言論外交の挑戦

日中シンポジウム(第1回 北京-東京フォーラム)開催 報告

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2005/8/23 (火)~ 24(水)
日中シンポジウム(北京・東京フォーラム)開催 報告
-言論NPOと中国チャイナデイリー、北京大学国際関係学院の共催により、今後10年にわたる日中間の議論のプラットフォームが始動-

場所: 北京・中国大飯店


8月23日、北京の中国大飯店にて、言論NPOと中国チャイナデイリーの共催、北京大学の協力と中国国務院のサポートにより、「北京・東京フォーラム」が開催され、いよいよ、日中の議論のプラットフォームが動き始めました

今回のこのフォーラムは、8月23日午前の全体会議(公開)、同日午後の非公開での分科会議(政治分科会、経済分科会、メディアと文化分科会)、 24日午前の全体会議(公開)、午後の記者会見という日程の下に、別記の日中両国各界からのパネリストや来賓の参加を得て開催されたものです

23日午前の全体会議には、日中両国から約200名の参加者と報道関係者が会場を埋め、このフォーラムに対する中国側の関心の高さと熱意が伝わってきました。

この全体会議は、中国チャイナデイリーネット総裁の張平氏の司会によって進められましたが、そこでは、まず、チャイナデイリー総編集長の朱霊氏より、言論NPOとチャイナデイリーが手を結び、中日両国の議論交流のプラットフォームとして中日各界交流の場を作ることを目指し、両者が10年にわたる協力関係を合意したことが紹介され、中日関係はより大所高所から、より胸襟を開いて捉えるべきであり、こうした取組みがそれに向けたステップになることを期待するとして、歓迎の意が述べられました。

次に、中国対外友好協会会長の陳昊蘇氏が挨拶し、中日間の過去の歴史を振り返ると、50年の戦争の歴史の次は60年の紆余曲折の時代だったが、今後は両国が一世紀にわたる未来を開くことが大事であること、その際、第二次大戦で中国は3,500万人の犠牲を出した世界最大の被害国であり、普通の人間関係においても、悪事を反省し謝罪した者は賞賛と尊敬を得ると同様、中日関係は日本人の良識に基盤があると述べ、中日間の共同利益の最大化に向けて誠意ある議論を期待しているとしました

次に、日本側より福川伸次(電通顧問、元通産次官)が挨拶に立ち、まさに日中両国の認識ギャップの解消を目指してこうした議論のプラットフォームを作ろうとしてきたこと、21世紀は世界大交流の時代であり、グローバリズムを定着させて新しい未来を創ることが重要であること、アジアでは日本と中国が楕円形の2つの中心であり、これをプラスサムに高められること、その具体化のためには協力関係の強化が必要であるが、歴史認識での摩擦が憂慮されること、今こそ確かな信頼関係を確立し、未来を創新していくことが求められていることなどを述べました。

そして、歴史認識についてはきちんと整理を行い、両国間で問題が起これば遵法と互譲の精神で解決すべきであり、日中の各界で相互交流を深め、このフォーラムもこうした未来に向けて貢献するものになるべきであるとしました。

その後、この会議では、3つの基調講演が行われました。まず、アイワイバンク社長(元日銀理事)の安斎隆氏が行った基調講演で、同氏は、「巨象、流砂に倒れる」のたとえは、日本が周辺諸国を流砂の如くに扱えば日本は倒れるとの戒めであり、経済は相手があってこそ発展するものであって、分業の利益が所得を増大させる好循環を築くことが大事であるとし、このフォーラムが日中両国の様々な面での分業関係を発展させ、平和の土台を築いていくことを期待しているとしました。

また、日本では郵政民営化が大問題になっているが、中国でも金融部門が吸収した資金が財政に回る非効率なシステムが依然として無駄な資源配分をもたらしており、この面の改革が今後の大きなテーマであるとしました。

次に、政策大学院副学長の白石隆氏が行った基調講演で、同氏は、このフォーラムが継続を予定している10年後に、日本と中国はどう変化しているかを考えるに当たり、今から20年前を振り返れば、日本も中国もそれぞれ大きな変貌を遂げてきたのであり、日本の変化はトップダウンではなく、個々のミクロの主体の行動の結果として大きく変化してきたが、これは日本とアジアとの関係についてもそうであるとしました。

そして、今や、アセアン+3(日中韓)の通貨協力に加え、この地域では2010~2015年頃には経済連携協定が実施に移り、東アジア共同体が展望されるに至っていることが予想されるが、こうした進展の背景には、プラザ合意後にアジア経済の事実上の統合が進み、そこに日本も統合されているという大きな実態変化があるとしました。

加えて、同氏は、そもそも明治維新後の日本の外交路線については、1.欧米中心の英米本位主義(日本の外交の基本的考え方)、2.アジア主義 (1915年からの30年間は日本を中心とするアジア主義があったが、それは壊れ、現在は、日中提携を基盤にアジアを盛り上げようという考え方)、3.内向きのナショナリズム、という3つの流れがあるが、現在の日本の外交が直面している課題は、1と2をいかに整合して3を抑えるかであり、その課題解決のカギが日中関係のマネージであるとしました。

しかし、今回の日中共同世論調査が示しているのは残念ながら相互不信であり、不信をいかに信頼関係へと組み立てていくかが問われているとし、10年後のこのフォーラムの場では、10年前の不信の関係が信頼の関係に転化していることが確認され、今回からの議論がそれに貢献するものとなることを期待するとしました。

次に、中国国務院の前新聞弁公室主任で、現在、趙啓正氏が行った基調講演では、同氏は、中日関係には希望があり、10年という期間で改善できるとし、その根拠として、中日友好の歴史は3,000千年に及ぶものであること、文化の共通の基盤があることは交流の基盤になるものであること、相互貿易が 1,000億ドルを超えた二国間関係は世界でも5~6組しかないこと、安全保障に向けて共通の課題が出てきていることなどを挙げました。

そして、今回の共同世論調査の厳しい結果を両国がきちんと受け止めるべきであり、日頃のメディアの報道姿勢は友好の観点からより客観的なものにしていかなければならないことなどを指摘しました。

その後、全体会議では、日本側実施の世論調査と中国側実施の世論調査の結果報告を言論NPOの工藤泰志代表と北京大学国際関係学院の李玉教授がそれぞれ結果報告を行い、それに対するコメントを、日本経済研究センター会長(日本経済新聞論説顧問)の小島明氏、及びチャイナデイリーネット総裁の張平氏が行いました。

この日の議論は中国国内にインターネット中継で報道されたほか、日本語でのラジオで同時中継され、また英語でも議論内容がすべて報道されました。その後、午後からは日本と中国側のパネラーが分科会に別れ、約6時間にわたって非公開で議論を行い、その内容は24日午前の全体会議で日本と中国の座長からそれぞれ報告されました。

議論の詳細は後日、報告させていただきます。このフォーラムは、今後、10年にわたり、北京と東京とで交互に開催されることが予定されており、同じく、10年にわたり継続される日中同時世論調査やアンケート調査など、様々な共同事業とも有機的に組み合わせながら、日中両国の議論のプラットフォームを形成し、両国間の信頼関係の強化に向けて、両国の各界個人のネットワークを拡充していきます。

また、今回のフォーラムもインターネット中継が行われていますが、私たちは、こうした議論をインターネットを通じて世界に発信し、日中を中心にアジアや世界に大きな言論空間を創出していこうと考えています。

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