日本のエコノミスト、経済学者9人は、中国経済をどう見たか

2015年8月28日

 中国政府が人民元の事実上の切り下げを行う中、言論NPOは、日本のエコノミスト、中国経済の研究者を対象に、現在と今後の中国経済をどのように見ているのか、緊急アンケートを行い、9名の方からご回答いただきました。

 ※今回ご協力いただいた皆様
 三浦有史(日本総合研究所主任研究員)、遊川 和郎(亜細亜大学アジア研究所教授)関辰一(日本総合研究所調査部副主任研究員)、河合正弘(東京大学公共政策大学院特任教授)、櫨浩一(ニッセイ基礎研究所専務理事)、丸川知雄(東京大学社会科学研究所教授)、田中修(日中産学官交流機構特別研究員)、内田和人(三菱東京UFJ銀行執行役員)、駒形哲哉(慶應義塾大学経済学部教授)


 まず、今回の中国の人民元切り下げについて、現状程度(3%)で終わるのかを尋ねました。「現状程度(3%)で終わる」との回答は1人とどまり、「数カ月にわたり、切り下げを更に進めていく」との回答が3人となりました。ただ、2人は「現時点で判断できない」と回答し、3名が選択した「その他」の回答者は、「アメリカ(FRB)の利上げ」、「中国の8、9月の主要経済指標の動向」など、外的要因によって切り下げもあり得るとしており、専門家の間でも意見が分かれる結果となりました。

問1.中国の人民元切り下げは現状程度(3%)で終わると思いますか。


 続いて、現在の中国の景気減速をどのぐらい深刻にとらえているかを尋ねたところ、楽観視する声はないものの、中国の対策に期待する声が2人となりました。一方、6人の方が今回の景気減速を「深刻だ」と受け止めており、中国経済の景気減速により、世界に悪影響を及ぼすとする声が最多となりました。


問2.現在の中国の景気減速はどれぐらい深刻に捉えていますか。


 今回の中国経済の減速に関して、過剰投資や地方債務問題などの構造問題を背景にする声がありますが、こうした構造問題に対して、中国政府がコントロールできるかを尋ねたところ、「どちらともいえない」との回答(3人)が最多となり、「コントロールできる」「コントロールできない」との回答(2人)は同数となり、エコノミスト、専門家の間でも見解が分かれる結果となりました。


問3.中国経済の減速には、過剰投資や地方債務問題などの構造問題が背景にあります。あなたは、こうした構造問題に対して中国政府がコントロールできると思いますか。


 続いて、今回の中国経済の減速の着地について尋ねたところ、半数を超える5名の方が「短期的には一段の減速を余儀なくされるが、最終的にはソフトランディングするすると思う」

 との見方です。「ハードランディング(景気後退)する」との回答は1人にとどまっています。

 今回の景気減速が世界的に影響を与えると回答した人の中でも、今後の中国経済については、最終的にソフトランディングすると回答しており、短期的には世界経済にも悪影響を及ぼすものの、長期的には景気後退まではいかないのではないか、との見方が多数を占める結果となっています。


問4.今回の中国の経済減速は今後、どのように着地すると思いますか。


 最後に、今後の中国経済が、投資主導型から消費主導型の安定的な中成長に移行できるかを尋ねたところ、「移行できると思う」と楽観視する声が3人いた半面、「現時点では判断できない」(3人)が同数となり、ソフトランディングに確信を持てていないことが浮き彫りになりました。


問5.国経済が、投資主導型から消費主導型の安定的な中成長に移行できると思いますか。

⇒ 日本のエコノミスト、経済学者9人の回答結果を見る

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