2006.3.17開催 アジア戦略会議 / テーマ「外交、パワーアセスメント」

2006年3月20日

060317アジア戦略会議
 アジア戦略会議に栗山尚一氏(元駐米大使)を迎え、外交戦略のあり方や日本が目指すべき望ましい国際秩序を中心に議論しました。

栗山尚一氏スピーカー:栗山尚一氏(元駐米大使)

 言論NPOアジア戦略会議では、現在、各界の有識者を招いて議論を行い、同会議が到達した仮説(日本のパワーアセスメント、「世界のソウト・リーダー」や「アジアの知の創出のプラットフォーム」といった理念や国家像など)を幅広い視点から再検証し、日本の将来選択に向けた議論を次のステージへと発展させようとしています。

 そのため、1月の千野忠男氏(前アジア開発銀行総裁)、2月の小島明氏(日本経済研究センター会長)に続き、今回の3月17日の会議には、栗山尚一氏(元駐米大使、現外務省顧問)をお招きし、日本の外交戦略の課題や日本が目指すべき望ましい国際秩序などについて、議論を行いました。

 今回、栗山氏をお招きしたのは、同氏が、外務事務次官、駐米大使などを歴任した元外交官としての豊富な経験だけでなく、対米一辺倒ではない「アジア太平洋」路線を提唱し、最近では日本の歴史問題などについても積極的に発言するなど、日本の外交戦略のあり方について高い識見を有する有識者であり、こうした外交戦略の専門家の立場からみれば、アジア戦略会議が到達した仮説の妥当性についてはどう評価されるかを、今後の議論の素材にするためでした。

 この会議で、栗山氏から提示されたのは、①日本の安全保障や繁栄のために望ましい国際秩序について、21世紀の現時点でそれを描くとすれば、どのようなものになるか、②それを実現する外交政策とはどのようなものなのか、③その上での制約や問題点は何か、という3つのテーマの下での、日本の外交戦略の構築に向けた一つの体系的な議論でした。

 ここではまず、国際秩序形成に必要なパワーのあり方や世界の変化の大きな潮流が示され、これを踏まえ、平和など日本が追求すべき理念のあり方は何かについての議論が提示されました。そして、「アジア太平洋」という考え方の重要性が強調され、日本の制約要因としては、理念や思想の力の欠如、社会面システムなどに残る強固な閉鎖性などの問題点が抽出されました。

 そこには、議論の方法論や課題へのアプローチの面で、アジア戦略会議が積み重ねてきた仮説の体系とも通じるところが多く、特に、私たちが提起してきた、日本のアスピレーションや、日本がアジアに提唱すべき価値は何かという議論を発展させる上でも、示唆に富む論点が提示されたところです。
 アジア戦略会議では、引き続き、各界の有識者に議論をぶつけながら、国際社会における日本の新たな存在感の構築に向けて、多様な議論を展開していきたいと考えています。

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今回の出席者は以下の方々でした。(敬称略)

栗山尚一(元駐米大使)

福川伸次(機械産業記念事業団会長・元通産省次官)
安斎隆 (セブン銀行社長・元日銀理事)
岩竹常博(三井物産生活産業総括部長)
松田学(財務省、言論NPO理事)
横山禎徳(社会システムデザイナー)
工藤泰志 (言論NPO代表)

アジア戦略会議に栗山尚一氏(元駐米大使)を迎え、外交戦略のあり方や日本が目指すべき望ましい国際秩序を中心に議論しました。