次期10年の日中民間対話が幕開け ~北京からの報告~

2015年1月30日

 代表の工藤泰志は1月29日より中国・北京を訪問し、今年北京にて開催予定の「第11回東京-北京フォーラム」に向けて、中国側主催団体である中国国際出版集団の周明偉総裁ら関係者8名と協議を行ないました。

 言論NPOは2014年9月の第10回フォーラムにおいて、中国国際出版集団と2015年から始まる10年間のフォーラムの継続について合意しており、今回は次期10年の出発点となる第1回目の日中主催者間の協議となります。150129_01.jpg冒頭に工藤は、過去10年間、日中間の課題解決と両国世論の改善のために重要な役割を果たしてきたことに言及しながら、今年2015年は戦後70年という節目の年であることから、民間の対話が積極的に未来志向な議論を発信し、二国間関係の発展を促す流れを作るべきであると伝えました。これに対して、周明偉総裁は、「東京-北京フォーラム」の過去の成果や日中関係における影響力にふれ、今後、どのように日中が長期的に健全で安定的な関係を構築することができるのか考えながら対話を進めていきたいと語りました。


 その後、両者は、第11回フォーラムのメインテーマや開催日程、分科会のトピックなど具体的な点について意見交換を行い、双方より次の10年間のフォーラムの実施を見据えた積極的で前向きな提案が多く出されました。また、「東京-北京フォーラム」は日中二国間を超え広くアジアや世界で注目されていることから今後は多面的に議論の発信を行うことも一致しました。最後に、3月に両国の有識者で構成される実行委員会を発足させ、主催者である言論NPOおよび中国国際出版集団が今後密に連携を取りながら準備を進めていくことで合意し、協議は終了しました。

 この他、工藤は中国対外連絡部などを訪問し、本年の「東京-北京フォーラム」の意義と取り組みについて伝え、対話への協力と理解を求めました。この中でも、戦後70年という節目の年に行われる日中民間対話への期待は高く、政治、安全保障、世論の改善といった各課題について今後年間を通して継続して対話を実施し、内外に発信していくことの重要性を確認しました。明日30日も中国政府など各方面の関係者を訪問し、今後の「東京-北京フォーラム」の準備を進めていく予定です。


「東京-北京フォーラム」とは

 「東京-北京フォーラム」は中国で反日デモなどが深刻化した2005年から毎年、日本の非営利団体である言論NPOと中国のメディアである中国日報社(チャイナ・デイリー)の主催で、北京と東京の両都市で交互に開催されています。毎年両国の有識者100名が出席し、安全保障や経済などの分科会で議論を行っています。この対話に連動して日中共同の世論調査を毎年実施しています。日本側の実行委員長は明石康元国連事務次長。学識経験者、企業経営者・政府関係者、主要メディアの編集幹部ら約50名が個人の資格で日本側の実行委員会に参加しています。2013年の第9回フォーラムでは「不戦の誓い」に合意するなど、日中で唯一の信頼できる民間チャネルとして位置付けられています。昨年の「第10回 東京-北京フォーラム」には日中両国を代表する約70人の有力者、有識者、ジャーナリストが率直かつ、踏み込んだ対話を行い、日中双方の合意として「東京コンセンサスを宣言して閉幕しました。また、「東京-北京フォーラム」の次期枠組みについて調印式を行い、2015年以降の対話継続に向け、「中国国際出版集団」(総裁:周明偉)と合意しています。