イラン戦争の行方と揺らぐ国際秩序の中で問われる日本の戦略―エネルギー・同盟・外交をめぐる複合的課題
言論フォーラム「イラン戦争の行方と日本の立ち位置」

米国とイスラエルによるイラン攻撃は、イラン側の報復攻撃とホルムズ海峡の封鎖によって長期化する様相を見せるともに、世界経済にも深刻な影響を及ぼし始めている。こうした中で、米国と同盟関係があると同時にイランとも長年良好な関係を築いてきた日本はどう対応すべきなのか。

日本の専門家は、戦争は当初の想定を超えて長期化し、停戦の見通しが立たない不透明な局面にあるという見方で一致。とりわけホルムズ海峡をめぐる緊張は、単なる軍事衝突にとどまらず、エネルギー供給や国際経済に波及する問題となっていることへの強い懸念を示した。

こうした状況の中で、日本は難しい立場に置かれているとの認識でも三氏は一致した。安全保障と外交ではアメリカとの同盟関係に依存する一方、エネルギーの多くを中東に頼る構造があり、両者の間でバランスを取らざるを得ない。戦争が長引けば、この二つの関係の間で日本はより厳しい選択を迫られる可能性があるとの懸念が相次いだ。

さらに、大国による力の行使が常態化する中で、法に基づく秩序をいかに維持するかが問われており、日本も自らの立ち位置を再考する必要に迫られているとの問題提起も相次ぎ、イラン戦争は、日本にとって遠い地域の問題ではなく、自国の安全保障と経済に直結する課題であることが議論を通じて浮き彫りとなった。


 言論フォーラム「イラン戦争の行方と日本の立ち位置

参加者:坂梨祥(日本エネルギー経済研究所中東研究センター長)
    鈴木啓之(東京大学大学院総合文化研究科特任准教授)
    松下知史(ジェトロ・アジア経済研究所中東・南アジア研究グループ 研究員)
司会者:工藤泰志(言論NPO代表)


司会を務めた言論NPO代表の工藤泰志はまず、イラン戦争についての懸念点や関心事について各氏に尋ねた。

 

I 中東依存の現実とイラン体制の行方が問う日本のエネルギー外交の再構築

坂梨祥氏(日本エネルギー経済研究所中東研究センター長)は、「今回の戦争によって、日本が中東に極めて高い割合でエネルギーを依存している現実が改めて広く知られるようになったのではないか」と指摘。とりわけ原油は2025年時点で94.7%を中東から輸入しており、「なぜここまで依存度が高かったのかという点も含めて、この戦争をきっかけに日本が中東との関係をどう考え直すのか」が課題になると述べた。