世界の課題に挑む

G7への緊急メッセージ提案に向け、白熱した意見交換が行われた ~3月4日非公開会議 報告~

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 「自由、民主主義と世界が直面する課題」をメインテーマに、日本、米国などG7参加各国にインド、インドネシア、ブラジルの3カ国を加えた10カ国のシンクタンクの代表者が議論する「東京会議」が、3月4日、東京・渋谷の国連大学で開かれました。

 「米国第一主義」を唱えるトランプ米政権誕生により、欧米を中心にポピュリズム政治が影響力を増し、保護主義と排外主義の傾向が強まり、世界で自由と民主主義が大きなチャレンジを受けている中、今回の「東京会議」は、歴史的とも言える新たな世界情勢の中で、世界を代表するシンクタンクが集まり、世界のリベラルな国際システムや国際秩序への挑戦に対して議論しました。

 午後からの公開フォーラムの前に行われた非公開会議では、グローバリゼーションと民主主義の中で、私たちは今、何を守らなくてはならないのか。それを守るために、私たちはどのような努力が求められているのか。さらに今年5月26、27日にイタリアで開催されるG7、タオルミナ・サミットが果たすべき役割と、同サミットで何を合意すべきかについて話し合いました。

MHI_3988.jpg まず、言論NPO代表の工藤から、民主主義は、完璧な仕組みではないが、一人一人の自由を守ることであり、トランプ米大統領の誕生により、今こそ健全な世論が問われているそうした中で、今回、10カ国のシンクタンクの代表が東京に集まり、G7への緊急メッセージを出すという「東京会議」の開催意義は非常に大きいと強調。そして、前日の議論も踏まえながら、日本側としてのG7への緊急メッセージ案を提示し、世界界の規範である自由を守ること、国内の合意とバランスを取らせる為の民主主義をそれぞれの国が鍛えていくこと、同時に自由を脅かす傾向を排除しなくてはいけないという決意を入れること、との表明がなされ、意見交換がスタートしました。


イタリア政府がG7に提案を考えている3つの柱

MHI_4031.jpg イタリア国際問題研究所のエットーレ・グレコ所長が「今年のG7サミットでの主要なアジェンダとは」と題してスピーチを行い、イタリア政府としては、まず、国際秩序が不安定化する中、特に地中海周辺、サハラ以南アフリカに限定してシリア、リビア等での危機についても議論を行い、市民に対する保護を実現すること、さらに、格差、不平等を新しいアジェンダとして取り上げるべきだと提言すること、最後に、新技術の導入により、製造活動や競争環境の変化によって非産業化、社会的経済的な影響が出るために、経済的イノベーションの3つの柱を共通テーマとして議論するとの考えを紹介しました。

 さらに、イタリアはロシアに対し経済制裁に参加しているものの、「サミットでは厳しい態度はとらないと思う」との見通しも示しました。


各国間で様々な意見交換がなされた非公開会議

MHI_4014.jpg グレコ所長のスピーチを受けて討議に移り、サミットには、"不確実性"がつきものであり、タオルミナ・サミットを前にして、トランプ政権という米国の不確実性が生まれたこと、気候変動や難民・移民という人の移動の問題、貿易促進では、米国の態度は明らかに欧州と違うこと。米政権閣僚の議会承認が遅れるなど、国務省の人間が埋まっていないこと。トランプ大統領は、米国を刺激し経済を成長させると言っているが、サミットでは、これまでとは全く違う言葉を引くことになるだろうなど、米新政権を警戒視する意見が出されました。

 一方、ロシアについては、「プーチン大統領を呼び戻し、G8にする価値はあるのか」、「冷戦時代に引き返さないためにも、G7を使って、新しいロシアとの関係を作り出すことが出来るのではないか」、「より建設的な関係を築く必要があるが、ここでも今後、米国がとる立場が重要になってくる」などの私的ななされました。

 人の移動については、グレコ所長が触れた、外部的根本原因としてアフリカ各国の姿勢に焦点を当てる、新しい取り組みに賛同する声があがりました。また、日本は難民受け入れに消極的と見られてきましたが、言論NPOの有識者アンケートで、52.3%の人が「日本はもっと難民や移民を受け入れるべきだと思う」と回答したことに、「この数字と、安倍政権の難民政策の間にはギャップがあるのか?」と日本側に質問がありました。

MHI_4058.jpg この点について工藤は「回答者と日本政府には温度差があると思う」としながらも、難民対策としては、問題を生み出す根本的原因を考えるという立場で、経済的支援を含め60億ドルを予算化し、緊急性の高い第三国定住目標を進めていることを紹介。さらに、まだ少数だが、シリア難民に対しては150人の留学生を受け入れ、働く支援にも手を差し伸べるなど、「日本も難民受け入れに踏み込んでいます」と説明しました。


自由と民主主義の規範を考える覚悟が必要

MHI_4004.jpg 最後に工藤は、「私たち民間組織は、グローバリゼーションの中で生まれた不平等に対し、個人の利益を考え、そこに生まれた距離を狭めていかなければならない。次回のサミットは問題が山積し、かなり厳しいものとなりそうだが、それは来年のカナダでのサミットでも続くだろう」との認識を示した上で、「だからこそ、私たちは今、自由と民主主義の規範を考える覚悟が必要なのだ」と語り、午後からの公開セッションへの意気込みを語り、非公開会議を総括しました。

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