
一連の非公開会議に続いて23日夕から行われたワーキングディナーには、西村康稔経済産業大臣が出席し、世界で強まる経済安全保障の観点など「新しい国際経済秩序」を踏まえ、特別スピーチをしました。
西村氏は「通商貿易によって得られた隣国の府が平和の時は利益を与えるが、戦争の時には危険を与えるものである」としたアダム・スミスの『国富論』を引用して、①経済成長が権威主義国家の正当性を高め、ウクライナ侵略のような国際秩序への挑戦に繋がった。②経済成長の収入やテクノロジーの進展が覇権国家の軍事力強化と近代化に使用された。③経済的な相互依存を逆手に取り、経済的な威圧など外交・安全保障上の武器として利用された──という三つの教訓を元に、日本が率先して「新しい世界」を構築するために努力を惜しまないと訴えました。さらに、覇権競争が繰り広げられているサイバーやドローン、宇宙、AI、半導体など安全保障に直結する技術分野に対しての育成投資に注力していることも報告されました。
出席した10カ国のシンクタンク代表者からは、昨年末に日本政府が改訂した安全保障関連3文書に関連して「防衛装備品の共同開発などは考えているか」などの質問が出ました。
西村氏は「イギリス、イタリアと次期戦闘機の共同開発を進めている。防衛産業から撤退する国内企業が多かったが、コストを下げることにも繋がる」と述べ、同志国との連携強化が重要になるとの認識を示しました。
さらに米中間のデカップリング問題への認識を問われた西村氏は「これだけ相互依存が進んでいるので、デカップリングは難しいのではないか。ブロック化が懸念されているが、自由貿易が進展するようにいかに管理、マネージしていくかが重要になる」と語りました。同時に、岸田文雄首相が電撃的なウクライナ訪問を果たしたことを踏まえて、世界が直面する多くの課題に向かって、日本が「大きな責任を果たす」決意を示しました。
西村氏が退席した後も元日本政府高官らと、シンクタンク代表者のディスカッションは継続しました。特にグローバル・サウスとの関係性について、日本側は「よく欧米は『我々と考えが一緒なのか、異なるのか』と問われるが、グローバル・サウス諸国はついてゆけないだろう。その間を取って弾力的措置を講じることが、日本の役割だ」との姿勢を示しました。また、G7、G20のパートナー拡大についても「幾つかの国際社会のルールを、確信的に壊そうとしている狂気な国が一つ、二つある。それは許さないとまとまって主張するしかない」「機能不全が指摘されている国連安保理改革が必要ではないか」などの意見が出て、翌日のセッションで再び議論することで一致。2時間余りにわたったワーキングディナーは閉会しました。
