今、取り組んでいる議論
米中の長期的な戦略競争は続くが、アジア経済はすでに事実上のG2状態にあるー日本は米中の間でバランスを取りつつ、他の中堅国との連携を進める必要
言論フォーラム「米中の接近は本当か」
参加者:赤川省吾(日本経済新聞欧州駐在編集委員)
白井さゆり(慶應義塾大学総合政策学部教授)
高原明生(東京女子大学特別客員教授)
服部龍二(中央大学総合政策学部教授)
司会者:福島良典(毎日新聞社主筆)
昨年10月の米中首脳会談では、中国がレアアース輸出規制の1年延期、米国が対中追加関税の一部(10%分)の引き下げで合意した。米中関係の最重要課題である台湾問題は公式には議題とならず、トランプ大統領は米中関係を「G2」と表現した。
米中両国が接近しているように見える現状について、専門家からは、中国は米国との長期的な戦略競争を強く意識しており、当面の短期的な安定を図るための「戦術的な休戦」と位置づけられる、との評価が相次いだ。
また、G2発言をめぐっては、中国は「多極化」を望んでおり、超大国としての責任を米国と分割する意味でのG2を目指しているわけではない、との見方が示された。一方、経済の専門家からは、経済統合が進むアジアではすでに「事実上のG2」とも言える実態がある、との指摘もあった。
こうした状況下での日本外交の課題についても議論が行われた。専門家らは、トランプ氏の4月訪中を前に、日米同盟およびインド太平洋地域が米国の国益にとっていかに重要かを訴える必要があるとする。同時に、米中の間でバランスを取ること、他の中堅国との連携を進めることの重要性も強調され、日本外交が直面する課題が改めて浮き彫りとなった。