「2003年度アジア戦略会議活動方針」

2003年8月08日

写真 2年目を迎える「アジア戦略会議」は、まさに「戦略」会議にふさわしい方法論を持って議論を構築し、そのプロセスを明確にして公開していきます。結論そのものが重要ではなく、どのような仮説の選択の積み重ねの結果どのような結論が導かれることになるのかといったプロセスこそが重要だと考えました。
戦略形成5つのステップ

step1
step2
step3
4
step5

step1世界の中長期的潮流の洞察


2003年9月以降の3ヶ月は、以下のテーマで議論を進める予定です。

-今後のパックスアメリカーナを信じていいのか、アメリカのネオコンと政治の情況と今後の展望、国連の実態とその方向、アメリカと国際世論
-国際経済におけるアメリカの一極経済の動向
-北朝鮮が置かれている情況、朝鮮半島の現状と今後の展開、北朝鮮と日本との構造関係、北朝鮮の軍事展開の可能、韓国の展開と南北統一の可能性とその後の展開
-イスラムの実態
-中国の発展と構造の展開と場合分け毎の分析、中国政治と今後の展開、中国とアメリカの相互展開
-アセアン・インドの政治・経済の構造と今後の可能性、ロシアの今後の展開とアジアの意味づけ


【日程】【テーマ】【スピーカー】【備考】
03/9/18今後のパックスアメリカーナを信じていいのか白石隆(京都大学)報告
 アメリカのネオコンと政治の情況と今後の展開  
03/9/10国連の実態とその方向はどうなるのか佐藤行雄(前国連大使)報告
 アメリカと国際世論  
 国際経済におけるアメリカの一極経済の動向  
 北朝鮮が置かれている情況の考察  
03/9/12朝鮮半島の現状と今後の展開の考察山口昇 (陸上自衛隊研究本部総合研究部長)
 北朝鮮と日本の構造関係  
03/10/9北朝鮮の軍事展開の可能性  
 韓国の展開と南北統一の可能性とその後の展開  
03/9/18イスラムの実態白石隆(京都大学)報告
 中国の発展と構造の展開と場合わけごとの分析  
 中国政治と今後の展開  
 中国とアメリカの相互展開  
03/9/18アセアン、インドの政治、経済の構造と今後の可能性白石隆(京都大学)報告
 ロシアの今後の展開とアジアの意味づけ  

ゲストスピーカー、会議日程などは決定次第順次WEBにアップされます。会議前には、みなさまからテーマに関してご意見・ご質問などを募集したいと思います。ぜひご参加ください。
step2日本の強さの客観的、分析的把握


-日本の長期的な停滞の考察、中長期の予測
-日本の弱さの徹底的な考察とその立て直しの方向
-日本の衰退過程の分析
-日本の強さの冷静な分析、技術力、知的資産、経営力、国際化、軍事力
-寿命が尽きかけた日本の社会システムの分析と再設計の方向
-日本で始まった変化とその潮流の分析
-アジアと世界における日本の位置付けの現状認識
-アジアと世界における日本の将来の可能性、位置付けの変化に対する考察
-上記の変化に対する日本の対応と時間軸的な課題
-今後5年以内に対応すべき外交、内政的な課題とその考察
-10年後に考えるべき日本の選択肢とその選択の可能性
step3日本のアイデンティティー願望


td align="left" valign="top" class="text12">パックスアメリカーナを前提にした場合、どのようなアイデンティティーを持ち得るか、あるいは持つべきか


-日本のアイデンティティーの変遷と基本的な理念
-現在の日本や世界の主要な潮流の特定
-これからの日本に問われるアイデンティティーの選択肢
-
-長期的な豊かな衰退を前提にした場合の上記課題の考察
-上記の議論と主要な潮流とのギャップの特定

●議論の進め方

1.フォーラム

アジア戦略会議は、この工程表のうち、ステップ1からステップ3までを年度内(来年3月まで)に進みたいと考えています。「アジアの2025年」の勉強会(注)でも議論された通り、日本の将来像に向けて何らかのシナリオを描くためには、日本のアイデンティティーについてのある程度のイメージをできるだけ早く形成する必要があるとともに、世界の主要な潮流を把握する作業も、日本の強さ弱さの把握などの中で得られる視点があってこそ有益なものとなります。そこで、9月から年内にかけては、ステップ1とステップ2をできるだけ同時進行の形で進めることとします。

(注)「アジアの2025年」勉強会:明確な方法論と作業プロセスに基づいた戦略形成は、米国のペンタゴンが作成し、現政権のアジア戦略の基礎となっているとされる「アジア2025」レポートのその事例が見られることから、メンバーの谷口智彦氏の提案により、8月19日にその勉強会が有志の参加によって行われました。

当面のフォーラムの各会合では、現在行っている議論がこうした戦略形成作業のどの位置にあるかを常に明確に意識しながら、当面は、メンバーがそれに基づく問題意識を共有して各界の専門家と議論を交わす形を中心に進めていくこととなります。議論の形成にはメンバーが主体的に取り組み、ゲストスピーカーの参加はその問題意識の上でのヒアリングとして位置づけられることになります。そのプロセスで、それぞれの議論がどのような仮説の枝分かれの中で導出されたものかを明確化していくことができればと考えています。こうした議論展開を実現するために、必要に応じてメンバーの追加も考えていきます。

その後、来年3月のシンポジウムに向けてステップ3を議論し、来年度は、ステップ4、5に入っていきたいと考えています。

また、広く内外への発信と議論の呼びかけを行うため、本年12月と来年3月頃を目処に、それぞれ公開シンポジウムを企画したいと考えています。

2.雑誌

こうしたアジア戦略会議での議論は、雑誌「言論NPO」とも連動していきますが、次号では、この会議での議論形成に向けた二つの論争を公開することとしています。一つは、外交戦略に関するものです。先般、言論NPOが実施したアンケート調査結果を踏まえつつ、アジア戦略会議のメンバーである谷口智彦氏と国分良成氏が岡崎久彦氏を迎え、「日本外交のグランドストラテジーをどう構築するか」について座談会を行いました。その抜粋記事をウェブ上にも公開しました。もう一つは、日本の安全保障問題について、アジア戦略会議メンバーが企画した座談会で、北岡伸一氏、倉田秀也氏、谷勝治氏、夏川和也氏がこれに参加しました。