これに関連し、共産党は憲法9条が掲げた「軍隊に寄らない国作り」の理想は追い求めるべきと思っているが、「自衛隊の即時解消」を主張しているわけではなく、現在の北東アジアの安全保障環境では国民の賛同も得ることはできないだろう、と語りました。

 なお、日米安全保障条約については、「例えば、尖閣有事に際して米軍の出動を米国議会が承認するとは思えない」と語り、軍事同盟を基礎としない新しい日米関係のあり方を規定するものとして「日米平和友好条約」を提案しました。
また、アジアの将来的な平和は、特定の国との軍事同盟ではなく、アジア全体を見据えるような集団的な安全保障体制を作っていくことが、共産党の平和構想の基本的な考えだと、主張しました。

 さらに、工藤の米大統領選についての質問に、小池氏は、トランプ氏が日本など同盟国に駐留米軍経費の全額負担を求める考えを表明していることに言及しながら、これを「日米安保のあり方を見直す良い機会だ」と語りました。

民主政治、憲法
―国民に向かい合う政治、政治と有権者との緊張感ある関係を作り出せるか

新藤氏 「改憲は今ここで乱暴に急に考えてやるものではない、との思いで公約を考えている」

 ここでは、民主政治における選挙、公約の意味や、国民に向かい合う政治に対する姿勢、さらには、今回の参議院選の結果次第では現実化する改憲に対する姿勢を、4氏に聞きました。

 まず、工藤は新藤氏に対し、「2014年の衆院選時、自民党は消費税増税の先送りを争点にし、さらに『翌年の夏までには財政再建のきちんとしたプランを明らかにする』と言ったにもかかわらず、その後の国会論戦はほとんど安保法制の話ばかりだった。このように、選挙時に国民に言ったことをその後まったく継続しない一方で、選挙時に言わないことをやっていたのでは、選挙の持つ意味が非常に形骸化してしまうのではないか」と問いました。

160621_shindo.jpg これに対し新藤氏は、「まず、選挙を当選するための手段であると考えてはいけないと思っている。そもそも、一番やってはいけないことは、手段の目的化だ。例えば、政権交代も手段にすぎない。手段が目的化すると、目的達成のあとに何をやっていいか分からなくなってしまう。当選をして議席を持ち、また政権を維持して仕事をすることが目的になる」とした上で、「最大限国民の皆さんに分かりやすい、そしてご期待をいただける、実行可能なものを提案する。これができるかどうかが重要だが、そのためにはその時々の状況によって変えるものは変えるし、守るものは守る。自分たちがこの国のために役に立つと思ったことは、徹底的に信念をもってやり遂げる。その覚悟が必要だが、それを自分たちの既得権益のためにやるようであれば、有権者が審判を下すことになるだろう」と語りました。

 また、評価委員の田中弥生氏(大学改革支援・学位授与機構教授)などから、「日本の将来は厳しい、と多くの人は不満に思っているが、公約にはそうした課題認識からの説明がほとんどない。国民に対する説明不足ではないか」という疑問がぶつけられました。

 新藤氏は、「隠しているのではなく、政治というものはそれを乗り越える目標としてポジティブに考えている。選挙公約は『やるべきこと』であり、その背景などは公約に書き込む、というよりも、その前段として皆さんに説明すべきものだと思っている」と答えました。

 次に改憲について、工藤が、今度の選挙結果によっては、参議院でも改憲を掲げる勢力が3分の2を超え、国会による発議の要件を上回る可能性があることを指摘し、「しかし、公約ではあまり説明されていない」と問いました。
新藤氏は、「憲法を改正することは我が党の立党の原点であり、党是」としつつも、「それは究極の目標であり、憲法改正のために選挙や政治をやるわけではなく、仕事を進めていった結果として憲法改正にたどり着かなければいけない」とし、「今ここで乱暴に、急に考えてやるものではない、との思いで(公約を)考えている」と説明しました。

上田氏 「具体的な改革案がない段階で議席数の議論をしても意味がない」

 改憲に関しては工藤が「今回の参議院選で、与党の議席数によっては改憲が具体的な政治日程に上がってくる可能性があるが、公明党はどう対応するのか」と質問しました。上田氏は、そうした関心が集まっていることは認めた上で、「(議席数の)3分の2は単なる数字あわせであって、今の段階では別に憲法改正の案があるわけではなく、あまり意味がない議論だ」としました。

160623_ueda2.jpg 自民党の草案に関しては、「私たちも与党として協議を求められているわけでもない。自民党単独で3分の2あるのならば別だが、そうではない以上、安倍首相が言っているように憲法審査会で議論することになり、そこで案がまとまって初めて発議される。さらに国民投票というハードルもある。野党が盛んに宣伝している『今回の議席次第で発議』というような話は、現実味があるとは思えない」と語りました。

長妻氏 「自民党草案での改憲は危険、改憲勢力の参議院での3分の2を阻止する」

160620_nagatsuma.jpg これに対して、長妻氏は憲法改正問題に関連して、自民党の憲法改正草案について、制約のない集団的自衛権を認めていることや、憲法97条では「基本的人権の尊重」という条文を全部削除していることに対して強い懸念を表明。その上で、民進党が公約で掲げた「まずは3分の2をとらせない」というキャッチフレーズを紹介。それを掲げた理由として、「自民党は、「憲法改正は選挙後で」と言って選挙時の争点化を避けているが、参議院で(与党が)3分の2をとったら議論もほとんどなく変えていくという方向になると思うので、これについての危機感を共有するような公約の書きぶりをした」と解説しました。

 長妻氏は「現行憲法に指一本変えてはいけない、ということではなく、知る権利や環境権など新しい権利を盛り込むことは必要だが、自民党の草案は非常に危ないと感じている」と強調し、さらに「放送局の電波の停波など、自民党からマスコミを委縮させかねない発言も出ている。我々は、『政府批判を忘れた国はいずれ大きな過ちを犯す』と考えており、批判のきちんとできる社会は守り抜いていく」ことや、「LGBTの方々に対する差別解消など多様な価値観、多様な生き方を認めていく。これが我々民進党の大きな理念の一つだ」と主張しました。

小池氏 「安倍首相の国会での憲法を無視し、踏みつけにし、理解しようともしない姿勢は、政策以前の問題。根本的な問題として今、立憲主義が侵されている」

160616_koike.jpg 小池氏は「今回の参院選は、野党の共闘を鮮明にした選挙であり、そのために、安保法制廃止の国民連合政府をつくるための野党協力をする。そして一人区で候補者をほとんど降ろす決断もした。これは共産党にとって初めてのことだ」と説明しました。そうした判断をし、連携に踏み切った理由として、小池氏は、安倍首相の国会でも行動に言及し、憲法を無視し、踏みつけにし、理解しようともしない姿勢は、「政策以前の問題」で有り、「根本的な問題として今、立憲主義が侵されている」と述べました。

 小池氏は、「民主政治の基本というのは立憲主義だ。どんな多数を取った政党であってもやはり憲法の秩序は守らないといけない。今までの自民党政権も9条の解釈についてはいろいろと我々と意見の違いはあったけれども、少なくとも『海外での武力行使や海外派兵、集団的自衛権の行使はできない』と言ってきたことを一閣議決定でひっくり返すということはやらなかった」と述べました。そして、議会で安倍首相が「私は立法府の長」とか、女性議員の質問者に「早く質問しろ」と発言するなど目に余る行動は、政策の違いはとりあえず脇に置いてでも取り組まなければならない「喫緊の課題」であり、「安倍政治そのものが問われている」と主張しました。

 改憲に関しては小池氏も、長妻氏と同様の認識を示し、国防軍の創設や緊急事態条項などを掲げる自民党の改憲草案を「国家を縛る憲法から国民を縛る憲法に転換するものだ」とした上で、憲法改正を参院選の争点から外そうとする自民党の姿勢を批判しました。


 今回の4党の政策責任者との議論を振り返って工藤は、「選挙とは有権者と政治の契約であるが、公約は一部の政党を除いてその役割を果たしているとは思えない。今回の政策責任者との対話である程度本音に迫ることができたが、緊張感ある関係を有権者と政治の間に作り出すためには、有権者が日本の将来の政策を考える力を身に付け、有権者が強くなるしかない。そうすれば日本の政治も課題に誠実に向き合うこととなる。私たちは日本の将来を真剣に考えながら7月10日の投票に臨みたい」と述べ、今回の議論を締めくくりました。

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