今、取り組んでいる議論
何のための選挙なのか、日本が抱える中長期の課題についての議論もなされておらず、専門家は厳しい評価で一致した
I 言論フォーラム「今回の解散と、その後の日本の行方」
参加者:大川千寿(神奈川大学法学部教授)
藤井彰夫(日本経済新聞社論説主幹)
前田浩智(毎日新聞論説特別顧問、前主筆)
司会者:工藤泰志(言論NPO代表)
2月8日に投開票日を迎える衆議院総選挙の選挙戦はいよいよ大詰めに入っています。しかし、最終盤に入っても依然として、高市首相就任からわずか三カ月後の解散を疑問視する声は根強くあります。内政でも外交でも課題が山積みの中で行われる今回の選挙には大義はあるのか。日本の将来に向けて政治が本来議論しなければならないことは何か。投票日を前にメディア幹部、政治学者の三氏が改めて問い直しました。
議論では、今回の選挙では有権者が成果をもとに選択ができないことや争点がないことを三氏は問題視。内閣支持率が高い「勝てるタイミングで行う単なる党利党略の選挙」など厳しい評価で一致しました。
また、社会保障と税・財政について中長期的な視点から議論がなされず消費減税一色になっていることや、米国が西半球を最優先する「ドンロー主義」を掲げる中で、日本外交の自律的な展開を考えなければならない局面にあるにもかかわらず、それを意識した議論もないことを懸念する意見も相次ぎ、「世界や市場の動向も考えない政治は代償を払うことになる」と、日本の前途を不安視する厳しい声も相次ぎました。

I 成果がなく、選択する材料がない総選挙
前田浩智氏(毎日新聞論説特別顧問、前主筆)
成果をもとに有権者が選択するのが選挙だが、高市首相就任から三カ月しか経っておらず、成果が何もない。首相は「私が首相でよいか問う」と言っていたが、国民にしてみれば選択する材料がないというのが正直なところだ...全文を読む
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I 自民対中道の二大勢力になるのか、多極化がさらに進むのかが今回の選挙の注目点
大川千寿氏(神奈川大学法学部教授)
成果も争点もない中では、高市首相は「自分か、それとも野田氏・斉藤氏か」という構図に持っていくしかなかったのだろう。もっとも、小選挙区制導入以降の衆院選は実質的に誰が総理としてふさわしいかを選ぶ選挙になっている。それが非常に露骨な形で出ているのが今回の選挙だ...全文を読む
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I 経済も外交もしなければならない議論がなされていない
藤井彰夫氏(日本経済新聞社論説主幹)
今回の選挙は勝てるタイミングでやった単なる党利党略の選挙だ。何かプラスの側面があるとすれば、国際情勢が非常に厳しい中で政権基盤をきちんと固めてから外交をやっていく、ということがある。それができるのであればいいと思うが、それでも有権者から見ればやはりなぜこの時期なのか、と思う人は多いだろう...全文を読む