言論NPO 第1回アドバイザリーボード会議 報告

2011年1月21日

110120_top.jpg

 1月20日、都内ホテルにて、第1回アドバイザリーボード会議が開催されました。言論NPOのアドバイザリーボードは10名の有識者で構成され、言論NPOの議論活動に対する助言とサポートなどを行うために設置されました。第一回目となる今回は、代表工藤の他、明石康氏(財団法人国際文化会館理事長)、安斎隆氏(株式会社セブン銀行代表取締役会長)、小林陽太郎氏(富士ゼロックス株式会社前最高顧問)、増田寛也氏(株式会社野村総合研究所顧問)、宮内義彦氏(オリックス株式会社 取締役兼代表執行役会長・グループCEO)、宮本雄二氏(前駐中国特命全権大使)、武藤敏郎氏(株式会社大和総研理事長)が参加しました。


工藤泰志 まず、代表工藤がこのアドバイザリーボードの役割について、「いま、日本には質の高い議論が求められている。日本の社会に目に見える変化を議論の力で起こしたい気持ちがあり、そのためにアドバイザリーボードを開催し、ここが一つのバリューになって、議論をつくるための先導役になって欲しい」と述べました。そして、言論NPOの3年間の事業計画について「言論NPOは『強い民主主義、強い市民社会』をつくるためのインフラをつくり、今後3年間で目に見える形で役割を発揮したい」と述べ、現在展開している4つの言論それぞれについての方針と計画を説明した後、参加者間で議論がなされました。


宮内義彦氏 宮内氏は、「『正しい議論』というのはいくつもあるので、具体的な政策になればなるほど、党派活動になりかねない。『強い民主主義』という以上、言論NPOは原点に立ち返り、言論インフラや政治インフラといった根本的な部分に対してモノを言うべきだ」とし、民主主義のシステムについての議論を強化すべきとの意見を表明しました。

明石康氏 明石氏は、「我々は民主主義を信じるが、これはあくまでも代議制であり、成熟した民意が必要」と述べ、その意味で、市民社会を強化するという方向性に賛意を表明しました。その上で、「我々は市民社会の合理的で啓蒙された、冷静な意見を形成していき、それをどういうふうに現実の政治に反映できるかを考えなければならない」と述べました。

武藤敏郎氏 武藤氏は、「『国民の声を聞く』政治がいかにも民主的なようにメディアは言うが、実際には、『国民を説得する』政治こそが今求められている」と述べた上で、「言論というかたちを通じて理性的、論理的に組み立てられた政策をどうやって国民に分かりやすく提供するかが私たちの仕事だ」としました。

安斎隆氏 安斎氏は、「逆説的かもしれないが、私は日本の場合、市民が強すぎて、政治が自分の考え方を曲げて市民に迎合するような傾向があると考えている。今の日本社会の最大の欠陥は、強力なエリートとリーダーの不在だ。エリートやリーダーは、国民のニーズに答えるのではなく、国家のために尽力すべきであり、そうした人材を教育するような議論や選挙制度の問題など、言論NPOは基盤的な問題を提言すべきだ」と指摘しました。

小林陽太郎氏 小林氏は、「民主主義の制度のもとでは、国民のうちの大部分が大なり小なりポピュリズム的な動きをするのは事実だ。安斎氏の指摘はその通りだが、その際に言論NPOがどういう言葉で発信をするかということが大きな問題だ」と述べ、活動を展開するに当たっての課題を明らかにしました。

宮本雄二氏 宮本氏は、「議論のインフラとしての強い役割を発揮するということに対して全面的に賛成するが、こういった議論はいま国民にきちんと届いているのか。多くの国民にこうした議論を伝え、彼らが行動してくれるのが、強い民主主義の基本だ」「言論NPOのウェブサイトを開けば良質な議論がある、という認識がじわじわと広がっていくことが重要で、それに向かって自分も考えていきたい」と述べました。

増田寛也氏 増田氏は、最近の地方政治の動きに触れ、「最近は政治的に多数の人の意見を統合できず、住民自治を強化しようといった言葉が聞こえてくる。しかし、選ばれた政治家の責任、あるいは選んだ国民の責任を曖昧にしたまますべて住民に聞こうとしても、大衆の意見はあっという間に変わっていく」と指摘しました。その上で、「市民の視点は重要だが、民主主義の基本は代議制であって、選ばれた政治家がどうやって優れた政治を行っていくかが大事。中立的なかたちで権力から距離を置き、政治を評価し、国民に判断材料を与えていくという地道な活動にこそ、言論NPOの存在意義がある」と述べました。


 最後に工藤は、「言論NPOに対する最近の反応を見ても、間違いなく自分で考えないといけないと考えている人は増えている。そういう人達と共に、この動きを大きくして流れを変え、目に見える形で変化を起こしたい」と述べ、今後の活動に対する決意を述べました。

 言論NPOでは、2ヶ月に1回のペースで定期的にこのアドバイザリーボードを開催し、これを起点に様々な新しい活動を展開していきます。

 なお、本会の議事録は近日中に全文をウェブサイトに掲載いたします。ぜひ御覧ください。

言論NPOアドバイザリーボード紹介

 1月20日、都内ホテルにて、第1回アドバイザリーボード会議が開催されました。言論NPOのアドバイザリーボードは10名の有識者で構成され、言論NPOの議論活動に対する助言とサポートなどを行うために設置されました。