中国の軍事行動から中国の強権的行動の真意を考える
中国の強権的、攻勢的に見える最近の行動をどう判断すればいいのか、今回の議論はその第二弾となります。
今回は、南シナ海での米中の対立を軸に、中国の強権的行動の背景に元防衛事務次官の西正典氏、笹川平和財団上席研究員の小原凡司氏、東京大学東洋文化研究所教授の松田康博氏の3氏が迫ります。司会は言論NPO代表の工藤泰志が務めました。
ポンペオ米国務長官が7月13日の声明で、「南シナ海の大半の地域にまたがる中国の海洋権益に関する主張は完全に違法だ」と批判し、中国に対してイデオロギーや領土問題で対決姿勢を強め、中国が納得できない環境を作り出しています。このポンペオ発言がトランプ政権全体の意思かについては見方が分かれましたが、3氏は米中間の相互不信や緊張感が高まり、偶発的に衝突が起きる可能性は非常に高まっているとの見方で一致しました。
また、三氏は「選挙外交」という、11月の米国の大統領選を軸にして緊張が高まっていること、両国とも対立は避けたいとは思っているが、逆にエスカレートする可能性があるとの認識も共有しており、その背景には両国ともにそれぞれを敵とすることで、自国での求心力を高める共通の構造がある、との見方が出されました。
今後のホットスポットとして3氏は「台湾」を挙げ、仮に台湾で有事の際には沖縄にも影響が出てくることから、日本は自国の主権と領土を守るため、米国と行動を共にすることは明らかだとし、そうならないためにも中国には挑発には乗らないように、日本政府は自制を求めていくべきだということで三氏は一致しました。中国が世界を理解するためのどう助けるか、日本の役割はその通訳作業だという声もありました。
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