2006年01月18日[ 次の日本をつくる言論 ]
1月17日、加藤紘一氏(衆議院議員)をスピーカーに呼んで、メンバーフォーラムを開催。「現在の日本の政局に何が問われているのか」を中心テーマに、言論NPOのメンバーと活発な議論を展開。
2005年12月31日[ 工藤ブログ ]
2006年、私たちはこうした作業を更に進化させ発展させる準備を進めています。
その内容を一部紹介させていただきますと、まず評価は毎年、マニフェスト評価書として公表し、評価作業は各分野公開で行います。また2030年の将来構想に向けて議論を行ってきたアジア戦略会議は1月から本格的に議論を再開し、日本の外交戦略に対する提言機関に発展させます。中国との議論は8月に会場を今度は東京に移して第二回目のフォーラムが盛大に開催されることになっています。
私たちが新年、特に決意を新たにしているのは、9月には小泉政権の退陣が予定され、後継者に政権が引き継がれるということです。日本の改革はまだこれからが本番であり、その継続は必要と考えますが、この間、政府の政策の評価などを通じてはっきりしてきたのは、この国に問われている様々な課題に対して「解」を政治もまだ見出していないということです。「解」とは大きく言えば急速に進む高齢化と人口の減少社会をどのように経営し、そのために従来型のシステムをどう作り変えるのか、という問題です。さらにアジアの台頭が続く中で国際戦略を将来に向かってどう形成し、日本のどのような存在感を国際社会の中で作りだすのかという問題もあります。
私たちの小泉政権への評価が厳しいのは、制度の破壊は行ったが、実はそうしたビジョンや制度設計の作り直しを提案できず、国民と合意を形成する努力を欠いているからです。 総裁選挙はその意味では重要なタイミングとなります。そうした全体構想を日本の政治に迫ると同時に「解」を作り出すために議論を様々な形で始めなくてはなりません。
私たちが非営利組織(NPO)で日本の言論に挑戦を始めたのは、既存メディアを中心とした日本の言論のあり方に問題があると考えたからです。日本のメディアには自らの不祥事が相次いで表面化するなど経営のガバナンス面で問題を抱えながら、日本の社会にいまだに強大な影響力を持っているという異質な状況があります。
私たちが問題にしたのは、そうしたメディア自身の構造問題以上に、多くのメディアは日本が歴史的な変革期にもかかわらず、いまだに興味本位で議論や批判のための議論を繰り返しているという問題があります。この状況は私たちが「言論不況」と主張した5年前も今も基本的に変わってはいません。
言論の問題は日本の民主主義のあり方と表裏一体の関係があります。言論NPOが誕生したのは小泉政権が発足した直後のことでしたが、その時、日本の改革は大切だが、それを一人の政治家に任せるのではなく、私たちが自らも問題として考えようと主張しました。マニフェスト評価を先駆けて行ったのは、政治家にお任せの傍観者的な議論から有権者が主体で個人が当事者意識を持って議論し、政治を判断し選択できる日本の政治に変えたいと考えたからです。
ところが、昨年9月の総選挙では多くの有権者は小泉氏を支持し、圧倒的な勝利となった自民党に事実上白紙委任してしまいました。この結果、次の選挙まで増税や医療制度などの論議や決定に国民は参加できなくなってしまったのです。
民主主義の国には、多くの人が直接的、感覚的に政治家を支持をする広くて薄い民主主義と、議論を積み重ね、または自ら判断して賛否を行う民主主義の二つが存在しています。感情的な決定に大きく揺れすぎる政治はやはり危険でそのバランスが必要と考えます。私たちはそうした強い民主主義の部分を守るためにも質の高い言論が積み重なる空間を大切にしたいと考えています。
新年も言論NPOの活動にご理解、ご支援をいただければ幸いです。
2006年1月1日
特定非営利活動法人 言論NPO
代表 工藤泰志
2005年12月30日[ 工藤ブログ ]
医療改革は官邸主導で進み、これまでの医師会などとの水面下での妥協作りなどはなくなったことは、政策決定のシステム変更を実現できた点では評価できる。が、政府案に背景にある「大きなリスクは皆で支え、小さなリスクは自分で面倒を見る」という設計思想が大綱にどう反映されたのか、財政論の立場から辻褄があっているのか、地方で保険計画を立案するという発想はわかるが、それをどう進めていくのか、実行の担保はどう考えられているのか、など疑問は残った。
また、全体的に財政の視点からの組み立てが重視され、患者の立場や医療の質をさらに向上させる立場から、どう組み立てられているのか、よく見えない。
これらの疑問を元に再度、評価会議を行なおうと思う。
2005年12月30日[ 工藤ブログ ]
まだ戦略的な撤退の動きをできないまま、政府の動きをただ期待するだけでは自滅する可能性もあります。
本当に地方が自立するために、どのような戦略が必要なのか、それをこの会議で話し合い、また地方とも議論を行いながら、こうした視点から政府の動きの評価を行っていきたいと思います
2005年12月30日[ 次の日本をつくる言論 ]
「2006年の日本には何が問われているのか」をテーマに、言論NPOのアドバイザーである、松井氏道夫氏、宮内義彦氏、小林陽太郎氏、藤澤義之氏、瀬戸雄三氏、福川伸次氏、横山禎徳氏の7氏に語っていただきます。
2005年12月29日[ 工藤ブログ ]
スローガン化していた選挙の公約を、「国民との契約」にまで高めようとしたマニフェストの運動は、日本の政治を有権者本位に組み替える新たな試みだと、私たちは考えています。私たちがマニフェストの契約性にこだわるのは、政治家にお任せする政治から、有権者が自ら政策を判断する政治への転換を進めたいからです。
この間、たしかに選挙時には政党はマニフェストを提案し、不十分ながらもマニフェストに書かれた内容を政府や党も政策実行の際には意識するようにはなりました。しかし、私たちが行った3回の評価の結論はいずれも「マニフェストが国民との契約として機能していない」というものでした。
マニフェスト自体はほとんどがスローガンで、各分野の目標やそれを実現する施策体系やロードマップが描かれないまま掲載されています。また国民の間で論議を呼びそうな選挙対策上都合の悪い課題は公約から外され、政策の後出しが繰り返されています。これでは、有権者と政治との契約書とはいえません。
そこで私たちは二つの評価基準を軸とした評価体系を設計し、評価を行うことにしました。ひとつはマニフェストの作成から実行に至るマニフェストのサイクルを実現するための形式的な評価基準であり、またもうひとつはマニフェスト自体の妥当性を判断する実質的な基準です。つまり、マニフェスト自体が日本の現状の課題を抽出してその解決策を提示できているのか、あるいは実現する理念やビジョンが描かれ、それを実現するために明示された目標や施策体系と整合性を持っているかを判断することにしたのです。
こうした厳しい評価基準を採用したのは、マニフェストを国民との契約に発展することを期待しているからです。
私たちはこの作業を定期的に行い、その内容を「マニフェスト評価書」として、毎年、公表することにしています。この作業には政策問題の専門家などが加わり、関係者間の議論や政府の政策部門の当事者や政治家などへのヒアリングや政策実行プロセスの検証や、有識者へのアンケート調査などを踏まえて行われています。
言論NPOのウェブサイトでは、専用のブログページを用意し、毎年行われるこうしたマニフェスト実行の評価結果のほか、その過程で行われる政策当事者や政治家などの議論などを公表し、多くの方が政策決定の動きを監視し、判断できるような判断材料を提供したいと思っています。ウェブサイトでは、マニフェスト評価について、政策の進捗状況について国会等での政策決定や実行について、リアルタイムで私たちの評価の議論をお伝えする「最新の評価議論」のコーナー、これまでの評価結果をお伝えするコーナーなどを設置しています。また、今後はローカル・マニフェストについて扱うコーナーも開設予定です。このウェブページを通じて、有権者の皆様へ政策に関する判断材料を提供していきたいと思います。