言論NPOは創立以来、「私たち市民が強くなることで民主主義を強く機能させたい」と提起し、日本の民主主義の課題に取り組んでいます。

言論NPOが毎年行う日本や世界での世論調査では、日本の国民の多くが政治家や政党に課題解決を期待していないことや、政府・政党・国会・メディアなどへの不信が世界的にも広がっていることが明らかになっています。

日本の民主主義は半数程度が選挙にもいかず、政治は国民の信頼が失っています。その中で、既存の政党はいずれも支持を後退させ、新しい政党に期待が向かっています。それが、どこに向かうのか。日本の民主主義の未来はどうなるのか。私たちはそれを真剣に考える局面に立っているのです。

民主主義を守り抜くためには、私たち自身が当時者として日本に問われる課題を向き合うことが必要です。そのために、私たちは民主主義の困難に取り組むと同時に、日本の未来に向けた多くの課題に向けた議論を始めています。

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言論NPOの「日本の政治・民主主義に関する世論調査」(12月9日)によって、日本では政党不信が色濃く残り、「新興政党の台頭と既存政党の退潮」という変化を多くの国民は感じていない、ことが明らかになった。

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言論NPOは12月9日、日本の政治・民主主義に関する世論調査結果を発表しました。

七月の参議院選挙を踏まえて、日本政治の構造にどのような変化が始まったと思うかを尋ねたところ、「新興政党の台頭と既存政党の退潮という政治構造の本格的な転換が始まった」との見方は12.4%と1割程度に過ぎず、「政治構造の転換につながるかまだわからない」と「現段階では判断できない」を合せると、73.1%と7割を超えます。

その一方で、日本の将来ヘの不安や様々な課題の解決を、現在の日本の政党や政治家に「期待できる」との回答は12.6%に過ぎず、「期待できない」は79.2%と8割近くを占めており、昨年調査から大きな変化は見られませんでした。

また、日本に自分の意見を代弁している政党が一つ以上「ある」という回答は25.6%で4分の1程度である一方、「自分の意見を代弁している政党がない」という回答は38.8%と4割近くを占めています。

今回の調査結果からは、日本国民は政党や政治家に対する根強い不信感を強く持っており、先の選挙結果で示された参政党や国民民主党などの躍進を本格的な政治構造の転換だとする見方に多くの国民が疑問を持っているという現状が、調査結果から浮き彫りになりました。

 ※この調査は9月6日から28日にかけて全国で訪問留置法で行われ、回答者は1,000人です※


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日本の政党政治がどのように変わろうとしているのか、専門家が解説

日本の政治・民主主義に関する世論調査結果を日本の識者はどう見たのか。同志社大学の吉田徹教授(比較政治学)と神奈川大学の大川千寿教授に話を聞きました。

参院選では新興政党が躍進しましたが、今回の調査結果を受けて両氏は、「多くの有権者は日本政治の構造変化が始まったとまでは考えていない」との見方を示したものの、特に吉田氏は「日本国民は政党政治の先行き不透明さに戸惑っている」と評しました。

両氏は、課題解決能力の欠如など規制政党に対する有権者の根強い不信も依然として変わっていないと語り、吉田氏は「日本政治が一気に流動化を加速している」と分析しました。これに対し、大川氏は「有権者の根深い政党政治不信は、新興政党の短期的な台頭だけでは解消できるものではない。既存政党を含めた政党全体が、政治に希望を持てるよう有権者に真正面から向き合い、社会の多様な価値観を柔軟に受け止めながら、代表性を再興していく抜本的な努力が求められている」などと今後の課題を挙げました。

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世論調査から政党政治の先行き不透明さに戸惑っているとの国民意識が見えた
“参院選の結果を受けて、日本の世論はどのように変化したのか。今回の調査から見えるのは、政党政治の先行き不透明さに戸惑っているとの意識だ。”

“日本政治は一気に流動化を加速させている。こうした状況は、次の衆院選で解消されるのか、むしろ色濃いものとなるのか。与野党とともに、国会での審議や法案成立だけではなく、次世代を見据えた政策的な競争へと勤しむ局面に来ている。”


I 吉田徹 同志社大学教授

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固定化する政党・政治家不信に対し代表性再興の努力が求められている
“有権者の根深い不信は、新興政党の短期的な台頭だけでは解消できるものではない。やるべきことは明確である。今こそ、既存政党を含めた政党全体が、政治に希望を持てるよう有権者に真正面から向き合い、社会の多様な価値観を柔軟に受け止めながら、代表性を再興していく抜本的な努力が求められている。”




I 大川千寿 神奈川大学教授

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