坂梨祥氏(日本エネルギー経済研究所中東研究センター長)要旨
・停戦協議が進んでいるが、米国とイランが互いに譲歩せず、先行きは不透明
・米国は軍事的成果を強調する一方、ホルムズ海峡の封鎖を解除できず、軍事力の限界が露呈
・イランも体制維持の姿勢を崩しておらず、双方が譲らないため衝突回避の道筋が見えにくい
・日本にとって最大の課題はエネルギー安全保障。原油の約95%を中東に依存しており、依存構造の脆弱性が改めて明らかに
・備蓄で短期対応は可能だが、中東依存の即時解消は困難で、長期的には多角化が必要
・米国の国際法に必ずしも則らない軍事行動により、湾岸諸国で同盟見直しの動き
・日本でも米国との同盟関係の意味を再検討する必要性が浮上
・日本は中東依存が今後も続くことを前提に、不安定な地域情勢の中で安定的なエネルギー確保に向き合う必要がある
鈴木啓之氏(東京大学大学院総合文化研究科特任准教授)発言要旨
・停戦協議が継続しているが、核問題やホルムズ海峡の航行の自由をめぐり米国とイランの溝は埋まらず、先行きは不透明
・仮に米イラン間で停戦が成立しても、イスラエルが体制転換を掲げて単独で攻撃を継続する可能性があり、紛争長期化のリスク
・中長期的には、イランと湾岸諸国の関係悪化が地域不安定化の要因となる可能性
・米国がイスラエルを軸に構築してきた地域秩序が、イランとの対立を固定化させる懸念
・日本にとってはエネルギー安全保障が極めて重要。原油の9割以上を中東に依存しており、供給リスクが高い
・安全保障・経済では米国、エネルギーでは中東に依存する「二兎を追う」立場にあり、対立激化で選択を迫られる可能性
・日本は戦闘の早期終結と国際関係の正常化を重視し、多国間協調を軸に対応する必要
・エネルギー多角化や備蓄活用など、オイルショックの教訓を踏まえた政策推進が重要
・状況に応じた柔軟な外交対応の検討が求められる
松下知史氏(ジェトロ・アジア経済研究所中東・南アジア研究グループ 研究員)発言要旨
・停戦協議が続いているが、核問題やホルムズ海峡の航行の自由をめぐり米国とイランの溝は埋まっておらず、見通しは不透明
・双方が譲歩しない中、イラン側には交渉が時間稼ぎではないかとの不信感もあり、実効性ある合意形成は困難
・イラン体制は当面崩壊の可能性が低く、内部対立を抱えつつも一致して交渉に臨んでいる
・中長期的には、イランと湾岸諸国の関係悪化が新たな不安定要因となる可能性
・戦争前は建設的関与で一定の安定が保たれていたが、攻撃により相互不信が強まり、関係改善の見通しは不透明
・日本にとって最大の課題はエネルギー安全保障。原油の約95%を中東に依存しており、紛争の長期化は供給と価格の両面で影響
・停戦と国際関係の正常化は日本の国益に直結
・日本政府は武力行使の法的評価を慎重に回避してきたが、国際秩序の観点からは法の支配の回復を重視する姿勢が必要
・日本の対応としては、仲介努力への側面支援、国際機関を通じた停戦枠組みの形成支援が重要
・エネルギー・食料面で脆弱なグローバルサウスへの支援を通じ、国際的安定の回復に寄与することが求められる