2006年03月27日[ 工藤ブログ ]
余談ですが、
ある日、私たちが乗った車が公安に呼び止められる騒ぎがありました。
ナンバープレートの不備で注意を受けたということですが、公安という文字に
私もびっくりしました。
でも
中国の警察官もてきぱきと
まるで日本の警官が反則切符を切るように作業としている。
それを見て少し驚きました。
「中国の公安もかなり変わった。今では市民から苦情がでると、首になってしまう」
中国人の友人はそう解説してくれます。
そんな初体験をしながらも、 私たちはいろいろなところを回り、議論を重ねました。
私たちが8月の開催にこだわったのは、
まず民間の新しいコミュニケーションチャネルとして定着するには、その時々の政治に左右されるのではなく、同じ時期に開催をすることが重要だということです。
第一回目の北京ー東京フォーラムも8月に開催されました。
仮に政治の状況に振り回されて、開催時期をいつも神経質に考えるようでは、民間の挑戦が政治を変えるということは不可能だと思いましたし、それに負けるようではこのフォーラムの意義も半減してしまうと真剣に考えました。
それと、8月は日本では太平洋戦争を意識した終戦を考える時期として定着していますが、この8月をアジアの過去と未来を考える季節にもしていきたいとも考えました。
そのためにも私たちのフォーラムを8月にこれからも開催し続けることは、アジアの未来を考える意味でもとても重要なことだと判断したのです。
私たちは何度も語り合いました。こうした議論に中国の多くの友人も理解を示していただき、そして議論の結果、「北京ー東京フォーラム」はこれからも8月に実施することで合意したのです。
帰国後、私たちは8月のフォーラム開催に向けて準備を開始しています。
もう4ヶ月余りしか時間はありませんが、5月にはパネリストやテーマを決定し、共同の世論調査を日本と中国で同時に実施します。またアジアの議論についての新しいブログの準備も始めています。
私たちは、表面的な友好ではなく、むしろ考えなどに違いがあってもお互いを尊重し、本音で議論ができる関係、仲がいいからけんかもできる関係を作り上げたいと思っています。
将来的には、そうした議論の輪を日中だけではなく、ほかのアジアにも広げ、またアメリカの有識者なども議論に参加できる、アジアの議論の舞台に発展させられないかと考えているのです。
そのためにもまず今年の東京大会を成功させたいと思います。
2006年03月23日[ 工藤ブログ ]
今にして思えば、この北京訪問で日程が決まらなければ、「北京ー東京フォーラム」は第二回目にして暗礁に乗り上げる可能性もありました。その意味では
いわばぎりぎりセーフ。これですべての準備を始めることができます。
3月23日の言論NPOのメンバーフォーラム朝食会では、私のほうから日程を今年の8月3,4日の二日間とすることを初めて会場で説明させていただきましたが、
その際にはちょうど3月のゲスト・スピーカーとしてお迎えしていた中国の王毅大使からも「協力をしたい」旨の発言があり、とても励まされました。
8月の東京大会まであと4ヶ月余り。まさにカウントダウンが始まったのです。
私たちが「北京ー東京フォーラム」を立ち上げたのは、日中の深刻な対立を民間側の挑戦と議論の力で乗り越えられないかと考えたからです。
私たちがもっとも心配したのはアジアの成長を軸に世界がダイナミックな動きを始めているときに、両国のナショナリズムが加速し、緊張が高まることです。
ナショナリズムはアジアの将来に対して思考停止をもたらし、アジアに潜在的に存在する巨大なチャンスを奪いかねません。
この状況に正面から向かい合い、日中間の課題だけでなく、アジアの将来について本音で議論が行える新しいコミュニケーションチャネルを作り、その議論を
両国だけでなく世界に発信したい。それが私たちの提案です。
中国の四大紙のひとつのチャイナディリーと北京大学国際関係学院がこの提案を受け入れてくれ、
昨年夏、反日デモの余韻がくすぶり、日本の様々な民間交流が中断や延期に追い込まれる中、「北京ー東京フォーラム」が立ち上がったのです。
日本では総選挙目前のあわただしい時期でしたが、
新しい日中の議論のプラットフォームを実現するため、
30人近い日本の有識者が北京に向かったのです。
この時の議論はインターネットで世界に中継され、中国だけでなくCNN,BBCといった世界のメディアが報道しました。
問題は今年です。
日中関係が厳しさを増す中で、今度は中国の有識者に東京で行われる議論に参加してもらわなくてはなりません。
しかし、8月と言えば、日本では靖国参拝の可能性もあり、さらに9月の自民党総裁選を目前に、政局の動きが始まっています。
そんな時に
東京で開催が可能なのか、それが最大の不安材料でした。
一部では秋への延期説も出始めましたが、
私はどうしても
この8月に開催することにこだわったのです。
私が仲間と北京に向かったのはその考えを説明し、日程を確定するためでした。
(続く)
2006年03月23日[ 次の日本をつくる言論 ]
中国の駐日特命全権大使の王毅氏が言論NPOメンバーフォーラムで日本の有識者たちに日中関係について本音を語る。言論NPOと第1回 北京-東京フォーラムに支持と期待を表明。
アジア戦略会議に栗山尚一氏(元駐米大使)を迎え、外交戦略のあり方や日本が目指すべき望ましい国際秩序を中心に議論しました。