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2012年1月30日

「野田政権の100日評価」有識者アンケート結果をどう見るか
-言論NPOは新しい政治をつくり出す具体的な動きをスタートします

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「野田政権の100日評価」有識者アンケート結果をどう見るか

聞き手:田中弥生氏 (言論NPO理事)


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田中:工藤さんこんにちは。野田政権が12月10日で100日を迎えました。言論NPOでは自民党時代から、毎回100日評価を行っていますが、野田政権もその結果が出たということで、ハイライトを教えていただけますか。

工藤:分かりました。今回は、現時点ですでに150日ほどになっているのですが、やはり予算が決まらないと100日といっても評価ができないので、今回は年末年始まで評価の期間を延ばしました。その上で、有識者2000人ほどに質問票をお送りして、434名の方に回答していただきました。それを分析して、ようやくまとまったという段階です。

 今回の調査は二つあり、一つは野田政権の100日時点での首相の資質と政権が取り組んでいる政策課題に対する評価。もう一つは、日本の政治の現状、そして日本の政治が今後どうなっていくのか、それから日本の民主主義がどういう段階にあるのかということをまとめて聞いており、それに対する見解を出しています。その意味では、日本政治の行方を考える上で重要な論点がかなり入っているのではないかと思っています。

田中:政権の評価と日本の政治そのものの評価をされたということですが、まず、野田政権の100日評価の結果を教えてください。


「首相の資質」については5点満点で2.4点。前政権(2.4点)と比較すると善戦

工藤:はい。先ほど田中さんがおっしゃったように、私たちは、100日間はハネムーン期間で温かく見守ろうと、ただし、それを過ぎたら有権者は厳しく見るということで、100日評価を行っています。

 ただ問題なのは、野田政権がやろうとしていることは民主党のマニフェストで示された政策とは違うわけです。民主党マニフェストは破綻している。そういった状況の中で野田政権をどう評価するかということが、今までの評価と違うところでした。100日評価は安倍さんから6回目で、毎回同じ設問を聞いているのですが、今回の野田政権に関しては、私たちは所信表明演説で野田さんが話した30項目を、国民の約束と判断して、その上でそれにうまく取り組んでいるのか、有識者の皆さんにお聞きして評価しました。まず首相の資質、これは「首相の人柄」や「体制作り」など8項目で評価するのですが、5点満点中2.4点でした。

田中:それは高いのですか?低いのですか?

工藤:本当は5点満点の半分以下なので低いのですが、ただ、前の菅政権が1.8点とあまりにも低いために、それから見ると善戦しているという状況です。

 それから、野田さんが国民に約束している30項目(財政再建や社会保障、TPPや震災対応)について、「うまく対応できた」「うまく対応できていないが、今後期待できる」「対応できておらず、今後も期待できない」という三つで評価してもらいました。その結果、「うまく対応できた」という意見が40%以上あったのは3つあって、消費税増税に対するリーダーシップと、TPP参加に対する首相の判断、震災に対して三次補正を組み、復興庁を作ったという点でした。しかし、それ以外の約20項目(社会保障や無駄の削減、普天間の問題などですが)については、「対応できておらず、今後も期待できない」と見ています。

 これを見ると一つの結論が出てくるのですが、野田さんは今までの歴代政権が取り組んでこなかった消費税増税などで決断したことに対して、相対的に評価されている。しかし有識者は、それ以外に関してはほとんど何もやれない、と見ているのです。先ほどの三つに関しては野田さんは評価されているのですが、それについても民主党の党内が反対しているので、こういった状況も含めて、今後にも期待できるかと、さらに聞いてみると、半数程度(49.5%)が「期待できない」といっている。ということは、野田さんはそこに政治生命をかけて、100日間でこの3つについて踏み込んだのですが、その実現をめぐっても野田政権は正念場に入っているなということが、このアンケートで見事に浮かび上がってくるわけです。

田中:何となく報道を通じてのニュアンスと合致しているように思いますね。


52.1%が「解散すべき」と回答し、そのうち8割が今国会中や国会直後に解散すべきと見る

工藤:つまり、歴代の100日よりは野田政権の評価は高いのですが、しかし今後はどうなるか分からないという局面に置かれていることがよく分かります。
 そしてもう一つ大きなのは、この野田政権はどういう政権なのか、ということです。つまり、選挙で国民に提示した約束はもうほとんど総崩れしたわけです。しかも、総理は党内で選ばれているわけですから、代表制民主主義、つまり、有権者が自分たちの代表を選んで、その代表がきちんと国のために成果を出すというサイクルに基づいた、代表制の民主主義から今の政権を本質的に判断すると、これについては「正統性がない」と問題視している人たちが7割もいるわけですね。そして、52.1%もの有識者が「解散すべき」だと回答し、そのうち8割が、今国会中か国会直後に解散すべきだと考えているという結果になっています。

田中:正統性がない、有権者から選ばれていないという問題は、言論NPOはずいぶん以前から指摘していましたが、今回アンケートの反応で明らかになったことはなんでしょうか?

工藤:日本の政治の状況をどう考えるかという問題にも関わってくるのですが、やはりいまの日本の統治や政党そのものに対する信頼が、なくなっているわけです。これに対して私たちは自民党時代からまずいと、政党政治そのものが壊れてきていると訴えてきたのですが、日本の政治や統治に対する危機感は、かなり高まっている。過去の100日評価と比較しても、民主党に政権交代してからこの傾向はどんどん強まっていて、「既存政党には信頼できない」という声が、今回はなんと61.8%と、6割以上もあるのですね。

 そうなると、今回の解散は、野田さんがうまくいかないから国民の信を問うてほしいというよりも、ここあたりできちんと、日本の政党政治、政治そのものを国民サイドで考え直さなければならない段階に来ているという危機感が高まっていることのあらわれだと、私は思います。

田中:そうなりますと、解散後の社会がどうなっているかということですが、この点についても聞いていますね。


既存政党への失望感から、有識者は政党政治に本質的な変化を求めている

工藤:私はこれがショックだったんですが、いま解散総選挙があった場合にどうなるかという設問です。今は二大政党ですが、今回、民主党や自民党に対して期待する声はほとんどないわけです。「野田政権の継続」を期待する声は5.3%、「野田首相は代わるが、民主党を軸とした政治への継続」は3.9%、「自民党への政権交代」を期待する声も6.2%というレベルで、圧倒的多くの人々は、一つは「政界再編」を期待している(39.6%)、もう一つは、それもうまくいかずに「不安定な政治の継続」(32.5%)と日本の政治の混乱がかなり続くと見ているわけです。

 つまり日本は、単に政党や政権を交代する、ということから、本当の意味での日本の政党政治の不信、今までの政党政治からの本質的な変化を求めなければならない段階に来ていることを、有識者は覚悟し始めているということです。

田中:失望だけしていてもダメなんですが、では、何に期待すればよいのでしょうか?


政治の混迷を打開するのは、「有権者の当事者としての意識」

工藤:これに関しては関連する質問もしています代表制民主主義とは、政治は有権者が主役なんですが、この課程は有権者が投票して代表を選び、その代表者が日本の課題に対して成果を出していく、つまり課題を克服するという二つのプロセスに分かれます。この代表制民主主義そのものが機能しているかということを聞いてみたところ、7割が「機能していない」と答えているんですね。

 今の政権そのものをどうするかということ以上に、今の民主主義という問題について、うまくいっていない、と多くの人たちが見ている。ではどうすればいいのかということですが、それについては、「有権者の当事者としての意識」と回答する声が6割だったのです。
つまり、民主主義の原点に戻ること。もう、永田町に答えはないだろうと、有権者が変わって、自分の問題として考えていかないと日本の政治は動かないだろうということです。一方であるのは、政党そのものが政策軸でまとまっていない、ただ人が集まっているだけだということが混乱として見え始めていますから、この政党が変わることと、選挙制度についても問題と感じている人も4割以上あります。そういう問題が、投票しても「この人が代表だ」と実感を持たない、という意識につながっています。こうした代表制民主主義を再び機能させるためにも、「有権者の意識」が問われているのです。

田中:まさに自分たちが選択したことに対して責任を持つ、社会の課題について理解をしていくという「市民性」が問われているということですね。


言論NPOは、新しい政治をつくり出す具体的な動きをスタートする

工藤:ただ、そこには一方で、私たち言論NPOとして問題があると思っています。

 有識者は政界再編を求めながら混迷が続くと言い、それを打開するのは有権者の意識と言っている。日本の政治の変化にまだ期待を持てないのは、そこには、有権者の意識が、どういう形で政界再編や新しい政治へのチェンジに結びついていくのか、見えないのです。

 それは言論NPOに対する一つの大きな注文でもあると私は思っているのです。つまり、私たちは日本に健全な輿論をおこし、その輿論で政治を変えなければならないといっているのですが、しかし議論だけで政治が変わるのだろうか、と。つまり、この健全な輿論と議論が、実際に新しい政治をつくり出す方向に向かわなければならないということが問われているのです。言論NPO自身も変わらないといけないと、思っています。

田中:大きな課題を私たちにも突きつけられているということですね。

工藤:2012年、この調査は私たちにとってスタートだと思っています。この調査から議論作りをし、また、もっと市民と色々な議論して、それを政治にぶつけ、日本の政治を大きく変わるための動きを始めていかなければと感じました。

田中:ありがとうございました。

野田政権100日評価と日本政治の行方 ― 有識者アンケート結果
「野田政権100日評価」 434人の有識者の発言


投稿者 genron-npo : 20:19 | コメント (0) | トラックバック

2012年1月 1日

2012年を迎えての、新たな決意

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2012年を迎えての、新たな決意

聞き手:田中弥生氏 (言論NPO理事)


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田中:工藤さん、あけましておめでとうございます。
今年2012年はどのような年になるのか、お聞かせいただけますか。

工藤:2012年は僕たち有権者が日本の課題や未来にきちんと決断しなければならない年だと思います。

田中:何を決断しなければいけないのでしょうか。


有権者自身が国の未来を考え、決断する年に

工藤:昨年震災や原発事故が起きて、これまで日本が棚上げにしてきた問題がはっきり分かりました。原発の問題、それから社会保障や財政の問題。これらはこのままでは非常に厳しい状況です。実はこれらの問題は、課題としてこれまでずっと認識しながらも先送りにしてきたものです。一方で、今の政治の混乱を見て、日本の政治にはこういった問題に対して、きちんと解決をする能力も取り組む意思も無いのではないか、と多くの人が考えたはずです。しかし、政治というのは政治家だけの問題ではなく、民主主義の社会では有権者がその政治家を選んでいるわけですから、有識者にも責任があるのです。つまり僕たち有権者自身が、国の未来に関してきちんと考え、決断する。その結果今のような課題解決に向かい合えない政治を変える、そのような大きな変化を起こさないといけない年だと思います。

田中:その点でお伺いしたいのは、有権者側の議論としてよく出るのは、「今の政党や政治家にはがっかりしているけど、ほかに選択肢が無い、選ぶものが無い」という意見をよくお聞きします。この点を工藤さんはどう考えますか。


有権者自身が、日本が直面する課題に向かい合うことで、大きな変化をつくり出す

工藤:昨年の暮れに2012年はどのような年になるかについて有識者に緊急アンケートをしました。その中で、2012年は解散総選挙になると見ている人が6割いました。しかし問題はその解散総選挙のあとに日本の政治はどうなるのかという問いに対し、圧倒的に多かったのは、「政界再編」と「不安定な政治状況がこれからも続く」という回答でした。逆に今の野田政権が続くとか民主党の政治が続くと思っている人は3%しかいません。自民党の政治と答えているのも11%しかいませんでした。

つまり既存の政治の中で政権交代をしても課題解決はできないと見ています。今、有権者が求めているのは、思い切った変化なのだと思います。そのためには、まず政党そのものが課題解決をするために政策軸にまとまりなおさないといけない。今は、主張も考え方も違う政治家がただ集まって、ばらばらで何も意見をまとめられないといった状況なのです。つまり政策軸で判断できる、そうした新しい政治の動きを作っていかないとどうしてもこの課題解決に向かい合えないのです。しかし先ほどのアンケート結果では半分の人は政界再編しかないと答えていますが、そのうちの半分が政界再編してもうまくいかず政治の混乱が続くと見ています。この状況こそ、僕たちは2012年に乗り越えないといけないのです。あくまでもゴールは課題解決や日本の未来に向かいことであり、それに対してきちんと政治が機能する状況をつくらないといけない。

今年は選挙があるかもしれませんし、その時は有権者自身が判断しないといけないのです。そのときに田中さんがおっしゃったように政治家はどういうような政策軸で何を約束するかを見極めないといけない。その前提として有権者自身が日本の課題について真剣に考えないといけない。こうした有権者の動きが、日本に大きな変化を作り出すと思います。

田中:そうなれば有権者自身が社会的な問題をどう解決するかについてより深く考えることによって政治のレベルもその相乗効果で上がっていくとお考えですか。

工藤:つまり政治が強くなるというのは有権者が強くならないといけないのです。有権者が強くなることによって日本の政治や社会が強くなり、日本も変わると思います。

田中:そこで質問ですが、ではその問題に対して言論NPOはどのような取り組みを2012年に行うのですか。


健全な輿論をつくり出すため、有権者と専門家が共に議論を行う舞台をつくりたい

工藤:昨年の暮れに言論NPOは10周年となり、今年はまさにその新しい次の10年のスタートの年なのです。僕たちは日本の社会の中に健全な輿論(よろん)が必要だと思っています。つまり社会の空気に流されるのではなく、たとえ少数でも正しいことを主張する議論が大事だと思っています。ただ、それは単に議論するだけでは駄目で、議論を通じて強い輿論を大きくしていって、輿論の力で政治を変えないといけない。

日本の社会が未来に動き出すようにしないといけない。そのためにもきちんとした議論を作り出す舞台をこれまで以上に強化し、一般の市民や有権者が一つひとつに判断、決断するための議論をする。つまり専門家だけが議論するのではなく、有権者と共に議論をするという舞台をさまざまな形、例えばインターネットや携帯電話、そしてフォーラムなどの形でつくっていきます。その声を僕たちは政治にぶつけていく、そういった循環を作っていきます。

田中:政治にぶつける、あるいは有権者と専門家が交わるようなプラットフォームを是非作っていただけたらと思います。

工藤:今年2012年は私たち有権者が日本の未来に向かうための重大な年だと思います。さっきのアンケートでも7割の人が2012年は非常に重要だと答えています。世界では米国も含め色んな国で選挙が行われ、権力が問われます。日本も大きな世界の中の変化で、きちんと未来に向けた動きをはじめないといけない。そのために言論NPOは、今年、またがんばろうと思います。

田中:はい。期待しております。よろしくお願いします。



投稿者 genron-npo : 00:00 | コメント (0) | トラックバック

2012年、決断の年です。言論NPOは具体的な一歩を踏み出します。

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 新しい年の幕開けです。皆さんはこの年に、どのような思いがありますか。
 2012年、私は、この新しい年こそ、私たち有権者が日本の課題や未来を、きちんと決断しなければならない年だ、と思っています。

 今年、世界ではアメリカ、ロシア、韓国などの主要な国で大統領選が行われ、中国では指導部が交代します。日本でも総選挙は避けられない事態になっています。
 しかし、新年、私たちに覚悟が問われているのは、国際政治のトップの交代時に直面したからではありません。

 この国自体が、現状のままでは国家破綻が避けられないほど統治の混乱が深まり、新しい変化が問われる局面になっているからです。

 それは、政治のトップ交代だけで解決できるような段階ではなく、政治自体の転換を私たちに迫っています。この状況が誰の目にも明らかになり、決定的な転機となったのは、昨年、2011年だと思います。

 3.11には東北で大震災が発生し、原発事故はメルトダウンという異常な事態に陥りました。にもかかわらず政府の対応は遅れ続け、被災地の多くが未だに困難の最中にいます。そして年末には、消費税の増税を決断しようとする首相に対して、民主党の国会議員が相次いで離党する騒ぎになりました。

 多くの人は感じたはずです。この国の政党政治は機能不全に陥り、私たちの代表として機能していないのではないか、政治に安易に期待するだけでは、この国が直面する課題に答えを出せないばかりか、自分たち自身の生活や未来自体に重大な影響をもたらすのではないか、と。これまで遠い世界に感じていた政治やこの国の現実を自分の問題として考えてみなくては、と思った人も多いでしょう。

 新しい年に、その課題の全てが持ち越されているのです。


 私たちに問われているのは、「民主主義とは何か」ということだと私は考えます。
 本来、政治家とは私たちの代表であり、選ばれた政治家は有権者の代表として国の課題に挑まなくてはなりません。その業績評価の場こそ選挙なのです。

 民主統治には、そうした緊張感が必要だと、私は考えてきました。
 問題は、私たちがそうした意識で政治を考えてきたのか、ということです。
 私は野田首相が、これまでの政権が先送りし続けた消費増税にこだわることを評価しています。財政破綻や、高齢化の中で行き詰まった社会保障を立て直すことは、この国に差し迫った深刻な課題だからです。 


 しかし、多くの政治家はいろいろな理由をつけてこの増税、つまり国民への負担の話を避け続けます。政治家という職業を失いたくないからです。

 一度、私も政治家たちに聞いたことがあります。答えは、そんな話を持ち出したら、選挙で勝てるはずはない。有権者は有識者とは違うというものでした。

 有権者を言い訳にして、政治が決断を避け続ける。こうして、この国は国家債務がGDP対比で200%にもなり、これから高齢化が急な坂を上るように進んでも持続可能な仕組みすら提起されず、国家破綻が指摘される事態にまで来てしまいました。

 こんな政治を当たり前と考えたら、出口を見出すのは不可能でしょう。
 今の政党政治は、政策でまとまっておらず、権力を維持するためだけに集まっている"烏合の衆"です。昨年の年末、離党者が民主党から相次いだのは、その矛盾を抑えられず、党の分解が始まったということです。
 これを私たちは政局として見るのではなく、民主主義の問題と見るべきなのです。
今の政党政治は、国民の代表として課題に挑む、そうした仕組みになっていない。つまり、民主主義がうまく機能していないのです。

 私は、こうした政治はもう変えなくてはいけない、と考えます。


 昨年の年末、言論NPOは、有識者を対象に緊急のアンケートを行いました。その結果は、これからの日本を知る上で示唆的なものでした。
 9割の有識者が、新しい年は「日本の将来に影響を与える重要な1年になる」と判断し、その課題として「財政破綻」と「原発」と、「政党政治の立て直し」を挙げています。
しかし、今年予想される総選挙後の「政治の姿」に関しては、既存の民主党や自民党への政権交代を予想する人は少なく、それぞれ4割近くが、「政界再編」と「不安定な政治の継続」を予測しています。
 政治の変革が問われているのに、その出口が見えない。
 こうした迷路に入り込むのは、この変革を政治にまだ期待しているからです。しかし、新しい変化を、政治の世界に期待するのは、もう無理だと私は考えます。

 では、誰がこの状況を変えられるのか。
 それは私たち有権者しかない、と私は考えます。
 これまで何度も触れましたが、民主主義とは私たちの人権や平等にもっとも適した制度ですが、 それ自体、不安定さや危うさを持っています。
 この不安定さは、大衆の空気に支配され、それに迎合する政治や扇動する政治を期待してしまうことにあります。
 こうした不安定さに私たちが流されてしまったら、この国は破局しかありません。


 では、どのようにこの状況を変えるのか。
そのためにも、これまで政治家を選んできた、私たちがまず変わらなくてはなりません。そして、政治家にお任せするのではなく、私たちが当事者として考え、決断し、それを政治に迫るしかない。その結果で、選挙での判断を決めることになる。
そうした良循環を、政治の世界につくり上げるしかない、と私は考えます。


 言論NPOは、次の10年に向けて2つの目的を掲げています。
 「強い民主主義」「健全な輿論の形成」です。

 強い民主主義とは政治家にお任せする民主主義ではなく、私たち自身が当事者として考え、政治を選ぶことです。そのためにも雰囲気に流されるのではなく将来に向けて責任ある意見を言い合う、そういう議論が必要です。

 そのための触媒役に、私たちはならなければいけない、と考えているのです。
健全な社会には健全な言論や議論の舞台が不可欠です。これまでのこうした原点を大事にしながら、さらにそれを進化させて、議論の力で、この国に目に見える変化を起こさなくては、と考えています。

2012年、言論NPOは、そのための具体的な一歩を踏み出します。

投稿者 genron-npo : 00:00 | コメント (0) | トラックバック