東アジア地域の安全保障で、地域協力の推進者となるべき/セリーヌ・パジョン(フランス国際関係研究所(IFRI)リサーチ・フェロー)

2015年9月30日

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セリーヌ・パジョン
(フランス国際関係研究所(IFRI)リサーチ・フェロー)


Q1:地球規模課題の中で、現在あなたやあなたのシンクタンクが一番関心のある、または取り組んでいるテーマはなんですか。また解決のためどのような努力をされていますか。

 私どもの研究所は広範な地球規模課題に取り組んでいるが、最も力をいれているのが、安全保障、エネルギー、移民問題など、国境横断型の課題である。全体としては、すべての研究者がグローバルな政治ガバナンスの進化というテーマと取り組んでいる。アジア問題の専門家として、私個人のテーマは、戦略的安全保障問題である。

 IFRIが国際問題を改善すべくIFRIとして努力していることのひとつに、状況と課題に関する理解を深めるべく、国際関係についての公正でバランスのとれた分析を提供することである。また、IFRIでは、すべての関係者による議論を定期的に開いており、活発な意見交換や討論が展開できるような場を提供すべく努力している。そして、国際関係の問題点を、より広範な人びとに伝えるべく、リサーチ結果を広く発信しているところである。


Q2:その地球規模課題の解決に向けて、あなたは日本にどのような役割を期待しますか?また、地球規模課題の解決に向けた取り組みに日本がより大きな貢献をするために、あなたは何が必要だと考えますか。

 平和主義的で環境や生活の質が高く、エネルギー効率も高いが、その一方で高齢化や経済成長の低下に直面している日本の特徴から見て、地域や地球規模の安全保障環境形成、地球温暖化対策、エネルギー効率の向上、高齢者や家族、若者たちのニーズに寄りそう脱工業化社会の高潔で新しい規範作り、さらには省エネや環境に配慮した価値観や行動を推進する上で、日本は意味ある役割を果たせるはずである。


Q3:国際社会では日本の発言力は弱いと言われていますが、その原因はどこにあると考えますか。また、この言論NPOのプロジェクトにどのような期待を寄せていますか。

 安全保障問題面で、日本は包括的かつ開かれた枠組みに基づき、東アジアにおける非従来型安全保障問題や(南シナ海の)海洋問題について、地域協力の推進者として行動すべきである。また、日本は歴史問題や領土紛争など、大きな火種となりかねない問題についても、近隣諸国と活発な対話と討議を行うことで、相互理解の進化を図るべきであろう。


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▸日本の政治的プレゼンスを強化するためには積極的な発言と行動が必要/セルゲイ・クリーク(ロシア現代発展研究所ディレクター)

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