「第21回東京-北京フォーラム」は延期に:日中関係が深刻化する中、再開への努力が始まった
11月17日(月)言論NPOは記者会見を開き、11月22日から24日に開催を予定していた「第21回東京-北京フォーラム」が延期になったことを発表しました。
「東京-北京フォーラム」は、尖閣問題で日中関係が厳しい中で行われた2013年を含め、2005年の創設以来、一度も途切れることなく毎年開催されてきた、世界唯一の日中民間外交のプラットフォームです。過去に1度、延期を余儀なくされた年がありましたが、開催1週間前の突然の延期は前代未聞の事態です。この延期の事実は多くのメディアに報道されました。対話の再開を願う声が多く、これが「最後の砦」だったと書く記事もあり、この対話がいかに多くの人に期待されていたかということが再確認されました。
現在私たちは、フォーラムの再開に向けて多方面からの動きを進めており、必ずこれを再開し、対立下にある両国関係の悪化をなんとしても阻止したいと考えています。今回、なぜ延期になったのか、言論NPO代表で「東京―北京フォーラム」日本側執行委員長を務める工藤泰志が、その理由について語りました。
私は決して諦めない。早期再開へ向けて力を尽くす。
工藤泰志(「東京―北京フォーラム」日本側執行責任者、言論NPO代表)
2005年、日中政府間の関係悪化により互いの国民感情が悪化し、中国で大規模な反日デモが起こった。この状況を両国国民が一緒に考え乗り越えるための議論の舞台を立ち上げたのが、このフォーラムの創設の経緯。それ以来、本気で課題を解決しようとする人が日中双方から毎年集まって本音で議論できる、日中唯一の民間対話として機能してきた。
これまでで唯一、延期をしたのは尖閣問題で日中関係が悪化した2013年。ただし、その時には延期をしてできた時間で平和のための作業をしようというかたちで準備をし、そのために延期を認めたという背景があった。今回の中国側からの一方的な延期の決定は、その点全く性質の異なるものだ。あの尖閣のときの2013年のときをはるかに上回る重要なメッセージが、台湾問題にあるのだということを我々は受け止めざるを得ないと思っている。
中国は体制が異なるので、毎年共催で対話をしていくということは本当に大変なこと。しかし、そうであっても、私は民間外交について「政府に一歩、また半歩先んじて、両国の問題を解決する、それが我々の役割だ」と考え、20年間中国との間で本気で取り組んできた。私たちは民間なので、政府間関係を大きく変える力はないが、その改善のための環境をつくるということはできる。日中主催者はこの点で一致して準備を進めてきたが、今回、中国側の突然の延期決定は、こういった長年の実績や主催者の意志を上回る力が働いた結果と理解するしかない。延期は残念ではあるが、中国側も対話を再開したいと思っているし、私は決して諦めない。時機を見極めながら、早期に再開できるように力を尽くしたい。