挨拶 : 小林陽太郎 ( 新日中友好21世紀委員会日本側座長、元経済同友会代表幹事、富士ゼロックス株式会社相談役最高顧問 )

2007年8月28日

p_070828_15.jpg小林陽太郎(新日中友好21世紀委員会日本側座長、元経済同友会代表幹事、富士ゼロックス株式会社相談役最高顧問)
こばやし・ようたろう

1933年ロンドン生まれ。56年慶應義塾大学経済学部卒業、58年ペンシルベニア大学ウォートンスクール修了、同年富士写真フィルムに入社。63年富士ゼロックスに転じ78年代表取締役社長、92年代表取締役会長、2006年4月相談役最高顧問に就任。社団法人経済同友会前代表幹事。三極委員会アジア太平洋委員会委員長、新日中友好21 世紀委員会日本側座長なども兼任。

挨拶

 皆さん、おはようございます。小林陽太郎です。

 この北京-東京フォーラムは、今回で三回目を迎えました。その意義についてはすでに何人もの方がお話をされましたが、主催者の一人としてそれを誇りに思うとともに、協力してくださった多くの方々に御礼申し上げます。

 第一回フォーラムは、まさに「政冷経熱」の時期における日中関係の明暗ということで、一般世論、有識者の認識がどのようなところにあるのか、アンケート調査をベースとしたそれぞれについての事実認識が大きなテーマでした。

 第二回は、アジアの未来に向けての新たな日中関係の確立がテーマでした。当時の安倍官房長官が重要なスピーチをされたことは記憶に新しいと思いますが、その後首相となった安倍氏による訪中が実現し、友好関係に貢献しました。 

 それを受けて第三回は、「日中の戦略的互恵関係とアジアの未来」が基本テーマとなります。
このことから分かるように、第一回から共通のテーマは「アジア」、つまりアジアの将来、アジアの未来でした。このことは非常に重要なことであり、私が日本側座長を務めている新日中友好21世紀委員会もそのことが基本的なテーマであります。

 今後は、アジアだけではなく世界も視野に入れた議論をしなければならないと考えています。

 最新のアンケートデータでは、両国の関係はよくなっているものの、一般レベルでは我々が目指そうとしている関係からはまだまだ遠いことが明らかになっています。また、有識者と一般市民の認識の差についても考えなければならないでしょう。

 鄭必堅先生は、中国が目指す将来のビジョンは「平和の大国」、「文明の大国」、「親しまれる大国」であるとおっしゃっていました。

 第一の「平和の大国」については、日本は戦後平和憲法で平和を大切にしながら戦後の60年を生きてきました。

 第二の「文明の大国」に関しても、日本は誇りにする文明を持っており、他国から多くのことを学んできました。

 そして第三の点については、「経済的発展を見たが、アジアには友人がいない」という厳しい意見もあり、「親しまれる国」ということは日本にとっても重要なテーマであります。こう考えると、日中には違いはないのではないかと思えます。


 将来の理念を実現するための制度や仕組みが違うのは当然です。それが違うからといってお互いを批判するのは論理の飛躍であって、我々が目指す戦略的互恵関係とは対極の考え方です。事実を冷静に見極めながら、お互いに、率直な、建設的な対話をし、続けていくことが、両国関係の土台を一つ一つ作るものだと思っています。


 そして、この第三回のフォーラムが、第一回、第二回以上の成果を残すことを期待しています。


文責:山下泰静