世界の課題に挑む

「東京会議」参加シンクタンクのトップが感じた会議の意義と、今後の可能性

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民主主義には完全形態がなく、常に学んでいくプロセスである



MHI_4675.jpgサンジョイ・ジョッシ (インド・オブザーバー研究財団所長)
 

工藤:ジョッシさん、今回は東京会議に参加していただきありがとうございました。この会議に参加してどうでしたか。これは成功したのでしょうか。

ジョッシ:まず、今回この会議に招待していただきありがとうございました。これは本当に、人生に一度くらいの機会だったと思います。というのも、今回の会議のテーマは世界中で皆が気にしていることです。ジャーナリストの皆さんもそうだし、一般の人も、こういう疑問を今いろいろ話している、また気にしているタイミングでこのテーマに勝るものはなかったと思います。会議の運営もよかったし、パネリストの質もよかったし、イベントの反応もよかったと思います。

工藤:ありがとうございます。自由と民主主義にはいろいろな考え方があるのですが、私たちは、自由と民主主義という大きな規範が揺れ動いている中、少なくともこうした規範を発展させていくということは皆さんが共有したと思います。今の歴史的な変化の中で、私たちはこの問題をどう考えていけばよいでしょうか。


民主主義は独裁ではないこと、常にサプライズが起こり得ることは肝に銘じる

ジョッシ:今、自由民主主義の脅威はどこから来ているのでしょうか。アメリカのせいなのか、イギリスのブレグジットのせいなのか、それとも今トルコで起きていることなのか、それともフィリピンなのか。どこからかと考えると、答えはまた違ってくることになります。ですから、2つのことを分けて考えなければいけないと思っています。

 まず1つは、民主主義は独裁ではないということです。これは定義としてそうです。もう1つは、民主主義は常にサプライズが起こりうることの連続だということです。どういうことかというと、例えば、今までずっと「グローバリゼーション、自由貿易は良いことだ」と思ってきたわけです。ただ、アメリカやイギリスの選挙結果は、国民が「いや、そうではないのだ」というサプライズを見せてくれたということなのです。ですから、民主主義の脅威というのはこれらの選挙の結果自体ではなく、違うところからきていると思います。

 というのも、指導者が、しかも民主的に選ばれた指導者が自分の意見を人々に押し付ける、それだけしか受け入れられないようなかたちにする、ということこそが脅威なのだと思います。自分の意見、自分の観点以外は受け入れない、それだけが正しいのだということになって、その他のものは答えではないのだ、ということこそが脅威であって、それと戦っていかなければいけません。

 イギリスやアメリカの選挙結果は、それ自体が脅威ではなく、一部の指導者がそのように自分の意見だけを押し付けてきたことに、きちんと対応していかなければいけません。

工藤:ということは、私たちは今、民主主義を学ぶ局面にいるということですね。


指導者の頭で解決策を全て持つことは不可能、ということを学ぶべき

ジョッシ:民主主義には完全という形態がないわけで、常に学んでいかなければいけないというプロセスだと思います。社会は民主主義について学び続けていかなければいけないのだと思います。ただ、他の意見に寛容になるのは難しいことです。これはアメリカでもイギリスでもトルコでもフィリピンでもインドでも同じです。というのも、力を持った人間は批判されることを快く思わないというのは、どうしてもあると思います。

 となると、やはり市民社会が、リーダーも含めていろいろな人に教育をしていかなければいけないと思います。この教育、学びは、指導者にとってみれば選挙とか民主主義を通じて学ぶことができると思います。特に指導者が学ばなければいけないのは、まず、リーダーだからといってスーパーマンではないということです。自分一人で全ての答えを持つのは不可能なのだと学んでもらわなければいけません。特に、今のような非常に複雑な世界の場合、この複雑さを理解して、複雑であるがゆえに一人の人間が一つの頭の中で解決策を全て持つのは不可能だと、まず認めないといけません。多様性のあるいろいろなところからアイデアをくまなくいただいて、その多様な相手にオープンでなければいけません。

工藤:私もまったく同感です。ジョッシさん、本当にありがとうございました。これからも、アジアの民主主義国であるインドと日本はいろいろなかたちで協力していきたいと思います。


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