「言論NPO 第3回アジアシンポジウム」報告 「日本のパワーアセスメント―日本の将来設計に向けて」

2004年3月16日

040316_sympo.jpg2004/3/16 (火)
場所:日本経団連会館

「日本のパワーアセスメント――将来設計に向けて」シンポジウム
内外の論客集め5時間半に及ぶ熱っぽい議論

言論NPOは3月16日午後零時半から約5時間半、東京千代田区大手町の日本経団連会館で笹川平和記念財団の後援のもと、シンポジウム「日本のパワーアセスメント――日本の将来設計に向けて」を開催しました。シンポジウムには内外の論客が集まって、さまざまな角度から日本の強さ弱さの分析、それを踏まえ今後、日本はどういった国をめざすべきかといったテーマについて話し合いましたが、200人あまりの人たちが長時間に及ぶ熱っぽい議論に熱心にメモをとりながら聞き入っていました。

まず、工藤泰志言論NPO代表の開会あいさつのあと、福川伸次言論NPOアジア戦略会議座長(元通産省事務次官)が、日本に対するアジア諸国などの関心が次第に薄れてきている中で、日本はどういった道を歩むべきなのか、大きな岐路にあり、シンポジウムで議論してみたい、と問題提起しました。

このあと、松田学言論NPOアジア戦略会議主査が「日本のパワーアセスメント」作業に関連して有識者らを対象に行った「日本の実力(強さ弱さ)の評価と、日本の将来を考える場合にどの分野が戦略的に重要か」というアンケート調査結果、さらに言論NPOが同様のテーマで行った日本の強さ弱さのマッピング結果を発表しました。

マッピング自体は、1) 経済、2) 政治、3) 大衆文化、4) 社会・教育、5) 科学・技術、6) 防衛・軍事、7) 資源(食料、エネルギー)、8) 環境、9) 言論・思想の9つの分野について、日本が国際的に比較してみて、先進度、強靭性、影響力の3つの評価基準で「圧倒的に強い」か、「他国と同等か強い」か「弱い」か、浮き彫りにするものです。

これをもとに、深川由起子東京大学教授が総合司会を行い、第1セッション「日本の強さ弱さをマッピングする」、第2セッション「何が日本の強さ弱さなのか」、第3セッション「日本は将来、どんな国をめざすべきか」というテーマに沿って、議論をスタートさせました。

第1セッションは、国分良成慶応義塾大学教授をコーディネーターに、周其仁中国北京大学教授、張平中国日報インターネット版社長、マレーシアのステファン・レオン戦略国際問題研究所副所長、李康源韓国外換銀行シニアアドバイザー、白石隆京都大学教授のパネリスト5氏がそれぞれ、日本の強さ弱さについて、どうみているかをコメントしながら、議論しました。

この中で、李氏は、日本の強さは1)規律志向があること、2)倫理基準があり健全性があること、3)市場や競争などの面で公正であること、また弱さについては1)コンセンサス志向が強いこと、2)集団主義であること、3)内向きであることを挙げました。

全体的には、アジアから参加したパネリストの人たちは、日本は潜在的なパワーがあるとしたものの、強さがある反面、弱さもあり、そのギャップをどう埋めていくかが課題であるといった問題意識でした。

続く第2セッションでは、社会システムデザイナーの横山禎徳氏をコーディネーターに、チャールズ・レイク・アメリカンファミリー生命保険日本代表、宮内義彦オリックス会長、榊原英資慶応大学教授(元大蔵省財務官)、南相祐・アジア開発銀行研究所シニアリサーチフェローらが討論を行いました。

この中で、チャールズ・レイク氏は、日本が組織的競争力の強化を図れるかどうかが最大の課題である、と指摘し、これを踏まえて、宮内氏や榊原氏は根本的なパラダイムシフトが必要で、そのためにもさまざまな制度改革を進めることが課題になると指摘しました。

また最後の第3セッションでは福川伸次氏をコーディネーターに、横山禎徳氏、そして寺島実郎三井物産戦略研究所長、言論NPOアドバイザリーボードメンバーで評論家の山崎正和氏が日本の将来選択に際して、どういった国をめざすべきかについて、話し合いました。

このうち、山崎氏は、1) ポスト工業社会の到来、2) グローバル化、3) 少子高齢化という3つのキーワードで問題構築していくことが重要と指摘、また寺島氏は、日本が米国への過剰期待や依存からどう脱却しアジアの中での日本という観点から戦略の再構築を行うことが日本の21世紀モデルをつくる際のポイントだ、と述べました。

言論NPOとしては、今回のシンポジウムを経て、この「日本のパワーアセスメント」に関する議論をさらに深めていく予定です。

言論NPOは3月16日午後零時半から約5時間半、東京千代田区大手町の日本経団連会館で笹川平和記念財団の後援のもと、シンポジウム「日本のパワーアセスメント――日本の将来設計に向けて」を開催しました。シンポジウムには内外の論客が集まって、さまざまな角度から