「第11回東京-北京フォーラム」最終日全体会議

2015年10月25日


 10月24日・25日にわたって「第11回 東京-北京フォーラム」が開催されました。最終日の25日の全体会議では、高原明生氏(東京大学教授)の総合司会の下、単霽翔氏(故宮博物院院長)、小倉和夫氏(国際交流基金顧問、元駐フランス大使)、山本有二氏(衆議院議員)の3氏が基調報告を行いました。その後、コーヒーブレイクを挟み、24日の午後に開催された「政治・外交」、「経済」、「安全保障」、「メディア・文化」、「特別」の各分科会から日中の代表がそれぞれ対話の内容について報告しました。
 最後に、中国側から周明偉氏(中国国際出版集団総裁)、工藤泰志(言論NPO代表)が主催者を代表して挨拶を行い、フォーラムは幕を閉じました。



no image まず、司会の東京大学教授の高原明生氏が開会の挨拶を行い、「昨日は日中相互が実りのある率直な議論を行うことができた」と振り返り、「今日の日もまた実りのある1日にしていきたい」と挨拶をしました。


文化的側面から、社会の発展のための力になれるような様々な努力の実施

no image 次に、基調講演に移りました。まず、中国側から単霽翔故宮博物院院長が登壇し、「故宮博物院は現在、フランスのルーブル美術館の入場者数を超えるようになった。そして、1日の入場者数を8万人に制限するようになっている。なぜこのような多くの人々が訪れるのかと言えば、まず最大規模の木造建築、豊かな文化財がある。1800万7000点くらいの収蔵品があり、69のカテゴリーを有するほどである。例えば、非常に価値の高い金銀の器、陶磁器や刺繍、外国の文化財も数多く所蔵している。そして、今後の見通しとして、全体の80%が一般オープンになる」と説明するなど、故宮博物院についての詳しい紹介なされました。

 また、単氏は「現在乾隆帝のカーテンを修繕しており、7年をかけて一般公開を目指して取り組んでいる。使っている技術は細かいが、未来のために見えない努力をしている」と語り、博物院の一層の発展のための努力が強調されました。

 さらに単氏は、「博物院においては来月の11月にデジタル博物館がオープンする。また、子供向けのストーリーなどの展示や、英語での案内や無料のアプリを複数作っている」と語り、伝統ある博物院においても、子供や外国人にとっても魅力ある場所とすることを目指すと共に、ICT技術を積極的に活用していることをアピールされました。さらに、タンザニアにアフリカ故宮学院を作るなど、海外への展開や研究者の育成にも力を入れていることが紹介されました。

 最後に単氏は「本当の意味で社会の発展のための力になれるよう、これからも頑張っていきたい」と基調講演を締めくくりました。


過去を語るのであれば、未来も一緒に語るべき

no image 続いて登壇した、国際交流基金顧問で、元駐フランス大使の小倉和夫氏は、先に登壇した

 単霽翔氏の発言を踏まえて、「文化は国家の宣伝の道具にしてはならない」ということに賛意を示しました。そして、中国文化は世界中の人々のものであると指摘し、故宮博物館の繁栄のため、世界中の人が協力すべきと述べました。

 次に小倉氏は、現在の日本は「ターニングポイントにある」と指摘しました。日本は第二次大戦以降、「平和的、民主的、かつ豊かな社会を目指すという目的を掲げ、この目標は一定程度実現したことで、未来の新しい目標を探求しなければならない」段階にきており、それが、今回のTPPや安保関連法案への取り組みだと紹介しました。

 一方で、小倉氏は、中国もまた現在「ターニングポイントにある」と指摘しました。「現在、経済的、軍事的な大国となっているが、依然として途上国との位置づけで、第三世界をどのように引っ張っていくのか、という立場も取っている。中国はどのように国際社会の責任をとっていくのか」という点で、国際社会の大きな課題であるとし、そうした課題を乗り越えるためには、日中双方で対話をし、未来に対するビジョンを明らかにしなければいけないと語りました。さらに小倉氏は、未来と過去の関係について、「過去から学び、過去を語るということは大事なことだが、過去を語るのは、実現する未来があるからこそ、過去を語るのだ」と述べ、未来を語らずに過去を語るのは単なる「愚痴」にすぎず、過去を語るのであれば、未来も一緒に語るべきだと述べました。そうした中で、小倉氏は、日中両国が未来に対するビジョンを知るためには、若者同士の対話は重要であるとして、両国の未来のビジョンを語る「青少年ネットフォーラムを起ち上げてはどうか」との提案がなされました。

 続いて、小倉氏は「日中はグローバリゼーションの中で大きな恩恵を受けた。だからこそ、地球規模の課題に取り組む責任がある。そして、日中間の関係改善も大事ではあるが、関係改善を行った後に何を行うのかを考えることがさらに大事であり、そのことが未来志向への対話に繋がっていく」と語り、「日中グローバル問題フォーラム」の設立を提案し、「両国国民の利益だけではなく、地球村に住んでいる全ての方々の課題にとりくまなければならない」と今後の日中両国にとって、示唆に富む提案がなされました。


今後の市場の可能性を考えても、日中の連携強化が必要だ

no image 最後に登壇した衆議院議員の山本有二氏は、「世界は変化する、そして変化している」というテーマで、まず、IMFが作った国際準備資産、SDR(特別引出権)が5年に1度の見直し時期を迎え、中国の人民元がSDRに仲間入りするかが今回のポイントであると指摘しました。その上で山本氏は、日本の円より、人民元の方が活用されるシェアが高くなったこともあり、今回のSDRの見直しで、人民元をSDRに加えるべきだと語りました。

 ここで山本氏は、ドイツの例を引き合いに出しました。ドイツは、1910年に、アメリカの工業生産力がイギリスを追い抜き、1950年基軸通貨はポンドからドルに代わりました。世界が変化し、歴史が変わってきつつあるなか、1990年ベルリンの壁が崩壊しました。その際、東ドイツは旧共産圏であり、西ドイツに編入され、うまくいかないと言われていたものの、共産主義化で高い水準の教育を受けた良質で安い労働力を活用し、現在、経済を復活させ、ヨーロッパを支配するに至っています。

 こうした現状を踏まえ山本氏は、先述したドイツの教訓から、共産主義教育は質の高い労働力を生むということ、国防コストが市民生活の発展、市場経済、成長の発展を阻害しているということ、歴史を超えて、ドイツとポーランドのように、友好関係を結ぶ地域こそ発展をするということの3点を挙げました。そして、日本と中国が連携を強化し、ASEANを含むアジア市場を作れれば、20億から30億円人のマーケットが出来上がることになり、世界の中心となる可能性を秘めていると指摘。さらに、山本氏は、「生産と貿易と通貨がさらに発展成長するならば、地球の永続の問題には入れるのではないか」と語り、AIIBに、既存のADBも加えて、支援を倍加することができ、共通のルールを作ることができれば、アジアの支援が世界の中心になっていくとの見通しを示し、「日中の連携強化が必要だ」と報告を締めくくりました。

⇒ 最終日(25日)全体会議分科会報告はこちら

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