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 「菅政権の100日評価 日本の有識者はどう評価したの?」
  -ON THE WAY ジャーナル 2010.12.29 放送分

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 放送第13回目の「工藤泰志 言論のNPO」は、「菅政権の100日評価」結果をもとに議論しました。
ラジオ放送の詳細は、こちらをご覧ください。

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「ON THE WAY ジャーナル
     工藤泰志 言論のNPO」
  
― 菅政権の100日評価
         日本の有識者はどう評価したの?

 
(2010年12月29日放送分 19分05秒)

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「菅政権の100日評価 日本の有識者はどう評価したの?」

工藤: おはようございます。言論NPO代表の工藤泰志です。毎朝様々なジャンルで活躍するパーソナリティが、自分たちの視点で世の中を語る、ON THE WAY ジャーナル、毎週水曜日は、「言論のNPO」と題して、私、工藤泰志が担当します。早いもので、今年ももう最後の放送となりました。もう皆さんはお仕事を終わって年末の、年越しの準備を始められていると思います。私はまだ全然仕事で、年賀状は31日になると思いますので、皆さん届かなかったら許してください。27日に菅政権の100日評価というものを、私たちは公表したんですね。その際に、私たちは日本の有識者500人の緊急アンケートを行っていますので、その調査結果を元に今日は菅政権の100日を先週に引き続いて、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。さて、番組では、ご意見やご感想、取り上げて欲しいテーマなどをお待ちしております。皆さんもご意見・ご感想をお寄せください。番組ホームページの水曜日、工藤泰志のページに言っていただいて、そこでメールやツイッターでどうぞ。ON THE WAY ジャーナル、「言論のNPO」今日のテーマはこちらにしました。

谷内: 「菅政権の100日評価その2 日本の有識者はどう評価したの」
おはようございます。

工藤: おはようございます。

谷内: ON THE WAY ジャーナル、「言論のNPO」スタッフの谷内です。言論NPOでは、菅政権の100日評価を公表しましたけれども、かなり低い結果っていうことに...。

工藤: そうですね。予想通りかもしれません。

谷内: ですね。これは有識者のアンケートによる評価と、言論NPOの独自の評価の2つで構成しているということなんですか。

工藤: そうです。やはり僕たちの評価はちゃんとした評価委員が、分野ごとの評価をして、配点基準が全部あるんですね。

谷内: 配点基準。


回答者は508人

工藤: 評価基準が全部ありまして、それに基づいてやっています。言論NPOの評価はいつも厳しいとよく言われているのですよ。それはただ、政策をきちっと評価するための評価のフォーマットがちゃんと決まっているのですね。ただ、この100日だけに限ってはね、有識者にだいたい2000人くらい僕たちは郵送します。かなり企業の経営者とか官僚ですとかね、ジャーナリストとか、各界で話題になっているような人たちにずっと送ります。その人たちの回答をベースにして、僕たちの評価をやっています。よく新聞の世論調査とかがあるじゃないですか。だいたいあの結果の数ヶ月前の状況、つまり僕たちの有識者アンケートは数ヶ月先取りしているんですね。僕たちの有識者アンケートで、支持率が何%と出ると、大体2、3ヵ月後にはその数字になっちゃうんですよ。なので、先行指標と言っているんですね。今日はその有識者アンケートの先行指標、アンケートを元に、ちょっと考えてみたいと思っています。


谷内: 先週も、ちらっと言いましたけど、菅さん100日って難しいです...

工藤: そうですね。菅さんはもう半年経っています。ただ、実をいうと、菅さん、鳩山政権が退陣して、それを引き継いでっていう形になったけど、あの時は菅さんが何をやるのかよくわからなかったですよね。この前の参議院選で、菅さんは自身のマニフェストを出しました。そのマニフェストを実現するということで、ちゃんとした組閣をして第二次っていうか改造内閣ができましたよね。それから100日が12月25日、この前のクリスマスだったわけですね。だから、この100日で菅さんが国民に約束をしたものが、本当にちゃんと実現の方向に向かっているのか。それから国民に、自分たちが取り組んだ問題をちゃんと説明しているか、そういうことを含めてちゃんと聞かなければいけないタイミングに入っているんですね。


谷内: 菅さん、仮免許って言って怒られちゃいましたよね。

工藤: 仮免許って...それは怒られますよね、半年前からやっているのにね。僕たちはこのアンケートはだいたい全部で20項目ぐらいあります。ただその半分以上は菅さんの業績評価になっています。この100日評価は、菅政権だけやっているのではなくて、安倍政権以降、毎回やっています。だから、歴代政権の総理の100日の通信簿と、比較ができます。(安倍政権福田政権麻生政権鳩山政権)それを比較してみると、菅さんは今までの歴代総理の中で、麻生さんと同じレベル、最も低いんですよ。中身によっては、かなり最悪の状況になっています。


谷内: 回答者は、どんな方が多かったんですか。

工藤: 回答者ですか。サラリーマンの人が、サラリーマンって言っても、普通のサラリーマンではなくて、多分企業の中では部長とか、そういう人たちなんですね。それから、企業経営者、社長、会長とか、あとマスコミ関係者も一般の記者さんもいらっしゃるのですが、論説委員や編集長、編集局長とかそういう人とか、学者。後、公務員は政府、国の公務員ですね。そういう人たちがいます。


100日目の支持率は15.9%

谷内: 結構バランスが取れていますね。

工藤: それで、年齢としてはね、40代と50代が多い...でもバランス取れていますね。大体10%ずつですね、それで、菅政権を100日の段階で支持している人が、15.9%なんですよ。

谷内: あ、16%以下。

工藤: 今メディアでこういう世論調査をやっていると、だいたい20%ですよね。多分、遅かれ早かれ、この数字になると思いますね。大体そうなっていくんですよ。この私たちの有識者アンケートでは、鳩山政権の時が33%でした。だから菅さんはその半分くらいなんですね。

谷内: その状況でも30%あった。

工藤: あったのですが、今回はその状況の半分です。それから今回、菅さんにそもそも期待してないっていう人も多いんですが。そもそも期待してないっていう人が、33.4%いました。一方で、はじめ期待していた人たちが、やっぱりこの人には期待できないって思う人が、58.5%います。だから、期待した人がもう期待できないといっている58.5%と、そもそも期待してないという33.4%を合わせるとね、91.9%の人が菅さんにもう期待してないのですよ。じゃあ、あなたは何を期待していたのだということなんですが、やっぱり一番多いのが、3つなんです。1番多いのが、「財政再建の道筋を明確にすること」なんですね。これが34.5%。2番目に多いのが、29.7%で「中長期的な成長戦略を立てて、強い経済を実現すること」なんですね。それから3番目が、25.4%で、「持続可能な社会保障制度を確立すること」です。菅さんがマニフェストを掲げ、参議院選挙のときに言ったのは、強いものを3つつくるということでした。強い財政、強い経済、強い社会保障、つまりこの3つが、基本的に多くの人たちが期待した役割だったわけですよ。それに対しても期待ができないということになっているわけです。


今後の菅政権に期待できないが71.7%

 そこで、これからの菅政権に期待できるかということになると、期待できないという人が71.7%なんですよ。だからかなり低い。それで100日間で評価する項目は内政、外政とかいっぱいあるのですが、内政と外政でいずれも評価できないというのが68.8%。逆にどちらも評価できるというのが、2.2%。なので、やっぱり実績ベースではかなり菅さんに対して評価が低い、かなり厳しいんですよ。今まで、僕たちがやってきた100日評価の有識者アンケートでも、全然違うんですよ。僕は今回驚いたのは、コメントがあって回答を拒否する人が結構いたんですよ。この政権は評価するに値しないなんていう。

谷内: そういう人は今まであまりいなかったんですか。


首相の通信簿は1.8点(5点満点)

工藤: そんな声は1つもなかったですね。だから、今、有識者レベルでの見方は、かなり厳しくなっているのは事実ですね。それで、首相の資質っていうものをね、歴代政権についても8項目で私たちは必ず聞いています。これは、「首相の人柄」、「首相の指導力や政治手腕」、「それから首相の見識、能力、資質」、これで3つですね。4つ目は「基本的な理念や目標」、5つ目は「政策の方向性」、6つ目は「実績」、7つ目は「チームや体制づくり」。8つ目は「説明能力」なんですね。これはさっき言ったように、安倍さんの時から毎回聞いているのです。5点満点で、有識者に点数ちゃんとつけてもらうのですが、全体平均は、5点満点で菅政権の100日は1.8点なんですよ。5点中1.8点。

谷内: 半分以下と。

工藤: ただ、よく見たらさっきも言ったのですが、今までで同じ点数の政権があったんですよ。それが麻生さんでした。麻生さんが1.8点。ちなみに安倍さんが2.2点、福田さんが2.3点。鳩山さんが2.4点で、高かったんですね、100日の首相の資質としては。100日時点ですよ。

谷内: 支持率もさっき高かったですもんね。

工藤: それが菅さんは1.8点なのですが、この中でよく見てみると、この5つの政権の中で、最も低いという項目が3つあったんですね。それは「指導力」、それから「実績」、「説明責任」この3つです。これが歴代政権で最も低いんですね。他にも、政策課題、つまり100日間で取り組んだ政策課題はいっぱいあると思うのですが、それを30項目について全部評価するんですよ。「期待できますか」、それから「上手く対応していますか」とか。「今は期待できないけど今後は期待できますか」とか。でも期待できるっていう人が過半数を超えているものが1つもないですね。まぁ、相対的にということでいえば、30%ちょっと、例えばTPP参加の検討とか、法人税率の引き下げなど税制の問題とか、そういう問題がちょっと出ましたけど、ほとんどがうまく対応ができておらず、今後も期待できないという結果でした。段々さびしくなって...、年末なのに、このままどうしたらいいのか...

谷内: 言葉が出なくなりますね。


何が、約束かよくわからない

工藤: 100日はかなり厳しい状況なんですね。それから、菅さんが今のこの時点で国民に説明をするべきじゃないかということで、何を国民に説明が足りないのかとの設問で、一番多いのは何なのかというと、「日本の今後の経済成長に向けた中長期的な戦略を説明すべき」じゃないかというのが42.3%なんですね。そこに迫るように37.2%で並んでいるのが、菅政権が任期中に何を実現したいのか、それを政策面で何を約束しているのかよくわからないというんですよ。それはやっぱり説明してくれないかと。これは僕もちょっと言えるなあと思うんですね。菅さんのマニフェストそのものが曖昧だという問題もあったのですが、やっぱりこの政権中に何を実現するのか、いまいちわかりにくいですよね。この前も財政再建の話をしましたけど、G20で財政再建は2015年までに、プライマリー赤字を半減するということが国際公約として約束されているわけです。でも菅さんは2013年で任期は終わるわけです。任期末までに彼は何をするかということを語ってないですよね。だから、やっぱり自分がその政権を担うということは、政権を担うことが目的ではなくて、何かを実現するために政権を担うわけだから、それがなかなかわかりにくいという状況なんですね。確かに菅さんの政策評価という点ではかなり低いのですが、よく考えてみるとね、政権に対する評価という以前に、どうもこの回答者、有識者の意識の中にはね、日本の政治に対する幻滅がね、かなり広がっているような感じなんですよ。

谷内: この番組でもずっとやっていますよね。


日本は国家危機の段階が、43.7%

工藤: ええ。実をいうと今回、僕が非常に驚いたことは、日本の政治の現状を皆さんはどう見てるのか、ということなんですね。この結果が、非常に面白くて、今まで何回も同じ設問があるのですが、国民の認識が段々変化しているんですよ。一番多いのが、43.7%です。これが、昔この番組で前の東大総長の佐々木毅さんが、今ナショナル・クライシスじゃないかと言ったことがあるんですが、全くそれと同じ答えなんですね。「政府の統治、ガバナンスが崩れ、政治が財政破綻や社会保障などで、課題解決できないまま混迷を深める国家危機の段階」という回答が43.7%なんですよ。でね、国家危機なんていうのが半数近くいるということを、日本の政治家は考えなければいけない局面だと思うんですね。ちなみに、去年の衆議院選挙で政権交代したじゃないですか。衆議院選のときもアンケートをして、この日本の政治の現状をどうみますかと聞きました。それから鳩山さんが100日経った時点でもそれを聞きました。それから、政権交代する前の麻生さんの100日のときにも、日本の政治の現状をどうみるかと聞いたのですが、認識が変わっていっているんですよ。麻生さんのときに、有識者はどういう風に見たかっていうとね、1番多いのはちょっと違うのですが、半数ぐらいに迫ったのは、「政権交代でこれまでの政治を一度壊すべき時期」というのが、46.8%だったんですよ。なので、麻生さんの100日のときは、もう自民党じゃダメなので、政権交代して壊さなきゃいけないのではないかという声が半数あって、もう1つ半数あったのが54.5%なんですが、やっぱり既成政党の限界はもう明らかだったと。だから政界再編すべきじゃないかの過渡期だという回答でした。これが2つ並んでいたんですね。その後、昨年の総選挙で政権交代しました。それで、その総選挙直後にアンケートをしたときに、多くの人はどうみたのかというと、「政権交代をすることによってこれまでの政治を一新すべきとき」というのが、23.4%に減ってですね、「民主党や自民党などの既成政党の限界が明らかになって、政界再編に向かう時期」が半数を超えるわけですよ。つまり政権交代を期待して総選挙になって政権交代が実際に起こった。その後、鳩山さんの政権が始まった中で、もう有識者の認識は、政権交代の期待はまだ残っているのですが、やはり既成政党では限界があるのではないか、という声が出てしまっていたんですよ。それで今回ですね、今回の評価はどうなったかというと、正に国家危機の段階というのが43.7%、それに並んでいるのが、「未来の選択肢が政党から提起されないまま、サービス合戦や官僚たたきに明け暮れ、ポピュリズムが一層強まる時期」。それから「出口が見えない日本の政治的な混迷や空白の始まり」。つまり、麻生さんから始まった今の政治に対する皆さんの意識はね、はじめは政権交代に期待したけど、それがなんか違うのではないか、それだけでは。つまり期待したものが裏切られているんじゃないか。


有権者が問われる段階

 ただそれをどうやって変えればいいのかっていうことを、多くの人が見えなくなっているわけですね。それが多分、今の混迷にきてしまったのだと思うんですよ。だけど展望が無いままで終われないので、その中で僕たちは、日本の政治を変えるために、誰をあなたたちは信用しますか、と聞いてみたんですよ。そうしたら、半数近くの人が信用したいという人がいました。それは有権者。55.3%。それは有権者に期待しているのではなくて、有権者がしっかりしないとこの状況は打開できないのではないか、ということを多くの人は言っているのですよ。それに並んでいるのが、50%でNPO・NGO。それで、政治家に期待している人が49%いました。メディアに期待している人は25%しかいないんですよ...既成メディアだと思うんですが。それから、学者に対しても期待が少ないですね。あと、地方などの首長には50%期待があるので、NPO・NGOと地方知事は同じくらいなんですね。だけど一番多いのは、有権者。今回の僕たちの評価は、菅政権を約束に基づく形で政治をみるためにちゃんと評価して、チェックしてこうということを目的にやっているのですが、この有識者の調査で、評価にとどまらず、日本の政治を本当に変えていかないといけない、しかも、有権者がきちっとしっかりしないともうダメなのだという事が、アンケートの中からも浮かび上がったんですね。これは、今年私がON THE WAY ジャーナルで言っていたことですし、色んな人たちが言っていましたよね、色んな人たちが言っていたのは、有権者も自分たちの判断が、誤った判断をするということを自覚し、もう許されない段階にきてるんだと。やっぱり嘘を自分で見破ることが必要だと。しっかりしろということを言っていたということがね、このアンケート結果から浮かび上がったわけですね。

 さて、そうなると新年、私たちは責任重大だなと思うんですね。そういう覚悟を固めて年を越したい。さびしいよりも、木枯らしの中で覚悟を固めて来年に向かって除夜の鐘を聞いて、新年、くそっ、がんばるぞと思っていきたいと思います。


新年は奮起しよう

谷内: 奮起しろと。

工藤: 奮起したい。私も頑張ります。ということで、時間になりました。なんか決意表明と決意を迫る形で終わらせてもらいましたが、来年、多分日本は変わる時期になると思いますので、是非皆さんと一緒に色んな日本の将来、未来を考えたいと思います。今年はどうもありがとうございました。また来年、一緒に皆で議論していきたいと思います。どうもありがとうございました。

(文章・動画は収録内容を一部編集したものです。)

【 前編 】

【 後編 】

 

2010年12月29日 20:04

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