日本の将来を提言する

2017年衆議院選挙 マニフェスト評価(エネルギー・環境政策)

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評価の視点

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 これまで原子力発電を基幹エネルギーとして位置付けてきた日本のエネルギー政策は、2011年3月の福島第一原発事故を機に大きな変容を迫られている。政府は、2014年4月閣議決定の「エネルギー基本計画」の冒頭では、「原発依存度を可能な限り低減する」と明記し、翌2015年の「長期エネルギー需給見通し」で、2030年の電源構成の見通しとして、原発の比率を20~22%と決めた。

 そのような状況の中、マニフェスト評価では、各党は党として原子力発電をどう位置付けているのか。再エネ、火力発電等原子力以外のエネルギーをどう位置付けているのか。そして、自党のエネルギー政策の構想を実現するためにどのような政策体系を打ち出しているのかを見ていく。

 そこで特に重要な評価の指標となるのが、工程表の提示である。原発をやめるにしても、利用し続けるにしても工程表の提示は必須である。原子力・エネルギー政策は20~50年先を見据えなければならない。どのような政策を採用するにしても、その影響が広く大きくかつ長期に及び、また、プラス面とマイナス面がともに存在するため、その全体像がわかりにくい。単なるスローガンや目先の話だけでなく、有権者に対して、政策の直接的効果のみならず、波及的効果、副作用、コスト負担、出口戦略など、様々な要素も含めて工程表を提示し、将来の見通しを説明していくことが求められる。

 一方、環境問題とりわけ地球温暖化対策も重要課題である。2015年に「パリ協定」が採択され、日本は「2050年までに80%の温室効果ガス削減」という目標を打ち出している。こうした状況の中、党としてどのようにこの目標を実現しようとしているのかを見ていく。そこでは、エネルギー政策と温暖化対策との両立可能性も検証していく。そして、ここでも目標達成に向けた工程表は必須であるので、その提示の有無をチェックしていく。。

主要8党の評価点(エネルギー・環境政策)

自民党
21点

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公明党
17点

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希望の党
23点

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立憲民主党
18点

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日本維新の会
17点

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共産党
15点

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立憲民主党
14点

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【 評価点数一覧 / 自民党 】

項 目
自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
8
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
6
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
13
合 計
21

【評価結果】自民党 マニフェスト評価
      合計 21 点 (形式要件 8 点、実質要件 13 点)

【形式要件についての評価 8 点/40点】

 自民党は「政権公約2017」において、原子力政策について独立した項目を設けていない。代わりに、付属の「自民党政策BANK」という政策集の中で、「経済再生」という大項目の中の一項目として、「エネルギー」という項目がある。

 その中でエネルギー政策に関連するものとしては、「『エネルギー基本計画』を踏まえ、徹底した省エネ、再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化などにより、原発依存度を可能な限り低減」や、「安定供給を確保し、経済成長とCO2排出抑制を両立させるバランスの取れたエネルギーミックスの実現に向け、責任あるエネルギー政策を遂行する」、「原子力は安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源との位置付けのもとに活用」、「いかなる事情よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会によって世界最高レベルの新規制基準に適合すると認められた場合には、立地自治体等関係者の理解と協力を得つつ、原発の再稼働を進める」などがある。温暖化対策に関連するものとしては、「地球温暖化を食い止めるため、『パリ協定』の実施に貢献する。再生可能エネルギーの導入拡大等により、2030年度温室効果ガス26%削減目標の達成に取り組むとともに、2050年80%削減を目指し、経済成長につなげるための長期戦略を策定する」とある。

 様々な目標を打ち出している一方でその上位にある理念は判然とせず、達成時期に関する明確な記述も見られない。さらに、目標実現に向けた工程表らしきものも見当たらない。

【実質要件についての評価 13 点/60点】

 「評価の視点」で示したように、現行のエネルギー基本計画を受け、2015年7月に政府が閣議決定した「長期エネルギー需給見通し」で、2030年度の電源構成における原発比率を「20~22%」と定めている。政権与党として自ら定めた以上、自民党の原子力政策はこの比率をベースにするものと思われるが、原発の運転期間40年の原則にのっとれば、2030年には15%程度となる。目標との5~7%差の部分は、最長20年の運転延長、または新増設やリプレース(建て替え)を行わないと確保できないということになる。

 しかし、これまでの政府の議論を見ても、新増設やリプレースについてはまったく議論していないが、公約でもこうした現状と計画の齟齬をどう埋めていくのか、方策や工程表はまったく示されていない。長期的なビジョンが求められるエネルギー政策において、目標実現に向けた工程表が示されていない点は大きな減点要素である。こうしたことから「責任あるエネルギー政策」を果たす公約にはなっているとはいえない。

 再生可能エネルギーに関しては、現在の系統システムは再生可能エネルギーの大規模導入に対応しうるものになっておらず、さらに国民負担増大の問題があるため、これらの点について言及しているのは、課題抽出として一定の妥当性はある。しかし、課題抽出で終わっており、再エネ普及拡大に向けた具体的な工程表が示されているわけではない。

 原発の再エネもその将来像が見えない中では、「2050年までに80%の温室効果ガス削減」目標達成の成否も見えなくなっている。また、「長期戦略」を策定するとしているが、こうした工程表は選挙前に提示しなければ有権者はその妥当性を判断できないものであり、説明責任上問題がある。

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【 評価点数一覧 / 公明党 】

項 目
公明党
形式要件
(40点)
理念(10点)
3
目標設定(10点)
4
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
7
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
10
合 計
17

【評価結果】公明党 マニフェスト評価
      合計 17 点 (形式要件 7 点、実質要件 10 点)

【形式要件についての評価 7 点/40点】

  公明党は「重点政策」において、「力強く伸びる日本経済へ」という大項目の下に、「環境・エネルギー戦略」という項目を設けている。その中で、エネルギー政策に関するものとしては、「原発の新設を認めず、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化を図り、原発に依存しない社会・原発ゼロを目指す」や、「原発立地地域の財政・経済雇用対策に万全を期す。再稼働については、原子力規制委員会が策定した厳格な規制基準を満たした上で、立地自治体等関係者の理解を得て判断する」、「高レベル放射性廃棄物の最終処分問題については、科学的な知見を踏まえ、安全性の確保を大前提としつつ、安定的かつ着実に進める」などがある。温暖化対策に関連するものとしては、「『パリ協定』で国際社会に約束したわが国の温室効果ガス26%削減の達成に向け、地球温暖化対策計画の着実な実施を推進する」とした上で、その手段として「日本企業の低炭素技術の世界市場拡大」、「二国間クレジット制度(JCM)を積極的に活用」、「再エネの最大限の導入や優れた省エネ製品の導入を促進」などを挙げている。

 「原発に依存しない社会」などが理念と思われるが、達成時期に関する記述は見られない。さらに、目標実現に向けた工程表らしきものも見当たらない。

【実質要件についての評価 10 点/60点】

 原発については、再稼働に関する考え方から最終処分問題まで網羅されているので体系性はあるといえる。ただし、公約の本気度には疑問が残る。「原発ゼロ」と党の方針を明確にしているものの、政権与党である同党は、エネルギー基本計画において、原発をベースロード電源とし続けることを認めていた。連立を組む自民党はその政権公約において、「原発依存度を可能な限り低減」させるとはしているが、今後も活用する方針を示している。こういった齟齬について、どのように整合性を持たせるつもりなのか、まったく示されていない。そして、工程表もないため、説明責任の観点からは大きな問題がある。 再エネや省エネも促進するとしているが、やはり工程は示していない。

 なお、温暖化対策では、2015年に国連気候変動枠組条約事務局に提出した「2030年度に2013年度比で26%減」目標については触れているが、「2050年までに80%の温室効果ガス削減」目標には言及がない。「2050年80%削減」という目標が最初に提示された2012年から2050年まで直線的に80%の排出削減を進めると仮定した場合、2030 年時点では約38%の削減になっている必要があるが、「26%減目標」では、2012年度比で約25%の削減にとどまる。そのため、政権与党として、この国際公約をどう実現していくのか指導性が見えないものとなっている。

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【 評価点数一覧 / 希望の党 】

項 目
希望の党
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
4
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
11
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
1
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
8
合計(60点)
12
合 計
23

【評価結果】希望の党 マニフェスト評価
      合計 23 点 (形式要件 11 点、実質要件 12 点)

【形式要件についての評価 11 点/40点】

 希望の党は「政策パンフレット」において、「日本に残すべき原子力技術の保持方法を確保した上で、2030 年までに原発はゼロへ。再生可能エネルギーの比率を 30%まで向上させ、省エネを徹底したエコ社会を実現します。」としている。そして、「政策パンフレット」に付属している「政策:私たちが目指す『希望への道』」では、「地球に希望を~エコ社会を実現し、2030 年までに原発ゼロを目指す~」という項目の下、上記方針を再掲するとともに、「原発の老朽度など総合的な安全性を原子力規制委員会が厳しく確認するとともに、確実な住民避難措置が取られることを前提に、原発の再稼働を認める」ことや、「将来政権交代が起きても原発ゼロの方針が変わらぬよう、幅広く与野党合意を形成し、原発ゼロを憲法に明記することを目指す」としている。

 達成時期に関しては、「2030年までに原発はゼロ」があるが、目標実現に向けた工程表らしきものは見当たらない。

【実質要件についての評価 12 点/60点】

 「2030年までに原発ゼロ」という方針は明確である。一方で、「40年廃炉原則を徹底」しつつ、「原発の再稼働を認める」とも述べているが、その場合、2030年の12月末に40年未満の原発は、現在建設中の2基を含めて20基残ることになる。

 さらに、再エネの比率を30%にするとしているが、その方策として「開発導入支援」を挙げているのみであり、具体的な工程表は示していない。また、原子力がゼロで再エネが30%となると、火力発電が大きなウェイトを占めてくると思われるが、公約内での言及はない。

 これほどドラスティックにエネルギー供給構造を変えようとするのであれば、なおさら目標実現に至るまでの工程表は不可欠であるし、しかもそれは選挙前に出さないと国民は公約の実質的妥当性を判断できない。したがって、説明責任という観点からは減点要素である。

 他方、「将来政権交代が起きても原発ゼロの方針が変わらぬよう、幅広く与野党合意を形成し、原発ゼロを憲法に明記することを目指す」としているのは、政策実行の体制やガバナンスを強固にするものであり、評価できる。

 地球温暖化対策については、「徹底」するとした上で、「徹底した省エネ推進」をその手段として挙げているが、工程表は示していない。

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【 評価点数一覧 / 立憲民主党 】

項 目
立憲民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)
4
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
1
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
10
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
6
課題解決の妥当性(20点)
2
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
8
合 計
18

【評価結果】立憲民主党 マニフェスト評価
      合計 18 点 (形式要件 10 点、実質要件 8 点)

【形式要件についての評価 10 点/40点】

 立憲民主党は「国民との約束」において、「1日も早く原発ゼロへ」という独立した項目を設けている。そこでは、原発ゼロを「未来に対する私たちの世代の責任」であると主張した上で、そのための政策として「原発ゼロを一日も早く実現するための『原発ゼロ基本法』策定」と、「成長戦略としての再生可能エネルギー・省エネ技術への投資拡大と分散型エネルギー社会の実現」を掲げている。温暖化対策に関するものとしては、「パリ協定にもとづく地球温暖化対策の推進」を挙げている。

 「原発ゼロを単なるスローガンとして語る次元はとうに過ぎている」、「もはや原発ゼロはリアリズム」などとした上で、「原発ゼロ」を明確な目標とし、「原発ゼロ基本法」などを政策手段として掲げている。しかし達成時期は「1日も早く」としているのみであり、具体的な工程表は提示していない。

【実質要件についての評価 8 点/60点】

 政策の核となる「原発ゼロ基本法」について、「原発自治体への対策」や、「使用済み核燃料の処理」などに関する「具体的なロードマップ」を示すものとしている。確かに、原発立地地域の将来のことを考えた出口戦略や、原発の使用済み核燃料の再処理から最終処分を含めたバックエンド対策は、原子力政策の将来を考える上で不可欠なものであり、その点での課題抽出はできているといえる。

 しかし、「具体的なロードマップ」については、まさに今、選挙前に示さなければ国民はその実質的妥当性を判断できない。したがって、説明責任という観点からは大きな減点要素である。

 また、原発をゼロにするのであれば、再生可能エネルギーをどの程度拡大するのか示すべきであるが、電源構成上どこまで拡大するのかも示していない。方針としても「技術開発、投資拡大」のみであり、どのように進めていくつもりなのかまったくわからない公約となっている。

 温暖化対策に関しても方針提示のみであり、こうした点からも説明責任が欠如していると言わざるを得ない。

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【 評価点数一覧 / 日本維新の会】

項 目
日本維新の会
形式要件
(40点)
理念(10点)
2
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
0
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
7
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
7
課題解決の妥当性(20点)
3
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
10
合 計
17

【評価結果】日本維新の会 マニフェスト評価
      合計 17 点 (形式要件 7 点、実質要件 10 点)

【形式要件についての評価 7 点/40点】

 日本維新の会は、「2017維新八策」の中で、「大規模災害に対応できる仕組み改革」を掲げ、その中で「先進国をリードする脱原発依存体制の構築」、「原子力損害賠償制度の確立」、「原発稼働に係る都道府県の同意を法制化」、「電力自由化の一層の推進」、「再生可能エネルギーやコジェネレーション等の導入促進」などの政策を打ち出している。

 さらに後掲の「維新が変える改革メニュー13」の中でも、「エネルギー政策」を打ち出している。そこでの原子力エネルギーに関する具体的な政策メニューとして、まず再稼働については、「(1)世界標準の安全規制、(2)原子力損害賠償制度の確立、(3)避難計画策定への国の関与、(4)地元同意の法定化、(5)使用済み核燃料の最終処分を内容とする『原発再稼働責任法』の制定が不可欠」としている。さらに、「国会事故調が提言したアドバイザリーグループを国会の原子力問題調査特別委員会の下に設置する」や、「原発に係る訴訟を専門的に扱う原子力高等裁判所を設置する」、「破綻の明らかな現在の核燃サイクル事業は廃止。ただし、廃炉技術と使用済み核燃料の有毒性を低減するための次世代原子炉の研究は継続する」ことなどを掲げている。

 そしてその上で、送電系統への接続の平等、電力の市場取引の拡大、再生可能エネルギーやコジェネレーション(熱電併給)等の導入促進など「電力自由化の一層の推進」の結果として、「既設原発は市場競争に敗れ、フェードアウト」することになるとしている。

 このように手段についてはある程度示されているが、数値目標や期限など具体的工程についての記載はない。

【実質要件についての評価 10 点/60点】

 原発再稼働に関して、具体的な内容は明らかではないものの、事前ルールを網羅的に設定しようとしている点は一定の妥当はあると評価できる。また、目途が立っていない使用済み核燃料の最終処分場問題の重要性を指摘している点は課題抽出として適切である。

 ただ、電力システム改革を行い、市場競争を徹底した結果として、原発はフェードアウトしていくとしているが、「結果としてフェードアウトする」という表現では、政策から成果に至るまでのプロセスがまったくわからず、ガバナンスや責任の所在も不明確になっている。

 代替エネルギーとなるであろう再生可能エネルギーについては、グリーンエネルギーの推進を掲げているが、「地方創生」の手段としての政策メニューが並んでおり、そこからどのように原発の「フェードアウト」につながるほど再エネを拡大できるのか、そのプロセスは明らかではない。

 一方、温暖化対策については、一切の言及がない。課題抽出が不十分であるし、公党としての指導性や説明責任にも問題がある。

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【 評価点数一覧 / 共産党 】

項 目
共産党
形式要件
(40点)
理念(10点)
4
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
4
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
13
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
1
課題解決の妥当性(20点)
1
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
2
合 計
15

【評価結果】共産党 マニフェスト評価
      合計 15 点 (形式要件 13 点、実質要件 2 点)

【形式要件についての評価 13 点/40点】

 共産党は「2017総選挙政策」の中で、まず、「野党4党の共通政策」として、「福島第一原発事故の検証のないままの原発再稼働を認めず、新しい日本のエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指す」としている。

 その後、党の公約として「原発の再稼働反対。原発ゼロの日本、再生可能エネルギー先進国をめざします」という大項目を設けている。そこでは「『原発ゼロ』の政治決断を行い、原発の再稼働を中止し、すべての原発で廃炉のプロセスに入る」、「再稼働させた原発は停止する」としている。ここでは「検証のないままの」という留保は付けていない。代替エネルギーとしては、「2030 年までに電力の4割を再生可能エネルギー」でまかなう目標をかかげ、「省エネ・節電の徹底と、再生可能エネルギー大幅導入の計画を立てて、実行していく」ことや、「電力会社による再生エネルギー『買い取り拒否』をやめる」ことなどを政策手段として挙げている。

 「再生可能エネルギーを2030年までに4割」など達成時期に関する記述はあるが、目標実現に向けた工程表らしきものは見当たらない。

【実質要件についての評価 2 点/60点】

 「原発ゼロ」を強く打ち出し、党としての方針が明確なのは評価できる。ただ、原子力がゼロで、再エネも現在14~15%、2030年でも40%にとどまるとなると、他にもエネルギー源が必要となるが、それが何かは示していない。何をベースロード電源とするのか、そしてあるべきエネルギーミックスの将来像と、そこに至るまでの工程を明らかにしないのは説明責任という観点からは減点要素である。再生可能エネルギーについても、「大幅導入の計画」を立てるとしているが、選挙前にそれを提示しないと国民はその是非を判断できない。

 地球温暖化をはじめとする環境問題については、一切の言及がない。この点についても課題抽出が不十分であるし、公党としての指導性や説明責任の観点からも問題がある。

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【 評価点数一覧 / 社民党 】

項 目
社民党
形式要件
(40点)
理念(10点)
1
目標設定(10点)
5
達成時期(8点)
5
財源(7点)
0
工程・政策手段(5点)
0
合計(40点)
11
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)
2
課題解決の妥当性(20点)
1
政策実行の体制、ガバナンス、指導性と責任(20点)
0
合計(60点)
3
合 計
14

【評価結果】社民党 マニフェスト評価
      合計 14 点 (形式要件 11 点、実質要件 3 点)

【形式要件についての評価 11 点/40点】

 社民党は「衆議院総選挙公約2017」において、「いのち 守ります」という大項目の下、「再生可能エネルギーを推進、原発ゼロの実現」という項目を設けている。

 その下に掲げられている個別の政策としては、「原発の新増設はすべて白紙撤回し、既存原発の再稼働に反対」、「福島第2原発は直ちに、その他の既存原発は危険性の高いものから順次廃炉作業に着手し、早期の脱原発実現を目指す」、「再生可能エネルギーの割合を2050年までに100%とすることをめざしてすべての政策資源を投入する」、「高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉だけでなく、六ヶ所再処理工場など核燃料サイクル計画から全面撤退する」、「高レベル放射性廃棄物の地層処分計画を凍結し、当面の間は回収可能性のある形で暫定保管する」などとしている。

 温暖化対策については、「地域 つくります」という大項目の下の「地域の農林水産業と公共サービスを守る 地域の農林水産業と公共サービスを守る」の中で、「温室効果ガスを2050年までに1990年比80%減を実行するための『地球温暖化対策基本法』を早期に作る」ことを打ち出している。

 達成時期に関しては、「再生可能エネルギーの割合を2050年までに100%」があるが、目標実現に向けた工程表らしきものは見当たらない。

【実質要件についての評価 3 点/60点】

 「原発ゼロ」を強く打ち出し、党としての方針が明確なのは評価できる。また、「再生可能エネルギーの割合を2050年までに100%」なので、将来的なエネルギーミックスの姿もはっきりしている。

 しかし、その目標達成手段としては、「すべての政策資源を投入する」としているのみである。これほどドラスティックな改革を行おうとしているのであれば、その実現に向けた工程表を丁寧に説明すべきであるが、それがないため現実性を実感することができない内容になっている。特に、固定価格買取制度(FIT)の見直し等を行う改正FIT法が成立したり、原発の廃炉費用のための賦課金を新エネルギー事業者にも課すなど、再エネ導入を阻害する政策的な動きが進んでいる中、こうした流れを転換する具体的な対案も示すべきであろう。

 温暖化対策については、「2050年80%削減」目標を実行するための「地球温暖化対策基本法」を早期に作ることを打ち出しているが、その内容は示していないためどの程度の実効性があるのかは判断できない。そもそも、農林水産政策が羅列されている中で突如温暖化対策が出てきているため、同党がどういった体系に温暖化対策を位置付けているのかも判然としない。

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主要政党のマニフェスト評価

自民党
公明党
希望の党
立憲民主党
日本維新の会
共産党
社民党
平均
32点
23点
18点
10点
16点
18点
12点
経済
経済政策
38
34
19
9
13
16
9
財政
この分野の評価詳細をみる
23
14
9
0
13
16
2
社会保障この分野の評価詳細をみる
26
21
12
9
17
13
14
外交安全保障
外交・安全保障
53
31
29
14
21
29
22
エネルギー環境エネルギー環境 21
17
23
18
17
15
14
      ※上記点数は全て100点満点の点数です


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「日本の将来を提言する」の考え方、活動例

財政破綻の回避や急速な少子高齢化への対応といった日本が直面する課題に対して、今の政治は本質的な解決策から逃げている状況です。言論NPOは、政治家を選ぶ有権者の側が、この国の未来に対する当事者意識を備えなければいけないという考えのもと、政権や政党の政策が課題に向かい合うものになっているかどうかを定期的に評価し、有権者に判断材料を提供しています。

また、日本の将来像を見据えた政策を有権者の立場に立って議論し、政治に提案する取り組みの実現を目指しています。

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