延期された「第21回東京ー北京フォーラム」の早期再開に向けて、日本側主催者の工藤泰志が語る

2025年12月2日

2005年、日中政府間の関係悪化により互いの国民感情が悪化し、中国で大規模な反日デモが起こった。この状況を両国国民が一緒に考え乗り越えるための議論の舞台を立ち上げたのが、このフォーラムの創設の経緯。それ以来、本気で課題を解決しようとする人が日中双方から毎年集まって本音で議論できる、日中唯一の民間対話として機能してきた。


これまでで唯一、延期をしたのは尖閣問題で日中関係が悪化した2013年。ただし、その時には延期をしてできた時間で平和のための作業をしようというかたちで準備をし、そのために延期を認めたという背景があった。今回の中国側からの一方的な延期の決定は、その点全く性質の異なるものだ。あの尖閣のときの2013年のときをはるかに上回る重要なメッセージが、台湾問題にあるのだということを我々は受け止めざるを得ないと思っている。


中国は体制が異なるので、毎年共催で対話をしていくということは本当に大変なこと。しかし、そうであっても、私は民間外交について「政府に一歩、また半歩先んじて、両国の問題を解決する、それが我々の役割だ」と考え、20年間中国との間で本気で取り組んできた。私たちは民間なので、政府間関係を大きく変える力はないが、その改善のための環境をつくるということはできる。日中主催者はこの点で一致して準備を進めてきたが、今回、中国側の突然の延期決定は、こういった長年の実績や主催者の意志を上回る力が働いた結果と理解するしかない。延期は残念ではあるが、中国側も対話を再開したいと思っているし、私は決して諦めない。時機を見極めながら、早期に再開できるように力を尽くしたい。