共同声明発表 閉会挨拶 : 工藤泰志 (認定NPO法人 言論NPO代表)

2007年8月29日

p_070829_23.jpg

共同声明    2007年8月29日 言論NPO 中国日報社 北京大学国際関係学院

 日中関係はこの1年間で改善に向けて大きく動き出した。これまで途絶えていた首脳会談や相互訪問も再開され、両国の国民の相互理解もまだ十分とは言い難いが、これまでの傾向を好転させている。その扉を開けるために直接的な大きな役割を果たしたのが「北京―東京フォーラム」である。

 この事実から私たちが学んだのは「公共外交」の大切さである。民間が作った対話の舞台であっても、日中の課題やアジアの未来に真剣に向かい合い、お互いが尊重し合ってその答えを出そうとする努力さえあれば、政府間関係を改善し、歴史を動かす可能性があるということが、そこでは示された。

 第三回を迎えたこのフォーラムも、一昨年の北京での第一回目と比べると、参加者は当時の2倍以上の400人を越え、両国を代表するパネリストも100人近くになるなど、大きく改善している。この場での議論からすでに様々な具体的な政策課題への取組みも始まっており、両国の多くのメディア関係者が真剣に向かい合う場としても機能するようになった。このフォーラムを両国をつなぐ重要な民間のチャネルとして、この舞台を発展させていくことが私たちの歴史的な使命だと認識している。

 この一年で、日中両国国民の相互認識が改善していることは、この舞台が今回の日中共同の世論調査でも示されたところである。しかし、軌道の上に戻った日中関係を現実に前進させていくためには、この議論の舞台をさらに重層的、多面的な関係へと発展させる必要がある。その際に私たちに問われているのは、両国がともに、アジアの未来を考え、その課題の解決に一緒に取り組むことのできる強い関係をどう構築できるかである。

 そのために、この議論の舞台を、公共外交の場として日中間にしっかりと定着させるとともに次の三年間で議論の舞台をアジアへも広げていくこと、また、年に一度で終える会合ではなく、継続的に、日中やアジアの課題を議論し、これを世界に発信する場として発展させていくことを、今回、私たちは合意した。

 その目標を実現させるために、来年の東京で開催される第四回東京―北京フォーラムに向けて、十分な準備を始めたいと考える。私たちは、みなさんと共に真剣な議論の積み重ねから、アジアの未来を切り開いていく覚悟である。

共同声明    2007年8月29日 言論NPO 中国日報社 北京大学国際関係学院