多国間主義はどこから立て直せるのか――制度の「基本」への回帰とアジア発の新たな連帯を
~「東京会議2026」公開フォーラム・セッション1~

 3月11日午後、前日(10日)開催の「第1回アジア円卓会議」、直前のパネルディスカッション「大国は、どのような世界をつくろうとしているのか~力と取引が前に出る時代の国際秩序~」における元首脳らの議論を引き継ぐ形で、「多国間主義はどこから立て直せるのか」と題して、公開フォーラム・セッション1が行われました。議長を務めた言論NPO代表の工藤泰志が「多国間主義を支えてきた基盤は今、大国の行動によって激しく揺さぶられている。どこから立て直せるのか」と問いかけ、活発な議論がスタートしました。

 直前のパネルディスカッションには、岸田文雄元首相、クリスティアン・ヴルフ元ドイツ大統領、スシロ・バンバン・ユドヨノ元インドネシア大統領、キース・ケロッグ米大統領特使、パオロ・ジェンティローニ元イタリア首相が顔をそろえました。「リアリズムと理想主義の均衡が必要だ」「多国間主義は決して完璧ではなかったが、全員がそこから恩恵を受けた」「力の秩序は一時的ではなく、今後の中心的特徴になる」――こうした率直な認識が、登壇者から相次いで示されました。


 言論NPOが2026年2月に実施した専門家調査でも、世界の知識層の62.1%が「大国による力の行使や取引は今後の国際社会の中心的特徴になる」と回答しており、アジアでその比率は74.3%に達しています。元首脳らによる直前の議論は、まさにこの「力の秩序」を所与の条件として、どう多国間主義を再構築するかという問いを、公開セッションへと手渡した格好です。

 セッション1には、アジア各国の元閣僚・国際機関のトップら9人が参加し、約1時間半にわたって議論を交わしました。議長の工藤が冒頭「多国間主義のどこが機能していないのか、立て直すことは可能なのか」「立て直すためにミドルパワーとアジアはいかなる役割を果たせるか」と問題を提起し、登壇者たちは真正面から向き合いました。