基調講演 : 劉北憲 (中国新聞社副社長・総編集長、「中国新聞週刊」社長)

2007年8月29日

p_070829_12.jpg劉北憲(中国新聞社常務副社長兼総編集長、『中国新聞週刊』社長、高級編集長)
リュウ・ベイシェン

1983年北京大学中文学部卒業。卒業後中国新聞社に入社、編集、記者を担当、発表したいくつかの記事は社会に影響を与えた。その後、中国新聞社編集室副主任、主任、報道部主任に就任。90年代初めには副総編集長として一連の重大報道の企画及び指揮を担当した。1997年、香港に派遣され香港支社の支社長兼総編集長を担当。2000年に再び本社に配属され、副社長兼副総編集長、2004年には常務副社長兼副総編集長を担当。うち、2002年から『中国新聞週刊』の社長を務め、一度は総編集長を兼任した。2007年、中国新聞社総編集長に就任。

基調講演

 メディアの中日関係における働きに関しては、よろこびもある一方で、悲しさもあります。今回実施した世論調査によれば、メディアはお互いの理解のために大変大きな役割を果たしていますが、同時に多くの問題があります。たとえば食料問題などです。

 日本では食品のモニタリングをしており、そのサンプリングの中で中国の合格率はEUやアメリカに負けております。中国の日本への輸出の中で不合格なのが6パーセントであることをとりあげることで、逆に94パーセントの方が無視されているのではないでしょうか。

 過去中国の報道では、多くが日本のさまざまな物的豊かさに集中していました。
中国の研究員が、広島にある書店を調べると、ネガティブな広告を出しているのは、9対1の比率でありました。メディアの分科会の中で、お互いに理性的に報道しなければならないと言ってていました。実際、メディアはどのようにすればいいでしょうか。
 
 まず一つ、メディアは報道以外に大きな役割を果たすということ。チャイナデイリーは北京―東京フォーラムをはじめ様々なソースを利用してきました。メディアを通じた効果は無視できません。これからメディアはもっと現実、事実を伝えていくべきです。メディアは宣伝以外にもできることがたくさんあります。

 次に、中日両国のメディアは相手の世論のスペースに入っています。このようなメディアの紹介により、相手国が全面的に相手の状況を知ることができます。またメディアはお互いの報道機関に入り宣伝しています。日本の駅などでチャイナデイリーの宣伝がなされています。メディアは双方の宣伝の基盤となることができるのです。

 三つ目に、双方のメディアは基盤的な内容を盛り込まねばなりません。報道には偏りがある、基本的な状況についての協力が足りないという日本の学者もいます。日本の習慣などが紹介されていることは、よいスタートになるのではないでしょうか。

 相手国を報道する際に、なされなくてはならないことが空白として存在しています。このような盲点があって、お互いが変化していることに目をつけることができずにいます。


 今回のフォーラムの中で中国はまだまだ途上国であります。まだ東京オリンピックの時の日本と同じくらいです。今、中国はその発展の速さの中で唖然としています。

 日本が中国を見る際には曖昧な感覚をもっています。まだ真意に触れることができないのは事実であり、われわれ中国人がそれに触れることも困難です。幻聴にのみ耳を傾けていてはならないと思います。パネリストの木村先生とは、これからはより友好な交流をし、その上メディアを改善していかなくてはいけないという点で合意がなされました。

 メディアの中日関係においての役割は非常に大事であり、記事を直さずそのまま載せるということも革新的なことであり、これからはより発展させていきたいと思っています。