来日した東ティモールのジョゼ・ラモス=ホルタ大統領は我々に何を語ったか

 訪日した東ティモールのジョゼ・ラモス=ホルタ大統領は8月22日、言論NPOのインタビューに応じた。同氏は日中韓にインド、インドネシアを加えた5カ国がこれからのアジアのリーダーとなることが、アジアの平和と繁栄促進や世界に迫る危機を回避するためにも重要であるとの認識を示した。(聞き手は言論NPO代表・工藤泰志)

工藤泰志:これからのアジアはどうあるべきだと思いますか。

日中韓が協力し合うことで、アジアの平和と繁栄を促進し大きな影響力を発揮できる

インタビューに応じるジョゼ・ラモス=ホルタ東ティモール大統領(22日、東京都内)


ラモス=ホルタ:私は常々、日中韓が協力し合うことを希望し、提唱しています。この3カ国が知識と資金を持ち寄れば、アジアの平和と繁栄を促進する上で、極めて大きな影響力を発揮できるでしょう。
そしてこの3カ国は、インドとインドネシアにも手を差し伸べるべきです。日中韓、インド、インドネシアがアジアのリーダーになれば、アジアはグローバルアジェンダの設定において、世界に対して巨大な影響力を持つことができます。 
「それはロマンチックで非現実的な提案だ」と言われるかもしれません。しかし、これ以外の方法はありません。不可能であるとは思いません。なぜなら、世界の危機は切迫しており、リーダーたちはアプローチの革新を考えざるを得ない状況だからです。それができなければ、かつての二つの世界大戦のような大規模な戦争が再び起こるでしょう。私たちは今、世界大戦が起こり得る状況の中にいるということを忘れてはなりません。
トランプ政権はこれから4年間続きます。色々な被害が起こるでしょう。しかし、それは新たなリーダーが出現するための機会にもなり得ます。
そこで重要なのは、日中韓がその膨大なエネルギーを無駄なことに費やさないことです。歴史認識についてまだ対立しているのであれば、それは問題です。第二次世界大戦はもう80年も前のことなのです。

新しい5カ国協議を


工藤:「東京-北京フォーラム」で中国にそう伝えます。我々は過去に囚われるのではなく、未来のために結束しよう、と呼びかけます。可能であれば合意もします。
大統領は今の世界の状況はかなり危険だと見ているのですね。

ラモス=ホルタ:はい。世界は今、非常に分断されています。第一次、第二次世界大戦時と同じくらい分断されています。しかし、平和を追求する3つの国があります。日中韓です。そして、新興国であるインドとインドネシアもいます。
私が強調したいのは、より前向きなアプローチを取るべきだということです。問題に過度に焦点を当てないことが必要です。これは北朝鮮の核問題でも同様です。なぜなら、北朝鮮は決して核兵器を放棄しないからです。現在の米国の政治家たちの態度は、むしろ北朝鮮の核に対する偏執を助長しています。 

工藤:新しい5カ国協議を提唱しているのですね。

ラモス=ホルタ:私たちから見れば日本も80年前は敵だったわけです。反日の人も非常に多くいました。それでも今はこうして対話をしています。北東アジアでは昔は対話があり、そこには北朝鮮も中国もいました。また対話ができるはずです。

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