2012年総選挙: 有権者との約束にもとづく政治を目指して
言論NPOは、12党の公約の"マニフェスト度"を測る基礎評価と 主要5党の「マニフェスト評価」を公開しました

2012年12月10日

民主党、自民党、公明党、日本未来の党、日本維新の会の5党いずれのマニフェストも、
100点満点中40点を下回る、かなり厳しい評価結果となりました

 認定NPO法人 言論NPO(東京都中央区日本橋、代表:工藤泰志)は、本日、2012年12月16日投開票の第46回衆議院選挙における主要5政党の「マニフェスト評価」結果を、言論NPOのホームページ上の選挙特別サイト「未来選択2012」(http://mirai-sentaku.net/)で公開しました。マニフェスト評価を公表したのは、民主党、自民党、公明党、日本未来の党、日本維新の会の5党です。言論NPOは、独自の評価基準で、経済成長、原発、社会保障、外交など11の政策分野ごとにマニフェスト評価を行い、各党の11分野の得点とその平均点を総合点として発表しました。5政党の各総合点は、100点満点中、自民党の39点に続き、民主党32点、公明党28点、日本維新の会16点、日本未来の党7点と、いずれも一般でいわれる合格点とは程遠い、かなり厳しい評価結果となりました。


 主要5政党の「マニフェスト評価」結果は次のとおりです。11の政策ごとの分析を含む評価詳細は下記をご覧ください。

民主党のマニフェスト評価 総論 自民党のマニフェスト評価 総論 公明党のマニフェスト評価 総論 日本未来の党のマニフェスト評価 総論 日本維新の会のマニフェスト評価 総論
総合点 総合点 総合点 総合点 総合点
32/100 39/100 28/100 7/100 16/100
形式要件 実質要件 形式要件 実質要件 形式要件 実質要件 形式要件 実質要件 形式要件 実質要件
16/40 16/60 16/40 23/60 14/40 14/60 5/40 2/60 7/40 9/60


※民主党、自民党、公明党、日本未来の党の4党は、言論NPOの実施した基礎評価の結果に基づくもので ある。
※基礎評価とは、5つの指標(約束度、ガバナンス度、絞り込み度、課題への誠実度、正直度)の総合点と 公約の測定可能性に基づき、11党全てを対象にマニフェストが国民との約束になっているかを検証したも のである。
※基礎評価の結果、日本維新の会はマニフェスト評価の対象から外れたが、近年の注目度を考慮して、今 回特別に評価の対象とした。
※総合点とは、各党の11の政策分野を対象としたフェスト評価結果に基づき算出した、形式要件と実質要件の平均点の総和である(小数点は四捨五入)。また、総合点は100点満点、形式要件、実質要件へのそれぞれの配点は、40点、60点となっている。別途、「主要5政党の分野別マニフェスト評価」を参照。



 言論NPOは、このマニフェスト評価に先立ち、全12党の公約において、国民と向かい合う本気度(="マニフェスト度")を測る基礎評価を行い、今回初めて公表しました。
 マニフェストとは、本来、政治が国民に向かい合うための道具であり、約束が基本であることから、言論NPOは、各党の公約のうち「国民との約束」として見なせるものをマニフェストとして本格評価すべきと考え、公約の作り方などから"マニフェスト度"を測る基礎評価を導入しました。
 言論NPOは、各党の公約の"マニフェスト度"を測るための基礎評価の結果、その評価基準をクリアした民主党、自民党、公明党、日本未来の党の4党と、近年の注目度の高さから、参考として日本維新の会を加えた計5党の公約を、マニフェスト評価として11の政策分野ごとに分析しました。
 12党の公約の基礎評価の結果は次のとおりです。

12党の「基礎評価」結果

日本の政党は国民に本気で向かい合っているか

 
 政党
公約集から見る
"本気度"
公約集の中味から見る
"本気度"


公約自体の"本気度"
※数値目標、達成時期、財源を明記した公約の割合※1
約束度
※2
ガバナンス度 ※3
絞り込み度 ※4
課題への誠実度※5
正直度
※6
 民主党
11 12.3%
 自由民主党
11
11.0%
 公明党
22.6%
 日本未来の党
10.8%
 日本維新の会
10.4%
 日本共産党
20.9%
 みんなの党
9.0%
 社会民主党
7.9%
 新党大地
15.8%
10
 国民新党
11.9%
11
 新党改革
2.9%
12
 新党日本
0.0%


※1.公約自体の本気度(%):各政党のマニフェストの公約のうち、数値目標または達成時期、財源のうち一つでも明記されている公約の数をマニフェストの全ての公約の数で除したもの。
※2.約束度:マニフェストの表紙に、「マニフェスト」あるいは「国民との約束」と書かれているものは3点、そうではなく単なる「約束」と書かれているものは1点、約束に関する表現がないものは0点。
※3.ガバナンス度:マニフェストに党首1人の顔が掲載されていれば3点、そうでなければ0点。
※4.絞り込み度:重点項目について、0~5個が2点、6~10個が1点、11個以上が0点。
※5.課題への誠実度:言論NPOの有識者アンケートから抽出した6つの課題(財政再建、経済の成長戦略、社会保障制度改革、エネルギー政策、外交・安全保障、民主主義の制度改革)に関してマニフェストで積極的に取り組む姿勢がどの程度見られるかによって0~2点を配点。
※6.正直度:消費税引き上げに関する記載があれば2点、消費税の記載がなく、それに相当する負担を公約として記載していれば1点、負担に関する記載がない場合は0点。



言論NPOは、公開された各党マニフェスト評価結果について、専門家や有識者を招き「言論スタジオ」で徹底討論を行い、その議論をホームページで公開します。また、政策課題ごとに、マニフェスト評価にかかわった専門家を招き「言論スタジオ」で詳細にわたり解説します。
また今後、言論NPOは、政党政治が機能しない中、政治家に政策課題についての見解を政治家に直接問いただし、その回答結果を言論NPOホームページ上で選挙区ごとに公開します。

【言論NPOとは】


言論NPOは、2001年に設立された、有権者側に立つ、独立、中立、非営利のシンクタンクです。言論NPOは、議論の力で、「強い民主主義」と「強い市民社会」をつくり出すことをめざしています。それは、有権者が主体となる民主主義であり、多くの有権者が当事者意識を持って社会に参加する強い市民社会です。
そのために、言論NPOは、有権者が政治や政策を判断し、民主政治を機能させるために質の高い議論づくりや政策評価に取り組んでいます。また、民間外交を担うトラック2として、アジアや世界に議論や対話の舞台を広げています。そして、国際的なネットワークで世界につながり、日本の考えを世界に発信するために、500人を超すオピニオンリーダーが参加し、健全な議論づくりに取り組んでいます。詳しくはhttps://www.genron-npo.net/をご参照ください。

ご取材について

本件に関する取材・お問い合わせについては、言論NPO(吉崎・高橋)までお問い合わせください。
また、言論NPO代表工藤のインタビューや取材のご要請がございましたら、積極的に対応させていただきます。

 

主要5政党のマニフェスト評価結果はこちらをご覧ください


【お問合せ先】

認定NPO法人言論NPO事務局(担当:吉崎・高橋)
MAIL:info@genron-npo.net  TEL:03-3527-3972  FAX:03-6810-8729