言論スタジオ

日本の防衛白書と中国の国防白書から、両国の相違が浮き彫りに

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出演者:
松田康博(東京大学東洋文化研究所教授)
小原凡司(東京財団研究員・政策プロデューサー)

司会者:
工藤泰志(言論NPO代表)




6割が中国の軍事動向に対して強く懸念している

 まず、中国の軍事動向に対する評価を尋ねたところ、「白書と同様の強い懸念を持っている」は56.5%と6割近くいた。他方、一定の懸念は有しているものの、「白書の記述は中国の脅威を誇張しすぎている」と感じている有識者も30.6%と3割程度いるなど、白書に対する懐疑的な声も一定数存在している。

問1. 日本政府が7月21日に公表した2015年版防衛白書は、中国が、「高圧的ともいえる対応を継続。不測の事態を招きかねない危険な行為もみられ、今後の方向性に懸念を抱かせる」と述べるなど、中国による南・東シナ海への進出や核・航空戦力の増強などに強い警戒感を示す内容となりました。あなたは、中国の軍事動向をどのように評価していますか。【単数回答】


日本の安保法制が、中国を刺激しているとの見方が4割を超えている

 続いて、安保法制の整備を含めた最近の日本の安全保障政策の転換に、中国の国防白書が強い懸念を示していることをどのように感じているかを尋ねたところ、転換の原因が「中国側にある」(33.9%)や、「懸念は的外れだ」(14.5%)など、中国側に対する厳しい見方が合わせると5割近くあった。他方、「その通り」(16.9%)、「一定の理解はできる」(23.4%)というように、日本の安保法制が、中国を刺激しているとの見方も4割超あるなど、有識者の見方は分かれている。

問2. 中国政府は5月26日、2年ぶりに国防白書を発表しました。その中で日本に対しては「積極的に戦後体制からの脱却を追求し、安全保障政策を大幅に調整している」と懸念を示しています。あなたは、安保法制の整備を含めた最近の日本の安全保障政策の転換に、中国の国防白書が強い懸念を示していることをどのように感じていますか。【単数回答】


6割が抗議はすべきだが、対立はすべきでないと考えている

 東シナ海のガス田をめぐって、日中両国政府は、2008年に共同開発に関する基本合意をしたが、現在、中国は東シナ海の日中中間線沿いで新たに海洋プラットホームの建設を進めるなど、ガス田開発を活発化させている。これに対し、日本政府はどのような対応を取るべきなのか尋ねたところ、「合意を破ったことに対しては抗議すべきであるが、安全保障上の対立をあおるより、今後の協力関係を発展させる糸口とすべきである」が61.3%と6割を超え、「合意を無視した中国側の行動は容認できないし、海洋プラットホームは、軍事拠点として活用される可能性があるので、断固とした対応を取るべきである」(31.5%)と強硬な対応を求める声を大きく上回っている。

問3. 東シナ海のガス田をめぐって、日中両国政府は、2008年に共同開発に関する基本合意をしましたが、現在、中国は東シナ海の日中中間線沿いで新たに海洋プラットホームの建設を進めるなど、ガス田開発を活発化させています。あなたは、日本政府はどのような対応を取るべきだと思いますか。【単数回答】


5割が南シナ海での米中軍事衝突を懸念

 南シナ海を巡るアメリカと中国の軍事衝突の可能性について尋ねたところ、「数年以内に起こると思う」(16.1%)、「将来的には起こると思う」(33.1%)の合計が5割近くに達し、「起こらないと思う」と32.3%を大きく上回るなど、有識者の懸念が色濃く反映された結果となった。

問4. 中国の国防白書では、今後の軍事戦略として南シナ海を巡る米中間の摩擦を念頭に「海上での軍事衝突に備える」ことが重要だと明記しています。あなたは、南シナ海で米中の衝突が起こると思いますか。【単数回答】


有識者は、南シナ海では側面支援を主体とし、積極的な対応は控えるべきと考えている

 中国による南シナ海の軍事拠点化に対して、日本が取るべき対応について尋ねたところ、「東南アジア諸国の防衛能力向上のための装備協力など、側面支援を主体とすべきだと思う」(55.6%)が、「米軍との共同哨戒など、自衛隊の役割を拡大して、より積極的に対応していくべきだと思う」(17.7%)を大きく上回り、有識者の中には現状の政策を維持することを望む声が多い。

問5. 中国による南シナ海の軍事拠点化に対して、あなたは、日本はどのように対応していくべきだと思いますか。【単数回答】


対話を望む有識者

 防衛白書で示されたように、両国は互いの安全保障政策に懸念と対立を深めている。そこで、言論NPOが10月末に北京で行う安全保障対話で、両国の関係者が、こうした安全保障の展開について議論を行うことになっているが、そこでどのような対話を行うべきかを尋ねた。

 その結果、「まず、お互いがなぜこうした政策を取ったのか、その原因や政策の中身を、相手国が理解できるように説明しあうこと」(42.7%)と、「お互いが東アジアの平和をどのように構築するのか、そのための協力策を話し合う」(36.3%)の2つが4割前後で並びかけている。「お互いの政策に不信がある以上、議論を行う余地は少ない」は4.8%に過ぎず、有識者は徹底した対話こそがこの状況を打開する糸口になると考えている。

問6. 日本と中国の防衛白書で示されたように、両国ともにお互いの安全保障政策に懸念と対立を深めています。言論NPOが10月末に北京で行う安全保障対話で、両国の関係者が、こうした安全保障の展開について議論を行うことになっています。あなたは、どのような対話を行うべきと考えますか。【単数回答】

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