言論外交の挑戦

第4回日韓共同世論調査 記者会見 報告

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⇒日韓両国の国民感情が改善に向かい始めた背景に何があるのか
⇒第4回日韓共同世論調査 日韓世論比較結果
⇒「第4回日韓共同世論調査」をどう読み解くか

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 7月20日(水)、韓国・ソウルの韓国プレスセンターにて、言論NPOが韓国のシンクタンクである東アジア研究院(EAI)と共同で実施した「第4回日韓共同世論調査」の結果に関する共同記者会見が行われました。

 記者会見には、日本側からは言論NPO代表の工藤泰志が、韓国側からはEAI代表の李淑鐘(イ・スクジョン)氏と、シニア・フェローのキム・ボミ氏が出席しました。会場には4台のテレビカメラを含むめて、日韓両国から約30名の報道関係者が集まるなど、高い関心が寄せられました。

 この共同世論調査は、日韓両国民の相互理解の状況や、北東アジア地域の課題に対する認識を継続的に把握し、日韓関係の発展に役立てることを目的に、2013年から始まったものです。調査結果は、本年9月2日にソウルで開催予定の「第4回日韓未来対話」にも反映され、両国民の意識を踏まえた議論が行われる予定です。


IMG_0643.jpg 冒頭、調査結果の発表に先立ち、李淑鐘氏は日韓未来対話創設と共同世論調査開始の経緯を振り返り、「日韓関係は2000年代にワールドカップ共催などで発展した後、2012年から急激に悪化した。政府間関係の悪化に引きずられ、国民間の関係も悪くなるという状況を変えるため、日韓の両国民の世論を調査したうえで、その改善に向けて取り組む対話を始めた」と、本調査と対話の意義を説明しました。

 その後、世論調査結果についての説明に入りました。

IMG_0678.jpg 工藤は今回の世論調査結果を読み解くポイントとして、次の2点を指摘しました。

 1つ目は、2013年の調査開始以来初めて明確なかたちで、日韓両国民間の相互認識や、現状の日韓関係に対する評価に改善が見られたことです。日韓両国民の相手国に対する印象は、「悪い」との回答が日本人で44.6%(前年52.4%)、韓国人で61.0%(同72.5%)と、依然決して良くはないものの、日韓双方とも、過去4回の調査で初めて改善しました。また、現在の日韓関係についての評価でも、日韓関係は「悪い」と考える人の割合は日本人で50.9%(前年65.4%)、韓国人で62.3%(同78.3%)と減少し、双方で改善が見られました。

 工藤は、こうした変化の背景として「昨年秋以降、政府間のコミュニケーションが活発になり、12月には慰安婦問題で合意がなされたこと、さらに、年明け以降も北朝鮮への対応で日韓政府は協力しており、こうした政府間関係の改善が反映されたのではないか。しかし、日韓関係の将来について、長期的に改善するだろうとの見通しには至っていない」と述べました。

 2つ目は、日韓関係に対する認識が全体的に改善した一方で、北東アジア地域の主要なプレイヤーである米国と中国のどちらを重要視するかについて、日韓の認識に差が見られることです。「自国の将来にとって最も重要な国や地域」は、日本人では「アメリカ」との回答が65.9%と最も多く、2番目の「中国」(8.0%)を大きく引き離しています。しかし、

 韓国人は同盟国である「アメリカ」(39.8%)よりも「中国」(47.1%)を選ぶ人が最も多く、日韓間で認識の差が見られます。また、安全保障上の考え方にも同様の傾向があり、「自国に対する軍事的脅威」についても、双方で8割を超えた「北朝鮮」に次ぎ、日本人の72.8%が「中国」を挙げたのに対し、韓国人では「日本」が37.7%、「中国」との回答は36.0%と同程度となっています。

 こうした結果を踏まえ工藤は、「ここ数年の日韓関係や国民間の感情は悪化傾向にあったが、今回初めてそれが改善したことは日韓関係にとって明るいニュースである。一方で、この改善傾向が将来にわたって続くと両国民が確信するまでには至っていない。米国と中国という2つの大国に挟まれる中、自国の立ち位置についての認識には日韓間に相違もあり、日韓関係を長期的により良いものにするためには、未来に向けた共通の課題に協力して取り組んでいく必要がある」と指摘しました。

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 EAIの李院長は、韓中関係と韓米関係について「北朝鮮の脅威が感じられるとき、韓国世論は米国寄りになる。一方で、安全保障を抜きで米国と中国のどちらが重要かと聞かれれば、多くの韓国人は経済関係の深い中国と回答するだろう。また、北朝鮮に対する中国の影響力も考慮しないといけない」と述べ、安全保障と経済という2つの側面から見る必要性を強調しました。


IMG_0701.jpg その後、日韓のメディアから質問が寄せられ、活発な質疑応答が交わされました。

 最後に、EAIの事務局から9月2日の「第4回日韓未来対話」について説明がなされ記者会見が終了しました。

 今回の世論調査を受けて言論NPOでは、9月2日開催の「第4回日韓未来対話」についての準備を加速させます。対話の詳細については、言論NPOのホームページで随時公開していきますので、ぜひご覧ください。

⇒「第4回日韓共同世論調査結果」の詳細はこちら
⇒代表の工藤が語る「日韓両国の国民感情が改善に向かい始めた背景とは」
⇒日本の専門家3人は、4回目の日韓共同世論調査をどう読み解いたか
⇒過去の「日韓未来対話」の議論の様子をご覧いただけます
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