言論スタジオ

「第7回日韓共同世論調査」の結果をどう読み解くか

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2019年6月11日(月)
出演者:
小倉和夫(国際交流基金顧問、元駐韓国大使)
澤田克己(毎日新聞外信部長)
塚本壮一(桜美林大学リベラルアーツ学群教授、元NHKソウル支局長)

司会者:
工藤泰志(言論NPO代表)


 言論NPOは6月22日の「第7回日韓未来対話」を前に、韓国の東アジア研究院と共同で実施した「日韓共同世論調査」の結果を発表しました。今回の調査は、歴史的な変化に直面する北東アジアにおいて、ともに米国の同盟国でもある日本と韓国の間で徴用工訴訟やレーダー照射など様々な対立が生じ、政府間関係が困難に直面する中で行われました。調査結果から見える両国国民の意識をどう読み解き、また、それを踏まえ、10日後の対話ではどのような議論が求められるのか。対話の日本側座長を務める小倉和夫・元駐韓国大使、そして、ジャーナリストとして日韓関係を見つめ続けてきた澤田克己氏と塚本壮一氏を招き、意見を聞きました。

後半:日韓関係を立て直すために何が必要なのか


日韓関係はなぜ重要なのか、
国民レベルでは積極的な意味を見出せなくなっている

工藤:確かに、「友好国」というのを急に言われたら答えにくい感じがあります。本当は、市民レベルとかいろんな人の交流があって、いろんな思い出があったり、そういう積み重ねの中で、その国や、その国の人たちに対する意識が出てくるのだと思います。しかし、私たちはまだまだ相互理解も含めて十分ではない段階にいるのだな、という気がするわけです。

 もう一つは、日韓関係の重要性の問題で、「もう重要ではないのではないか」とか「関心がないのではないか」という話があったのです。これは、地政学的な問題や、安全保障や、経済や、今後のアジアの未来というものを考えた場合に、「日韓関係は重要ではない」と説明する方が難しいのですが、しかし一方で、「重要だ」ということについて、「こうだ」と言い切れない状況もあるのだと思います。

 今、日韓関係の重要性を聞いてみると、韓国側世論は、「重要だ」がいつも高止まりで、8割くらいになっています。これは二国間での評価であって、多国間の中での日韓関係の評価になるとちょっと違う状況になるのですが、しかし、日本側世論は、「重要だ」がどんどん減ってきて、2013年から行っている調査で、最低の50.9%まで落ちてしまいました。

 ただ、「どうして重要なのか」と聞くと、お互いがすれ違っているのです。私たちが中国との世論調査で、中国側の回答を分析する時と同じ言葉を日本に言わないといけないのですが、結局、日本側で一番多いのは、「隣国だから」とか、「アジアの国だから」という一般的な話なのです。韓国の人たちはもっと経済的なことを重視して、「貿易のパートナーだから」とか、「経済・産業の面で相互依存を強めており、多くの共通の利益があるから」という声があるのです。ただ日本で、一般論に続いてちょっと多いのは、安全保障なのです。つまり、「アメリカとの同盟関係を通じての共通の利益があるから」というわけです。しかし韓国では、その答えはそれほど大きくないのです。一方、お互いが「民主主義などの共通の価値観を有する国だから」という声は、日本も韓国も非常に少ない。確かに、この重要性という問題は、皆さんが言ったように、「関心がない」という話と連動しているかもしれませんが、重要性が分からないような状況になっている。これは非常に大きな課題であるような気がしているのですが、小倉さんからどうでしょうか。

小倉:経済では、グローバリゼーションが進んでいますから、「日韓経済」だけを議論することはできないし、第一、日本にとっても韓国にとっても、中国の比重がものすごく高まっていますから、経済的な意味で、日本の重要性は低くなっているのは、当たり前というか事実なのです。

 問題は、同盟的な側面です。これは日本の統計を見ても、依然として、日本の中に戦後ずっと引き継いできた一つの考え方、これを平和主義と言う人も、いろんなことを言う人がいますが、そういう進歩主義的な考え方、要するに軍事的な協力というものに対するアレルギーが残っています。韓国の方には、植民地支配、日本のそういった側面に対するアレルギーがありますから、両方が重なると、軍当局同士が戦略的に合意していても、国民一般としては、同盟に対して自分自身がコミットするとか、「それがいいじゃないか」という人は、どうしても少なくなるのです。

 だから、日韓関係を考える場合、経済は中国の台頭がある。同盟は、両方のしがらみから来る限界がある。とすると、先ほど申し上げたように、文化とかスポーツとか観光とか、そういった面での交流は非常に広がっていますから、そういうものが果たして、今後、経済とか同盟とか、そういうところにどういう影響を及ぼしていくだろうか、考えていかないといけない。ところが不幸にして、この部分というのはそれだけで一つの世界を作っていて、それで完結してしまっているので、そういうことをいくらやっても、同盟などへの考え方に影響を及ぼす程度は非常に少ないと思います。だから、何をしたらいいかということについては、非常に難しいと思います。


経済的な実益を日本に期待する韓国

澤田:日本側から日韓関係の重要性がどんどん落ちている、と言われましたが、理由を見れば明らかで、韓国側は少なくとも経済です。「隣国だから」などはあるけれど、経済的な実益の問題であって、日本との関係は大事だと思っているから、変わらないのです。実益ですから、どんなに政治的な関係が悪くなって、非常に感情が悪くなっても、そこが重要であることは確実です。お金ですから分かりやすいですよね。

 それに対して、日本は、「隣国同士だから」という人が6割、それから「同じアジアの国として歴史的にも経済的にも深い関係を持っているから」は5割。「経済」などは2割以下ということで、ものすごく差があります。「隣国だから」とか、「同じアジアだから」などというぼやっとした理由であれば、ちょっと感情的になれば、すぐ「こんなもの、どうでもいいや」と思うわけです。日本でも、小倉元大使がおっしゃったように、安全保障の問題などを考えると、韓国との関係というのは日本にとって死活的に重要な問題だ、という認識を持っている人は、どんなに頭に来たって、「重要なのだ」という答えは変わらないのですが、そこのところの認識がまだそれほど深まっていない。それは、やはり小倉さんがおっしゃったように、アレルギー的な反応というのがあるのではないかと思います。

塚本:韓国では、日韓関係が「重要だ」と思う人が多いというのは、極めて一般的に、「そうだ」と言っているのであって、とりわけ韓国は今、経済状態が悪いですし、中国との関係も、多少良くなったとはいえまだ不安定である。また、トランプ政権との関係もあまり良くないですよね。韓国の人たちは、恐らく不安が増しているでしょうから、そういった中で、「対外関係は重要です、経済の面も含めて」という意味で、「日韓関係は重要です」と言っているのです。「日韓関係を本当に改善しなくてはいけない」という非常に積極的なモチベーションがあって答えている、ということでは、残念ながらそうではないような気がします。

工藤:韓国の人にとって、日本はどういうふうに映っているのですか、澤田さんが言われたように、あまり関心がないのでしょうか。

塚本:関心がないわけでは、もちろんないのでしょうが、そこはやはり、期待するのは経済問題とか、「何かあった時に側面支援してくれ」ということだと思うのです。一方で、例えば今回の調査の中で「将来的な朝鮮半島の平和プロセスに日本が積極的に加わること」については否定的で、そういうことだと思うのです。直接、自分たちの民族の問題に触れられるのは嫌だけれど、経済問題で何か重要かもしれないから、ちょっと「重要」と言っておこうかな、という程度であるような気がします。

工藤:お二方の話はよく分かるのですが、では小倉さん、今後、日韓関係はどのように考えていけば良くなるのですか。


両国市民に共通する課題を突破口に、地道な対話を重ねていくしかない

小倉:そもそも、この世論調査でも、「良くなるべきだ」と多くの人は思っているわけです。しかし、本当にどうなったら、どのように改善できるか、本当に改善するだろうか、というと、世論は、あまり楽観的ではないのです。ですから、行動を起こすというか、世論の指導者とは言わないまでも、知識人の方とかいろんな方が先導的な役割を果たさないと、これはなかなか簡単にはいかないと思います。ただ、先導的な役割を果たそうとしても、そこに理由、動機がなくてはいけない、展望がなくてはいけない。その意味で、せっかく韓国で市民運動が非常に盛んになっているし、日本でも市民の力は重視されているわけです。そこで、市民が毎日考えていること、環境でもいいし、子育ての問題でもいいですが、そういう問題で、韓国と日本は共通の課題、少子高齢化に両方とも直面しているわけですから、市民が共通に考えているようなことについて、もう少し対話するような場を少しずつ作っていく。それが5年、10年積み重なった上でないとダメなのです。他の国の例を見ても、今日、明日に何かしようと思っても無理で、長い目で、地道なことを少しずつ積み上げていかないとしょうがないと思います。

工藤:今の小倉さんの話が、今回の世論調査を読んで、私が一番大きな関心を持ったことなのです。先導者が何をすべきか、と。ただ、世論調査は心の問題なので、どういう意味合いでこれに答えているか分からないのですが、少なくとも、「現状の日韓関係の困難にどう対応すべきか」ということに関しては、韓国の人は70.8%が「改善に向けた努力を行うべきだ」というわけです。日本も「改善に向けた努力を行うべきだ」が40.2%。ただ、日本の場合は、「今のところ、文在寅政権は無視すべきだ」などという人たちがいて、それを合わせると30%くらいあるのですが、少なくとも日本側の意識は分かれていて、私たちが対話をしようとすると「そんな対話は必要ではない」という声が出てくるのはその背景もあると思うのです。

 ただ、一歩譲って、「改善に向けた努力をすべきだ」ということが両国民のコンセンサスだとした場合に、何の努力をすればよいのか、ということです。これは、何か話題があるとそれを選んでしまう感じで、韓国の人たちは徴用工とか歴史問題を選んでしまうのですが、日本の人たちはなかなか選べないから、歴史認識とか、今までの決まったものを選んでしまう。一方で、「政府とか民間のコミュニケーションを強化すべきか」という点に関しては、それほど大きな数字が出てこなくなっています。これは何なのか、関係改善という思いは持つのだけれど、どうしてよいのか分からないということなのか、どういうことなのでしょうか。


「対話」自体を拒む体質が日本人に生じているのは大きな問題

小倉:塚本さんや澤田さんにもお聞きしたいのですが、「対話をする」こと自体に意味があるという発想自体に対する懐疑心というか、対話というのは妥協するような面がどうしてもあるのだと、だから、対話すること自体に対する反発というものが、漠として存在するわけです。そこにちょっと問題があって、先ほどおっしゃたように、言論NPOが「対話をやりましょう」というと、「今やってもしょうがないじゃないか」となる。対話をすること自体に意味はない、逆に言うと対話を拒否することに意味がある、ということなのです。

 それは外交でもよくあるのですが、「首脳会談は拒絶します」とか、「外相会談は延期します」とか、すぐ対話を拒否すること自体に政治的な意味がある。そういうことを、とかく東アジアのコンテクストではやりがちなのです。日本はあまりやりませんが、韓国も北朝鮮も中国もやってきました。だから、そういう体質が日本人にも浸透しつつあるとすれば、これは非常に困ったことです。そこのところをどのように考えるか、日本にとっても大きな問題です。

工藤:私も一昨日、ヨーロッパから帰ってきたばかりなのですが、世界は、政府間がどうであろうが、民間で積極的な対話がどんどん動くことが当たり前だ、と考える人が多かったです。対話そのものに遠慮すべきだ、ということに驚く人がたくさんいました。「そんなの、もっと自由にやればいいじゃないか」と。

小倉:日本の場合、「対話する」という友好的なことを「なんだ」と、そういう仮定を置いてしまっているのです。対話することは必ずしも友好の印ではない。そこの考え方が違うのではないですか。

工藤:では、塚本さん、澤田さん、今、日韓関係を「改善すべきだ」という人が相対的に多いのです。これはうれしい数字で期待したいのですが、「何をすればいいのか」という大きな問題にぶち当たるのです。

塚本:「対話が自己目的化すると、もうついて来られない」という雰囲気になってしまっていますから、やはり個別のイシューですよね。例えば環境問題であれば、韓国も今、中国からやって来るPM2.5で、「困った」と思っていて、そこについては、中国に対する反発も大きいわけです。そういうところを考えると、例えば、環境で日韓が一緒に取り組むことがあるかないか、できるかどうか。明日、明後日すぐにあるかどうかは別として、あるいは、工藤さんが言われたように高齢化社会という共通の問題もあります。そういった個別のイシューで、これまた「対話」というのか、一緒に手を組むことがあるか、ないかを探る、そちらの方ではないかと思います。

澤田:「関係が悪いですよね、改善に向けた努力をすべきですか」と聞かれて、「改善すべきだ」と答えるのが普通で、日本で、「すべきでない」が3割いるのが異常だと思います。「良いですか、悪いですか」といったら、「改善すべきでしょう」というのが普通ですが、しかし、そこに深い考えがあるとはとても思えないです。

 ただ、ここ5~6年、日本と韓国の間のいろんな政治的な対話、トラック1.5などを見ていても、基本的にその議論が友好的かというと、とてもそうは言えない。ただ、日本側の出席者のおそらくある程度の数の人が感じているのは、「でも、この厳しい雰囲気を伝えた方がいいのだよね。向こうに考えてもらう材料をこちらから提供していかないと、彼らは全然認識していない。だから厳しく言わないといけないのだ」という感覚はあると思うのです。ですから、そういう意味でも、対話をやっていくことにはある程度意味はあると思いますが、「何をしたらいいか」と言われると、なかなか難しいですね。


市民同士の溝を埋める努力を誰が主導するのか

工藤:今回の世論調査では、徴用工とレーダー照射の問題についても聞いてみました。すると、両国民はそれぞれ自国の政府の意見を信頼していて、真っ向から分かれてしまっている。例えば、徴用工の判決の評価は、日本は「評価しない」が多くて、韓国は「評価する」が断然多い。レーダー照射も「どちらの主張が正しいか」というと、少しだけぐらつきはあるのですが、それぞれの政府の見解を支持するという状況です。私たちは中国やアメリカ、といろんな世論調査をやっているのですが、政府の言っていることを世論がそのまま代弁していることは珍しいのです。ある危機的な時だけです。いろいろな人たちが分かっていって、政府に対して、「そうではないのではないか」という多様な意見が出てくる。ただ、今の日韓関係で見れば、政府が言っていることを評価して、それを、世論調査でも答えてしまう状況になっています。

 澤田さんが言われたようにあまり関心がないので、それぞれ「自分たちの国がやっていることがいいのではないか」という理解であれば、それでもいいのですが、ただ、この世論の動向が本当だとすれば、この解決というものをなかなか描けない状況が出てくる。また、この世論の対立を利用する発言者が出てくるという状況もあって、政府間関係はなかなか難しい状況にあるように感じるのです。

小倉:私は、市民同士の付き合いというか、対話というか、昔は、「市民」という言葉を使ったかどうかは別として、日本でいうところのいわゆる進歩的な方々と、韓国側の民主化勢力とは、ものすごいつながりがありました。これは、日本の比較的保守派と言われている人々の中にもそういう人々がいて、ましてや、日本の進歩的と言われている方々と、韓国の民主的勢力とは、市民同士のものすごい交流がありました。ところが今は、そういうことが非常に細くなってしまっています。これは、両国の市民運動のあり方と、政治の体制が大きく変わった、ということが原因なのですが、その溝を埋める努力を誰かがうまくしないと、今のままで放っておくわけにはいかないのではないかと思います。それをどのようにするかということについての一つのアイデアは、最初からいきなり、「市民」というのではなく、修学旅行とか、あるいは学生同士の交流とか、ごく自然な交流があって、それから問題別の対話が増えていくという、そういうムードをつくらないといけないのです。

 ところが、誰がそういうことをやるためにお金を出すか、ということです。今の日本の状況では、そういうことにお金を出す人はほとんどいない。政府もやることに反対はしないでしょうが、はっきり言えば、あまりそういうことにお金を出すことについては熱意がないと思います、だから、誰が具体的にそういうものを財政的に支え、イニシアティブをとるか、ということになると、やはり、ある種の財団とかシンクタンク、そういうところがイニシアティブをとるよりしょうがない、と思います。そういう意味では、言論NPOの役割は非常に大事だということです。

工藤:頑張ります。そういう激励で今日の議論が終わると非常に幸いなのですが、澤田さんはどうでしょうか。

澤田:徴用工訴訟とレーダー照射について、別に私は、「日本政府が言っているから」というのは全然そうは思いませんが、安倍政権を支持しているかどうかは関係なく、そうなってしまうような気もしなくはありません。

工藤:韓国側の意識が、実際に感じていることと違うということですか。

澤田:韓国の方はあまり関心がないのです。徴用工の判決が出た時も、次の週に、ちょうどうちの後輩がソウルで学生たちの集まる就活イベントに行って、「徴用工訴訟の判決の問題をどう思いますか」と聞いたら、「えっ、何でしたっけ」と言われて、誰も関心を持っていなかった、ということがありました。そういうものかな、と思いますが、レーダーの話などは、韓国の方が明らかに、どちらが正しいかどうかというよりも「不自然だよね」というのはありますから、日本の世論が日本政府の姿勢と一緒だというので問題視できるか、と言われると、なかなか難しいかなと思います。

塚本:政治・外交はやはり難しい、どう考えても、これは解決のしようがない話です。でも、例えば、レーダー照射問題はあったけれども、この間、日韓の防衛相会談はシンガポールでありました。そのように、「さはさりとて」というところがあるので、それでやっていくよりしょうがないのではないでしょうか。政治・外交は難しいけれど、でも、日韓関係全体では、「さはさりとて、何とかキープしていかないといけない」ということだと思いますし、それは日韓ともに、世論に否定的では必ずしもないのではないかと思います。「さはさりとて」の後は個別で頑張りましょう、ということなのではないかと思います。


7回目を迎える日韓の民間対話に期待することは

工藤:この世論調査は、国民の理解とか意識の状況を把握すると同時に、これを題材にして議論しよう、というのが私たちの目的でもあります。国民や市民が何を考えて、どういうふうに思っているか、ということを私たちは把握して、その中からアジェンダを設定していく、という思いが強いわけです。22日、日韓の対話があるわけですが、今回の対話は私たちにとって非常に大変な局面なのです。ようやく皆さんの力で実現できるところまでたどり着いたのですが、一言ずつ、ご意見やアドバイスをいただければと思います。小倉さんはその実行委員長ですから、最後ということで、塚本さん、澤田さん、お願いします。

塚本:こういう局面だからこそ、そういう対話で、日韓のオピニオンリーダーが集まって話し合うというのは重要だと思います。そこで何か素晴らしい結論が出るとか、そういうことではないでしょうが、これが毎年行われているということ、また、日本だけでなく韓国でも報道されているようですから、それが国民に知られるというのが、一つ重要なのではないかと思います。

澤田:先ほど言いましたが、お互いに本音をぶつけ合って、「相手はこういうところを厳しく感じていて、こういうところを問題にしているのだ」ということを、少しずつでもつないでいく、ということが必要なのだと思います。日韓関係は実利の関係で構わないと思いますが、「隣の国だから仲良くしないといけない」とかそういう問題ではなくて、「お互い、それに利益があるからここのところを良くしないといけない」、「ここのところも協力しないといけない」ということでやっていく方がいいのだと思うのです。そういったところも含めて、落ち着いて話のできる関係を作っていくためには、続けていく必要があるのではないかと思います。

小倉:市民や国民レベルで、いろいろな過去の問題とか、それにまつわる問題がいつまでも出てくる。これはある意味で、不快なことだと思います。問題は、そういう問題を政治的な、二国間の外交問題として取り上げるのが、果たして良いことか悪いことか、どういうふうに取り上げるべきか。これはまた別の次元の問題で、それを混同してはいけません。そこでなぜ、市民とか国民同士の対話が必要かというと、ある問題が、市民同士では議論してもいいけれど、政治・外交問題として議論するのはいかがなものか、という問題があるとすれば、まさにそういう問題こそ、市民や国民同士の間で議論する方が、意味があるわけです。

 そう考えないといけないので、日本の多くの方が「対話を拒否する」と言った時に、政府間で議論するのはばかばかしいと思う、いいかげんにやめた方がいい、というのは分かります。ですが、「市民同士も対話する必要がない」と言い出した途端に、「では、外交問題にせざるを得ないではないか」という議論に相手を追いやるわけです。だから私は、そういう意味でも、市民同士、国民同士の対話が大事だというのは、変なふうに外交問題、政治問題にしないためにこそ必要だと思います。

工藤:日韓対話が行われる22日は、日韓基本条約の調印日になります。それから6日後には、G20が大阪であります。大きな世界の変化がある中で、この地域の問題に、民間や市民、ジャーナリストの人たちもそうだと思うのですが、どのようにある程度の役割を果たしていくのか、ということが問われている局面だと思っています。22日の内容は皆さんに公開しますので、ぜひ見ていただければと思います。今日は皆さん、いろんな貴重なご意見をいただき有難うございました。

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