消費税増税先送りの評価と、日本の財政再建の可能性

2016年6月14日

2016年6月14日(火)
出演者:
実哲也(日本経済新聞社論説副委員長)
鈴木準(大和総研主席研究員)
亀井善太郎(東京財団研究員、立教大学大学院特任教授)
小黒一正(法政大学経済学部教授)

司会者:
工藤泰志(言論NPO代表)

第二話:消費増税延期で、日本の将来はどうなるのか

工藤泰志 工藤:次の議論に入りたいと思います。消費税の引き上げの延期ということで、日本がこれから直面する大きな問題に関してどういう影響があるのか。ある程度コントロールされた政策判断なのか、それとも投げ出しているような判断なのか見定めなければならないのですが、少なくともプライマリーバランス、これは財政再建のゴールではなく、スタートなのですが、これまで通り2020年に黒字化することになっています。この目標はG20など世界でもかなり強く発言しているために、国際社会が注目している目標です。

 私は5月半ばにワシントンで世界の25カ国のシンクタンクとの会議に参加した際、2、3の国から「日本の財政破綻は避けられないのではないか」とはっきり言われました。私は「その可能性はあるけけれども、安易な金融緩和や成長期待ではない、ちゃんと構造改革の計画を作るべきだ」と発言してきました。世界が日本の財政に関してそのような見方をし始めている状況の中で、日本の財政は本当に大丈夫なのか、それから、その後ろにある社会保障、特に今後、高齢化など様々な問題が顕在化していくことに対して、行政が対応できないのではないかという不安が出てきています。これから、どのようなことが起こるのでしょうか。また、あまり心配する必要はないのでしょうか。

2020年以降、さらに厳しい経済、財政の状況がやってくる。その覚悟はあるか。

 実:まず、残念ながらプライマリーバランス2020年の黒字化というのはきわめて難しくなったと言わざるを得ないと思います。もともと消費税を10%に上げても足りないという話でしたが、これからどういう話で歳出の構造を変えていくかが一番の問題です。仮に本当に真剣に、この何年間に歳出の構造を変えることができれば別かもしれませんが、現実問題としてはなかなか難しいと思います。さらに、非常に重要なことですが、目標と掲げている2020年以降、団塊の世代が後期高齢者になっていきますが、後期高齢者向けの医療給付費が全体の給付費の50%以上になるという試算もあり、2025年にかけて、あるいはそれ以降、急激に医療給付費が上がり、今よりもさらに深刻な状況になってしまいます。

 その時は非常に大きな負荷がかかるわけで、その時に増税だとなっても、増税幅は非常に大きなものになってしまいます。ですから、実は増税は待てば待つほど難しくなるというのがことの本質だと思います。いずれにせよ、2020年の目標達成も重要なのですが、もう少し先も含めた議論をマネージできる、財政破綻を防ぐためにもっと広げた議論をしていく必要があります。そうした議論を、2020年になってから考えるのではなく、今から行っていく必要があると思います。

工藤:鈴木さんに伺いたいのですが、こういう大きな政策はある意味では、これまでの政策の変更だと思いますが、こうしたことは政府の経済財政諮問会議で議論されているのでしょうか。安倍首相は記者会見で、プライマリーバランス黒字化の目標は堅持すると言っていましたが、言葉では昨年も消費税を増税すると話していました。それくらい簡単に変える可能性のある発言だと思っているのかもしれませんが、どうやって目標を維持するのか、という説明が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

 鈴木:増税延期がどこで議論されているのかという意味では、経済財政諮問会議では税制はダイレクトには議論されていないのが現状です。税制の議論の場としては税制調査会がありますが、ここは割と中長期の視点で議論をしています。現在は税制のオーバーホールをすると言っていて、今年はおそらく配偶者控除をどうするかという議論が行われるだろうと思いますが、増税にはならないように税収中立で所得税の改革を考えていると思います。一方で、経済財政諮問会議は歳出改革についてかなり議論しています。

 経済と財政を一体的に改革するということをマクロ的に考えると、私はこの言論スタジオでも何度も申し上げていますが、民間部門の金余りや、消費の低迷などを克服しない限り、バランス上政府の赤字は小さくならないことを踏まえる必要があります。それは、民間も政府も同時にそれぞれが頑張らなければいけないという意味です。

 例えば、これは増税とは違いますが、今年末までに、高齢者が病院に何度行っても、自己負担が頭打ちになるという高額療養費制度の見直しについて結論を得ることになっています。給付の抑制についていつまでも議論しているのではなく、見直しの結論を出しましょうということが、経済財政諮問会議の下に設置された経済・財政一体化改革推進委員会が昨年末に作った改革工程表に書いてあります。また、今年の夏以降、1人当たり医療費の地域差を縮小するために、都道府県に計画を作ってもらって、時間がかかるかもしれないけれども、医療費を合理的に抑制していくという取り組みをやろうとしています。

 私は、増税先送りを決めてしまったからには、それを梃子にして医療費などの抑制をきちんとやっていく必要があると思います。それから、年金生活者支援給付金、年金受給資格期間短縮化、少子化対策など、消費税を10%に引き上げることを条件にそれを財源に実施するとされている政策が結構あります。ですから、増税の先送りをして思うのは、増税しないのにそれらの政策を実行してしまったら、財政再建は益々遠のくことになるということです。給付の抑制と充実について、現時点では何をやって何をやらないかは、まだ明確に決まっていませんが、そうしたことについて政治がしっかり議論し、結論を出すべきだと思います。

 小黒:2020年のプライマリーバランス黒字化が可能か、といった場合に、2つの要素を考えないといけないと思います。1つは、本当に2019年10月に消費税が10%に引き上げることができるのか、ということです。この点についてはかなり悲観的で、引き上げる予定の10月前に参議院選挙があり、それよりもっと前に増税判断をしなければなりません。また、民間も9月にいきなり「増税する」と言われたら困りますから、4月頃には判断する必要があります。ただ、予算編成を考えると、19年度の予算というのは18年の12月ぐらいに決定することになります。そうすると、参議院選挙前に増税判断をする必要があり、また、現在の衆議院についても、その頃までに解散が無ければ衆議院議員の任期である18年12月の前に増税するかの判断をしなければならないわけで、条件的には今回よりも厳しい状況に思います。今回は選挙が終わってから増税判断ができましたが、次はできない。そういう意味では、非常に増税をしにくくなったというのが1点です。

 もう1つ、プライマリーバランスの黒字化について、16年1月の内閣府「中長期の経済財政に関する試算」でも、経済が最も成長し、かつ、2017年4月に予定通り消費税を引き上げたとしても、20年度に6.5兆円の赤字が残るという試算が出ています。今回、消費税の引き上げが延期されましたから、それに伴い大体5兆円ぐらい減収するとして、約11兆円の赤字になります。この部分を、本当に社会保障や歳出削減を中心に、削減できるのかということが問われなければいけないと思います。

 他方で、今、医療、介護費などは足下で50兆円ですが、2025年になると75兆円くらいに膨れあがります。つまり、10年間で25兆円、1年間で大体2.5兆円伸びることになり、財源確保のため、消費税に換算すると毎年1%分税率を上げていく必要があるということです。あるいは、それに相当する歳出削減を行う必要がありますが、こうした社会保障費削減の改革に耐えられるだけの財政再建をする意思が本当にあるのかどうか、ということが本当に問われています。

 場合によっては今、2020年度に掲げている財政再建フレームが、事実上、壊れてしまうというような可能性が非常に高いということを国民も、それから政治家の先生方も深く認識して、財政再建に全力を注いでいかないと、2020年のオリンピック後、医療・介護費の急増もあり、非常に厳しい日本経済、それから財政の姿が我々を見舞ってくると覚悟しなければいけないと思います。

工藤:今の話を受けると、財政に関していえば、非常に厳しい状況の中で、今回消費増税の先送りを決断したわけですよね。こうした状況下で、消費税の引き上げを2年半延期した理由がわかりません。それから、立法府である国会と行政府である政府のそれぞれが、こういう問題をどう考えているのか、疑問があるのですがいかがでしょうか。

長期的な視点に立たず、財政に関する課題から目を反らしているのが今の政治

 亀井:今の2つの質問は、非常に厳しい質問です。まず、消費税の引き上げを2年半延ばした理由についてですが、私は、安倍さんは永久に延ばしたかったのではないかと思っています。もっといえば、野党ですら2年半の延期を言ったかどうかもわからない。逆にいうと、それくらい各党とも無責任だということだと思います。つまり、「2020年」というプイマリーバランスの黒字化という目標があるから、その手前の2019年の引き上げ目標で止めた、ということだと思っていて、それくらいしか考えようがありません。そもそも財政健全化に対しては、先程も申し上げたとおり、安倍首相に情報が入っていないことも含めて、当事者としての意識がきわめて希薄なのではないかなと思っています。

 先程の小黒さんの話はきわめて大事な話で、これから非常に厳しい状況なっていく、ということは事実として見えているわけです。なぜかといえば、「私は来年1つ歳を取ります」というのは自明の事実であって、1歳ずつ歳を取ると何が起きるかというと、健康のリスクが高まるわけで、結果的に医療費がかかります。政府の歳出という考え方でいけば、65歳を過ぎて年金をもらう、75歳を過ぎて医療費がかかる、その後、被介護者になるというのは自明なわけで、これが国民全体で起きたときにどうなるか、ということが将来の財政の姿であって、先程、実さんからご紹介頂いた東京財団で作っている財政推計モデルはその将来の財政の姿をみるために作りました。これは、小黒さんもメンバーとして参加していただいています。これを作ってみて非常によくわかったのは、先程、1年間で2.5兆円が社会保障経費として積み上がっていくことが指摘されましたが、それは2025年までの話です。しかし、2025年から先は団塊世代が、みんな後期高齢者になっていくわけですから、さらに厳しい状況になります。よく「2020年の財政健全化はできるのでしょうか」とテレビや新聞でも取り上げられますが、それはあくまでも一里塚の話であって、2020年から先まで展望して、極端なことをいえば、2025年から40年までの15年間をどうやって乗り越えていくのか、ということこそ、日本社会が乗り越えなければいけない問題なのですが、そこに目を背けているのが、今の政治だと思います。

 先程の工藤さんのご質問にお答えするならば、そうした長期的な問題については本来、党や立法府がやらなければいけないし、野党も投げかけなければいけない問題ですし、論点を提示するのは野党の役目だと思います。ところが、野党が論点として提示していないし、自民党内ではそうした問題意識があるから、橘慶一郎さんや小泉進次郞さんあるいは自民党の若手議員達が問題意識を持って財政健全化に関する委員会を作るなど、党内議論はされているようですが、大事な意思決定の時には、肝心なところで影響を及ぼせないという問題があります。

 ここは、率直に申し上げて、安倍さん1人の問題に帰するというよりは、野党がやるべきこと、与党の中でやるべきこと、立法府として議論するべきこと、そのためにどんな情報インフラを整えていくのか、政府としてどのような情報を出すべきか、ここが全て欠けているというところが最大の問題だと思います。

工藤:いまの話を聞いていると、日本全体がモラルハザードを起こしていると感じました。状況が明確に進展する形が見えてきているにも関わらず、政治がそれに対して取り組まない状況というのは非常に危険だと思います。1つの考えがあって、ある程度主張するのは分かるのですが、今ある問題に言及しないことで、国民は知るチャンスを失っている状況だと思います。

 実さん、今回の決断というのは、デフレ脱却とか大きな目標の為に必要な手段なのでしょうか。仮に必要な手段ということであれば、今ある弊害をある程度コントロールしたり考えたりする人達が存在しないといけないのですが、全く何も考えてなくて動いてしまうと、本当に大きな転機になるかもしれないという感じがします。そうした危機感は間違っていますか。

今回の消費増税の延期に、長期的な財政再建という視点は入っているのか

実:危機感は当然持たなければならないと思います。経済を本当に良くしていくという大きな目的と、一方で先程から話に出ている、財政のほうもこのまま放置できません。両者を両立すること、「二兎を追う」という言葉は、骨太の方針にも出てきますが、厳しいところからは目を逸らして、もう一度、アクセルをふかしてみれば何か展望が開けるのではないか、という風になってしまうことには不安を感じます。

 非常に辛いところですが、10年先、あるいは子供や孫の世代の人達のことを考えると、「財政再建はやはりやらなければならない」と、実際に意思決定に責任ある人達が声を上げないといけない。そして、声を上げることによって、真っ当な議論をせざるを得なくなると、「その問題からは逃げられないね」という話になるのですが、残念ながら、そうした声が聞こえてこないし、議論にならない。今度の選挙においても争点になりません。そういう意味でも、危機意識を感じざるを得ない感じがします。

鈴木:大和総研では、相当に厳しい社会保障改革を行ない、なおかつ消費税を2030年代半ばぐらいまでかけて25%にすれば、2040年に向かう財政的に一番厳しい2030年代を乗り越えられるという提言を2013年に出したことがあります。どちらにしても、将来を考えれば消費税は上げなければいけないわけです。歳出入の両面で改革が必要ということを前提にした上で、2点だけ申し上げたいと思います。

 まず、消費増税の延期の理由として、「経済状況」が挙げられることをどう考えるかです。課題の捉え方というか、問題の切り口として、経済の話が出されるわけですが、それが景気のサイクルの話をしているのか、それとも、経済のストラクチャー、すなわち構造の話をしているのかが分かりません。その点が非常に曖昧で、消費税を30カ月延期したら上手くいくのかといえば、私はそんなことは全くないと思います。

 安倍政権成立後、様々な成長戦略を実施し、TPPの合意にこぎ着け、労働市場改革や農業の改革など、一応着手はしているわけです。それによって経済構造が十分に変わっていないことが課題であって、消費税を延期すれば上手くいくということではない。これだけマネタリーベースを増やしているにもかかわらず、なぜ、初期の目的通りにいっていないのかということについて、もっと議論をして分析をしないと、上手くいっていない原因とは思えない消費税の引き上げが先送りになるだけになってしまいます。経済のところに重きを置くときに、その意味あいについて、国民全体、有権者全体で考える必要があると思います。

 それからもう1つは、「弾力条項」についてです。冒頭に申し上げましたが、2014年の引き上げ延期の判断の際は、法律に弾力条項ありましたが、今回はありませんでした。そうすると、弾力条項はあってもなくても同じではないか、という声があるわけです。しかし、私はそうではないと思います。「AやBという状況以外であればきちんと上げるのだ」という、できるだけ具体的な弾力条項が必要であって、どのような時に延期するのかという条件が曖昧だったために、弾力条項があってもなくても意味がないということになってしまいました。

 古い話ですが、1997年に財政構造改革法が橋本龍太郎内閣で作られました。1998年に後知恵で挿入したのですが、その法律では、「GDPが2四半期連続でこうだったらとか、1四半期でこうで、その時、消費や雇用や生産がどうだったらこうする」といった具合に、かなり具体的に法令に書き込んだという先例があります。それぐらい具体的な弾力条項を作ったことはあるわけです。こうした議論をきちんと国会でしておかなければなりません。財政再建と経済の両方に目配りしているということを市場や国民に示すことにもなるので、次回の消費税率引上げに関して、私は具体的な弾力条項を作ることが必要だと思います。

工藤:亀井さんと小黒さんには、今の状況が続いていけば、どういう状況になっていくのか、そして、その状況を回復させることは可能なのかということについて、小黒さんには経済の観点から、政治はどうなっていくのかということは亀井さんから伺いたいと思いますが、いかがでしょう。

ハイパーインフレが起こることも視野に入っていることを認識すべき

小黒:今の状況は、財政政策だけでなくて、金融政策も密接に関わっていることをよく認識すべきだと思います。今、これだけ債務が膨張しているにもかかわらず金利が低いのは、マイナス金利政策の効果もありますが、日本銀行がネットで毎年80兆円ずつ国債を買いオペしていて、それが、金利を押し下げているからです。今、国の債務は大体1,000兆円ぐらいですが、長期金利がマイナス金利になっていますから、加重平均だと大体1%ぐらいで利払い費は約10兆円となります。では、これから日本銀行が国債をずっと買い続けられるかというと、最大に見積もってもその期間はそんなに長くない。現在の国債残高は約800兆ですから、今の状況では10年間ぐらいあれば、全ての国債を日本銀行が買い取ってしまうわけです。こうした状況になった時、日本は国際的にどう説明するのか。日本が財政ファイナンス(政府の発行した国債を中央銀行が直接引き受ける)ではないと言っても、事実上財政ファイナンスに近い状態になっているわけです。そこからもし転換したら、日本銀行が保有する国債が徐々に期落し、今度は何が起こるのかというと金利が上がっていくわけです。仮に金利が2%、3%に上がっていけば、利払いだけで20兆円、30兆円と増えていくわけです。

 それは財政を直撃し、その行き着く果てとして、日本銀行への国債の直接引き受けがなされ、終戦直後に経験したように、財政インフレで物価が7倍、8倍になる可能性も考えられます。本当に今回も戦後直後のような結末になるかは精査が必要ですが、これ以上、財政再建を先送りすれば、もはや普通の増税や歳出削減では、もう対応できない状況に陥る可能性があり、いずれ近い将来、フローだけではなくストック、要するに我々の資産や預金などに課税して債務を返していくというプロセスに入っていくような状況に既になりつつある、ということを我々は深く認識すべきだと思います。

政治が考えを切り替え、痛みを分けるという方向に転換していくことが必要

亀井:まず、「財政破綻」とは何か、どういう起き方をするかはわかりません。今、小黒さんがおっしゃたような起き方で起きるかもしれない。ただ、少なくともそうした状況を避けるために、まだやれることはあるし、汗をかかないといけないと私は思います。

 大事なことは自分の借金もそうですが、毎月少しずつでも返済できていれば、「いつかは返してくれるのかな」ということで、借りている人に対する信認に繋がるわけです。日本は今そういう状況かというと、そうではなくて、毎月「また少し貸して下さい」ということを続け、債務がどんどん膨らんでいる状態にある。ですから、全体の経済規模に対して相対的に小さくしていく努力、いわゆる債務残高GDP比率をどうやって小さくしていくか、という具体的な手立てを明らかにしていかないといけません。

 次に、それでもダメだったらどうなるのか。これはもう、政治的には「財政敗戦」だと思います。本当に大変なことになります。とくに、いま小黒さんがおっしゃったとおり、財政政策と金融政策が密接に関わり合っている状態だと、預金がどうなるとかという話もありますが、例えば生活コストがもの凄く上がってしまったり、通貨がものすごい安くなってしまい、我々の生活資源がみんな買われてしまうということも起きるわけです。そうした状況が起きれば、今の政治がどうだとか言っているレベルではないかもしれない、ということが起きる可能性があります。

 だからこそ、当面、何が必要かというと、政治が、痛みを分けるという方向に転換しなければいけないのだと思います。今までは大きくなるパイを「あなたにも分けてあげよう」「あなたにも分けてあげよう」という発想でしかなかったのだと思います。しかし、これからは基本的にパイが小さくなる中で、「それぞれ痛みはあるかもしれないけれど、少しずつでもみんなで分けていこう」「あなたは大きく負担できるのだからもう少し負担して下さいよ」ということを、やっていくしかないと思います。先程、何となく漠然とした不安があるから消費が起きないという話がありましたが、そうやって負担を分け合わないと若い人達、元気が出ないと思います。やはり、若い世代のことを考えた、大人の責任というものを果たしていかないといけない。こうしたことが求められているのだと思います。

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